前のPVの記事で引用されてたやつです。時系列的には
AJ「既存の強いデッキ使わないのはアホ(実はまだ全然読んでないけどたぶんそんな感じ)」
Conley「この記事(メタ外のデッキ作る立場からの反論)」
PV「http://biggbo.diarynote.jp/201106051450235475/」
こんりーはまじむずい。CFBで一番むずい。何指してるのかが分からない置き換え表現がたくさんあるからかな。あと構文もとりづらい。
結局brewは「策謀」として訳した。もっとセンスある言葉が思いつけばよいのだが
原題:Breaking Through – Innovation is Underrated
http://www.channelfireball.com/articles/breaking-through-innovation-is-underrated/
Posted by Conley Woods
April 21, 2011
先週,AJ Sacher が(http://www.starcitygames.com/magic/fundamentals/21638_Playing_The_Best_Deck_Innovation_Is_Overrated.html)の様な記事を書きました.構築フォーマットにおいて,環境のベスト・デッキを使わないことは単純に間違いであるとし、その理由を詳細に述べています.記事中にはいくつか鋭い意見があり,その大部分には私も同意できます.しかし,彼はこの議題に対して非常に偏った視点からしかアプローチしていません.逆の視点からこの議題に取り組む者がいるとしたら,それは私でしょう.私は数多のデッキ構築に関わってきたというだけでなく,自分のデッキ選択を自省して,それが正しかったかどうかの判断を下してきましたから.
AJは私やPatrick Chapinの様な「策謀家」じゃないので,我々の行動原理を完全には把握できていないのでしょう. 我々にとっても勝利もっとも大切なことです.驚きをもたらす代わりに散散な成績でトーナメント終えている様に見えるかもしれませんが…我々は皆がやろうとしないこと,さらには対策をしようとすらしないところから利を得ようとしているだけなのです(注1).長い目でみた勝率を増すことを考えないのなら,我々は恐らくこの様なことをしないでしょう.
トーナメントにおいて,盛大な自爆をする可能性は常にあります.我々は,これを「策謀」を企んだ際に生じるリスクとして受け止めています.しかし,どんなトーナメントにおいても,環境を打破して鮮やかにTop8に至るチャンスはあります.他の競技を例にして,トーナメントレベルのMTGについて考えて見ましょう.
バスケットボールというゲーム自体は,熱狂的なファンでなくても皆知っていますよね.このゲームが非常に多様な要素を含んでいることもご存知かと思います.ここで,もしバスケットボールがフリースローの実力を単純に競うゲームだったら?と考えてみてください.パスもドリブルもなく,ダンクも3点シュートも存在せず,48分のゲームの中でやることがラインからひたすらシュートするだけだったとしたら?そして,最高のシュート成功率を持つものが勝者になるとしたら?この場合,だれがNBA最高のプレイヤーとなるでしょう?もちろん,Peja Stojakovicでしょう.
しかし,貴方が熱狂的なNBAファンなら,Pejaが今最強のプレイヤーであることに頷きはしないでしょう.バスケットボ-ルはその一要素から成り立つものではないからです.ゲームは非常に複雑なので,ひとつやふたつの要素に帰着させることなどできませんし,データから誰がベストプレイヤーで,今日だれが活躍するのかの結論を出すことも難しいのです.MTGも同じです.
MTGで成功するためのファクターは恐ろしい程に膨大です.もし皆が常にベスト・デッキを用いるのなら(簡略化のため,75枚全く同じカードを使うとしましょう),そういったファクターの大部分が排除され,最強プレイヤーを決めるためにフリースローを競っている様なことになるでしょう.この場合,プレイスキルは勝つために最も重要な要素のひとつではありますが,必要なものはそれだけではありません.「デッキ構築」は私が自身の武器としている領域です.Pauloはプレイングにおいては私より上でしょうが,Pauloが出場するいかなトーナメントにおいても,私にも勝つチャンスがあります.プレイング以外の要素で勝負できますから.ベスト・デッキを常に使うべきだという主張は,そういったオプションを排除してしまうということです.たとえそれが間違ったオプションであったとしても.
音楽が子供を遠い世界に連れて行ってしまうとか,金食い虫だとか考える親はいないでしょうが,成功する見込みがないから音楽をやめろ,と簡単に言える親はいません.実際,逆境にめげずに音楽で成功している人はいますし,おそらく彼らは分子生物学に忠実に生きている人よりいい人生を送っているでしょう(注2)
*本筋に関係のないゲームのランダムな要素は無視する(Ignoring the random elements of the game as they are not relevant to the conversation)
この考え方を理解するにはロールプレイングゲーム,ある種のビデオゲームや,Dungeons and Dragonsの様なゲームと比較してみると簡単です(注3).他のプレイヤーとの優劣をはっきりさせられる数値的な要素はたくさんありますが,それらの値を総合してでてくる能力こそが重要です.貴方のキャラクターは私のものより力が強いかも知れませんが,もし私のキャラクターの方が知力が優れていたとしたら,私は近距離戦闘を避け続けられるかもしれません. もし全てのプレイヤーがベスト・デッキを選ぶのならば,各プレイヤーのもつそれぞれの「利」が排除されてしまうでしょう.メタ読みの能力やローグデッキ構築能力といったものです.Pauloの様な,プレイスキルが上位0.01%に属するプレイヤーにとって,これは望ましい状況でしょう.しかし,我々の様な大多数の人間にとっては,結果を決める要素が多岐に渡っているほうが望ましいのです.
まぁ,デッキ選択において,私ほど確固とした理由付けがある人は珍しいのかもしれませんが,「プレイングスキル」値がそう高くなくて,それを他の部分で補っているプレイヤーは沢山います.Mike Floresもそうです―彼に敬意を払って―Mikeは世界最高かそれに準ずるプレイスキルを持っている訳ではありません(彼も同意してくれると思います).しかし,彼は他のプレイヤーにない強みを数多く持っています.彼の理論構築能力,型に嵌らないリミテッドのスタイル,そして奇策を生む能力が彼の名を上げ,州別選手権やナショナルでの勝利をもたらしてきました.それらの成功は,プレイング技術だけでは達成できなかったでしょう.
もしAJの問題提起が,私(Conely Woods)がベスト・デッキを使うべきか?というものであれば話はもう少し簡単です.私自身が,自分はもっとベスト・デッキを使うべきだと考えているからです.しかし,私はそれに専心したいとは思いませんし,「大抵の場合,ベストデッキを使う」というスタイルをとろうとも考えていません.まぁ,彼の記事は世界に向けて発進されたもので,私だけに向けられたものではありませんが(彼は私に愛の詩を送ってきたので,これはそれへの返信です).
その理由のうちの一部は本記事で議論してきた事柄の外にあります.広く理解されている心理学的またはその辺の事象として,「楽しんでやることはより生産性が高く,努力もできる」ということがあります.社会科学を勉強していない人にとっても,この事実は驚くべきことでもなんでもなく,当たり前のことと感じられると思います.好きなことをやるときは,より長い時間を掛ける事ができますし,努力が苦になりません. ちょっとびっくりするかもしれないことを言うので,構えてください―私は「策謀」が好きなんです!
驚いたでしょうから,ちょっと一息ついてください..
つまり,これはどういうことでしょう?私は好きだからという理由で「策謀」をやっているのでしょうか?これは正しくもあり,間違ってもいます.答えが単純ではないので,これに答えるのは少し難しいです.楽しめば生産性が上がる,という話を思い出してください.MTGにおいては,楽しめればよりデッキやゲームに深く関わることができます.その結果として,ミスや良手に繋がる細かな相互関係をより見つけることができるようになるのです.なにが言いたいのかというと,デッキの強さに関係なく,私が結果を出すのは大抵「策謀」的なデッキを使った場合なのです(注4).その理由は単純に,そのデッキを楽しんでいるからです. AJは「策謀」的なデッキは常にベスト・デッキに劣ると結論付けているので,ここで私が,どちらの選択も正しいと答えるのは逃げになるでしょう.しかし,もう少し踏み込んで説明することで,その回答により意味を持たせようと思います.
もう少し現実的な話として,まず「策謀」デッキがベスト・デッキより劣るものと仮定してしまいましょう.実際には常にそういう訳ではないのですが…まぁ,それについて語ると脱線してしまうのでそこは置いといて.この仮定のもとでは,「策謀」デッキはベストデッキより選択肢として劣ったものとなってしまいますが,「策謀」を楽しむことでのボーナスがあります.両者の差を埋めるこの値を振ってみましょう.ベストデッキの点数が10,私の「策謀」デッキの点数が7であるとします.ベスト・デッキが正解の選択となる場合,このボーナスは1か2だということです.もしそれが3点以上あれば,自身の「策謀」的デッキを使わない理由はありません.
2009年の世界選手権において,私は“成長”したいがためにZOOを使いました.Top8に至るのがかなり難しくなった3日目でのことです.Out of that choice came the infamous land, crack, fetch, take 2 story and all of its contrived reproductions.(フェッチランドとショックランド使うのが難しくて,その様子を撮ったビデオがYOU TUBEで何度も再生されてるって話みたいだけど,リンク先(http://www.youtube.com/watch?v=dATWZFoHi6c)の英語聞き取れないし当時について詳しくないから断定できない) Zooを使うのは全く楽しくなかったし,そのアーキタイプに馴染みもありませんでした.この辺の話は,後にする込み入った話に直接繋がりませんが,それについては序盤で詳しく話しているので,まあいいでしょう(注5).同様に,前年の世界選手権では,満足のいく「策謀」デッキが作れなかったので吸血鬼で出ました.このイベントから言えることは,当時のエクステンデッドは,なにをしたとしてもスタンダードの1000倍以上おもしろかった,ということしかありません.エクステンデッドにおいては,私はNecrotic Oozeデッキを用いて5-1しましたが,スタンダードは2-4という結果でした.
それが楽しみの全てである,という気はさらさらありません.勝つのはなによりも楽しいことです.私が言いたいのは,楽しむことが勝利に繋がり,その勝利が更なる楽しみを生むということです.これはAJが記事中で触れなかったことです.
AJの記事の最大の間違いは,皆がベスト・デッキを常に選ぶということは,退屈なミラーマッチを永遠に続けるということであり,フォーマットが硬直化してしまうという点です.ミラーマッチに対する不平不満を述べていると思われるかもしれませんが,しかし実際に,常にベストデッキをプレイするということは環境を窒息させるということであり,新しいベスト・デッキが生まれるのを妨げます.数ヶ月前に戻って考えてみましょう.
PTパリに備えて,CFBのメンバーの多くはサンディエゴにてドラフトとスタンダードに取り組みました.その時点でのベストデッキはヴァラクートで,MBSからの《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith(MBS)》,《金屑の嵐/Slagstorm(MBS)》の加入でさらに強化されたと囁かれていました.実際,Owenは我々の組んだヴァラクートを大変気に入り,一週間前まではそれで出ると宣言していました (good call not doing so buddy).
AJの主張に沿うならば,皆はヴァラクートを選んだでしょう.我々の内何人かは勝利者となり,その他はそれなりの成績でトーナメントを終えたでしょう.しかし,CawBladeをチームとして皆で選んだ際の様な成功はありえなった,という点には同意して頂けると思います.そして,本トーナメントで始めて姿を現したこのデッキがTop16に5人を送り込み,新たな“ベストデッキ”になったのです.
皆がヴァラクートを使うことでCawBladeが開発されなかったなら,今日のスタンダード最強デッキは存在していないのです.CawBladeの到来がなければヴァラクートが今でもナンバー1・デッキであることは想像に難くありません.だとすれば,貴方は,失敗のリスクはあっても環境を支配するデッキを倒す可能性もある「策謀」を企てますか?それとも,由緒正しいヴァラクートを使い,退屈な数多のミラーマッチに身を投じ,同じようなゲームを繰り返し,ミラーマッチにおける自身のプレイングが相手より,1,2%優れているかもしれないと願いますか?この議題に対する私のスタンスはもうご存知でしょう.
私も含めて,皆が奇策を好きすぎるというAJの指摘には同意できます.デッキ選択が間違いであったたことを,私はよく認めます.パリでもそうでした.間違いであるかどうかが,パリでの様に事前に明らかである場合もあるのですが,大抵の場合はベストデッキを使うべきなのか,「策謀」を企てるべきなのかはふたを開けてみないと分かりません.CawBladeも,Kuldotha Redと同様に壁にぶちあたり,二日目には2人のみ,そして決勝には1人として進めなかった,なんて結果に終わって,デッキ選択に不平を述べたり後悔したりしていたかもしれないのです(注6).しかし実際にはそうはなりませんでした.あのデッキはフォーマットを半壊させ,有利なマッチアップを享受することができ,圧倒的な成功を収めました.でも,我々がその結末を知ったのはトーナメントが終わってからです.
「策謀」に挑戦するのをやめて,次のCawBladeに至る数パーセントのチャンスを放棄しますか?それとも,時に勝つチャンスを潰していることを認めつつも,なにかしらの利を得る手段として,愛するデッキに磨きをかけ続けますか?
人によっては,答えは明らかに前者でしょう.デックビルディングが下手で,そこから利を得られない方々はベスト・デッキを使って「策謀」を放棄するべきでしょう(注7).どっちでもなければ,前述の一般論に従えばいいのです.つまり,楽しいと思えることをして,優勝カップを家に持って帰ればいいのです.
「策謀」に呑まれるなというAJの主張は正しいです.策をめぐらすこと自体が目的になってしまうと,成功のチャンスを自ら捨ててしまうことは肝に銘じておきましょう.しかし,もしピュアな動機があって,心からゲームになにか新しいものを,他の誰も出来ないものをもたらしたいと思うのなら,それは大きな力となります.そして,ベスト・デッキの使用に屈するべきタイミングはいつなのかを掴んでください.少なくとも,そのタイミングを学ぼうとしてください.まぁ,それが嫌なら,創造性を発揮し続けてください.After all, there are far to few of us out there as it is(最後2文は自信ないです,ラスト1文は特にわかんないです).
Conley Woods
(注1)We are honestly just trying to gain an edge in an area where, not only do people choose not to do so, but most of the time, those people are not even equipped to do so.
最後のコンマ以下が「に備える」なのか「を備える」なのか分からないのと,most of the timeが上手く入らない
(注2)A parent may not think music can take his child very far and is a money pit, but no one wants to be told to give up music because they cannot be successful at it. In fact, despite the odds being against you, some people ARE successful at music, and arguably end up better off than the person who stuck with molecular biology.
とりあえず訳してみたけど,恥ずかしくなるほどに意味が取れてない
(注3)This concept is easier to grasp when you compare it to a role-playing game, either in the form of a video game, or something like Dungeons and Dragons.
挙げてるゲームについて詳しくないのでよくわからない
注4) To simplify this all, what this really means is that regardless of how good my deck is, if I were to take an equally good “best deck” in a vacuum, I would usually record a better result with the brew,
挿入句が分からない
注5) Obviously my arguments do not bypass the later complication, but they do aid in the former.
[arguments][later complication][formar]がなにか分からない
注6) could have easily run into a wall of Kuldotha Red during that tournament and put maybe 2 people into day 2 and none into the Top 8 and we would have all been a little bummed and regretted our decision.
仮定法だということにしばらく気づかなかった.やはり文法大事.あとwall of Kuldotha Redが分からんけど仮定ならそんな意味だと思うし、カルドーサレッドがPTパリで振るわなかった事実とも一致してるから合ってるかな?
注7) The bottom line is that there are bad builders out there who are not creating an edge for themselves and they should most certainly be playing the best deck while they brew on the side.
なんとなくしか訳せませんでした。出だしのthe bottom lineは何?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このブログはでかい大会で結果を残してドヤ顔で長文のデッキ調整記を書く人を応援しています
AJ「既存の強いデッキ使わないのはアホ(実はまだ全然読んでないけどたぶんそんな感じ)」
Conley「この記事(メタ外のデッキ作る立場からの反論)」
PV「http://biggbo.diarynote.jp/201106051450235475/」
こんりーはまじむずい。CFBで一番むずい。何指してるのかが分からない置き換え表現がたくさんあるからかな。あと構文もとりづらい。
結局brewは「策謀」として訳した。もっとセンスある言葉が思いつけばよいのだが
原題:Breaking Through – Innovation is Underrated
http://www.channelfireball.com/articles/breaking-through-innovation-is-underrated/
Posted by Conley Woods
April 21, 2011
先週,AJ Sacher が(http://www.starcitygames.com/magic/fundamentals/21638_Playing_The_Best_Deck_Innovation_Is_Overrated.html)の様な記事を書きました.構築フォーマットにおいて,環境のベスト・デッキを使わないことは単純に間違いであるとし、その理由を詳細に述べています.記事中にはいくつか鋭い意見があり,その大部分には私も同意できます.しかし,彼はこの議題に対して非常に偏った視点からしかアプローチしていません.逆の視点からこの議題に取り組む者がいるとしたら,それは私でしょう.私は数多のデッキ構築に関わってきたというだけでなく,自分のデッキ選択を自省して,それが正しかったかどうかの判断を下してきましたから.
AJは私やPatrick Chapinの様な「策謀家」じゃないので,我々の行動原理を完全には把握できていないのでしょう. 我々にとっても勝利もっとも大切なことです.驚きをもたらす代わりに散散な成績でトーナメント終えている様に見えるかもしれませんが…我々は皆がやろうとしないこと,さらには対策をしようとすらしないところから利を得ようとしているだけなのです(注1).長い目でみた勝率を増すことを考えないのなら,我々は恐らくこの様なことをしないでしょう.
トーナメントにおいて,盛大な自爆をする可能性は常にあります.我々は,これを「策謀」を企んだ際に生じるリスクとして受け止めています.しかし,どんなトーナメントにおいても,環境を打破して鮮やかにTop8に至るチャンスはあります.他の競技を例にして,トーナメントレベルのMTGについて考えて見ましょう.
バスケットボールというゲーム自体は,熱狂的なファンでなくても皆知っていますよね.このゲームが非常に多様な要素を含んでいることもご存知かと思います.ここで,もしバスケットボールがフリースローの実力を単純に競うゲームだったら?と考えてみてください.パスもドリブルもなく,ダンクも3点シュートも存在せず,48分のゲームの中でやることがラインからひたすらシュートするだけだったとしたら?そして,最高のシュート成功率を持つものが勝者になるとしたら?この場合,だれがNBA最高のプレイヤーとなるでしょう?もちろん,Peja Stojakovicでしょう.
しかし,貴方が熱狂的なNBAファンなら,Pejaが今最強のプレイヤーであることに頷きはしないでしょう.バスケットボ-ルはその一要素から成り立つものではないからです.ゲームは非常に複雑なので,ひとつやふたつの要素に帰着させることなどできませんし,データから誰がベストプレイヤーで,今日だれが活躍するのかの結論を出すことも難しいのです.MTGも同じです.
MTGで成功するためのファクターは恐ろしい程に膨大です.もし皆が常にベスト・デッキを用いるのなら(簡略化のため,75枚全く同じカードを使うとしましょう),そういったファクターの大部分が排除され,最強プレイヤーを決めるためにフリースローを競っている様なことになるでしょう.この場合,プレイスキルは勝つために最も重要な要素のひとつではありますが,必要なものはそれだけではありません.「デッキ構築」は私が自身の武器としている領域です.Pauloはプレイングにおいては私より上でしょうが,Pauloが出場するいかなトーナメントにおいても,私にも勝つチャンスがあります.プレイング以外の要素で勝負できますから.ベスト・デッキを常に使うべきだという主張は,そういったオプションを排除してしまうということです.たとえそれが間違ったオプションであったとしても.
音楽が子供を遠い世界に連れて行ってしまうとか,金食い虫だとか考える親はいないでしょうが,成功する見込みがないから音楽をやめろ,と簡単に言える親はいません.実際,逆境にめげずに音楽で成功している人はいますし,おそらく彼らは分子生物学に忠実に生きている人よりいい人生を送っているでしょう(注2)
*本筋に関係のないゲームのランダムな要素は無視する(Ignoring the random elements of the game as they are not relevant to the conversation)
この考え方を理解するにはロールプレイングゲーム,ある種のビデオゲームや,Dungeons and Dragonsの様なゲームと比較してみると簡単です(注3).他のプレイヤーとの優劣をはっきりさせられる数値的な要素はたくさんありますが,それらの値を総合してでてくる能力こそが重要です.貴方のキャラクターは私のものより力が強いかも知れませんが,もし私のキャラクターの方が知力が優れていたとしたら,私は近距離戦闘を避け続けられるかもしれません. もし全てのプレイヤーがベスト・デッキを選ぶのならば,各プレイヤーのもつそれぞれの「利」が排除されてしまうでしょう.メタ読みの能力やローグデッキ構築能力といったものです.Pauloの様な,プレイスキルが上位0.01%に属するプレイヤーにとって,これは望ましい状況でしょう.しかし,我々の様な大多数の人間にとっては,結果を決める要素が多岐に渡っているほうが望ましいのです.
まぁ,デッキ選択において,私ほど確固とした理由付けがある人は珍しいのかもしれませんが,「プレイングスキル」値がそう高くなくて,それを他の部分で補っているプレイヤーは沢山います.Mike Floresもそうです―彼に敬意を払って―Mikeは世界最高かそれに準ずるプレイスキルを持っている訳ではありません(彼も同意してくれると思います).しかし,彼は他のプレイヤーにない強みを数多く持っています.彼の理論構築能力,型に嵌らないリミテッドのスタイル,そして奇策を生む能力が彼の名を上げ,州別選手権やナショナルでの勝利をもたらしてきました.それらの成功は,プレイング技術だけでは達成できなかったでしょう.
もしAJの問題提起が,私(Conely Woods)がベスト・デッキを使うべきか?というものであれば話はもう少し簡単です.私自身が,自分はもっとベスト・デッキを使うべきだと考えているからです.しかし,私はそれに専心したいとは思いませんし,「大抵の場合,ベストデッキを使う」というスタイルをとろうとも考えていません.まぁ,彼の記事は世界に向けて発進されたもので,私だけに向けられたものではありませんが(彼は私に愛の詩を送ってきたので,これはそれへの返信です).
その理由のうちの一部は本記事で議論してきた事柄の外にあります.広く理解されている心理学的またはその辺の事象として,「楽しんでやることはより生産性が高く,努力もできる」ということがあります.社会科学を勉強していない人にとっても,この事実は驚くべきことでもなんでもなく,当たり前のことと感じられると思います.好きなことをやるときは,より長い時間を掛ける事ができますし,努力が苦になりません. ちょっとびっくりするかもしれないことを言うので,構えてください―私は「策謀」が好きなんです!
驚いたでしょうから,ちょっと一息ついてください..
つまり,これはどういうことでしょう?私は好きだからという理由で「策謀」をやっているのでしょうか?これは正しくもあり,間違ってもいます.答えが単純ではないので,これに答えるのは少し難しいです.楽しめば生産性が上がる,という話を思い出してください.MTGにおいては,楽しめればよりデッキやゲームに深く関わることができます.その結果として,ミスや良手に繋がる細かな相互関係をより見つけることができるようになるのです.なにが言いたいのかというと,デッキの強さに関係なく,私が結果を出すのは大抵「策謀」的なデッキを使った場合なのです(注4).その理由は単純に,そのデッキを楽しんでいるからです. AJは「策謀」的なデッキは常にベスト・デッキに劣ると結論付けているので,ここで私が,どちらの選択も正しいと答えるのは逃げになるでしょう.しかし,もう少し踏み込んで説明することで,その回答により意味を持たせようと思います.
もう少し現実的な話として,まず「策謀」デッキがベスト・デッキより劣るものと仮定してしまいましょう.実際には常にそういう訳ではないのですが…まぁ,それについて語ると脱線してしまうのでそこは置いといて.この仮定のもとでは,「策謀」デッキはベストデッキより選択肢として劣ったものとなってしまいますが,「策謀」を楽しむことでのボーナスがあります.両者の差を埋めるこの値を振ってみましょう.ベストデッキの点数が10,私の「策謀」デッキの点数が7であるとします.ベスト・デッキが正解の選択となる場合,このボーナスは1か2だということです.もしそれが3点以上あれば,自身の「策謀」的デッキを使わない理由はありません.
2009年の世界選手権において,私は“成長”したいがためにZOOを使いました.Top8に至るのがかなり難しくなった3日目でのことです.Out of that choice came the infamous land, crack, fetch, take 2 story and all of its contrived reproductions.(フェッチランドとショックランド使うのが難しくて,その様子を撮ったビデオがYOU TUBEで何度も再生されてるって話みたいだけど,リンク先(http://www.youtube.com/watch?v=dATWZFoHi6c)の英語聞き取れないし当時について詳しくないから断定できない) Zooを使うのは全く楽しくなかったし,そのアーキタイプに馴染みもありませんでした.この辺の話は,後にする込み入った話に直接繋がりませんが,それについては序盤で詳しく話しているので,まあいいでしょう(注5).同様に,前年の世界選手権では,満足のいく「策謀」デッキが作れなかったので吸血鬼で出ました.このイベントから言えることは,当時のエクステンデッドは,なにをしたとしてもスタンダードの1000倍以上おもしろかった,ということしかありません.エクステンデッドにおいては,私はNecrotic Oozeデッキを用いて5-1しましたが,スタンダードは2-4という結果でした.
それが楽しみの全てである,という気はさらさらありません.勝つのはなによりも楽しいことです.私が言いたいのは,楽しむことが勝利に繋がり,その勝利が更なる楽しみを生むということです.これはAJが記事中で触れなかったことです.
AJの記事の最大の間違いは,皆がベスト・デッキを常に選ぶということは,退屈なミラーマッチを永遠に続けるということであり,フォーマットが硬直化してしまうという点です.ミラーマッチに対する不平不満を述べていると思われるかもしれませんが,しかし実際に,常にベストデッキをプレイするということは環境を窒息させるということであり,新しいベスト・デッキが生まれるのを妨げます.数ヶ月前に戻って考えてみましょう.
PTパリに備えて,CFBのメンバーの多くはサンディエゴにてドラフトとスタンダードに取り組みました.その時点でのベストデッキはヴァラクートで,MBSからの《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith(MBS)》,《金屑の嵐/Slagstorm(MBS)》の加入でさらに強化されたと囁かれていました.実際,Owenは我々の組んだヴァラクートを大変気に入り,一週間前まではそれで出ると宣言していました (good call not doing so buddy).
AJの主張に沿うならば,皆はヴァラクートを選んだでしょう.我々の内何人かは勝利者となり,その他はそれなりの成績でトーナメントを終えたでしょう.しかし,CawBladeをチームとして皆で選んだ際の様な成功はありえなった,という点には同意して頂けると思います.そして,本トーナメントで始めて姿を現したこのデッキがTop16に5人を送り込み,新たな“ベストデッキ”になったのです.
皆がヴァラクートを使うことでCawBladeが開発されなかったなら,今日のスタンダード最強デッキは存在していないのです.CawBladeの到来がなければヴァラクートが今でもナンバー1・デッキであることは想像に難くありません.だとすれば,貴方は,失敗のリスクはあっても環境を支配するデッキを倒す可能性もある「策謀」を企てますか?それとも,由緒正しいヴァラクートを使い,退屈な数多のミラーマッチに身を投じ,同じようなゲームを繰り返し,ミラーマッチにおける自身のプレイングが相手より,1,2%優れているかもしれないと願いますか?この議題に対する私のスタンスはもうご存知でしょう.
私も含めて,皆が奇策を好きすぎるというAJの指摘には同意できます.デッキ選択が間違いであったたことを,私はよく認めます.パリでもそうでした.間違いであるかどうかが,パリでの様に事前に明らかである場合もあるのですが,大抵の場合はベストデッキを使うべきなのか,「策謀」を企てるべきなのかはふたを開けてみないと分かりません.CawBladeも,Kuldotha Redと同様に壁にぶちあたり,二日目には2人のみ,そして決勝には1人として進めなかった,なんて結果に終わって,デッキ選択に不平を述べたり後悔したりしていたかもしれないのです(注6).しかし実際にはそうはなりませんでした.あのデッキはフォーマットを半壊させ,有利なマッチアップを享受することができ,圧倒的な成功を収めました.でも,我々がその結末を知ったのはトーナメントが終わってからです.
「策謀」に挑戦するのをやめて,次のCawBladeに至る数パーセントのチャンスを放棄しますか?それとも,時に勝つチャンスを潰していることを認めつつも,なにかしらの利を得る手段として,愛するデッキに磨きをかけ続けますか?
人によっては,答えは明らかに前者でしょう.デックビルディングが下手で,そこから利を得られない方々はベスト・デッキを使って「策謀」を放棄するべきでしょう(注7).どっちでもなければ,前述の一般論に従えばいいのです.つまり,楽しいと思えることをして,優勝カップを家に持って帰ればいいのです.
「策謀」に呑まれるなというAJの主張は正しいです.策をめぐらすこと自体が目的になってしまうと,成功のチャンスを自ら捨ててしまうことは肝に銘じておきましょう.しかし,もしピュアな動機があって,心からゲームになにか新しいものを,他の誰も出来ないものをもたらしたいと思うのなら,それは大きな力となります.そして,ベスト・デッキの使用に屈するべきタイミングはいつなのかを掴んでください.少なくとも,そのタイミングを学ぼうとしてください.まぁ,それが嫌なら,創造性を発揮し続けてください.After all, there are far to few of us out there as it is(最後2文は自信ないです,ラスト1文は特にわかんないです).
Conley Woods
(注1)We are honestly just trying to gain an edge in an area where, not only do people choose not to do so, but most of the time, those people are not even equipped to do so.
最後のコンマ以下が「に備える」なのか「を備える」なのか分からないのと,most of the timeが上手く入らない
(注2)A parent may not think music can take his child very far and is a money pit, but no one wants to be told to give up music because they cannot be successful at it. In fact, despite the odds being against you, some people ARE successful at music, and arguably end up better off than the person who stuck with molecular biology.
とりあえず訳してみたけど,恥ずかしくなるほどに意味が取れてない
(注3)This concept is easier to grasp when you compare it to a role-playing game, either in the form of a video game, or something like Dungeons and Dragons.
挙げてるゲームについて詳しくないのでよくわからない
注4) To simplify this all, what this really means is that regardless of how good my deck is, if I were to take an equally good “best deck” in a vacuum, I would usually record a better result with the brew,
挿入句が分からない
注5) Obviously my arguments do not bypass the later complication, but they do aid in the former.
[arguments][later complication][formar]がなにか分からない
注6) could have easily run into a wall of Kuldotha Red during that tournament and put maybe 2 people into day 2 and none into the Top 8 and we would have all been a little bummed and regretted our decision.
仮定法だということにしばらく気づかなかった.やはり文法大事.あとwall of Kuldotha Redが分からんけど仮定ならそんな意味だと思うし、カルドーサレッドがPTパリで振るわなかった事実とも一致してるから合ってるかな?
注7) The bottom line is that there are bad builders out there who are not creating an edge for themselves and they should most certainly be playing the best deck while they brew on the side.
なんとなくしか訳せませんでした。出だしのthe bottom lineは何?
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原題:PV’s Playhouse – The Truth about Innovation
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
April 27, 2011
Hello!
僕が「デックビルダー」と見なされることは滅多にありません.近年,僕は強力なトーナメントデッキを多数手がけてきましたが,皆が思いもつかない凄いアイディアから生まれたデッキは殆どないのです.僕が最も関与したデッキ―PTオースティンでのDarkDepth―も,核となるアイディアは僕が思いついたものではありません.デッキ内の52枚のカードはおそらく僕の選択によるものなのでしょうが,Hexmage/Depthsが僕から生まれた訳ではないのです.
しかし,それでも僕はPTで好成績を挙げ続けられています.実際,僕はかなり強力なデッキを携えて出ていますから (それが僕の独力で作れたことは一度たりともありません).この記事の目的はデックビルダーでない人の目線からのデッキ構築術の説明です.皆が陥りやすいミスを挙げ,いかにしてそれを乗り越えるかについて語ろうと思います.
創造性(Innovation)―最も過大評価されているもの
ちょっと前に,AJ Sacherが「創造性」がいかに過大評価されているかについての記事を書きました.その反論として,Conleyは「創造性」が実際には過小評価されているとの記事を書きました. 私見では,どちらの意見も正しいです.僕は自身を「デッキビルダー」ではないと言いましたが,それは僕が何もアイディアを持っていないことを意味しません.沢山持っています.そのうちの大部分―いや殆ど全部といってもいいでしょう―は実際に使えうるものではありません.なぜでしょう?僕を含めて,皆はなぜ使用に耐えないアイディアを思いついてしまうのでしょう?
その様なことが起こるのは,僕が普通の人だからです.恐らく貴方も僕と同様に普通の人でしょうから,劣悪なアイディアを多数抱いてしまっているはずです.そうでない,と思うのなら,それは貴方が現実を認めたくないだけです.高いレベルで成功したいのなら,大抵のアイディアはまず使用に耐えないものであることを認める必要があります.僕由来のアイディアでも,AJやConley,Mark Rosewaterが思いついたアイディアでも,どれもそうなのです.
プレイングにおいても構築においても,時には本筋から離れたところか見つめることが必要です.しかし,僕には皆がそれをかなりやりすぎているように思えます.貴方がもし本当に勝つことのみを目的としているなら,考えるべきは何がベストかについてで,なにが最も人と違うかとか,革新的だとかそういうことではないのです.僕が好きなハリー・ポッターの名言のひとつ(素晴らしい作品だから一杯ある内のひとつだよ.ほんとだよ)に,Dolores Umbridgeが5巻で言った” 進歩のための進歩は、奨励されるべきではない(rogress for progress’s sake must be discouraged注:勝手に訳しました,翻訳版教えて貰えたら置き換えます ランサーさんあざっす )”という言葉があります.人と違うことをするのは,その必要が生じた時にすればいいのであって,「旧習を打ち破る挑戦者」扱いをされたいがためにそんなことをしてもMTGにおいては何も生まれません.こうした点において,僕は創造性が大いに過大評価されていると述べているのです.貴方独自の企てによる奇襲から得られるアドバンテージは、貴方が思っているほど大きくなく,実際にはせいぜいその1/10程度しかないでしょう.大抵の場合,質の劣るカードの採用を埋め合わせる程のものではないのです.
といっても,これには別な側面もあります.僕はMTGのゲームにおいて,創造性が害悪になりうると考えていますが,盤外で素晴らしいご褒美をもたらすこともあります.Conleyの記事から引用してみましょう.“長い目でみた勝率を増すことを考えないのなら,恐らく今している様なことをしないだろう(If we did not think that we were improving our chances at winning over the long run, we would probably not be doing what we are doing.)” 「MTGにおける勝利」を単純なゲーム単位での勝利以上のものとした場合は,この意見は全くもって正しいと思います.創造性を発揮することができれば,貴方はMTGのコミュニティで一躍有名になれるでしょう.皆革新的な物事が大好きですからね.また,独自のデッキでゲームをするのはゲームで勝つことより単純に楽しい,という人もいるでしょう.こうしたことによって得られる喜びが,1マッチの勝利より重要なこともあります.僕は、皆が創造性を発揮したがるのはこれが理由だと考えています. たとえ意識的でないにしても―独自の策謀によって勝機を掴んでいるところだと信じ込んでいても,実は人と違ったことがしたいだけだったりするのです.
もう一度Conleyを例に考えて見ましょう.彼はとても有名なプレイヤーで,多くの人が彼を知っていて、そして愛しています.これは彼の成績がもたらしたものでしょうか.とてもそうとは言えません.もちろん彼の成績は悪いものではなく,むしろかなりいいのですが,彼の人気ぶりを説明できる程のものではありません.彼と同じくらいの成績を残していても,名前を聞いたことすらないプレイヤーはたくさんいるでしょう.彼があれほど有名で人気者なのは彼が一風変わったデッキを使うからです.この点において,最適な、優秀なデッキを使うのではなく,創造的であろうとする彼の振る舞いは,Conleyにより多くの報酬をもたらしています.彼が無難なデッキを選んでいれば,GPであと2つはTop8に入れていたと思います.しかしそれによって+2回のTop8を成し遂げていたとしても,彼の知名度は恐らく今より低いでしょう.
ここは勘違いしてほしくないのですが,僕は何が正しいかとかそういうことを話したい訳ではありません。ただ何がどうなっているかについて言及したいだけなのです.僕は皆が何を目的にしてその行動を取っているのか完璧に理解していますし,それが間違っているとは思いません.といってもConleyには、普通のデッキを使ってのベスト4より、野心的なデッキを使ってのベスト8を量産してほしいのですが.僕が伝えたいのは,自分の行動の背景にあるものを理解して欲しいということです.あなたがちゃんと自覚的な選択が行えるように.もしあなたがマッチそのものの勝利を望むのなら, 大抵の場合単純に“good deck”を選べばよくて,名声や評価,fortune, womenが欲しければ創造的なデッキに挑戦すればよいのです. ただ理解しておかなければならないのは,創造性を発揮するのはかなり×3容易いということです.しかし創造性を発揮したデッキが評価を得られる程に勝つ,というのはかなり難しいのです.創造性の高いデッキを僕はいたる所で目にしますが,“有力な”選択肢を選ぶことを諦めたら,創造的であることは難しくないのです. 僕はその様なことをすることは誰にでもできることで,それで得られるメリットは大したことがないと見なしています.どのイベントでもConley Woodsの様なことをしている人が100人はいますが,貴方はConley Woodsしか名を知らないでしょう.その枷にも関わらず,十分な勝利を挙げているのは彼だけだからです.彼はほとんどどのイベントでもオリジナルのデッキを使っているので,そういった結果が伴うのでしょう.マッチについて言うのなら,彼はオリジナルのデッキを使うことで,今以上の勝利を断念しているのです.
こういった話を,僕は傍観者の視点のみから述べている訳ではありません–僕自身にもそういった経験が確かにあるのです.一風変わったカードやデッキを,それが強いという以外の理由でプレイしたことは何度もあります.かなりはっちゃけた経験もあります.もしかしたらご存知かもしれませんが,僕がまだまだ若かった頃,GP Curitiba(エクステンデッド)において《機知の戦い/Battle of Wits》デッキを使ったことがあるのです.僕がこのデッキを使った理由は,それが最善のデッキであったからではありませんでした(そしてその事実を認めるのには長い時間が必要でした.本当です).といっても,それが恐ろしく酷いデッキだとは考えていませんでした.実際に勝てるデッキだと考えていましたが,who are we kidding?僕がそのデッキを使った理由は,人と違うから,認められたいから,カバレッジに載りたいから,というものだったのです.その目論見は満たされました–2日目にすら残れなかったのに,僕は写真を撮られさえしたのです(3bye持ちで,7ラウンドしかなかったのに!結局いい結果を出す必要がないのなら,それなりに風変わりなデッキは他にもあるはずです). トーナメントが終わった頃には,誰もが僕がだれだか知っていました–そのGPにおいて5位でフィニッシュした人より,“「機知の戦い」小僧”の方が認知度が高かったと僕は思っています.しかし,この結果には価値があるでしょうか?それはNOです.真面目なデッキを使っていたら,と今では思います.殆どの人が僕を愚か者だと見なしましたし,それはいい意味での名の売れ方ではありませんでしたからね.
内面から生じる罠
自分で組んだデッキが素晴らしいものであると切に思いたがるのは,デッキを構築・選定する際に生じる問題のひとつです.目指した大会に向けて構築・調整した独自のデッキで優勝したいいう願望はだれもが持っています. TOP8の実況において,自分が組んだデッキがいかに前代未聞のものかをBrian David-MarshallとRichard Hagonが解説している場面を妄想したことは誰もがあるでしょう.Mark Rosewater が,環境を壊すカードを刷ってしまってごめんなさいとツィートする場面とか.そんなことが二度と起きないために,開発部に採用されてしまうかもしれない…とか.ドヤ顔で優勝レポを書いている場面とか.Facebookのコメントがデッキについての話で埋まってしまって,MTGをやらない友人が困惑するといけないから自分のファンページを新たにつくらねば…とか. こういう境地に至ってしまうと,どんな行動をとってしまうでしょう?
自分のデッキが強いと信じたくても,大抵の場合そうではなく,そのデッキを断念せざるをえないということは,理解しておかなければなりません.最大の問題点は,周りを見ようとしない人ほど盲目的な人間はいないということです.そして,自分の創造性が絡んでくると,我々は非常に盲目的になってしまうのです.これがプレイテストの最中に生じるのです.
プレイテストをする目的は,何が良くて何が悪いのか,そして特定のデッキ/マッチアップにおいてどう動くべきかの解明であるべきです.しかし,大抵のプレイヤーはプレイテストそのものを深刻に考えすぎています.自分のデッキがいいか悪いかをはっきりさせるのではなく,皆に自分のデッキの強さを見せ付けたいと考えているのです.相手が用意してきたデッキを悪く言ったり,それを証明するために打ち負かしたりすると,怒り出すでしょう.こういう場合,彼らは負けると必ず言い訳をします. 相手がそういう状態に陥っているかは,次の様なことを言うかで判断できます– “僕は不運だ/キミはラッキーだ”というもっとも簡単でありふれた言い訳です.プレイテスト中に何度もこういう考えをしてしまう自分に気づいたら,一息ついて,ゆっくり考えてみましょう―そうではなくて,自分のデッキがそんなにいいものではないのかもしれないと.
しかしながら,これより更に尤もらしいが故に危険な言い訳が存在します.“僕のプレイが悪いんだ” というものです.
これがまずい理由は,譲歩している部分があるせいで,問題点を認めている様に見えてしまうことです.自分自身も,皆も妙に納得してしまいます.―しかし,既に1つ間違いを認めているのに,なぜデッキが弱いことは認められないのでしょう?間違いを認める寛容さがあるのになぜ?
では例として,両親が旅行で不在の間に初期を二つ割ってしまった場合について考えて見ましょう.親が帰ってきて,貴方は「犬がそれらを壊した」と説明したとします.それが信じてもらえるかどうかは分かりませんし,もしそのうちの1つを貴方が壊した証拠が見つかったなら,もう1つも貴方が壊したと親は自然に考えるでしょう.しかしもし,あなたが即座に「小さい方の食器は僕が壊したけどでかいのは犬が壊した」と説明すれば,信じてもられる可能性が増すでしょう.なぜなら,貴方は既に間違いを認めることができると示しているからです.片方の間違いを認められるのなら、2つ分の食器の間違いも認められると見なされるでしょう.なにかまずいことをしてしまったら,より些細な方のミスを認めてしまえば,早いうちから「逃れる」ことができます.プレイテストについて言えば,「プレイングが不味い」ということより「デッキが強い」ということの方がより重要なのです.しかしプレイングが不味いことを認めても,それはデッキが強いことの証明にはなりません!意識的にしろ無意識的にしろ,こういったことは容易に起こりえると僕は確信しています.そのからくりに自覚的であることが非常に重要なのです.
デッキビルダーの書いたレポートにはその様な表現が散見されます.有名なデッキビルダーはよく,僕はミスをしたから負けた,でも“デッキでは勝っていた”というようなことを非常によく言います.彼らがこんなことを言うのはデッキビルダーとしての名声をプレイヤーとしてのそれよりも重要視しているからです.デッキが弱いと思われるよりも,プレイングが下手だと思われるのを選ぶのです.その方が受け入れ易いのでしょう.また,調整が進んでいると引き返しづらいというのもしばしば理由となります.
もう1つ重要な点として,私たちは非常に選択的な記憶力を持っていることが挙げられます.負けるはずがなかったと感じたマッチは記憶に残りますが,当たり前の様に勝ったマッチはすぐに忘れてしまうのです.強いデッキができたと感じ,そのデッキ最初のプレイテストでもよく勝てた,という事も時にあると思います.しかしこの場合,対戦成績を気にするだけでなく,ゲームの内容もケアするべきです.貴方がただツイていただけだったり,対戦相手があまりよくないプレイヤーだったりすると,結果は歪んでしまっています.
GPダラスにおいて,野心的なデッキを使った友人がいました.彼は2日目進出に1勝足らず,という結果で終わったのですが,僕がデッキについて尋ねると”デッキはいい出来だったよ.負けたマッチは,どれも僕が違ったプレイをしていたら勝てたものだったから,2日目進出に値するデッキだったよ”という答えが返ってきました.彼の言は正しいのかもしれませんが,ならば彼が勝ったマッチはどうだったのでしょう?相手が違ったプレイをしていたら負けていたのではないでしょうか.負けたマッチにおいて,“デッキでは勝っていた”マッチを数えるならば,勝った試合における“デッキでは負けていた”マッチを数えなければフェアではないでしょう.こういう場合,貴方はただ自分を騙しているだけだと思います.繰り返しになりますが,人は受け入れ易いものを受け入れるのです.
強いデッキは強いカードを使う
最近,様々なライターが“強力なデッキは強力なカードを使う(good decks play powerful cards)”という様なことを主張していますが,私は手放しでは賛成できません.この主張には,どうやって“強力なカード”を評価するか,という問題点が潜んでいます.ありがちな方法としては,大会での10位までのデッキリストを作り,カードが総計何枚含まれているか数えるというものがあります.問題は,そのカードがtop10のリストに含まれている理由は,強いデッキに含まれているからだということです!こうしてMenendian の言うところの,ある種の堂々巡りが生じます“最強のデッキはより質の高いカードを使っていて,そういったカードは最強のデッキで使われている” –これは道理ですし,知的に見えますが(結局,貴方のベストなカードは最強のデッキで使われて,その最強のデッキは貴方のベストなカードを使うのです),実際にはなんの役にも立ちません.
これについては,“強いデッキは単体で強力なカードを自然に採用する(good decks will generally play cards that are intrinsically powerful)”と言うに留めておくのがよいと思います.強力なカードとは,“強力なデッキで使われる”というものではなく(それだと前述の堂々巡りですから)– そういったデッキを打ち破れるカードだとか,劣勢時に引いて嬉しいカードとか, 一枚で状況を変えられるカードとか,特定のシチュエーションで相手に引いて欲しくないカードとか,“なぜ俺はあのカードをデッキに入れなかったんだ!”と願ってしまうカードとかです.同じことが弱いカードについても言えます–引いてがっかりするカードや,“なぜこんなカード入れたんだ…”とか疑問に思ってしまうカードは弱いカードなのです.
《精神を刻む者,ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》が《羽ばたき飛行機械/Ornithopter(M11)》の様なカードよりずっとパワフルなカードであることはすぐに気づくでしょう.片方ずつ手にとって,それぞれのテキストを読めばいいだけです.これをやるための《精神を刻む者,ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を所持していないなら,すぐにこの記事を閉じてください–明らかに貴方は真剣にMTGに取り組んでいません (これは冗談です.この手の話はKyle Boggeymansに任せましょう(訳注:カード資産とかカジュアルとかその辺についていくつか記事を書いてる)). 《羽ばたき飛行機械》を持っていないなら、これを実際にやってみる必要はありません。弱いカードをデッキに入れてしまうようなまずいプレイヤーは、絶対《羽ばたき飛行機械》が大好きだからです(こちらは冗談ではありません)
僕がビッグマナやWWクエスト,カルドーサレッドといったデッキに対して抱いている最大の問題点は,これらのデッキは過剰なまでに弱いカードを含んでいて,《Slaves of synergy/シナジーの奴隷》となっていることです.《メムナイト/Memnite(SOM)》,《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》,《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(M11)》,そして《不屈の自然/Rampant Growth》といったカードは,ゲームの様々な局面でトップデッキするのが恐ろしいカードになります.そして,採用枚数と同じだけのそのカードを引いて,他のパーツが妨害されてしまうと,かなり困難な局面に陥るでしょう.
といっても,理解しなければならないのは,ベストなデッキが単体で強力なカードだけで構成されているわけではないということです.たとえばフェアリーがそうです.採用されているカードのうちいくつか,たとえば《ウーナの末裔/Scion of Oona》の様なカードは単純に“強力な”カードではありません.しかしデッキ構造がそういったカードを強力にするのです.デッキの残りの部分を占めるカードが単体で十分強力なら,シチュエーションを選ぶカードを数枚投入できるでしょう.“常に弱いけど限られた状況下で強力なカード”には問題があると僕は考えていますが.
理由を知る
しかしながら,“単純に強い”だけではそのカードを使うのに十分な理由になりません.採用するカードはそこにいるべき理由が必要なのです.理解して欲しいのは次のことです:カードのテキストだけでは強さの理由として十分じゃない!
ちょっと前に僕はTwitterで“《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess(M11)》が突然強力なカードになった理由を誰か教えてくれ”とつぶやきました.GP Barcelona のトップ8に言及してのことですが,彼女は,少なくともそのフォーマットではそれほど使われるカードではありませんでした.返ってきた呟きの大多数はカードテキストのコピペでした.“彼女は手札破壊ができるからつよい”とか“なんでもデッキから探してこれるよ!”とか“初期忠誠値が高いよ!”とか“奥義でゲームを決められるよ!”です.みんな,それは彼女がなにをしてくれるかで,何故彼女が強いかではないよ…それに,もしそれが彼女の全てでも,僕はそれを人に尋ねる必要はありません–自分自身でテキストを読めばいいのですから.
カードのテキストそのものよりも重要なのは,そのテキストは常に変わらない,という事実です.前年は彼女を使うプレイヤーはいませんでしたが,彼女はディスカードも,教示者能力も,リアニメイトも今と同じく使うことができたし,初期忠誠値は5だったのです.本当に考えなくてはならないのは,なぜ彼女が「今」強いのか,環境のどんな変化が彼女を強力なカードにしたかということです.
これを指摘すると,何人かは “ディスカード等で剣に対処できたなら,相手の場に残るのは1/1とか1/2とかで,彼女は高い忠誠値を持っているから簡単には対処されない.もしソードが場に出ていたとしても,剣を持った石鍛冶の攻撃にリリアナは3ターン耐えることができる.その間は剣を無駄に出来る.”といった答えにたどり着くことができます. また,“リリアナが入るデッキは《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek(ROE)》によって打ち消し合戦を回避することができる.それに,リリアナは《審問》されない”といった説明もできるでしょう.
ここでようやく意味が出てきます.これはリリアナが強いという意味なのでしょうか?いいえ.しかし彼女が「今」強いのなら,これらはその理由を説明しています.“ただでディスカード能力が使える?じゃあ使おう!”という姿勢ではなぜそのカードが強いのか理解できません.なぜ吸血鬼にはリリアナが入らないのでしょう?そのデッキで使ってもただでディスカードができて,教示者能力で好きなカードを引っ張ってこられて,さらに奥義をより上手く使えるデッキだというのに!
なぜそのカードが強いのかが分からなければ,デッキに採用するのが正しいかどうか,彼女のためにタップアウトするのが正しいのかどうか,サイドイン・アウトするのが正しいのかどうか,彼女を守るためにチャンプブロックするのが正しいのかどうかなどは絶対に分からないでしょう.
その「なぜ」をよりよく理解するための方法はいくつかあります.一番簡単なのは,具体的な何かを聞くかわりに単純に「なぜ」かを尋ねるようにするのです.例えば,“このデッキ相手に何をサイドアウトする?” とか, “この初手をキープする?” とか聞かれることが良くあります.僕がどうサイドボーディングするかとか,キープするかどうかなどを教えると,彼らは“ありがと”と言うだけで,“なぜ”かを聞くことがありません.そして次の日には微妙に違ったデッキと当ったり,微妙に違う初手を引いたりして,また僕がどうするか聞いてくるのです.理屈を理解していれば自分で判断できることなのに.プレイテストの間は,「なぜなに君」になるべきなのです.
プレイテストをより良くするための話に戻りましょう.よいプレイテストを行うためには,なにが勝ったかをケアするのではなく,変わりになぜ勝てたのかを考えるように必要があります.青白タッチ黒のデッキがヴァラクートの《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》に安定して対処できずに負けることが分かったら,サイドに《瞬間凍結/Flashfreeze(M11)》を加えることで解決できるでしょう.それでもタイタンをこちらがタップアウトした隙に打たれて負けるのなら,代わりに《記憶殺し/Memoricide》を試してみるべきなのかもしれません.逆にヴァラクートを使っていて青白タッチ黒に負ける,そしてその理由が《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》と《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine(MBS)》にあるのなら,《稲妻/Lightning Bolt(M11)》を使うべきなのかもしれません.ジェイスや打ち消しに敗因があるようなら,《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith(MBS)》より《召喚の罠/Summoning Trap(ZEN)》使うべきなのかもしれませんし,もしかしたら《ガイアの復讐者/Gaea’s Revenge(M11)》を再び試してみるべきなのかもしれません.問題を解決するためには,問題を特定しなければなりません.プレイテスト中に適切な疑問を持つことで,問題の特定を行えます.この場合に必要な疑問が”why”なのです.
今週はここまでです.もちろん,僕が書いているものほぼ全てに言えることですが,これが完全に正しい訳ではありません–時には,この内容から逸脱するのが正しい場合もあるのです.時には,あるデッキに対して皆が否定的であっても,その野心作にこだわり続けるのが正しいこともあります.時には,本当にツキが無かったり,まずいプレイを連発していたりもします.こういったことに気を留めておくことは大切ですが,僕の経験から言うと,大抵自分を納得させているだけの場合が圧倒的に多いです.最後の最後まで自分を愚かだと見なせるのは自分だけであり,そうするのはあまりいいことではありません.
この記事を貴方が楽しんでくれますように.ではまた来週お会いしましょう.
PV
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「この環境ではこれが強いからこうした」みたいなのがはっきりしている、ガチかつ工夫のあるデッキの調整記を読むのはおもしろい。最近だとみつひでさんのCryptic Whiteとか。
最近MTGやってないから俺のソウルジェムがどんどん濁っていく…なので来週日曜日はリミテやりに名古屋いくつもり
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
April 27, 2011
Hello!
僕が「デックビルダー」と見なされることは滅多にありません.近年,僕は強力なトーナメントデッキを多数手がけてきましたが,皆が思いもつかない凄いアイディアから生まれたデッキは殆どないのです.僕が最も関与したデッキ―PTオースティンでのDarkDepth―も,核となるアイディアは僕が思いついたものではありません.デッキ内の52枚のカードはおそらく僕の選択によるものなのでしょうが,Hexmage/Depthsが僕から生まれた訳ではないのです.
しかし,それでも僕はPTで好成績を挙げ続けられています.実際,僕はかなり強力なデッキを携えて出ていますから (それが僕の独力で作れたことは一度たりともありません).この記事の目的はデックビルダーでない人の目線からのデッキ構築術の説明です.皆が陥りやすいミスを挙げ,いかにしてそれを乗り越えるかについて語ろうと思います.
創造性(Innovation)―最も過大評価されているもの
ちょっと前に,AJ Sacherが「創造性」がいかに過大評価されているかについての記事を書きました.その反論として,Conleyは「創造性」が実際には過小評価されているとの記事を書きました. 私見では,どちらの意見も正しいです.僕は自身を「デッキビルダー」ではないと言いましたが,それは僕が何もアイディアを持っていないことを意味しません.沢山持っています.そのうちの大部分―いや殆ど全部といってもいいでしょう―は実際に使えうるものではありません.なぜでしょう?僕を含めて,皆はなぜ使用に耐えないアイディアを思いついてしまうのでしょう?
その様なことが起こるのは,僕が普通の人だからです.恐らく貴方も僕と同様に普通の人でしょうから,劣悪なアイディアを多数抱いてしまっているはずです.そうでない,と思うのなら,それは貴方が現実を認めたくないだけです.高いレベルで成功したいのなら,大抵のアイディアはまず使用に耐えないものであることを認める必要があります.僕由来のアイディアでも,AJやConley,Mark Rosewaterが思いついたアイディアでも,どれもそうなのです.
プレイングにおいても構築においても,時には本筋から離れたところか見つめることが必要です.しかし,僕には皆がそれをかなりやりすぎているように思えます.貴方がもし本当に勝つことのみを目的としているなら,考えるべきは何がベストかについてで,なにが最も人と違うかとか,革新的だとかそういうことではないのです.僕が好きなハリー・ポッターの名言のひとつ(素晴らしい作品だから一杯ある内のひとつだよ.ほんとだよ)に,Dolores Umbridgeが5巻で言った” 進歩のための進歩は、奨励されるべきではない(rogress for progress’s sake must be discouraged
といっても,これには別な側面もあります.僕はMTGのゲームにおいて,創造性が害悪になりうると考えていますが,盤外で素晴らしいご褒美をもたらすこともあります.Conleyの記事から引用してみましょう.“長い目でみた勝率を増すことを考えないのなら,恐らく今している様なことをしないだろう(If we did not think that we were improving our chances at winning over the long run, we would probably not be doing what we are doing.)” 「MTGにおける勝利」を単純なゲーム単位での勝利以上のものとした場合は,この意見は全くもって正しいと思います.創造性を発揮することができれば,貴方はMTGのコミュニティで一躍有名になれるでしょう.皆革新的な物事が大好きですからね.また,独自のデッキでゲームをするのはゲームで勝つことより単純に楽しい,という人もいるでしょう.こうしたことによって得られる喜びが,1マッチの勝利より重要なこともあります.僕は、皆が創造性を発揮したがるのはこれが理由だと考えています. たとえ意識的でないにしても―独自の策謀によって勝機を掴んでいるところだと信じ込んでいても,実は人と違ったことがしたいだけだったりするのです.
もう一度Conleyを例に考えて見ましょう.彼はとても有名なプレイヤーで,多くの人が彼を知っていて、そして愛しています.これは彼の成績がもたらしたものでしょうか.とてもそうとは言えません.もちろん彼の成績は悪いものではなく,むしろかなりいいのですが,彼の人気ぶりを説明できる程のものではありません.彼と同じくらいの成績を残していても,名前を聞いたことすらないプレイヤーはたくさんいるでしょう.彼があれほど有名で人気者なのは彼が一風変わったデッキを使うからです.この点において,最適な、優秀なデッキを使うのではなく,創造的であろうとする彼の振る舞いは,Conleyにより多くの報酬をもたらしています.彼が無難なデッキを選んでいれば,GPであと2つはTop8に入れていたと思います.しかしそれによって+2回のTop8を成し遂げていたとしても,彼の知名度は恐らく今より低いでしょう.
ここは勘違いしてほしくないのですが,僕は何が正しいかとかそういうことを話したい訳ではありません。ただ何がどうなっているかについて言及したいだけなのです.僕は皆が何を目的にしてその行動を取っているのか完璧に理解していますし,それが間違っているとは思いません.といってもConleyには、普通のデッキを使ってのベスト4より、野心的なデッキを使ってのベスト8を量産してほしいのですが.僕が伝えたいのは,自分の行動の背景にあるものを理解して欲しいということです.あなたがちゃんと自覚的な選択が行えるように.もしあなたがマッチそのものの勝利を望むのなら, 大抵の場合単純に“good deck”を選べばよくて,名声や評価,fortune, womenが欲しければ創造的なデッキに挑戦すればよいのです. ただ理解しておかなければならないのは,創造性を発揮するのはかなり×3容易いということです.しかし創造性を発揮したデッキが評価を得られる程に勝つ,というのはかなり難しいのです.創造性の高いデッキを僕はいたる所で目にしますが,“有力な”選択肢を選ぶことを諦めたら,創造的であることは難しくないのです. 僕はその様なことをすることは誰にでもできることで,それで得られるメリットは大したことがないと見なしています.どのイベントでもConley Woodsの様なことをしている人が100人はいますが,貴方はConley Woodsしか名を知らないでしょう.その枷にも関わらず,十分な勝利を挙げているのは彼だけだからです.彼はほとんどどのイベントでもオリジナルのデッキを使っているので,そういった結果が伴うのでしょう.マッチについて言うのなら,彼はオリジナルのデッキを使うことで,今以上の勝利を断念しているのです.
こういった話を,僕は傍観者の視点のみから述べている訳ではありません–僕自身にもそういった経験が確かにあるのです.一風変わったカードやデッキを,それが強いという以外の理由でプレイしたことは何度もあります.かなりはっちゃけた経験もあります.もしかしたらご存知かもしれませんが,僕がまだまだ若かった頃,GP Curitiba(エクステンデッド)において《機知の戦い/Battle of Wits》デッキを使ったことがあるのです.僕がこのデッキを使った理由は,それが最善のデッキであったからではありませんでした(そしてその事実を認めるのには長い時間が必要でした.本当です).といっても,それが恐ろしく酷いデッキだとは考えていませんでした.実際に勝てるデッキだと考えていましたが,who are we kidding?僕がそのデッキを使った理由は,人と違うから,認められたいから,カバレッジに載りたいから,というものだったのです.その目論見は満たされました–2日目にすら残れなかったのに,僕は写真を撮られさえしたのです(3bye持ちで,7ラウンドしかなかったのに!結局いい結果を出す必要がないのなら,それなりに風変わりなデッキは他にもあるはずです). トーナメントが終わった頃には,誰もが僕がだれだか知っていました–そのGPにおいて5位でフィニッシュした人より,“「機知の戦い」小僧”の方が認知度が高かったと僕は思っています.しかし,この結果には価値があるでしょうか?それはNOです.真面目なデッキを使っていたら,と今では思います.殆どの人が僕を愚か者だと見なしましたし,それはいい意味での名の売れ方ではありませんでしたからね.
内面から生じる罠
自分で組んだデッキが素晴らしいものであると切に思いたがるのは,デッキを構築・選定する際に生じる問題のひとつです.目指した大会に向けて構築・調整した独自のデッキで優勝したいいう願望はだれもが持っています. TOP8の実況において,自分が組んだデッキがいかに前代未聞のものかをBrian David-MarshallとRichard Hagonが解説している場面を妄想したことは誰もがあるでしょう.Mark Rosewater が,環境を壊すカードを刷ってしまってごめんなさいとツィートする場面とか.そんなことが二度と起きないために,開発部に採用されてしまうかもしれない…とか.ドヤ顔で優勝レポを書いている場面とか.Facebookのコメントがデッキについての話で埋まってしまって,MTGをやらない友人が困惑するといけないから自分のファンページを新たにつくらねば…とか. こういう境地に至ってしまうと,どんな行動をとってしまうでしょう?
自分のデッキが強いと信じたくても,大抵の場合そうではなく,そのデッキを断念せざるをえないということは,理解しておかなければなりません.最大の問題点は,周りを見ようとしない人ほど盲目的な人間はいないということです.そして,自分の創造性が絡んでくると,我々は非常に盲目的になってしまうのです.これがプレイテストの最中に生じるのです.
プレイテストをする目的は,何が良くて何が悪いのか,そして特定のデッキ/マッチアップにおいてどう動くべきかの解明であるべきです.しかし,大抵のプレイヤーはプレイテストそのものを深刻に考えすぎています.自分のデッキがいいか悪いかをはっきりさせるのではなく,皆に自分のデッキの強さを見せ付けたいと考えているのです.相手が用意してきたデッキを悪く言ったり,それを証明するために打ち負かしたりすると,怒り出すでしょう.こういう場合,彼らは負けると必ず言い訳をします. 相手がそういう状態に陥っているかは,次の様なことを言うかで判断できます– “僕は不運だ/キミはラッキーだ”というもっとも簡単でありふれた言い訳です.プレイテスト中に何度もこういう考えをしてしまう自分に気づいたら,一息ついて,ゆっくり考えてみましょう―そうではなくて,自分のデッキがそんなにいいものではないのかもしれないと.
しかしながら,これより更に尤もらしいが故に危険な言い訳が存在します.“僕のプレイが悪いんだ” というものです.
これがまずい理由は,譲歩している部分があるせいで,問題点を認めている様に見えてしまうことです.自分自身も,皆も妙に納得してしまいます.―しかし,既に1つ間違いを認めているのに,なぜデッキが弱いことは認められないのでしょう?間違いを認める寛容さがあるのになぜ?
では例として,両親が旅行で不在の間に初期を二つ割ってしまった場合について考えて見ましょう.親が帰ってきて,貴方は「犬がそれらを壊した」と説明したとします.それが信じてもらえるかどうかは分かりませんし,もしそのうちの1つを貴方が壊した証拠が見つかったなら,もう1つも貴方が壊したと親は自然に考えるでしょう.しかしもし,あなたが即座に「小さい方の食器は僕が壊したけどでかいのは犬が壊した」と説明すれば,信じてもられる可能性が増すでしょう.なぜなら,貴方は既に間違いを認めることができると示しているからです.片方の間違いを認められるのなら、2つ分の食器の間違いも認められると見なされるでしょう.なにかまずいことをしてしまったら,より些細な方のミスを認めてしまえば,早いうちから「逃れる」ことができます.プレイテストについて言えば,「プレイングが不味い」ということより「デッキが強い」ということの方がより重要なのです.しかしプレイングが不味いことを認めても,それはデッキが強いことの証明にはなりません!意識的にしろ無意識的にしろ,こういったことは容易に起こりえると僕は確信しています.そのからくりに自覚的であることが非常に重要なのです.
デッキビルダーの書いたレポートにはその様な表現が散見されます.有名なデッキビルダーはよく,僕はミスをしたから負けた,でも“デッキでは勝っていた”というようなことを非常によく言います.彼らがこんなことを言うのはデッキビルダーとしての名声をプレイヤーとしてのそれよりも重要視しているからです.デッキが弱いと思われるよりも,プレイングが下手だと思われるのを選ぶのです.その方が受け入れ易いのでしょう.また,調整が進んでいると引き返しづらいというのもしばしば理由となります.
もう1つ重要な点として,私たちは非常に選択的な記憶力を持っていることが挙げられます.負けるはずがなかったと感じたマッチは記憶に残りますが,当たり前の様に勝ったマッチはすぐに忘れてしまうのです.強いデッキができたと感じ,そのデッキ最初のプレイテストでもよく勝てた,という事も時にあると思います.しかしこの場合,対戦成績を気にするだけでなく,ゲームの内容もケアするべきです.貴方がただツイていただけだったり,対戦相手があまりよくないプレイヤーだったりすると,結果は歪んでしまっています.
GPダラスにおいて,野心的なデッキを使った友人がいました.彼は2日目進出に1勝足らず,という結果で終わったのですが,僕がデッキについて尋ねると”デッキはいい出来だったよ.負けたマッチは,どれも僕が違ったプレイをしていたら勝てたものだったから,2日目進出に値するデッキだったよ”という答えが返ってきました.彼の言は正しいのかもしれませんが,ならば彼が勝ったマッチはどうだったのでしょう?相手が違ったプレイをしていたら負けていたのではないでしょうか.負けたマッチにおいて,“デッキでは勝っていた”マッチを数えるならば,勝った試合における“デッキでは負けていた”マッチを数えなければフェアではないでしょう.こういう場合,貴方はただ自分を騙しているだけだと思います.繰り返しになりますが,人は受け入れ易いものを受け入れるのです.
強いデッキは強いカードを使う
最近,様々なライターが“強力なデッキは強力なカードを使う(good decks play powerful cards)”という様なことを主張していますが,私は手放しでは賛成できません.この主張には,どうやって“強力なカード”を評価するか,という問題点が潜んでいます.ありがちな方法としては,大会での10位までのデッキリストを作り,カードが総計何枚含まれているか数えるというものがあります.問題は,そのカードがtop10のリストに含まれている理由は,強いデッキに含まれているからだということです!こうしてMenendian の言うところの,ある種の堂々巡りが生じます“最強のデッキはより質の高いカードを使っていて,そういったカードは最強のデッキで使われている” –これは道理ですし,知的に見えますが(結局,貴方のベストなカードは最強のデッキで使われて,その最強のデッキは貴方のベストなカードを使うのです),実際にはなんの役にも立ちません.
これについては,“強いデッキは単体で強力なカードを自然に採用する(good decks will generally play cards that are intrinsically powerful)”と言うに留めておくのがよいと思います.強力なカードとは,“強力なデッキで使われる”というものではなく(それだと前述の堂々巡りですから)– そういったデッキを打ち破れるカードだとか,劣勢時に引いて嬉しいカードとか, 一枚で状況を変えられるカードとか,特定のシチュエーションで相手に引いて欲しくないカードとか,“なぜ俺はあのカードをデッキに入れなかったんだ!”と願ってしまうカードとかです.同じことが弱いカードについても言えます–引いてがっかりするカードや,“なぜこんなカード入れたんだ…”とか疑問に思ってしまうカードは弱いカードなのです.
《精神を刻む者,ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》が《羽ばたき飛行機械/Ornithopter(M11)》の様なカードよりずっとパワフルなカードであることはすぐに気づくでしょう.片方ずつ手にとって,それぞれのテキストを読めばいいだけです.これをやるための《精神を刻む者,ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を所持していないなら,すぐにこの記事を閉じてください–明らかに貴方は真剣にMTGに取り組んでいません (これは冗談です.この手の話はKyle Boggeymansに任せましょう(訳注:カード資産とかカジュアルとかその辺についていくつか記事を書いてる)). 《羽ばたき飛行機械》を持っていないなら、これを実際にやってみる必要はありません。弱いカードをデッキに入れてしまうようなまずいプレイヤーは、絶対《羽ばたき飛行機械》が大好きだからです(こちらは冗談ではありません)
僕がビッグマナやWWクエスト,カルドーサレッドといったデッキに対して抱いている最大の問題点は,これらのデッキは過剰なまでに弱いカードを含んでいて,《Slaves of synergy/シナジーの奴隷》となっていることです.《メムナイト/Memnite(SOM)》,《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》,《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(M11)》,そして《不屈の自然/Rampant Growth》といったカードは,ゲームの様々な局面でトップデッキするのが恐ろしいカードになります.そして,採用枚数と同じだけのそのカードを引いて,他のパーツが妨害されてしまうと,かなり困難な局面に陥るでしょう.
といっても,理解しなければならないのは,ベストなデッキが単体で強力なカードだけで構成されているわけではないということです.たとえばフェアリーがそうです.採用されているカードのうちいくつか,たとえば《ウーナの末裔/Scion of Oona》の様なカードは単純に“強力な”カードではありません.しかしデッキ構造がそういったカードを強力にするのです.デッキの残りの部分を占めるカードが単体で十分強力なら,シチュエーションを選ぶカードを数枚投入できるでしょう.“常に弱いけど限られた状況下で強力なカード”には問題があると僕は考えていますが.
理由を知る
しかしながら,“単純に強い”だけではそのカードを使うのに十分な理由になりません.採用するカードはそこにいるべき理由が必要なのです.理解して欲しいのは次のことです:カードのテキストだけでは強さの理由として十分じゃない!
ちょっと前に僕はTwitterで“《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess(M11)》が突然強力なカードになった理由を誰か教えてくれ”とつぶやきました.GP Barcelona のトップ8に言及してのことですが,彼女は,少なくともそのフォーマットではそれほど使われるカードではありませんでした.返ってきた呟きの大多数はカードテキストのコピペでした.“彼女は手札破壊ができるからつよい”とか“なんでもデッキから探してこれるよ!”とか“初期忠誠値が高いよ!”とか“奥義でゲームを決められるよ!”です.みんな,それは彼女がなにをしてくれるかで,何故彼女が強いかではないよ…それに,もしそれが彼女の全てでも,僕はそれを人に尋ねる必要はありません–自分自身でテキストを読めばいいのですから.
カードのテキストそのものよりも重要なのは,そのテキストは常に変わらない,という事実です.前年は彼女を使うプレイヤーはいませんでしたが,彼女はディスカードも,教示者能力も,リアニメイトも今と同じく使うことができたし,初期忠誠値は5だったのです.本当に考えなくてはならないのは,なぜ彼女が「今」強いのか,環境のどんな変化が彼女を強力なカードにしたかということです.
これを指摘すると,何人かは “ディスカード等で剣に対処できたなら,相手の場に残るのは1/1とか1/2とかで,彼女は高い忠誠値を持っているから簡単には対処されない.もしソードが場に出ていたとしても,剣を持った石鍛冶の攻撃にリリアナは3ターン耐えることができる.その間は剣を無駄に出来る.”といった答えにたどり着くことができます. また,“リリアナが入るデッキは《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek(ROE)》によって打ち消し合戦を回避することができる.それに,リリアナは《審問》されない”といった説明もできるでしょう.
ここでようやく意味が出てきます.これはリリアナが強いという意味なのでしょうか?いいえ.しかし彼女が「今」強いのなら,これらはその理由を説明しています.“ただでディスカード能力が使える?じゃあ使おう!”という姿勢ではなぜそのカードが強いのか理解できません.なぜ吸血鬼にはリリアナが入らないのでしょう?そのデッキで使ってもただでディスカードができて,教示者能力で好きなカードを引っ張ってこられて,さらに奥義をより上手く使えるデッキだというのに!
なぜそのカードが強いのかが分からなければ,デッキに採用するのが正しいかどうか,彼女のためにタップアウトするのが正しいのかどうか,サイドイン・アウトするのが正しいのかどうか,彼女を守るためにチャンプブロックするのが正しいのかどうかなどは絶対に分からないでしょう.
その「なぜ」をよりよく理解するための方法はいくつかあります.一番簡単なのは,具体的な何かを聞くかわりに単純に「なぜ」かを尋ねるようにするのです.例えば,“このデッキ相手に何をサイドアウトする?” とか, “この初手をキープする?” とか聞かれることが良くあります.僕がどうサイドボーディングするかとか,キープするかどうかなどを教えると,彼らは“ありがと”と言うだけで,“なぜ”かを聞くことがありません.そして次の日には微妙に違ったデッキと当ったり,微妙に違う初手を引いたりして,また僕がどうするか聞いてくるのです.理屈を理解していれば自分で判断できることなのに.プレイテストの間は,「なぜなに君」になるべきなのです.
プレイテストをより良くするための話に戻りましょう.よいプレイテストを行うためには,なにが勝ったかをケアするのではなく,変わりになぜ勝てたのかを考えるように必要があります.青白タッチ黒のデッキがヴァラクートの《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》に安定して対処できずに負けることが分かったら,サイドに《瞬間凍結/Flashfreeze(M11)》を加えることで解決できるでしょう.それでもタイタンをこちらがタップアウトした隙に打たれて負けるのなら,代わりに《記憶殺し/Memoricide》を試してみるべきなのかもしれません.逆にヴァラクートを使っていて青白タッチ黒に負ける,そしてその理由が《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》と《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine(MBS)》にあるのなら,《稲妻/Lightning Bolt(M11)》を使うべきなのかもしれません.ジェイスや打ち消しに敗因があるようなら,《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith(MBS)》より《召喚の罠/Summoning Trap(ZEN)》使うべきなのかもしれませんし,もしかしたら《ガイアの復讐者/Gaea’s Revenge(M11)》を再び試してみるべきなのかもしれません.問題を解決するためには,問題を特定しなければなりません.プレイテスト中に適切な疑問を持つことで,問題の特定を行えます.この場合に必要な疑問が”why”なのです.
今週はここまでです.もちろん,僕が書いているものほぼ全てに言えることですが,これが完全に正しい訳ではありません–時には,この内容から逸脱するのが正しい場合もあるのです.時には,あるデッキに対して皆が否定的であっても,その野心作にこだわり続けるのが正しいこともあります.時には,本当にツキが無かったり,まずいプレイを連発していたりもします.こういったことに気を留めておくことは大切ですが,僕の経験から言うと,大抵自分を納得させているだけの場合が圧倒的に多いです.最後の最後まで自分を愚かだと見なせるのは自分だけであり,そうするのはあまりいいことではありません.
この記事を貴方が楽しんでくれますように.ではまた来週お会いしましょう.
PV
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「この環境ではこれが強いからこうした」みたいなのがはっきりしている、ガチかつ工夫のあるデッキの調整記を読むのはおもしろい。最近だとみつひでさんのCryptic Whiteとか。
最近MTGやってないから俺のソウルジェムがどんどん濁っていく…なので来週日曜日はリミテやりに名古屋いくつもり
原題:Breaking Through – Trial By Fire
http://www.channelfireball.com/articles/breaking-through-trial-by-fire/
Posted by Conley Woods
November 11, 2010
去年11月に掲載された記事です.当時訳したものの後半の大事な所で訳せない部分が多かったのと,果たして需要あるのか…とか考えて放置していたものです.記事中にCFで上げてるプレイ動画におけるプレイミスについての言及があり,最近日本でもニコニコとかで動画上げる人も見る人も増えてる様なのでそういった動画を見る際の心構え(?)として学べるところが多いかなと思って上げてみました.記事の本題はプレイミス自体の取り扱いについてです.
以下本文
一般的なプロプレイヤーと平均的なFNMプレイヤーの最も大きな違いは1ゲーム内で犯すミスの数の差だと言われる事があります.両者が犯すミスの数に厳密な定義はありませんが,一般に,上手いプレイヤー程ミスが少なくなるものです.ですが,この考えがプロプレイヤーに対する間違った認識を多数生んでいると思います.ライブビデオのおかげで平均的プレイヤーは様々なことを知れるようになりました.伝え聞くだけよりもゲーム内容を理解できるようになりましたが,こういった中で前述の様な認識はアンフェアです.
例えば,プレイヤーのスキルを記録ビデオからのみ判断するのはアンフェアです.ビデオを撮られることで,ただMTGをプレイする以外の技術が必要になるのは忘れないでほしいところです.エンターテイメントに供されることが外乱となり,恐ろしいミスを引き起こすのです.ビデオが公開されるという事実は思った以上にミスを誘発します.記録を取られることでたくさんのミスが生じますが,もちろん,元々犯してしまうミスもあります.
ビデオの公開により,優秀なプレイヤーは実際にミスが少ないことを明らかになりました.しかし,優秀なプレイヤーもそうでないプレイヤーも皆,ミスの数自体はあなたが考えていたより多かったのではないかと思います.この事実から,皆があまり気付いていなかったであろう興味深い事実に至れます. ミスを犯す回数の差はもちろん重要だが,ミスを犯した際にどう対応するかも同じくらい重要だ ということです.それら両方が優秀なプレイヤーと凡百のプレイヤーを隔てているのです.
上の一文は見過されやすい重要な情報を含んでいるので,私が述べたいことをはっきりさせておきましょう.犯したミスへの正しい対応の最初の一歩は,犯したミスに気付くことです.これは第一歩であると同時に最も重要なことでもあります.ミスはしょっちゅう起こることは既に述べましたが,優秀なプレイヤーはそうしたミスを完全に,そして一般プレイヤーよりも素早く気付く傾向があります.つまり優秀なプレイヤーと下手なプレイヤーが同じ数のミスをしたとしても,優秀なプレイヤーはゲーム中にプラン(詳しくは後述します)を立て直せるのに対し,下手なプレイヤーはミスをしたことに気付きすらしないということです.また,優秀なプレイヤーはミスに良く気づくが故にミスから学ぶ機会も多いのです。
ゲームについて学ぶ時、明らかなミスについては簡単に気付き,学習できるでしょう.しかしより微妙なミスは指摘されないと気付けません.こうした指摘が学習の一歩目となります.プロのレベルになれば,こうした微かなミスには簡単に気付くようになります.ビデオをもう一度例にとりましょう.貴方はビデオを通して,私やLuis,Bradがミスを犯すところを何度となく見るでしょう.私たちは2ターン以内にはそれに気付き,指摘します.これには言い訳としての意味は全くないのです。この気付きによって,どんな場面においても、そのミスから挽回する余地ができるのです.指摘は私達がその場面から引き出せた情報なのです.
ミスにより敏感になるための簡単な方法論はありません.しかし,気付きを増やすためのステップはいくつか存在します.基本的には,向上心とそれ故の真摯さが鍵になります.自分を実力以上に優秀だと考えているプレイヤーは,ミスを見失うことがあります.自分がミスを犯したと自覚したくないからです.一時的なエゴは満たせるかもしれませんが,ゲームにおいては悪いことでしかないなのでこの罠に陥らないでください.もう一つの鍵は,場やカードの相互関係を逐一確認することです.一度検討したことも,何度も確かめるのです。《刻まれた勇者/Etched Champion》のプロテクションを10回確認していたとしても、失念する場合もあります.しかし11回確認したら気がつくかもしれません.場の状態や相互関係を疑わなくなれば,新しい情報を得られなくなります.
もう一度太字部に戻りましょう:ミスを犯す回数の差はもちろん重要だが,ミスを犯した際にどう対応するかも同じくらい重要で,それら両方が優秀なプレイヤーと凡百のプレイヤーを隔てている ,という部分です.これまでの説明で,ミスは起きるものだと理解できたと思います.次のステップは単純です:「平静を保て」
.
MTGのコミュニティにおいて,数学や数字や適切なプレイ等がゲームに重要な事として度々強調されます.もちろんこれは間違っていません.しかしここに重点を置くことは,「人的要素(human element)」もまた同じくらい重要であることを霞ませてしまいます.有能な部局長がする様なブラフについての記事をここで読むことができます(訳注:ルーエルが同時期にブラフについての記事を上げていたのでそのことだと思います)が,我々の振る舞いはブラフ以上に多くのことを語ってしまっているのです.
ミスを犯し、それに気付くとプレイヤーは動揺します.これは自然な反応ですが,内的にも外的にも様々な問題をもたらします.まず,ミスによる動揺は貴方の振る舞いに影響を与えます。それはマッチの勝敗を危うくするものです.ミスを犯してしまったからといって,ティルトしたり(訳注:tiltはポーカー用語?「自分の感情がプレイする能力をさえぎってしまう状態」らしいです),感情的になってはいけません.外から見て平静を保てていたとしても,内面では愚かなミスを犯した自分を責めてしまうこともあります.自分を責めつつ素晴らしいプレイができる人も中にはいるでしょうが,大抵の人間はそんなことできないので,悔やむのはマッチが終わってからにしましょう.1つのミスでゲームを落とすことになるかどうかは分かりません.しかし,ティルトしてしまうと大抵そうなります.
優秀なプレイヤーは内面的な反応だけでなく,外面的な反応にも備えており,熟達しています.ミスは小さなため息一つから憤慨まで,見聞きできるあらゆる挙動から見つけられてしまいます.大きなトーナメントでは少なくとも一回はそういうことがあるでしょう.ミスの中には、あなたしか知らない情報を含んでいるものもあるので,ミスを犯しても,必ず相手がそれに気付くとは限りません.平静を保っていれば対戦相手がミスリードされることすらあるのです.それも,貴方に有利な方向に.相手のクリーチャーの先制攻撃を忘れてアタックしてしまうことは誰にでもあります.これは明らかにミスですが,対戦相手はトリックの類を警戒してブロックしないこともあります.アタック後に動揺を示してしまえば,そのクリーチャーが生きて帰れないでしょう.たとえ貴方が自身を責めたり、対戦相手に狼狽を見せずにやり過ごせたとしても、ゲームをネガティブな方向に向けてしまうことはあります。
もう一度定義文に戻り,優秀なプレイヤーと弱いプレイヤーを比べてみましょう.弱いプレイヤーは彼らのゲームプランを動かさない傾向があるのに対し,優秀なプレイヤーはプランを変えることを躊躇しません.これは直感と反するかもしれません.通常,プレイを変える場合はなにか間違っていますからね.しかし,まずいプレイをしてしまった場合や結果として裏目に出た場合に,それ以前のプランにしがみつくことは,かなりまずい事です。そうした場合,そのシチュエーションに合わせてプランを修正するべきなのです.もちろんミスが長期的な展望に影響を及ぼさないシチュエーションもありますが,ミスが起きた際は常にプランの修正を考慮しなくてはいけません.
大切なのは,優秀なプレイヤーは自分が犯したミスに気がつき,それに合わせてゲームプランを変更できるということです.ここで簡単な例を見てみましょう: あなたはMOで感染デッキをプレイしていて,対戦相手を毒殺しようとしています。対戦相手のライフは13で、毒カウンターは2つ与えているとします.貴方は《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》と《モリオックの模造品/Moriok Replica》でアタックし,《汚れた一撃/Tainted Strike》をプレイしました.ところが,ミスクリックして《モリオックの模造品/Moriok Replica》に打ってしまい,プランが崩壊してしまいました.対戦相手のライフは7に,毒カウンターは5になりました(もう一度確認しますが、これは驚くほど簡単な例です). 弱いプレイヤーはこの後も毒殺にこだわり,その後の戦闘でも不適切なプレイを続けるでしょう.一方で,優秀なプレイヤーはプランを切り替えます.ミスクリックが新たなゲームの状態を作り,通常ダメージで倒せる可能性の方が高くなったことを理解しているのです.プレイヤーがこの様な思考プロセスをちゃんと行えたとしても,毒殺の可能性がより高く,プランを変えない場合もあります.しかしそうした場合でも,ミスクリックによりゲームが新たな局面を迎えたことを考慮はします.こうしたプレイヤーはたとえミスクリックが原因で生じたものでも,ゲームの新しい局面を受け入れるのです.
ここでの主題は単純です: どんなにミスを避けようとしても,間違いは何度も起きます.なので,ミスそのものをしない様にするのと同じくらいミスをリカバリーする技術が重要なのです.強調したいのは,完璧にMTGをプレイできていると考えていると,ミスに対処する能力を無くしてしまうということです.貴方が人生で失敗などしたことがない,と考えているとします;その場合,初めて避けられない失敗が生じた時にどう対処するのでしょう? きっとパニックになり,混乱し,失敗による後退を苦行と感じるでしょう.そのミスをその後のゲーム中に引き摺ってしまえば,ミスによる影響は本来のものよりずっと大きくなってしまうでしょう.
ミスを避けるための方法を教えるというのも悪くはないのですが,それはかなり込み入った話ですし,様々な戦略における方法を包括的に話すことは非現実的です.MTGのコミュニティとして,我々の勝利のためのセオリーと戦略を継続的に前進させるためには,全てではないにしても殆ど解明されている領域,MTGのプレイについてを探求しなければならないのです. ミスをしない人などいないので,理想論には意味がありません.
そのためにまずできる重要なことは,ミスに気付ける様になるための練習をすることです.友人が全てを見られる状態でプレイテストする,そしてミスを指摘してもらう(トーナメントではマッチが終わった後に),ゲーム中に起きたミスを可能な限りメモしておく,もしくはプレイ毎に数秒間を置いてそのプレイの結果を評価する,などなど.いつミスが生じたのかをはっきりさせることが,進歩するために大切なことです.これによってそのミスを避けるための技術と,そのミスが再び生じてしまった際の対処法を学ぶことができるでしょう.こういった練習を積まなければ,22歳かそこらまで失敗せずに過ごしてきた人が初めて失敗した時と同じような事態に陥るでしょう(直訳).
ここChannelfireballで公開しているビデオはこうした練習の大きな動機付けとなるでしょう.ビデオを第三者視点で,そして時に後知恵を用いて眺めて,プレイヤーを判定するのは簡単です.しかし,自分ならそのミスを全て避けられるとは思わないでください.あなたはどこかでそれと同じか,または別のミスを犯しているでしょう.上手いプレイが行われた際に,観戦者はそれを当然と考え ,自分も同じ結論に至れると決めてかかりますが,実際にはそうできない人もいるはずです.そうした場合,ミスも含めてその後の行動を決定し,リカバリーに努めるしか道はないのです.スマートにプレイしましょう.しかしそれ以上に重要なのは謙虚にプレイすることで,そして後悔しないことです.読んでくれてありがとうございました.
Conley Woods
@Conley81 on Twitter
DeckDoctor@channelfireball.com for Deck Doctor submissions
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注釈部
注1)If you allow a mistake to pave a labor intensive path for the remainder of the game, that mistake has manifested exponentially from what its actual impact should have been.
That前はミスによって生じる苦難(?)を「a labor intensive path」と表現してて,それをallowすれば,という意味だと考えました.That以下はmanifestedがどういうニュアンスかよく分かりませんでした.what its actual impact should have been.が「本来あるべきインパクト」でそれより「指数関数的=exponentially」にmanifestするとはどういう意味なのでしょう?
注2) To do anything less is an elitist take on a matter in which there are no elite.
ここは全く分からなかった
注3) We take it for granted when a good play is made and assume we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
構文はこうですよね
We take it for granted (when a good play is made and assume) we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
CFの仲間が同じ結論に当然達すると思っているが,実際には(ミスをするから)そうでない場合もある
次の文とつなげるためには↑の様な意味としたいのですが,some people wouldn’t have=「ミスする場合もある」とするのは不自然.
注4) There is no substitution for putting all of this into action and working on your mistake recovery first hand.
Putting all of this into action=「これ」を行動に入れる=「犯したミス」を考慮に入れてプレイする
http://www.channelfireball.com/articles/breaking-through-trial-by-fire/
Posted by Conley Woods
November 11, 2010
去年11月に掲載された記事です.当時訳したものの後半の大事な所で訳せない部分が多かったのと,果たして需要あるのか…とか考えて放置していたものです.記事中にCFで上げてるプレイ動画におけるプレイミスについての言及があり,最近日本でもニコニコとかで動画上げる人も見る人も増えてる様なのでそういった動画を見る際の心構え(?)として学べるところが多いかなと思って上げてみました.記事の本題はプレイミス自体の取り扱いについてです.
以下本文
一般的なプロプレイヤーと平均的なFNMプレイヤーの最も大きな違いは1ゲーム内で犯すミスの数の差だと言われる事があります.両者が犯すミスの数に厳密な定義はありませんが,一般に,上手いプレイヤー程ミスが少なくなるものです.ですが,この考えがプロプレイヤーに対する間違った認識を多数生んでいると思います.ライブビデオのおかげで平均的プレイヤーは様々なことを知れるようになりました.伝え聞くだけよりもゲーム内容を理解できるようになりましたが,こういった中で前述の様な認識はアンフェアです.
例えば,プレイヤーのスキルを記録ビデオからのみ判断するのはアンフェアです.ビデオを撮られることで,ただMTGをプレイする以外の技術が必要になるのは忘れないでほしいところです.エンターテイメントに供されることが外乱となり,恐ろしいミスを引き起こすのです.ビデオが公開されるという事実は思った以上にミスを誘発します.記録を取られることでたくさんのミスが生じますが,もちろん,元々犯してしまうミスもあります.
ビデオの公開により,優秀なプレイヤーは実際にミスが少ないことを明らかになりました.しかし,優秀なプレイヤーもそうでないプレイヤーも皆,ミスの数自体はあなたが考えていたより多かったのではないかと思います.この事実から,皆があまり気付いていなかったであろう興味深い事実に至れます. ミスを犯す回数の差はもちろん重要だが,ミスを犯した際にどう対応するかも同じくらい重要だ ということです.それら両方が優秀なプレイヤーと凡百のプレイヤーを隔てているのです.
上の一文は見過されやすい重要な情報を含んでいるので,私が述べたいことをはっきりさせておきましょう.犯したミスへの正しい対応の最初の一歩は,犯したミスに気付くことです.これは第一歩であると同時に最も重要なことでもあります.ミスはしょっちゅう起こることは既に述べましたが,優秀なプレイヤーはそうしたミスを完全に,そして一般プレイヤーよりも素早く気付く傾向があります.つまり優秀なプレイヤーと下手なプレイヤーが同じ数のミスをしたとしても,優秀なプレイヤーはゲーム中にプラン(詳しくは後述します)を立て直せるのに対し,下手なプレイヤーはミスをしたことに気付きすらしないということです.また,優秀なプレイヤーはミスに良く気づくが故にミスから学ぶ機会も多いのです。
ゲームについて学ぶ時、明らかなミスについては簡単に気付き,学習できるでしょう.しかしより微妙なミスは指摘されないと気付けません.こうした指摘が学習の一歩目となります.プロのレベルになれば,こうした微かなミスには簡単に気付くようになります.ビデオをもう一度例にとりましょう.貴方はビデオを通して,私やLuis,Bradがミスを犯すところを何度となく見るでしょう.私たちは2ターン以内にはそれに気付き,指摘します.これには言い訳としての意味は全くないのです。この気付きによって,どんな場面においても、そのミスから挽回する余地ができるのです.指摘は私達がその場面から引き出せた情報なのです.
ミスにより敏感になるための簡単な方法論はありません.しかし,気付きを増やすためのステップはいくつか存在します.基本的には,向上心とそれ故の真摯さが鍵になります.自分を実力以上に優秀だと考えているプレイヤーは,ミスを見失うことがあります.自分がミスを犯したと自覚したくないからです.一時的なエゴは満たせるかもしれませんが,ゲームにおいては悪いことでしかないなのでこの罠に陥らないでください.もう一つの鍵は,場やカードの相互関係を逐一確認することです.一度検討したことも,何度も確かめるのです。《刻まれた勇者/Etched Champion》のプロテクションを10回確認していたとしても、失念する場合もあります.しかし11回確認したら気がつくかもしれません.場の状態や相互関係を疑わなくなれば,新しい情報を得られなくなります.
もう一度太字部に戻りましょう:ミスを犯す回数の差はもちろん重要だが,ミスを犯した際にどう対応するかも同じくらい重要で,それら両方が優秀なプレイヤーと凡百のプレイヤーを隔てている ,という部分です.これまでの説明で,ミスは起きるものだと理解できたと思います.次のステップは単純です:「平静を保て」
.
MTGのコミュニティにおいて,数学や数字や適切なプレイ等がゲームに重要な事として度々強調されます.もちろんこれは間違っていません.しかしここに重点を置くことは,「人的要素(human element)」もまた同じくらい重要であることを霞ませてしまいます.有能な部局長がする様なブラフについての記事をここで読むことができます(訳注:ルーエルが同時期にブラフについての記事を上げていたのでそのことだと思います)が,我々の振る舞いはブラフ以上に多くのことを語ってしまっているのです.
ミスを犯し、それに気付くとプレイヤーは動揺します.これは自然な反応ですが,内的にも外的にも様々な問題をもたらします.まず,ミスによる動揺は貴方の振る舞いに影響を与えます。それはマッチの勝敗を危うくするものです.ミスを犯してしまったからといって,ティルトしたり(訳注:tiltはポーカー用語?「自分の感情がプレイする能力をさえぎってしまう状態」らしいです),感情的になってはいけません.外から見て平静を保てていたとしても,内面では愚かなミスを犯した自分を責めてしまうこともあります.自分を責めつつ素晴らしいプレイができる人も中にはいるでしょうが,大抵の人間はそんなことできないので,悔やむのはマッチが終わってからにしましょう.1つのミスでゲームを落とすことになるかどうかは分かりません.しかし,ティルトしてしまうと大抵そうなります.
優秀なプレイヤーは内面的な反応だけでなく,外面的な反応にも備えており,熟達しています.ミスは小さなため息一つから憤慨まで,見聞きできるあらゆる挙動から見つけられてしまいます.大きなトーナメントでは少なくとも一回はそういうことがあるでしょう.ミスの中には、あなたしか知らない情報を含んでいるものもあるので,ミスを犯しても,必ず相手がそれに気付くとは限りません.平静を保っていれば対戦相手がミスリードされることすらあるのです.それも,貴方に有利な方向に.相手のクリーチャーの先制攻撃を忘れてアタックしてしまうことは誰にでもあります.これは明らかにミスですが,対戦相手はトリックの類を警戒してブロックしないこともあります.アタック後に動揺を示してしまえば,そのクリーチャーが生きて帰れないでしょう.たとえ貴方が自身を責めたり、対戦相手に狼狽を見せずにやり過ごせたとしても、ゲームをネガティブな方向に向けてしまうことはあります。
もう一度定義文に戻り,優秀なプレイヤーと弱いプレイヤーを比べてみましょう.弱いプレイヤーは彼らのゲームプランを動かさない傾向があるのに対し,優秀なプレイヤーはプランを変えることを躊躇しません.これは直感と反するかもしれません.通常,プレイを変える場合はなにか間違っていますからね.しかし,まずいプレイをしてしまった場合や結果として裏目に出た場合に,それ以前のプランにしがみつくことは,かなりまずい事です。そうした場合,そのシチュエーションに合わせてプランを修正するべきなのです.もちろんミスが長期的な展望に影響を及ぼさないシチュエーションもありますが,ミスが起きた際は常にプランの修正を考慮しなくてはいけません.
大切なのは,優秀なプレイヤーは自分が犯したミスに気がつき,それに合わせてゲームプランを変更できるということです.ここで簡単な例を見てみましょう: あなたはMOで感染デッキをプレイしていて,対戦相手を毒殺しようとしています。対戦相手のライフは13で、毒カウンターは2つ与えているとします.貴方は《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》と《モリオックの模造品/Moriok Replica》でアタックし,《汚れた一撃/Tainted Strike》をプレイしました.ところが,ミスクリックして《モリオックの模造品/Moriok Replica》に打ってしまい,プランが崩壊してしまいました.対戦相手のライフは7に,毒カウンターは5になりました(もう一度確認しますが、これは驚くほど簡単な例です). 弱いプレイヤーはこの後も毒殺にこだわり,その後の戦闘でも不適切なプレイを続けるでしょう.一方で,優秀なプレイヤーはプランを切り替えます.ミスクリックが新たなゲームの状態を作り,通常ダメージで倒せる可能性の方が高くなったことを理解しているのです.プレイヤーがこの様な思考プロセスをちゃんと行えたとしても,毒殺の可能性がより高く,プランを変えない場合もあります.しかしそうした場合でも,ミスクリックによりゲームが新たな局面を迎えたことを考慮はします.こうしたプレイヤーはたとえミスクリックが原因で生じたものでも,ゲームの新しい局面を受け入れるのです.
ここでの主題は単純です: どんなにミスを避けようとしても,間違いは何度も起きます.なので,ミスそのものをしない様にするのと同じくらいミスをリカバリーする技術が重要なのです.強調したいのは,完璧にMTGをプレイできていると考えていると,ミスに対処する能力を無くしてしまうということです.貴方が人生で失敗などしたことがない,と考えているとします;その場合,初めて避けられない失敗が生じた時にどう対処するのでしょう? きっとパニックになり,混乱し,失敗による後退を苦行と感じるでしょう.そのミスをその後のゲーム中に引き摺ってしまえば,ミスによる影響は本来のものよりずっと大きくなってしまうでしょう.
ミスを避けるための方法を教えるというのも悪くはないのですが,それはかなり込み入った話ですし,様々な戦略における方法を包括的に話すことは非現実的です.MTGのコミュニティとして,我々の勝利のためのセオリーと戦略を継続的に前進させるためには,全てではないにしても殆ど解明されている領域,MTGのプレイについてを探求しなければならないのです. ミスをしない人などいないので,理想論には意味がありません.
そのためにまずできる重要なことは,ミスに気付ける様になるための練習をすることです.友人が全てを見られる状態でプレイテストする,そしてミスを指摘してもらう(トーナメントではマッチが終わった後に),ゲーム中に起きたミスを可能な限りメモしておく,もしくはプレイ毎に数秒間を置いてそのプレイの結果を評価する,などなど.いつミスが生じたのかをはっきりさせることが,進歩するために大切なことです.これによってそのミスを避けるための技術と,そのミスが再び生じてしまった際の対処法を学ぶことができるでしょう.こういった練習を積まなければ,22歳かそこらまで失敗せずに過ごしてきた人が初めて失敗した時と同じような事態に陥るでしょう(直訳).
ここChannelfireballで公開しているビデオはこうした練習の大きな動機付けとなるでしょう.ビデオを第三者視点で,そして時に後知恵を用いて眺めて,プレイヤーを判定するのは簡単です.しかし,自分ならそのミスを全て避けられるとは思わないでください.あなたはどこかでそれと同じか,または別のミスを犯しているでしょう.上手いプレイが行われた際に,観戦者はそれを当然と考え ,自分も同じ結論に至れると決めてかかりますが,実際にはそうできない人もいるはずです.そうした場合,ミスも含めてその後の行動を決定し,リカバリーに努めるしか道はないのです.スマートにプレイしましょう.しかしそれ以上に重要なのは謙虚にプレイすることで,そして後悔しないことです.読んでくれてありがとうございました.
Conley Woods
@Conley81 on Twitter
DeckDoctor@channelfireball.com for Deck Doctor submissions
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注釈部
注1)If you allow a mistake to pave a labor intensive path for the remainder of the game, that mistake has manifested exponentially from what its actual impact should have been.
That前はミスによって生じる苦難(?)を「a labor intensive path」と表現してて,それをallowすれば,という意味だと考えました.That以下はmanifestedがどういうニュアンスかよく分かりませんでした.what its actual impact should have been.が「本来あるべきインパクト」でそれより「指数関数的=exponentially」にmanifestするとはどういう意味なのでしょう?
注2) To do anything less is an elitist take on a matter in which there are no elite.
ここは全く分からなかった
注3) We take it for granted when a good play is made and assume we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
構文はこうですよね
We take it for granted (when a good play is made and assume) we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
CFの仲間が同じ結論に当然達すると思っているが,実際には(ミスをするから)そうでない場合もある
次の文とつなげるためには↑の様な意味としたいのですが,some people wouldn’t have=「ミスする場合もある」とするのは不自然.
注4) There is no substitution for putting all of this into action and working on your mistake recovery first hand.
Putting all of this into action=「これ」を行動に入れる=「犯したミス」を考慮に入れてプレイする
Mind Boggling Technology – Staying Two Steps Ahead
http://www.channelfireball.com/articles/mind-boggling-technology-staying-two-steps-ahead/
Posted by Kyle Boggemes
January 2, 2011
記事は表題の青コンミラーのプレイング解説+エクテンのデッキを個別解説
訳したのは前者だけ
以下本文
こんにちは。今日は青いコントロールデッキのミラーマッチにおいて何が鍵になるかについてと、僕のエクテン調整の近況について議論したいと思います。いつもの記事とはアプローチを変えてみました。というのも最近、僕はFacebookで「青いコントロールデッキ対決において覚えておくべき重要な事はなにか」をポストしてみたのです。そうしたら、僕より上手い人から沢山の回答をもらえたので、これを纏め上げれば面白いぞと考えたわけです。大体は既によく知っているものでしたが、これから絶対に覚えておこうと思う興味深い考えもいくつか学べました。
青いコントロールデッキがtier1に居るのは珍しいことではないので、そのミラーマッチは非常に重要です。もし青対決において満足できるプレイができるなら、デッキをより他のアーキタイプに強く作れるでしょう。僕は青対決にかなりに自信があるので、僕は自分のデッキのコントロールデッキ対策は少なくして、アグロやコンボによりスロットを割いています。
では、青コントロールのミラーマッチにおいて重要な要素をいくつか、以下に記します:
Ben Ashman
-対戦相手が使う脅威のコストは何マナか?
つまり相手のプレイするカードに注意しておけということで、これは非常に重要です。例として、4CCのキーカードについて考えてみると《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum(ALA)》、《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》があります。対戦相手がそれらをキャストできるか、できそうになったら注意してください。対戦相手の1UUが立っているときに《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》をケアして動く必要がないのは明らかですが、続くターンに《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》がプレイされる可能性は考慮する必要があります。また、対戦相手が6マナ寝かせているからといってこちらもタップアウトしてしまうと、続くターンに《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum(ALA)》を打たれて壊滅的な結果になるでしょう。一呼吸おいて対戦相手が続くターンに何ができるかについて、相手のマナベースから考えましょう。
Luis Scott-Vargas
- 攻防する価値のあるカードは何?
Carlos Romaoは2002年の世界選手権においてこの戦略を用いました。当時のサイカトグのミラーマッチにおいて一般的な戦い方はドロースペルを打ち消すことでした。そんな中、彼が採用した戦略は盤面に影響を及ぼし、勝ちに繋がるカードのみを打ち消すというものでした。CarlosはFact or Fiction やDeep Analysisといったカードはミラーマッチで重要ではないと判断し、それらのカードは通したのです(he left them alone)。このコンセプトは今も「打ち消すべき最も重要なカードはなにか、通しても問題のないカードはなにかを判別する」という形で使うことができます。どちらのデッキにも勝ちをもたらすカードはそう多くないので、ミラーマッチは特定のカードを中心に廻ります。
- 手札に打ち消し呪文が無くても、相手はその可能性を考慮している
打ち消された場合を考えて行動しなければならないので、打ち消し呪文を持っているというブラフはとても効果的な戦略です。1UUU を前にして《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum(ALA)》をブッパしても残念な結果が待っているだけでしょう。そうせざるを得ない場面もありますが、そういったプレイは大抵負けに繋がります。対戦相手がブラフをしていると思えることもありますが、断定するのは困難です。《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》を持っているフリをするために《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》をキャストしないのは恐らく正しいプレイなのです。カウンターを持っているというシグナルを送る様なプレイを1ターンするだけで、相手はその可能性を考慮する様になるでしょう。引いてきた脅威をすぐさまブッパし続けるWafo-Tapaを見たことがありますか?あるいはdance aroundして相手の手札を読むそぶりを全く見せない彼のプレイを見たことがありますか(一部意味分からない、文法とれてない・原文:do you see him dance around and make sure to not give his opponent any value out of their cards)?
Greg Hatch
-対戦相手が呪文を打ってきた際に、適切な思考時間が取れる様、ターンを返す前に何を打ち消すか決めておけ
これは習得するのに時間がかかります。また、僕がやっていなかったことでもあります。これをstallingと混同しないでください、代わりに相手のターンでの思考時間が減るのですから。これをやるメリットは何がこちらの手札にあるかの迷彩となることです。対戦相手にはソーサリースピードの呪文で一杯になってしまっている様に思わせる一方で、実は《マナ漏出/Mana Leak(M11)》と《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》で何を打ち消そうか考えているわけです。直感的な戦略でないため、これをやっているプレイヤーはあまり多くありません。なので、この戦略は貴方に大きなアドバンテージをもたらすでしょう。
時間の管理は青コントロールのミラーマッチで非常に重要です。1マッチの時間はそんなに長くないので、何をするか決める時間もそんなにないのです。いくつかの単純なルールとfamiliarity(訳注:自身がミラーに精通してるという意味かな)によって、私は大抵のコントロールミラーを終了10分前くらいに終わらせます。
Adam Yurchick
-必然的に勝つデッキはどちらか見極めろ
これはデッキ構築時にさらに重要となりますが、ゲーム中でも用いることができます。長期戦で負けないコントロールデッキは他のタイプの青コントロールに有利がつくことがしばしばあります。Tron vs. NLBを例にとってみると、Tron側にはCounterbalanceで止められない長期戦用の脅威が大量に積まれています。Next Level Blue には高コストの脅威に対処する手段がないので、長期戦では常にTronに軍配が上がります。ある種のカードアドバンテージ・エンジンのようなものがあったなら、長期戦は貴方のものでしょう。ここ数年の青いデッキが「必然的に勝てるデッキ」でないことは確かですが、何か新しいエンジンが現れれば、それに対する備えが必要になるでしょう。
(長期戦で)必然的に勝てるデッキのもう1つの例はMystical Teachingをベースにしたデッキです。デッキ名となっているカードをフラッシュバックし続けることでより多くの同名のカードを手に入れられるからです。このデッキはコンスタントに更なるアドバンテージを稼ぐことができ、大量のマナが利用できる様になればゲームに勝つことができます。
Ari Lax
-ビートダウンを仕掛けるべき時と、仕掛けるべき側を理解しろ
青コンのミラーをプレイしていると、どちらがそのマッチでビートダウンするプレイヤーなのか明確になる場面が常にあります。フェアリーと青白コンや《目覚ましヒバリ/Reveillark(MOR)》デッキのマッチアップでは、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》がビートダウンは偉大なビートダウン手段となります。非常に分の悪いマッチアップなので、青白側がフェアリーを倒すには可能な限りアグレッシブに振舞うしかないのです。フェアリーは根本的に他の青コンに有利なカードを核として構成されているので、相手の土俵に引きずり込まれる前に勝負に行かなければならないのです。こういった理由があるので、僕が最近作った4CCのリストには常に《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》が含まれています。4CCにとって不利なマッチアップはいくつかありますが、そういったデッキとの対戦で《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》は《前兆の壁/Wall of Omens(ROE)》よりずっといい仕事をするのです。
Travis Woo
-慎重に
最も重要なことなので最後にしました。コントロールミラーにおいて常に先に動いてしまう人は、対戦相手に対して馬鹿げた読みをしていなくても、それだけで負けてしまうことがしばしばあります。これはコントロールのミラーマッチにおいて最も重要なことなので、私は前の記事でも言及しました。先にジェイスをプレイしてしまうとそれは《マナ漏出/Mana Leak(M11)》され、相手のターンにジェイスを置かれて負け、となるでしょう。
コントロールミラーにおいては2歩先じることが全てです(The control mirror is all about being two steps ahead of the game)。 2枚のアンタップ状態の土地を前にしてジェイスをプレイすることが殆ど考慮されないのは、それが負けに一番近づける手段だからです。青コンのミラーマッチにおいて同様のシナリオはどのフォーマットにおいても起きますが、役割を担うカードは変わります。エクステンデッドにおいては、1UUUを前にしてソーサリースピードの呪文をプレイしてはいけません。相手はその呪文をカウンターして、カードを1枚引いて、自分のターンに何しらを唱えることができるからです。これこそが、大多数の人がコントロールミラーが退屈だとみなしている理由で、またこういったこと(1UUUを前にした呪文のブッパ)が全く起らない理由なのです。
実際には、青コンミラーにおいてこれは頻繁に起りますが、それは私達が慣れたやり方ではありません (The reality is that a lot is occurring in the blue control mirror, but not in the way we are used to)。 例えば残酷コンを例にとると、脅威は《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》でバックアップできるまでキャストを待った方がいいのです。相手も同じ呪文を使う事を想定しないといけないからです。また対戦相手は《マナ漏出/Mana Leak(M11)》の様な別な打ち消し呪文も持っているので、それも考慮に入れなければなりません。簡単に言えばそれがこのマッチアップが非常に長くなる理由です。
結論
青コンミラーにおいては常に最悪のシナリオに備えるべきです。相手の手札の枚数・各ターンに使用可能なマナの総量をチェックすることでそのシナリオが分かります。対戦相手が貴方の呪文を打ち消せる状態なら、そうされると考えましょう。マッチアップで不利がついていたり、相手が長期戦で必ず勝てる構成だったりするならアグレッシブにプレイするべきです。手札を悟られないために、どのカードが貴方のゲームプランにとって脅威となるかキャストされる前に考えましょう。常に2歩先じた状態でゲームを進めるようにしましょう。because you don’t want to be left wondering how it went so far downhill in a single turn. こういったアドバイスを取り入れて練習を積めば、青コンのミラーマッチは今よりずっと簡単になるでしょう。
この後はエクステンデッドのTier1デッキの解説
《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite(LRW)》は苦花でてると強いけど,それはもう勝ってる場だから3枚でいいとか
俺の彼女はアトランタでジャンド使うぜとか(そーいえばこの人前も彼女とプレミアイベント行くことアピールしてたな.ちくしょう)
あとここでもJB2002さんの青白コンが紹介されていたり
ちょと前の記事なので割愛
記事ここまで
――――――――――――――――――――――――――――――――――
修論が佳境に入ってるのに最近DN依存度が徐々に上がりつつあるのでちょっと距離置きます.別に訳する時間ぐらいはあるんだが,更新しちゃうとアクセス数とかコメとか気にしてついつい見ちゃうし,MTGの日記がDN上には山ほどあるから入り浸ってしまうんですよね.このメリハリの無さが今後生きてく上で1つ大きな課題だなーと思うけど今は距離置くという解決策しかとれない
というわけで2月中旬に復帰できればいいかなと
ではまたノシ
http://www.channelfireball.com/articles/mind-boggling-technology-staying-two-steps-ahead/
Posted by Kyle Boggemes
January 2, 2011
記事は表題の青コンミラーのプレイング解説+エクテンのデッキを個別解説
訳したのは前者だけ
以下本文
こんにちは。今日は青いコントロールデッキのミラーマッチにおいて何が鍵になるかについてと、僕のエクテン調整の近況について議論したいと思います。いつもの記事とはアプローチを変えてみました。というのも最近、僕はFacebookで「青いコントロールデッキ対決において覚えておくべき重要な事はなにか」をポストしてみたのです。そうしたら、僕より上手い人から沢山の回答をもらえたので、これを纏め上げれば面白いぞと考えたわけです。大体は既によく知っているものでしたが、これから絶対に覚えておこうと思う興味深い考えもいくつか学べました。
青いコントロールデッキがtier1に居るのは珍しいことではないので、そのミラーマッチは非常に重要です。もし青対決において満足できるプレイができるなら、デッキをより他のアーキタイプに強く作れるでしょう。僕は青対決にかなりに自信があるので、僕は自分のデッキのコントロールデッキ対策は少なくして、アグロやコンボによりスロットを割いています。
では、青コントロールのミラーマッチにおいて重要な要素をいくつか、以下に記します:
Ben Ashman
-対戦相手が使う脅威のコストは何マナか?
つまり相手のプレイするカードに注意しておけということで、これは非常に重要です。例として、4CCのキーカードについて考えてみると《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum(ALA)》、《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》があります。対戦相手がそれらをキャストできるか、できそうになったら注意してください。対戦相手の1UUが立っているときに《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》をケアして動く必要がないのは明らかですが、続くターンに《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》がプレイされる可能性は考慮する必要があります。また、対戦相手が6マナ寝かせているからといってこちらもタップアウトしてしまうと、続くターンに《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum(ALA)》を打たれて壊滅的な結果になるでしょう。一呼吸おいて対戦相手が続くターンに何ができるかについて、相手のマナベースから考えましょう。
Luis Scott-Vargas
- 攻防する価値のあるカードは何?
Carlos Romaoは2002年の世界選手権においてこの戦略を用いました。当時のサイカトグのミラーマッチにおいて一般的な戦い方はドロースペルを打ち消すことでした。そんな中、彼が採用した戦略は盤面に影響を及ぼし、勝ちに繋がるカードのみを打ち消すというものでした。CarlosはFact or Fiction やDeep Analysisといったカードはミラーマッチで重要ではないと判断し、それらのカードは通したのです(he left them alone)。このコンセプトは今も「打ち消すべき最も重要なカードはなにか、通しても問題のないカードはなにかを判別する」という形で使うことができます。どちらのデッキにも勝ちをもたらすカードはそう多くないので、ミラーマッチは特定のカードを中心に廻ります。
- 手札に打ち消し呪文が無くても、相手はその可能性を考慮している
打ち消された場合を考えて行動しなければならないので、打ち消し呪文を持っているというブラフはとても効果的な戦略です。1UUU を前にして《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum(ALA)》をブッパしても残念な結果が待っているだけでしょう。そうせざるを得ない場面もありますが、そういったプレイは大抵負けに繋がります。対戦相手がブラフをしていると思えることもありますが、断定するのは困難です。《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》を持っているフリをするために《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》をキャストしないのは恐らく正しいプレイなのです。カウンターを持っているというシグナルを送る様なプレイを1ターンするだけで、相手はその可能性を考慮する様になるでしょう。引いてきた脅威をすぐさまブッパし続けるWafo-Tapaを見たことがありますか?あるいはdance aroundして相手の手札を読むそぶりを全く見せない彼のプレイを見たことがありますか(一部意味分からない、文法とれてない・原文:do you see him dance around and make sure to not give his opponent any value out of their cards)?
Greg Hatch
-対戦相手が呪文を打ってきた際に、適切な思考時間が取れる様、ターンを返す前に何を打ち消すか決めておけ
これは習得するのに時間がかかります。また、僕がやっていなかったことでもあります。これをstallingと混同しないでください、代わりに相手のターンでの思考時間が減るのですから。これをやるメリットは何がこちらの手札にあるかの迷彩となることです。対戦相手にはソーサリースピードの呪文で一杯になってしまっている様に思わせる一方で、実は《マナ漏出/Mana Leak(M11)》と《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》で何を打ち消そうか考えているわけです。直感的な戦略でないため、これをやっているプレイヤーはあまり多くありません。なので、この戦略は貴方に大きなアドバンテージをもたらすでしょう。
時間の管理は青コントロールのミラーマッチで非常に重要です。1マッチの時間はそんなに長くないので、何をするか決める時間もそんなにないのです。いくつかの単純なルールとfamiliarity(訳注:自身がミラーに精通してるという意味かな)によって、私は大抵のコントロールミラーを終了10分前くらいに終わらせます。
Adam Yurchick
-必然的に勝つデッキはどちらか見極めろ
これはデッキ構築時にさらに重要となりますが、ゲーム中でも用いることができます。長期戦で負けないコントロールデッキは他のタイプの青コントロールに有利がつくことがしばしばあります。Tron vs. NLBを例にとってみると、Tron側にはCounterbalanceで止められない長期戦用の脅威が大量に積まれています。Next Level Blue には高コストの脅威に対処する手段がないので、長期戦では常にTronに軍配が上がります。ある種のカードアドバンテージ・エンジンのようなものがあったなら、長期戦は貴方のものでしょう。ここ数年の青いデッキが「必然的に勝てるデッキ」でないことは確かですが、何か新しいエンジンが現れれば、それに対する備えが必要になるでしょう。
(長期戦で)必然的に勝てるデッキのもう1つの例はMystical Teachingをベースにしたデッキです。デッキ名となっているカードをフラッシュバックし続けることでより多くの同名のカードを手に入れられるからです。このデッキはコンスタントに更なるアドバンテージを稼ぐことができ、大量のマナが利用できる様になればゲームに勝つことができます。
Ari Lax
-ビートダウンを仕掛けるべき時と、仕掛けるべき側を理解しろ
青コンのミラーをプレイしていると、どちらがそのマッチでビートダウンするプレイヤーなのか明確になる場面が常にあります。フェアリーと青白コンや《目覚ましヒバリ/Reveillark(MOR)》デッキのマッチアップでは、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》がビートダウンは偉大なビートダウン手段となります。非常に分の悪いマッチアップなので、青白側がフェアリーを倒すには可能な限りアグレッシブに振舞うしかないのです。フェアリーは根本的に他の青コンに有利なカードを核として構成されているので、相手の土俵に引きずり込まれる前に勝負に行かなければならないのです。こういった理由があるので、僕が最近作った4CCのリストには常に《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》が含まれています。4CCにとって不利なマッチアップはいくつかありますが、そういったデッキとの対戦で《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》は《前兆の壁/Wall of Omens(ROE)》よりずっといい仕事をするのです。
Travis Woo
-慎重に
最も重要なことなので最後にしました。コントロールミラーにおいて常に先に動いてしまう人は、対戦相手に対して馬鹿げた読みをしていなくても、それだけで負けてしまうことがしばしばあります。これはコントロールのミラーマッチにおいて最も重要なことなので、私は前の記事でも言及しました。先にジェイスをプレイしてしまうとそれは《マナ漏出/Mana Leak(M11)》され、相手のターンにジェイスを置かれて負け、となるでしょう。
コントロールミラーにおいては2歩先じることが全てです(The control mirror is all about being two steps ahead of the game)。 2枚のアンタップ状態の土地を前にしてジェイスをプレイすることが殆ど考慮されないのは、それが負けに一番近づける手段だからです。青コンのミラーマッチにおいて同様のシナリオはどのフォーマットにおいても起きますが、役割を担うカードは変わります。エクステンデッドにおいては、1UUUを前にしてソーサリースピードの呪文をプレイしてはいけません。相手はその呪文をカウンターして、カードを1枚引いて、自分のターンに何しらを唱えることができるからです。これこそが、大多数の人がコントロールミラーが退屈だとみなしている理由で、またこういったこと(1UUUを前にした呪文のブッパ)が全く起らない理由なのです。
実際には、青コンミラーにおいてこれは頻繁に起りますが、それは私達が慣れたやり方ではありません (The reality is that a lot is occurring in the blue control mirror, but not in the way we are used to)。 例えば残酷コンを例にとると、脅威は《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》でバックアップできるまでキャストを待った方がいいのです。相手も同じ呪文を使う事を想定しないといけないからです。また対戦相手は《マナ漏出/Mana Leak(M11)》の様な別な打ち消し呪文も持っているので、それも考慮に入れなければなりません。簡単に言えばそれがこのマッチアップが非常に長くなる理由です。
結論
青コンミラーにおいては常に最悪のシナリオに備えるべきです。相手の手札の枚数・各ターンに使用可能なマナの総量をチェックすることでそのシナリオが分かります。対戦相手が貴方の呪文を打ち消せる状態なら、そうされると考えましょう。マッチアップで不利がついていたり、相手が長期戦で必ず勝てる構成だったりするならアグレッシブにプレイするべきです。手札を悟られないために、どのカードが貴方のゲームプランにとって脅威となるかキャストされる前に考えましょう。常に2歩先じた状態でゲームを進めるようにしましょう。because you don’t want to be left wondering how it went so far downhill in a single turn. こういったアドバイスを取り入れて練習を積めば、青コンのミラーマッチは今よりずっと簡単になるでしょう。
この後はエクステンデッドのTier1デッキの解説
《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite(LRW)》は苦花でてると強いけど,それはもう勝ってる場だから3枚でいいとか
俺の彼女はアトランタでジャンド使うぜとか(そーいえばこの人前も彼女とプレミアイベント行くことアピールしてたな.ちくしょう)
あとここでもJB2002さんの青白コンが紹介されていたり
ちょと前の記事なので割愛
記事ここまで
――――――――――――――――――――――――――――――――――
修論が佳境に入ってるのに最近DN依存度が徐々に上がりつつあるのでちょっと距離置きます.別に訳する時間ぐらいはあるんだが,更新しちゃうとアクセス数とかコメとか気にしてついつい見ちゃうし,MTGの日記がDN上には山ほどあるから入り浸ってしまうんですよね.このメリハリの無さが今後生きてく上で1つ大きな課題だなーと思うけど今は距離置くという解決策しかとれない
というわけで2月中旬に復帰できればいいかなと
ではまたノシ
http://www.channelfireball.com/articles/careful-consideration-not-taking-the-bait/
Posted by Zaiem Beg
October 28, 2010
Zaiem Begによる対戦相手の「プレイミス」をどう扱うかについての話です。どんな場合にミスが期待でき、そしてできないのかについて説明しています。訳がへなちょこで筆者の言いたいことちゃんと伝わるか不安。
以下本文
こんにちは。初めてchannelfireball.comに記事を書くことになって、とても興奮しています!
実は初めてではないのですが…でもそれに近い気分なのです。私に馴染みがない人、またはchannelfireball.comの記事を最近6ヶ月以内に読み出したのために説明すると、私はサイト設立当初から今年の5月まで、このサイトの週刊記事のライターでした。そして、去年の11月からはこのサイトのエディターをやっています(LSVとともに)。私を簡単に表すとすれば、PTQサーキットプレイヤーといえます(My quick resume is PTQ grinder:妄想訳)。最近ではPTアムステルダムでプレイし、2日目には残れませんでしたが、一緒に調整した仲間からは限りなく学ぶ事があり、私がMTGとそれに関わる全ての人を愛していることが確認できました。
今年の春にスタンダードシーズンが始まってから、私は記事を書くために必要な、論理的な環境理解が十分にできてないと感じる様になり、MTGにおける執筆活動は徐々に減っていきました。きたるべきトーナメントにおけるベストなジャンドデッキの構築法が分からなくなり、Mythicに対して何を備えればいいのかなど、全てが揺らいで見え、確信を持つことができませんでした。続くM11のリミテッドにおいては取り立てて記事にするようなことはありませんでした。でも、M11に関する洞察を少し提供してあげましょう:
1. Crystal BallはM11ドラフトで最も過大評価されたカードである。
2. Necrotic PlagueはM11ドラフトにおいて犯罪的に過小評価されたカードである。傷跡ドラフトがMOでリリースされた1週間前の8-4ドラフトでさえ、Necrotic Plaguesが5ピック目まで流れていました。皆、見てみなさい、 ドラフトビデオにおいてLSVやConleyは次の様なことをいっていますー “なんでこのカードがまだあるの?こいつは基本的にWrath of Godなのに”。 これは誇張ではありません。It’s as if people have protection from words
え、まだ終わってないフォーマットの話が聞きたいって?やれやれ、手のかかる読者ですねぇ。私は今からローウィンのレヴューをするのもやぶさかではないというのに。
ま、おそらくあなたはここに有用なMTGのコンテンツを求めてやってきたのでしょうから、もうちょっと最近のフォーマットで、頻繁に起きうる諸々について話すべきですかね。
では、ミラディンの傷跡ドラフトをプレイしているとしましょう。ラウンド1のゲーム1で、マリガンして6枚の手札からスタート。その後沼、平地、Gold Myrとプレイしたとします。対戦相手の対戦相手はマリガンなしで7枚のハンドをキープしています。
で、対戦相手が沼からFume Spitterを1ターン目にプレイ。2ターン目には山をセットしてFume Spitterでアタックしてきました。
あなたのハンドは:
Rusted Relic
Chrome Steed
Razor Hippogriff
Darksteel Juggernaut
あなたは土地が17枚のデッキを組んでいて、対戦相手について何も知らないとします(MOにいるだれかさんです)。さぁ。どうプレイしますか?
5マナ生物と4マナ生物が2枚ずつ手札にあり、しかし4枚目のマナソースはありません。次に土地が引けなければ、マナトラブルが起きることになります。手札は4マナ以上のスペルで渋滞しているというのに…
対戦相手がFume Spitter を場に出していて、それがあなたのGold Myrを殺してさらなるマナスクリューが起きる可能性が高いこのシチュエーションは、いずれにせよまずい事態です。でも対戦相手はあなたの手札に土地が無いことを知りません。あなたはアタックをスルーし、ライフを19として、対戦相手がマイアを見逃すことを祈るでしょう。対戦相手がマイアを殺さないのは大抵間違い(対戦相手があなたの手札が土地でいっぱいだと考えていたとしても)ですが、人は間違いを犯すものです。
この一連のプレイにおいて、あなたは1点のライフを犠牲にしますが、土地が引ければ状況が好転するというシチュエーションに持っていくことができます。いずれにせよ、窮地に立たされていて、状況が好転するためにはなにかが起きる必要があるわけですから、1点のライフを危険に晒す価値はあるのです。対戦相手がミスを犯す可能性が生じ、それによりあなたの勝つチャンスは多少増すからです。
問題は、対戦相手がマイアを見逃すことなどとても起きそうにないということです。Fume SpitterがMyrに突っ込んできた際にそれをスルーすることは、いつ何時も、1点のライフ をリターンなしに相手に献上する結果に終わるでしょう。
(変なこと書いちゃったかな(I’ve got a sick read))
How can I be so sure?
では、次に対戦相手がミスを犯す可能性がもっと高いケースについて考えてみましょう:
A contrasting scenario
あなたはNecropedeを場に出しており、他にクリーチャーはいないとします。あなたのデッキは遅いけれどゲーム後半に強いので、Necropedeはブロッカーとして採用しています。また、あなたのデッキには増殖を行う手段(Contagion Claspの様な)はないものとします。つまり、ゲーム序盤に毒カウンターを与えて増殖…という勝ちは起こりません。Necropedeがデッキ唯一の感染クリーチャーなので毒での勝利はありえないのです。そしてこれは3ゲーム目で、対戦相手あなたのデッキが毒デッキでないことはよく判っています。対戦相手はMyrsmithを場に出しました。あなたの手札には一枚のDispense Justiceがあります。
(Necropedeで)アタックしてもスルーされるのが予想できます;もし彼がMyrsmithでブロックするとすれば、それはあなたにとってよいことでしょう。ここでのブロックは彼に不利な結果になるので、おそらくブロックはされないでしょう。また、もしNecropedeをブロッカーとして残したら、myrsmithはアタックしてこないでしょう。
しかし、あなたがNecropedeでブロックするという可能性を無くしてやれば、彼はMyrsmith(できればアーティファクトスペルをキャストする前に戦闘に入って欲しいものです)でアタックしてくるでしょうし、そうなれば甘くておいしい正義の施行でMyrsmithを卓から排除することができます。それはあなたが望むところでしょう。
優秀なプレイヤーならDispense Justiceを握っている(Necropedeでアタックして、3マナを立てておく理由が他にありますか?対戦相手はあなたのデッキが毒絡みでないことを知っているのです)ことを読むかもしれません。 そして、アタックせずにターンを返すかもしれません。それでも、アクティブなMyrsmithは戦闘で除去することができない→Myrsmithによるアタックを引き出すためにNecropedeでアタック、という一連のプレイは合理的です。そこには対戦相手がミスを犯す可能性があり、そのミスこそがあなたの望むことなのですが、あなたの勝率を上昇させるでしょう。
2つ目のシナリオにおいては、未知なる対戦相手が時にミスを犯すことを、それなりに期待できます。なぜ1つ目の例ではそれが期待できないのでしょう?
(この例において、あなたがDispense Justiceを持っているふりをしている、という場合もありますが、それはこのシナリオで深く論じる部分ではありません; この例はただ「対戦相手のミスを誘い出せる」シナリオの例として、「誘い出せない」例と対比するために提示したものです。)
Revisiting the scenarios from their perspective
これら二つのシチュエーションにはいくつかの差異があります。 まずNecropedeと into Dispense Justiceの例において、対戦相手が何を考えるかについて考察してみましょう。
1つの可能性は、対戦相手がなにも考えていない、という場合です。対戦相手があなたの手札になにがあるか、またはあなたがなぜ3マナ立ててターンを返したかについて考えない。これはとりわけ新しいフォーマットにおいてありがちなミスです。どんな環境でプレイしているのか知らない/理解していないプレイヤーと対戦する機会が頻繁にあるのです。(ゼンディカーのプレリリースにおいて、2体のクリーチャーを展開しながら私は次のように考えていました 。“Infest/Pyroclasm系のカードがあれば嬉しいんだがなぁ―場が一掃されても、僕の手札にはリカバリーできるものがあるから。その後に、対戦相手はキッカー込みのMarsh Casualtiesをキャストしました。ちょっとまて、何そのカード!?そのゲームで、私は勝つことができませんでした。)
また別の可能性として、対戦相手は何らかの理由で、MyrsmithにDispense Justiceが打たれることを気にしていない、という場合もあります。彼はMyrsmithとDispense Justice のトレードを了解してよいという結論(正しいのか間違っているのか、おそらく間違っていますがそれは別として)に達したのです。もしかしたら対戦相手はMolten-Tail Masticore を持っていて、そして遅いゲームになることを知っているから、Justiceを取り除けばMasticoreでビートダウンができると考えたのかもしれません。その様な場合でもMyrsmithでのアタックはおそらく間違いでしょう。アタックさせずに1/1を量産させることは長いゲームにおいて助けになるでしょうし、ゲーム後半に一匹の1/1 を率いてMasticoreで攻撃する (金属術が達成されているなら2匹率いて) 、という方法もまたDispense Justice を回避する策として取れるのですから。
対戦相手がある行動に至る最適解ではない理由を、私たちはいろいろ考えることができます。しかしそれらについて深く考えることは、特に重要ではありません。気に留めておくべきことは対戦相手がなにかしらの論理的な理由を持ってその行動を取っているという点です。たとえそのロジックが間違っていたとしても。
では、Fume Spitterと mana Myrの例において対戦相手が何を考えるか、考察してみましょう:
彼がFume Spitterを生贄に捧げないということは、相手がこのトレードを行いたくないということを意味しています。例えば、その後出てくるMyrsmithやEmbersmith、またはそれらと同じくらい脅威となるx/1クリーチャーに対処するためにFume Spitterを温存 したいと考えている場合などです。
もし対戦相手がFume Spitterを未来の脅威のために温存したいならば、彼がアタックしてくる理由はありません。彼のアタックには“俺はこれらクリーチャー同士のトレードを望んでいるんだぜ”という意味が含まれています。もしあなたがブロックしないなら、彼は交換の選択を戦闘後にも保持することができます。しかし、その選択はアタックした際に既に決められているのです。 When they make the active choice to turn the Fume Spitterをレッドゾーンに送るという能動的な選択は、“お前が何をしようとこいつをお前のそれと交換するつもりだぜ”と言っているのと同じなのです。 それに加えて、あなたがブロックしないことは、マイアを生かしたいという意志を明確に表してしまうでしょう。これは彼がマナクリーチャーを殺す更なる理由となります。
しかしながら、人は常に愚かな間違いを犯すものです。既に詰んでいることを失念したり戦闘ステップを飛ばしたり、土地を置き忘れたり。彼らの脳では「短絡」が起きてしまったのです。しかし、土地を置き忘れるとこと、「何か」をするのを忘れることには差異があります。詰んでいることが分からない理由としては、ライフを確認するのを忘れた、または場がかなり複雑である、などがあります。「短絡」がおきるのは、大抵「何かするのを忘れた」場合です。しかし、Fume Spitterで、マナマイアに突っ込む例の場合は、その行動において対戦相手は意識的な決定をしています。クリーチャーをアタックさせるという能動的な決定と、勝つためにアタックしない(または土地をださない、など)という受動的な決定の間にある差異の重要性を過小評価しないでください。
場の複雑さも、この例にはない要素です。この場合の場はとてもシンプルです。自分も相手もそれぞれ1/1を1体コントロールしているだけで、さらにあなたはタップアウトしています。この例には決断に影響する外乱があまりなく、また戦闘での複雑な計算やパンプアップ・スペルの存在等もありません。
人がなにか行動を起こすときは、それをするための理由があります。たとえその理由が100%の正しさがないとしても、理由なしに無作為な行動をとる人などそうそういるものではありません。最も初歩的なFume SpitterとMyrの例においてもです。トレードをしたくないと考えているなら、アタックなどしないでしょう–たとえトレードすることが正解だとしても(相手はマナマイアを過小評価しているかもしれません;マイアなどたいした価値はないと。あなた側のクリーチャがSylvan RangerやMemniteであったとしても、彼らの行動決定の仕方は同じです。わりと最近のスタンダードやリミテッドにおいて、Mogg Fanatic とLlanowar Elvesがいる場で非常に似た思考プロセスが生じていました。)
対戦相手がFume Spitterでアタックしてかつマナマイアとのトレードをよしとしていない場合は、パンプアップ系のスペルを持っているときだけです。しかしこのシチュエーションは相当レアで、その確信を持つためにはかなりの取り繕いが必要になります– それはもっと複雑かつ特別な読みで、“わけの分からないオカルト”に属する話になります。あなたがSpitterをマイアでブロックしないのを正当化するためには、以下の仮定が必要になります:
1 – パンプスペルが相手の手札にあって
2 – 相手はパンプスペルをマイアと交換するつもりがあり
3 –Fume Spitterをその後でてくる何かに使うために、温存しようという結論に達した
2ターン目の段階でこれらを全て検討するなら、どうぞ頑張ってください。
最後に挙げられる、アタックをしてかつトレードを望んでいない別な理由として、対戦相手のプレイがかなり未熟であるという場合があります。リミテッドにおいて、対戦相手のデッキが58枚だったりしたら、彼はまだ戦闘のメカニズムについてまだ不慣れな可能性が高いでしょう。このシチュエーションにおいては、ブロックしないことに十分な価値があります。しかしこれはかなり下の下のプレイヤーです。見知らぬ対戦相手と対峙する場合、私は一定の競技レベルを持っているプレイヤーだと想定して行動します。なので、マイアを殺すつもり無しにアタックしてくる理由が考えられません。
纏めると、あなたがマイアでブロックしないということは、ゲームをライフ19で始めたのと同じだということです。あなたは1点のライフを無償で差し出したのです。あなたの手札の4~5マナのカードに引きずられて“でも、彼がSpitterを生贄に捧げなければ、僕にもまだ挽回するチャンスがある!” と考えてしまうのでしょう。この無用の1点のためにゲームを落とす回数は、マイアがアンタップ状態で次ターンを迎えて勝つ回数よりずっと多いでしょう。なぜなら、対戦相手がマイアを殺すゲームのほうが圧倒的に多いからです。その上、あなたの手札は重いので、ライフ1点分はさらに重要性を増しています。ゲーム序盤によりダメージを与えられる可能性が高いですからね。
対戦相手がミスするよう、引っ掛けるのはゲームの一部です。また、完璧にプレイできる人などいないのですから、あなたの対戦相手はいつでもミスを犯す可能性があります。LSVがプロツアーのスイスラウンドで16-0をしていたときでさえミスがありました。なので、相手のミスをあなたの味方にするためになにかやることは、基本的にはいいことです。
しかしながら、対戦相手がなにを考えているかについても気を配る必要があります。誰かがなにか行動する際には、論理的な理由がそこにあるからです。不完全な決定は、不完全なロジックの帰結です。ロジック無き所に結果は無いのです。相手の”思考のほつれ”から生じる類のミスに頼るようなプレイが勝ちに繋がる様なことはめったにありません。その様な宝くじ的なものを期待してリソース(例えば1点のライフ。手が重いとさらに重要度を増します)を掛ける行為は、それによる勝利よりも多くの敗北に繋がるでしょう。
Yours snap-blockingly,
-Zaiem
zaiemb at gmail dot com
zbeg on Twitter
Posted by Zaiem Beg
October 28, 2010
Zaiem Begによる対戦相手の「プレイミス」をどう扱うかについての話です。どんな場合にミスが期待でき、そしてできないのかについて説明しています。訳がへなちょこで筆者の言いたいことちゃんと伝わるか不安。
以下本文
こんにちは。初めてchannelfireball.comに記事を書くことになって、とても興奮しています!
実は初めてではないのですが…でもそれに近い気分なのです。私に馴染みがない人、またはchannelfireball.comの記事を最近6ヶ月以内に読み出したのために説明すると、私はサイト設立当初から今年の5月まで、このサイトの週刊記事のライターでした。そして、去年の11月からはこのサイトのエディターをやっています(LSVとともに)。私を簡単に表すとすれば、PTQサーキットプレイヤーといえます(My quick resume is PTQ grinder:妄想訳)。最近ではPTアムステルダムでプレイし、2日目には残れませんでしたが、一緒に調整した仲間からは限りなく学ぶ事があり、私がMTGとそれに関わる全ての人を愛していることが確認できました。
今年の春にスタンダードシーズンが始まってから、私は記事を書くために必要な、論理的な環境理解が十分にできてないと感じる様になり、MTGにおける執筆活動は徐々に減っていきました。きたるべきトーナメントにおけるベストなジャンドデッキの構築法が分からなくなり、Mythicに対して何を備えればいいのかなど、全てが揺らいで見え、確信を持つことができませんでした。続くM11のリミテッドにおいては取り立てて記事にするようなことはありませんでした。でも、M11に関する洞察を少し提供してあげましょう:
1. Crystal BallはM11ドラフトで最も過大評価されたカードである。
2. Necrotic PlagueはM11ドラフトにおいて犯罪的に過小評価されたカードである。傷跡ドラフトがMOでリリースされた1週間前の8-4ドラフトでさえ、Necrotic Plaguesが5ピック目まで流れていました。皆、見てみなさい、 ドラフトビデオにおいてLSVやConleyは次の様なことをいっていますー “なんでこのカードがまだあるの?こいつは基本的にWrath of Godなのに”。 これは誇張ではありません。It’s as if people have protection from words
え、まだ終わってないフォーマットの話が聞きたいって?やれやれ、手のかかる読者ですねぇ。私は今からローウィンのレヴューをするのもやぶさかではないというのに。
ま、おそらくあなたはここに有用なMTGのコンテンツを求めてやってきたのでしょうから、もうちょっと最近のフォーマットで、頻繁に起きうる諸々について話すべきですかね。
では、ミラディンの傷跡ドラフトをプレイしているとしましょう。ラウンド1のゲーム1で、マリガンして6枚の手札からスタート。その後沼、平地、Gold Myrとプレイしたとします。対戦相手の対戦相手はマリガンなしで7枚のハンドをキープしています。
で、対戦相手が沼からFume Spitterを1ターン目にプレイ。2ターン目には山をセットしてFume Spitterでアタックしてきました。
あなたのハンドは:
Rusted Relic
Chrome Steed
Razor Hippogriff
Darksteel Juggernaut
あなたは土地が17枚のデッキを組んでいて、対戦相手について何も知らないとします(MOにいるだれかさんです)。さぁ。どうプレイしますか?
5マナ生物と4マナ生物が2枚ずつ手札にあり、しかし4枚目のマナソースはありません。次に土地が引けなければ、マナトラブルが起きることになります。手札は4マナ以上のスペルで渋滞しているというのに…
対戦相手がFume Spitter を場に出していて、それがあなたのGold Myrを殺してさらなるマナスクリューが起きる可能性が高いこのシチュエーションは、いずれにせよまずい事態です。でも対戦相手はあなたの手札に土地が無いことを知りません。あなたはアタックをスルーし、ライフを19として、対戦相手がマイアを見逃すことを祈るでしょう。対戦相手がマイアを殺さないのは大抵間違い(対戦相手があなたの手札が土地でいっぱいだと考えていたとしても)ですが、人は間違いを犯すものです。
この一連のプレイにおいて、あなたは1点のライフを犠牲にしますが、土地が引ければ状況が好転するというシチュエーションに持っていくことができます。いずれにせよ、窮地に立たされていて、状況が好転するためにはなにかが起きる必要があるわけですから、1点のライフを危険に晒す価値はあるのです。対戦相手がミスを犯す可能性が生じ、それによりあなたの勝つチャンスは多少増すからです。
問題は、対戦相手がマイアを見逃すことなどとても起きそうにないということです。Fume SpitterがMyrに突っ込んできた際にそれをスルーすることは、いつ何時も、1点のライフ をリターンなしに相手に献上する結果に終わるでしょう。
(変なこと書いちゃったかな(I’ve got a sick read))
How can I be so sure?
では、次に対戦相手がミスを犯す可能性がもっと高いケースについて考えてみましょう:
A contrasting scenario
あなたはNecropedeを場に出しており、他にクリーチャーはいないとします。あなたのデッキは遅いけれどゲーム後半に強いので、Necropedeはブロッカーとして採用しています。また、あなたのデッキには増殖を行う手段(Contagion Claspの様な)はないものとします。つまり、ゲーム序盤に毒カウンターを与えて増殖…という勝ちは起こりません。Necropedeがデッキ唯一の感染クリーチャーなので毒での勝利はありえないのです。そしてこれは3ゲーム目で、対戦相手あなたのデッキが毒デッキでないことはよく判っています。対戦相手はMyrsmithを場に出しました。あなたの手札には一枚のDispense Justiceがあります。
(Necropedeで)アタックしてもスルーされるのが予想できます;もし彼がMyrsmithでブロックするとすれば、それはあなたにとってよいことでしょう。ここでのブロックは彼に不利な結果になるので、おそらくブロックはされないでしょう。また、もしNecropedeをブロッカーとして残したら、myrsmithはアタックしてこないでしょう。
しかし、あなたがNecropedeでブロックするという可能性を無くしてやれば、彼はMyrsmith(できればアーティファクトスペルをキャストする前に戦闘に入って欲しいものです)でアタックしてくるでしょうし、そうなれば甘くておいしい正義の施行でMyrsmithを卓から排除することができます。それはあなたが望むところでしょう。
優秀なプレイヤーならDispense Justiceを握っている(Necropedeでアタックして、3マナを立てておく理由が他にありますか?対戦相手はあなたのデッキが毒絡みでないことを知っているのです)ことを読むかもしれません。 そして、アタックせずにターンを返すかもしれません。それでも、アクティブなMyrsmithは戦闘で除去することができない→Myrsmithによるアタックを引き出すためにNecropedeでアタック、という一連のプレイは合理的です。そこには対戦相手がミスを犯す可能性があり、そのミスこそがあなたの望むことなのですが、あなたの勝率を上昇させるでしょう。
2つ目のシナリオにおいては、未知なる対戦相手が時にミスを犯すことを、それなりに期待できます。なぜ1つ目の例ではそれが期待できないのでしょう?
(この例において、あなたがDispense Justiceを持っているふりをしている、という場合もありますが、それはこのシナリオで深く論じる部分ではありません; この例はただ「対戦相手のミスを誘い出せる」シナリオの例として、「誘い出せない」例と対比するために提示したものです。)
Revisiting the scenarios from their perspective
これら二つのシチュエーションにはいくつかの差異があります。 まずNecropedeと into Dispense Justiceの例において、対戦相手が何を考えるかについて考察してみましょう。
1つの可能性は、対戦相手がなにも考えていない、という場合です。対戦相手があなたの手札になにがあるか、またはあなたがなぜ3マナ立ててターンを返したかについて考えない。これはとりわけ新しいフォーマットにおいてありがちなミスです。どんな環境でプレイしているのか知らない/理解していないプレイヤーと対戦する機会が頻繁にあるのです。(ゼンディカーのプレリリースにおいて、2体のクリーチャーを展開しながら私は次のように考えていました 。“Infest/Pyroclasm系のカードがあれば嬉しいんだがなぁ―場が一掃されても、僕の手札にはリカバリーできるものがあるから。その後に、対戦相手はキッカー込みのMarsh Casualtiesをキャストしました。ちょっとまて、何そのカード!?そのゲームで、私は勝つことができませんでした。)
また別の可能性として、対戦相手は何らかの理由で、MyrsmithにDispense Justiceが打たれることを気にしていない、という場合もあります。彼はMyrsmithとDispense Justice のトレードを了解してよいという結論(正しいのか間違っているのか、おそらく間違っていますがそれは別として)に達したのです。もしかしたら対戦相手はMolten-Tail Masticore を持っていて、そして遅いゲームになることを知っているから、Justiceを取り除けばMasticoreでビートダウンができると考えたのかもしれません。その様な場合でもMyrsmithでのアタックはおそらく間違いでしょう。アタックさせずに1/1を量産させることは長いゲームにおいて助けになるでしょうし、ゲーム後半に一匹の1/1 を率いてMasticoreで攻撃する (金属術が達成されているなら2匹率いて) 、という方法もまたDispense Justice を回避する策として取れるのですから。
対戦相手がある行動に至る最適解ではない理由を、私たちはいろいろ考えることができます。しかしそれらについて深く考えることは、特に重要ではありません。気に留めておくべきことは対戦相手がなにかしらの論理的な理由を持ってその行動を取っているという点です。たとえそのロジックが間違っていたとしても。
では、Fume Spitterと mana Myrの例において対戦相手が何を考えるか、考察してみましょう:
彼がFume Spitterを生贄に捧げないということは、相手がこのトレードを行いたくないということを意味しています。例えば、その後出てくるMyrsmithやEmbersmith、またはそれらと同じくらい脅威となるx/1クリーチャーに対処するためにFume Spitterを温存 したいと考えている場合などです。
もし対戦相手がFume Spitterを未来の脅威のために温存したいならば、彼がアタックしてくる理由はありません。彼のアタックには“俺はこれらクリーチャー同士のトレードを望んでいるんだぜ”という意味が含まれています。もしあなたがブロックしないなら、彼は交換の選択を戦闘後にも保持することができます。しかし、その選択はアタックした際に既に決められているのです。 When they make the active choice to turn the Fume Spitterをレッドゾーンに送るという能動的な選択は、“お前が何をしようとこいつをお前のそれと交換するつもりだぜ”と言っているのと同じなのです。 それに加えて、あなたがブロックしないことは、マイアを生かしたいという意志を明確に表してしまうでしょう。これは彼がマナクリーチャーを殺す更なる理由となります。
しかしながら、人は常に愚かな間違いを犯すものです。既に詰んでいることを失念したり戦闘ステップを飛ばしたり、土地を置き忘れたり。彼らの脳では「短絡」が起きてしまったのです。しかし、土地を置き忘れるとこと、「何か」をするのを忘れることには差異があります。詰んでいることが分からない理由としては、ライフを確認するのを忘れた、または場がかなり複雑である、などがあります。「短絡」がおきるのは、大抵「何かするのを忘れた」場合です。しかし、Fume Spitterで、マナマイアに突っ込む例の場合は、その行動において対戦相手は意識的な決定をしています。クリーチャーをアタックさせるという能動的な決定と、勝つためにアタックしない(または土地をださない、など)という受動的な決定の間にある差異の重要性を過小評価しないでください。
場の複雑さも、この例にはない要素です。この場合の場はとてもシンプルです。自分も相手もそれぞれ1/1を1体コントロールしているだけで、さらにあなたはタップアウトしています。この例には決断に影響する外乱があまりなく、また戦闘での複雑な計算やパンプアップ・スペルの存在等もありません。
人がなにか行動を起こすときは、それをするための理由があります。たとえその理由が100%の正しさがないとしても、理由なしに無作為な行動をとる人などそうそういるものではありません。最も初歩的なFume SpitterとMyrの例においてもです。トレードをしたくないと考えているなら、アタックなどしないでしょう–たとえトレードすることが正解だとしても(相手はマナマイアを過小評価しているかもしれません;マイアなどたいした価値はないと。あなた側のクリーチャがSylvan RangerやMemniteであったとしても、彼らの行動決定の仕方は同じです。わりと最近のスタンダードやリミテッドにおいて、Mogg Fanatic とLlanowar Elvesがいる場で非常に似た思考プロセスが生じていました。)
対戦相手がFume Spitterでアタックしてかつマナマイアとのトレードをよしとしていない場合は、パンプアップ系のスペルを持っているときだけです。しかしこのシチュエーションは相当レアで、その確信を持つためにはかなりの取り繕いが必要になります– それはもっと複雑かつ特別な読みで、“わけの分からないオカルト”に属する話になります。あなたがSpitterをマイアでブロックしないのを正当化するためには、以下の仮定が必要になります:
1 – パンプスペルが相手の手札にあって
2 – 相手はパンプスペルをマイアと交換するつもりがあり
3 –Fume Spitterをその後でてくる何かに使うために、温存しようという結論に達した
2ターン目の段階でこれらを全て検討するなら、どうぞ頑張ってください。
最後に挙げられる、アタックをしてかつトレードを望んでいない別な理由として、対戦相手のプレイがかなり未熟であるという場合があります。リミテッドにおいて、対戦相手のデッキが58枚だったりしたら、彼はまだ戦闘のメカニズムについてまだ不慣れな可能性が高いでしょう。このシチュエーションにおいては、ブロックしないことに十分な価値があります。しかしこれはかなり下の下のプレイヤーです。見知らぬ対戦相手と対峙する場合、私は一定の競技レベルを持っているプレイヤーだと想定して行動します。なので、マイアを殺すつもり無しにアタックしてくる理由が考えられません。
纏めると、あなたがマイアでブロックしないということは、ゲームをライフ19で始めたのと同じだということです。あなたは1点のライフを無償で差し出したのです。あなたの手札の4~5マナのカードに引きずられて“でも、彼がSpitterを生贄に捧げなければ、僕にもまだ挽回するチャンスがある!” と考えてしまうのでしょう。この無用の1点のためにゲームを落とす回数は、マイアがアンタップ状態で次ターンを迎えて勝つ回数よりずっと多いでしょう。なぜなら、対戦相手がマイアを殺すゲームのほうが圧倒的に多いからです。その上、あなたの手札は重いので、ライフ1点分はさらに重要性を増しています。ゲーム序盤によりダメージを与えられる可能性が高いですからね。
対戦相手がミスするよう、引っ掛けるのはゲームの一部です。また、完璧にプレイできる人などいないのですから、あなたの対戦相手はいつでもミスを犯す可能性があります。LSVがプロツアーのスイスラウンドで16-0をしていたときでさえミスがありました。なので、相手のミスをあなたの味方にするためになにかやることは、基本的にはいいことです。
しかしながら、対戦相手がなにを考えているかについても気を配る必要があります。誰かがなにか行動する際には、論理的な理由がそこにあるからです。不完全な決定は、不完全なロジックの帰結です。ロジック無き所に結果は無いのです。相手の”思考のほつれ”から生じる類のミスに頼るようなプレイが勝ちに繋がる様なことはめったにありません。その様な宝くじ的なものを期待してリソース(例えば1点のライフ。手が重いとさらに重要度を増します)を掛ける行為は、それによる勝利よりも多くの敗北に繋がるでしょう。
Yours snap-blockingly,
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Posted by Alexander Shearer
ChannelFireball様の記事です
http://www.channelfireball.com/articles/in-development-which-lands-can-i-run/
現スタンにおける土地構成を確率計算に基づいて議論してみました、という内容です。今回は訳に困った部分が多いです。そういう所はアドバイス貰えないかと期待して原文載せています。
携帯からだと章立てが分かりにくかったり、表が見れなかったりして見づらいかも知れません。
2つに分けています。こちらは後半部分です。
以下本文
Leaning from the numbers
以下、先ほど(①の最後において)提示した疑問への答えを順次示します。
On Fastlands and Creature Duals
問題1)と2)は一つの大きな問題に纏まります-
テンポを阻害する土地(タップインとか)は何枚までならデッキに入れてよいのか?
最初は二つを別問題として考えていましたが、実際にはもっと簡単な問題に落とし込めると気づきました。土地の複雑な挙動とは関係なしに。さらに要約したヴァージョンは以下の様になります
4ターン目にテンポロスしないための、テンポを阻害する土地(ファストランドとタップインランド)の許容枚数はいくつか?
この問題に落とし込んだ理由はファストランドにあります。私がファストランドを運用している場合、それは3ターン目まではテンポを阻害しません。4ターン目以降にテンポの阻害を始めます。ミシュラ二色土地やその他のタップインランドは常にテンポを阻害します。しかしながら、4ターン目以降に着目するならば、妥当な置換として「4ターン目以降にどれだけのファストランドがデッキに残っていると、それ以降テンポ阻害をどれだけ受ける可能性があるか?」とすることができます。
4枚のRaging Ravinesと4枚のCoopperline Gorgeを併用するのは賢いことなのか?4枚ずつのRaging RavinesとStirring wildwoods、2枚ずつのCooperline GorgeとRazorverge Thicketをデッキに詰め込むことは?
以下がその解答です:
Land Count Badness(%)
1 0.6
2 1.4
3 2
4 2.7
5 3.4
6 4.1
7 4.8
8 5.4
9 6.2
10 7.1
11 7.6
12 8.2
簡単な説明:
「Tempo land count」は4ターン目以降にテンポを阻害する土地の総数である。ファストランド、ミシュラ2色土地、そしてすべてのタップインランド(オランリーフとか)を「Tempo land」と定義する。4ターン目以降にプレイしてそのターンにマナを生み出さない土地は、本質的に「Tempo land」である。
「Badness」はあなたが4ターン目にTempo landをプレイして立ち往生する可能性を定義した言葉である。
たとえば、以下のランドをデッキに入れているとして:
4 Raging Ravines
4 Copperline Gorge
5%の確率で「4枚目の土地をトップからプレイし、それがタップインランドのRavineまたはGorgeである」ということがおきます(訳注:大事なところなのに、難しいです。合ってない気が。原文→Approximately 5% of the time you’ll be drawing off the top for your fourth land drop, and the card you draw will be a Ravine or a Gorge, which will enter the battlefield tapped )。
また、以下のランドをデッキに含んでいる場合は:
4 Raging Ravines
4 Stirring Wildwood
2 Copperline Gorge
2 Stirring Wildwood
こちらでは、8%でその事象が起きます。
先に述べたように、こういった可能性には、プレイするに値しない初手(土地が0または1枚)を引いた場合も含んでおり、またこれら4種類の土地を1-3ターン目にプレイすることになる手札も考慮に入れています。
4ターン目以降においては、これらの土地にテンポが阻害される機会は少なくなると思いますが、(“Badness”の)相対的な値は覚えておいて損はないと思います。
この計算の結果をとりあえず頭に入れておいておきましょう。後にzendikar-scars期のスタンにおける具体的なマナベースの構築について、この値も用いて考えます。
It pays to have buddies
友達ランドの特徴はファストランドのそれとは正反対です。第1ターンにプレイするのは避けたい土地ですが、ゲームの進行とともに良いトップデックとなることは容易に予想できます。では、実際に基本地形をどの程度入れれば、友達ランドが任意のターン以降にテンポを阻害しなくなるか定量化してみましょう。
前環境および今環境において、2色以上のデッキは、一般に基本地形を6~10枚程度使用しています。このケースにおいては、フェッチランドは基本地形として数えます。たとえば、6枚の平地と4枚のArid Mesaを入れているデッキの場合、デッキに10枚の平地を投入していると考えます。この場合、いつ以降友達ランドのデメリットがなくなるのかについて計算します。
どんな答えがでてくるでしょうか?
Indeck /7cards/ 8cards/9cards
1 /12 /13 /15
2 /22 /15 /28
3 /32 /35 /39
4 /40 /44 /49
5 /47 /52 /57
6 /54 /59 /64
7 /60 /65 /70
8 /65 /71 /75
9 /70 /75 /79
10 /74 /79 /83
11 /78 /82 /86
12 /81 /85 /89
13 /84 /88 /91
14 /86 /90 /93
15 /88 /92 /94
16 /90 /93 /95
17 /92 /94 /96
18 /93 /95 /97
(訳注:表は本家のが綺麗で見やすいです)
「In deck」はデッキに入っている、友達ランドが要求する基本地形の数です。例えば、それが「6」であるならば、表中でそれに続く数は、島が6枚入ったデッキにおいてGlacial Fortressがアンタップインできる確率を示しています。
「7cards」、「8cards」、そして「9cards」は文字通り引いたカードの枚数です。例えば、あなたが先攻で2ターン目の場合、初手+1枚のカードを持っているので、引いた総枚数は「8cards」となります。
つまり、あなたが9枚の基本地形をデッキに入れていて、8枚山札を掘った場合、71%の確率で1枚以上の沼を手にできるということです。
友達ランドが採用された過去のデッキを検討してみると面白いでしょう。私のアーカイヴから持ってきた典型的なジャンドは4枚のDragonskull summitと、2枚の山、そして7枚の沼(3枚の沼と4枚のVerdant Catacombs)を入れていました。友達ランドをアクティブにする9枚の基本地形がデッキに含まれているので、その基本地形が手札にくる確率は…
初手:70%
8cards:75%
9cards:79%
10cards:83%
11cards:86%
この結果については2通りのことを考える事ができます
Dragonskull Summitをアンタップインで使える確率は、初手引いた時点で70%であるが、これはかなり良いように見えませんか?
一方で、10枚のカードを引いても(後手3ターン目または先手4ターン目でしょう)、17%の確率でDragonskull Summitはアンタップインしないのです。
Hitting your colors
最後の問題は最も直接的なものです-
何枚の土地があれば必要な色マナをプロデュースするのに十分であるといえるか?
計算結果は以下の通りです
Indeck /7cards/ 8cards/9cards
1 /12 /13 /15
2 /22 /15 /28
3 /32 /35 /39
4 /40 /44 /49
5 /47 /52 /57
6 /54 /59 /64
7 /60 /65 /70
8 /65 /71 /75
9 /70 /75 /79
10 /74 /79 /83
11 /78 /82 /86
12 /81 /85 /89
13 /84 /88 /91
14 /86 /90 /93
15 /88 /92 /94
16 /90 /93 /95
17 /92 /94 /96
18 /93 /95 /97
先の表と同じものです。今回の表においては「In deck」は、デッキ内の対象の色マナ発生源となる土地の数です。
よって、以下の様なマナベースに対して私が言えることは:
4 Celestial Colonnade
4 Glacial Fortress
4 Tectonic Edge
3 plains
4 Island
3 Scalding Tarn
1 Arid Mesa
4 Seachrome Coast
16枚の白マナ発生源がデッキに入っています。よって、初手で白マナ発生源を手にできる確率は90%、ターンが続くと93%,95%…となることが分かります。
これは「最低1枚白マナ発生源を手にできる確率」ですが、それ以上に知りたいことはもちろんあると思います―ダブルシンボルを揃えてDay of Judgmentを打つには?等―しかしこういった計算には別な計算方法が必要となります。
A transplanar tour of Zendikar-Scars manabases
これらの計算結果表は、貴方が新スタンダード環境においてデッキを作る際に多少の手助けができます。以下はこれらの結果をいくつかのマナベース・タイプに適用したものです。
Allied colors(WU,UB,BR,RG,GW)
友好2色の組合せではミシュラ二色ランド、ファストランド、そして友達ランドが使えます。
青白コンにおけるマナベースの一例と確率計算の結果を示します:
4 Celestial Colonnade
4 Seachrome Coast
4 Glacial Fortress
4 Tectonic Edge
5 plains
5 Island
4 Tectonic Edge
Badness-5.4%
Hit blue in
-first7:92%
-first8:94%
-first9:96%
“Hit bule”は1つ以上の青マナ発生源を引ける確率です。
友好2色の組合せはかなり堅固なマナベースを持てることが解かります―大抵は初手において2色とも確保できるのです。同時に、”Badness”の値は平凡で、時にはテンポがそがることがあるようです。しかしながら、全体的にはデッキはスムーズに機能すると言えるでしょう。友好2色デッキってそういうものですよね。
Enemy colors(WB,BG,UG,WR,UR)
敵対2色の組合せはフェッチランドが使え、またTerramorphic ExpanseやEvolving Wildsの力を借りるデッキがあるかもしれません。
4 Misty Rainforest
4 Evolving wilds
9 Island
9 Forest
Badness-2.7%
Hit Blue in:
-first7:92%
-first8:94%
-first9:96%
純粋な敵対2色のマナベースの一例とその確立計算結果を上に示します。この結果は、貴方が思っていたよりずっと堅固かもしれません。もちろん、友好2色のデッキと違い、色マナを含まない特殊地形の投入を控えていますが。4枚の基本地形の変わりにTectonic Edgeを投入する際には初手での”hit blue”の値が88%まで落ちることになりますが、これでもまだ問題はないと感じられます。
“Badness”の低さに目が行きますが、これはミシュラ2色が使えないゆえの結果で、その点で他のデッキよりデッキパワーが落ちてしまうという欠点があります。
Allied triples(WUB,UBR,BRG,RGW,GWU)
友好三色―シャードとも呼ばれますが―1セットのフェッチランドと2種類のミシュラ2色ランドとファストランドが使えます。
4 Misty Rainforest
4 Celestial Colonnade
4 Stirring Wildwood
2 Razorverge Thicket
2 Seachrome Coast
4 Island
4 Forest
2 Plains
Badness-8.2%
Hit Blue in:
-first7:86%
-first8:90%
-first9:93%
やはり3色となると”Badness”は上昇します―パーセンテージの値で見るとまだ低いですが、(他のデッキと比べて高いことは)頭の片隅に入れておくべきでしょう。求める色マナが得られる可能性もまた低くなっていますが、最大8枚の2色ミシュラを使える利点もあります。
Off-brand triples(WGB,WUR,UBG,BRW,RGU)
この章の最後はシャードでない3色です。この組合せは2種のフェッチランドと1種類のミシュラ2色土地とファストランドを使うことができます。
4 Misty Rainforest
4 Scalding Tarn
4 Raging Ravine
4 Copperline Gorge
4 Island
4 Forest
2 Mountain
Badness-8.2%
Hit blue in:
-first7:81%
-first8:85%
-first9:89%
“badness”の値は友好3色の場合と同じですが、目的の色マナを捻出できる確率は低くなっています。土地でないマナベースの投入を考えるべきでしょう―緑を使うならLotusCobraや土地サーチ、他の色の場合はマナ・アーティファクトなどの。
Lay of the land
個人的には、マナベースに工夫が必要な環境の方が面白いと考えています。この記事において扱った考え方と数値はその工夫の一部ですが、土地構成の選択には、実践的なテストと貴方が想定するゲームプランへの洞察は切り離せません。
これらの解析から私が言えることは、傷跡産の新デュアルランドは、オリジナルほどではないけど強力で、幅広いデッキに採用されるだろうということです。また、それにより土地の選択には今まで以上にテンポとの相関を考えなくてはならないでしょう。今の環境は、前2つのスタンダード環境の様な、テンポと色マナの確保が単純な1:1交換となる環境ではないですからね。
また、それ故にSpreading Seaは依然として良カードとして扱われるでしょう。
では、貴方のデッキのマナベース構築を楽しんでください!
おしまい
ChannelFireball様の記事です
http://www.channelfireball.com/articles/in-development-which-lands-can-i-run/
現スタンにおける土地構成を確率計算に基づいて議論してみました、という内容です。今回は訳に困った部分が多いです。そういう所はアドバイス貰えないかと期待して原文載せています。
携帯からだと章立てが分かりにくかったり、表が見れなかったりして見づらいかも知れません。
2つに分けています。こちらは後半部分です。
以下本文
Leaning from the numbers
以下、先ほど(①の最後において)提示した疑問への答えを順次示します。
On Fastlands and Creature Duals
問題1)と2)は一つの大きな問題に纏まります-
テンポを阻害する土地(タップインとか)は何枚までならデッキに入れてよいのか?
最初は二つを別問題として考えていましたが、実際にはもっと簡単な問題に落とし込めると気づきました。土地の複雑な挙動とは関係なしに。さらに要約したヴァージョンは以下の様になります
4ターン目にテンポロスしないための、テンポを阻害する土地(ファストランドとタップインランド)の許容枚数はいくつか?
この問題に落とし込んだ理由はファストランドにあります。私がファストランドを運用している場合、それは3ターン目まではテンポを阻害しません。4ターン目以降にテンポの阻害を始めます。ミシュラ二色土地やその他のタップインランドは常にテンポを阻害します。しかしながら、4ターン目以降に着目するならば、妥当な置換として「4ターン目以降にどれだけのファストランドがデッキに残っていると、それ以降テンポ阻害をどれだけ受ける可能性があるか?」とすることができます。
4枚のRaging Ravinesと4枚のCoopperline Gorgeを併用するのは賢いことなのか?4枚ずつのRaging RavinesとStirring wildwoods、2枚ずつのCooperline GorgeとRazorverge Thicketをデッキに詰め込むことは?
以下がその解答です:
Land Count Badness(%)
1 0.6
2 1.4
3 2
4 2.7
5 3.4
6 4.1
7 4.8
8 5.4
9 6.2
10 7.1
11 7.6
12 8.2
簡単な説明:
「Tempo land count」は4ターン目以降にテンポを阻害する土地の総数である。ファストランド、ミシュラ2色土地、そしてすべてのタップインランド(オランリーフとか)を「Tempo land」と定義する。4ターン目以降にプレイしてそのターンにマナを生み出さない土地は、本質的に「Tempo land」である。
「Badness」はあなたが4ターン目にTempo landをプレイして立ち往生する可能性を定義した言葉である。
たとえば、以下のランドをデッキに入れているとして:
4 Raging Ravines
4 Copperline Gorge
5%の確率で「4枚目の土地をトップからプレイし、それがタップインランドのRavineまたはGorgeである」ということがおきます(訳注:大事なところなのに、難しいです。合ってない気が。原文→Approximately 5% of the time you’ll be drawing off the top for your fourth land drop, and the card you draw will be a Ravine or a Gorge, which will enter the battlefield tapped )。
また、以下のランドをデッキに含んでいる場合は:
4 Raging Ravines
4 Stirring Wildwood
2 Copperline Gorge
2 Stirring Wildwood
こちらでは、8%でその事象が起きます。
先に述べたように、こういった可能性には、プレイするに値しない初手(土地が0または1枚)を引いた場合も含んでおり、またこれら4種類の土地を1-3ターン目にプレイすることになる手札も考慮に入れています。
4ターン目以降においては、これらの土地にテンポが阻害される機会は少なくなると思いますが、(“Badness”の)相対的な値は覚えておいて損はないと思います。
この計算の結果をとりあえず頭に入れておいておきましょう。後にzendikar-scars期のスタンにおける具体的なマナベースの構築について、この値も用いて考えます。
It pays to have buddies
友達ランドの特徴はファストランドのそれとは正反対です。第1ターンにプレイするのは避けたい土地ですが、ゲームの進行とともに良いトップデックとなることは容易に予想できます。では、実際に基本地形をどの程度入れれば、友達ランドが任意のターン以降にテンポを阻害しなくなるか定量化してみましょう。
前環境および今環境において、2色以上のデッキは、一般に基本地形を6~10枚程度使用しています。このケースにおいては、フェッチランドは基本地形として数えます。たとえば、6枚の平地と4枚のArid Mesaを入れているデッキの場合、デッキに10枚の平地を投入していると考えます。この場合、いつ以降友達ランドのデメリットがなくなるのかについて計算します。
どんな答えがでてくるでしょうか?
Indeck /7cards/ 8cards/9cards
1 /12 /13 /15
2 /22 /15 /28
3 /32 /35 /39
4 /40 /44 /49
5 /47 /52 /57
6 /54 /59 /64
7 /60 /65 /70
8 /65 /71 /75
9 /70 /75 /79
10 /74 /79 /83
11 /78 /82 /86
12 /81 /85 /89
13 /84 /88 /91
14 /86 /90 /93
15 /88 /92 /94
16 /90 /93 /95
17 /92 /94 /96
18 /93 /95 /97
(訳注:表は本家のが綺麗で見やすいです)
「In deck」はデッキに入っている、友達ランドが要求する基本地形の数です。例えば、それが「6」であるならば、表中でそれに続く数は、島が6枚入ったデッキにおいてGlacial Fortressがアンタップインできる確率を示しています。
「7cards」、「8cards」、そして「9cards」は文字通り引いたカードの枚数です。例えば、あなたが先攻で2ターン目の場合、初手+1枚のカードを持っているので、引いた総枚数は「8cards」となります。
つまり、あなたが9枚の基本地形をデッキに入れていて、8枚山札を掘った場合、71%の確率で1枚以上の沼を手にできるということです。
友達ランドが採用された過去のデッキを検討してみると面白いでしょう。私のアーカイヴから持ってきた典型的なジャンドは4枚のDragonskull summitと、2枚の山、そして7枚の沼(3枚の沼と4枚のVerdant Catacombs)を入れていました。友達ランドをアクティブにする9枚の基本地形がデッキに含まれているので、その基本地形が手札にくる確率は…
初手:70%
8cards:75%
9cards:79%
10cards:83%
11cards:86%
この結果については2通りのことを考える事ができます
Dragonskull Summitをアンタップインで使える確率は、初手引いた時点で70%であるが、これはかなり良いように見えませんか?
一方で、10枚のカードを引いても(後手3ターン目または先手4ターン目でしょう)、17%の確率でDragonskull Summitはアンタップインしないのです。
Hitting your colors
最後の問題は最も直接的なものです-
何枚の土地があれば必要な色マナをプロデュースするのに十分であるといえるか?
計算結果は以下の通りです
Indeck /7cards/ 8cards/9cards
1 /12 /13 /15
2 /22 /15 /28
3 /32 /35 /39
4 /40 /44 /49
5 /47 /52 /57
6 /54 /59 /64
7 /60 /65 /70
8 /65 /71 /75
9 /70 /75 /79
10 /74 /79 /83
11 /78 /82 /86
12 /81 /85 /89
13 /84 /88 /91
14 /86 /90 /93
15 /88 /92 /94
16 /90 /93 /95
17 /92 /94 /96
18 /93 /95 /97
先の表と同じものです。今回の表においては「In deck」は、デッキ内の対象の色マナ発生源となる土地の数です。
よって、以下の様なマナベースに対して私が言えることは:
4 Celestial Colonnade
4 Glacial Fortress
4 Tectonic Edge
3 plains
4 Island
3 Scalding Tarn
1 Arid Mesa
4 Seachrome Coast
16枚の白マナ発生源がデッキに入っています。よって、初手で白マナ発生源を手にできる確率は90%、ターンが続くと93%,95%…となることが分かります。
これは「最低1枚白マナ発生源を手にできる確率」ですが、それ以上に知りたいことはもちろんあると思います―ダブルシンボルを揃えてDay of Judgmentを打つには?等―しかしこういった計算には別な計算方法が必要となります。
A transplanar tour of Zendikar-Scars manabases
これらの計算結果表は、貴方が新スタンダード環境においてデッキを作る際に多少の手助けができます。以下はこれらの結果をいくつかのマナベース・タイプに適用したものです。
Allied colors(WU,UB,BR,RG,GW)
友好2色の組合せではミシュラ二色ランド、ファストランド、そして友達ランドが使えます。
青白コンにおけるマナベースの一例と確率計算の結果を示します:
4 Celestial Colonnade
4 Seachrome Coast
4 Glacial Fortress
4 Tectonic Edge
5 plains
5 Island
4 Tectonic Edge
Badness-5.4%
Hit blue in
-first7:92%
-first8:94%
-first9:96%
“Hit bule”は1つ以上の青マナ発生源を引ける確率です。
友好2色の組合せはかなり堅固なマナベースを持てることが解かります―大抵は初手において2色とも確保できるのです。同時に、”Badness”の値は平凡で、時にはテンポがそがることがあるようです。しかしながら、全体的にはデッキはスムーズに機能すると言えるでしょう。友好2色デッキってそういうものですよね。
Enemy colors(WB,BG,UG,WR,UR)
敵対2色の組合せはフェッチランドが使え、またTerramorphic ExpanseやEvolving Wildsの力を借りるデッキがあるかもしれません。
4 Misty Rainforest
4 Evolving wilds
9 Island
9 Forest
Badness-2.7%
Hit Blue in:
-first7:92%
-first8:94%
-first9:96%
純粋な敵対2色のマナベースの一例とその確立計算結果を上に示します。この結果は、貴方が思っていたよりずっと堅固かもしれません。もちろん、友好2色のデッキと違い、色マナを含まない特殊地形の投入を控えていますが。4枚の基本地形の変わりにTectonic Edgeを投入する際には初手での”hit blue”の値が88%まで落ちることになりますが、これでもまだ問題はないと感じられます。
“Badness”の低さに目が行きますが、これはミシュラ2色が使えないゆえの結果で、その点で他のデッキよりデッキパワーが落ちてしまうという欠点があります。
Allied triples(WUB,UBR,BRG,RGW,GWU)
友好三色―シャードとも呼ばれますが―1セットのフェッチランドと2種類のミシュラ2色ランドとファストランドが使えます。
4 Misty Rainforest
4 Celestial Colonnade
4 Stirring Wildwood
2 Razorverge Thicket
2 Seachrome Coast
4 Island
4 Forest
2 Plains
Badness-8.2%
Hit Blue in:
-first7:86%
-first8:90%
-first9:93%
やはり3色となると”Badness”は上昇します―パーセンテージの値で見るとまだ低いですが、(他のデッキと比べて高いことは)頭の片隅に入れておくべきでしょう。求める色マナが得られる可能性もまた低くなっていますが、最大8枚の2色ミシュラを使える利点もあります。
Off-brand triples(WGB,WUR,UBG,BRW,RGU)
この章の最後はシャードでない3色です。この組合せは2種のフェッチランドと1種類のミシュラ2色土地とファストランドを使うことができます。
4 Misty Rainforest
4 Scalding Tarn
4 Raging Ravine
4 Copperline Gorge
4 Island
4 Forest
2 Mountain
Badness-8.2%
Hit blue in:
-first7:81%
-first8:85%
-first9:89%
“badness”の値は友好3色の場合と同じですが、目的の色マナを捻出できる確率は低くなっています。土地でないマナベースの投入を考えるべきでしょう―緑を使うならLotusCobraや土地サーチ、他の色の場合はマナ・アーティファクトなどの。
Lay of the land
個人的には、マナベースに工夫が必要な環境の方が面白いと考えています。この記事において扱った考え方と数値はその工夫の一部ですが、土地構成の選択には、実践的なテストと貴方が想定するゲームプランへの洞察は切り離せません。
これらの解析から私が言えることは、傷跡産の新デュアルランドは、オリジナルほどではないけど強力で、幅広いデッキに採用されるだろうということです。また、それにより土地の選択には今まで以上にテンポとの相関を考えなくてはならないでしょう。今の環境は、前2つのスタンダード環境の様な、テンポと色マナの確保が単純な1:1交換となる環境ではないですからね。
また、それ故にSpreading Seaは依然として良カードとして扱われるでしょう。
では、貴方のデッキのマナベース構築を楽しんでください!
おしまい
勝手に訳:In Development-Which Lands Can I Run?①緒言~2色土地のレヴュー~数値計算する問題の提起
2010年10月4日 翻訳:戦略・戦術・プレイング コメント (2)Posted by Alexander Shearer
ChannelFireball様の記事です
http://www.channelfireball.com/articles/in-development-which-lands-can-i-run/
現スタンにおける土地構成を確率計算に基づいて議論してみました、という内容です。今回は訳に困った部分が多いです。そういう所はアドバイス貰えないかと期待して原文載せています。
携帯からだと章立てが分かりにくかったり、表が見れなかったりして見づらいかも知れません。
2つに分けています。こちらは前半部分です。
以下本文
Rotation!
ブロックのローテーションが行われる時期が今年もやってきました。つまりは話のネタには困らないということです。アラーラにサヨナラしてミラディンにこんにちは。実は私はミラディンのフレーバはあまり好きではないのですが、それはこの記事には関係ないですね。今日の話題はタイトルに書いた通りです。
Which lands Can I run?
野蛮な地をはじめとする3色タップインランドが環境を去り、私たちはもう一度デッキ構築における基本となる部分-土地構成-に目を向ける必要があります。
今日は新スタンにおける土地選択についてのレビューを行います。その後、新ランドはデッキに何枚程度入れられるのか、ほしい色にたどり着くにはどれだけの土地が必要なのか、を調べるため、少しばかりの定量分析を行います。Zen-scars環境のスタンダードにおけるマナベースの真髄に迫ります。今日特に理解してほしいのは新2色ランドの素晴らしさです。
The big Questions
ローテーションによってアラーラブロックからは15種類、M10からは1種類の土地を失いました。といってもスタンダードで見られるカードの中ではアラーラの7種類です。M11で残った7種類の、zendikarの36種類の土地は依然使用でき、後者は土地がテーマのブロックにふさわしく、スタンダードでの使用に耐えるものが多数含まれています。もちろんこの数の中に5種類の基本地形は含んでいません。この43種類の特殊地形について考えていきます。
傷跡からは6種類の基本地形が加わりました。5枚の友好色土地と新しい「神座」です。とりあえず神座は脇においといて―この可愛らしいカジュアル向けのカードで、廃墟の幽霊とのコンボデッキが現れるかもしれませんが(GhostPost?)―とりあえず放っておいても大丈夫でしょう。
土地は他のリソースにアクセスするために必要な最も根本的なリソースであるので、私たちの疑問は以下に集約されます。
”これらの土地つかってどんなデッキがプレイできるの?”
The manabase trend line continues to move
Reflecting pool→Savage land→Copperline Gorge:というように、
最近発売されるセットの土地において、多色の供給が徐々に難しくなっている傾向があります。
TimeSpiral-Lorwnスタンダードの後期から、それに続くLorwyn-AlaraスタンダードにおいてはReflecting Poolとvivid landの汚い合わせ技によって、テンポを多少犠牲にするだけですべての色へのアクセスを可能にしていました。これらの取り扱いには多少の複雑さがあり、どのカウンターを消費するかでその後のゲーム展開が変わり、そこでプレイヤーの優秀さの差が生じたものです。しかしながら、「テンポと多色へのアクセス」のトレードにおいて、そこには繊細さがありませんでした。
今は無きShards-Zendikarスタンダードにおいては、この問題はいくらかデリケートになりました。3色タップインランド、ミシュラ2色、そしてM10の2色ランドはそれぞれが「『テンポ』と『多色へのアクセス』」のトレードを行いますが、前環境と比べると色マナへのアクセスには制限があり、また、M10の二色ランドはテンポを損なうことなく2色目を扱うことができたりします。
アラーラの3色ランドが去ってしまった今、マナベースの構築はさらにデリケートな問題となりました。とりわけ傷跡で導入された粋な2色ランドを考えることによって。
Let’s review those options
新スタンにおいて使える多色土地のオプションについて、まずおさらいしてみましょう。
①フェッチランド
Arid Mesa
Marsh Flats
Misty Rainforest
Scalding Tarns
Verdant Catacombs
フェッチランドは依然強力なマナベースです。これらのもたらす基本地形は、後続のM10ランドのテンポに関する制限をとっぱらいます。上陸の誘発効果もパワフルです。出る色マナが固定される欠点がありますが、テンポを全く損なわない長所があります。
②ミシュラ2色ランド
Celestial Colonnade
Creeping Tar Pit
Lavaclaw Reaches
Raging Ravine
Stirring Wildwood
相変わらず馬鹿馬鹿しいほどにパワフルな土地です。神話レアの存在に感謝しなければならないでしょう。旧来のレアリティ構成だと彼らはとんでもない値段になっていたでしょうからね。タップ状態で場にでるのでテンポは損ないますが、脅威を内在しつつ2色マナを出せるのは驚くべきことで、この土地群特有の価値があります。
③M10ランド
Glacial Fortress
Drowned Catacomb
Dragonskull Summit
Rootbound Crag
Sunpetal Grove
今週、こういった記録をつけてて私は、これらにはその特徴を表す愛称がないことが大変不便なことに気づきました。アイスエイジの「ペインランド」、ラヴニカブロックの「ショックランド」などはその能力に依った愛称を持っています。そこでM10ランドに対しは「友達ランド(Buddylands)」と呼ぶことにしました。彼らをテンポを損なわずに使うためには相方となる基本地形が必要になるからです。
アラーラの三色ランドが無くなった今、友達ランドが基本地形を伴って、よく見る存在になるかもしれません…が、そうでないかもしれません。次に記す新たな土地群が居場所を与えないかもしれないからです。
④ファストランド
Seachrome Coast
Darkslick Shores
Blackcleave Cliffs
Copperline Gorge
Razorverge Thicket
これらファストランド(思いつきの愛称ですが、特徴をよく表していると思います)は人目見ただけで強力だと分かります。初動3ターンの間デメリットなしで2色のマナが供給できるですと? sign me up (訳注:この表現分からないです)。
もちろん、「4枚目以降の土地の設置」が問題にならないなら、です。
Breaking things down into specific questions
我々が抱える大きな問題は「どんなデッキがどんな土地構成でプレイするか」ということで、この問題点をもう少し詳しくすると
どのカラーコンビネーションをこれら土地群はサポートする事ができるのか?
となります。これら特殊地形は何枚までならデッキのテンポを阻害せずに投入できるのでしょうか。
Running the numbers
マジックにおける主要な問題は個人的な好みと経験則によって回答されます。ゲームは本質的には確率の複雑な複合体です-私のカード×私のカード×対戦相手のカード×我々の選択×…といった積み重ねの。
しかし、定量的な数値計算で答えを出せるものもあるのです-数学の力を借りて。マナベースにおける問題はまさにこの類の問題で、今日は数学を用いてどんな問題が解決できるのか紹介します。
A Word about numbers
計算において、私は時に、適当な数字を事象に当てます。概念上のツールとして把握するために。こういう事をした場合、その数字はその事象を扱える様にしてくれますが、定量と見なすことはできません。言い換えると、「弾道ミサイル潜水艦の大きさはアメフトコートぐらいだ」とあなたに伝えても、その情報から、(弾道ミサイル潜水艦を)0から造ることはできない、という事です(訳注:この段落はよく分からないまま直訳)。
それと違って、今回用いる数字は、事象の起こりうる確率を表現しようと試みる、裏付けがきちんとある数字です。つまり、「ある数の緑マナ発生源をデッキに入れた場合の初手で緑マナを確保できる確率は70%だ」と述べた場合、それは実際に70%を意味しています。
しかし、こういった数字は、実戦で拠り所とするにしては実はかなりラフな値であることをまず断っておきます。「N%の確率で特定のあるカードが初手にくる可能性がある」という表現には、初手のあらゆる可能性を含んでいるが故に、とても低く見積もられた値になります。
その値は初手に他の土地が一枚もない場合を含んでいます。
その値は初手が全て土地だった場合も含んでいます。
その値は初手が2枚の土地と、デッキ内の最高マナコストの呪文5枚である場合を含んでいます。
初手を「十分によい手札」とする決定には、とても、とてもたくさんの要素が含まれています。とても、とてもたくさんのオプションがこの問題にはつきまといます。
じゃあ、そうやって出てくる数字には価値があるの?
まぁ、相対評価として扱えば、役に立つでしょう。計算結果がある土地構成Aでは20%、ある土地構成Bでは10%とした場合、その「差」を論じれば良いのです。これは生物学では常に用いられる手法です-酵素の活性の相対差等を、予測することができます…そしてなにを造るべきかを決定するための指針はそれで十分なのです。そういった決定というのはとどのつまり「どっちがいいのか」程度のものですからね。
Setting up the questions
Moving from the questions above into things that can be addressed mathematically puts us back into seventh grade, converting word problems into algebra(訳注:精訳できません、数学使えば問題が解決できる!ぐらいの意味しか俺はとれません).幾つかの問題をこの方法を用いて解決しようと思います。それらは:
1)ファストランドが展開に支障をきたさない上限枚数は?
2)ミシュラ2色土地とファストランドを同じデッキに入れるとどうなる?
3)友達ランドの為には基本地形はどれくらいいれればいいのか?
4)特定の色を特定のターンまでに確保する為に必要な土地の枚数
以上の問題を解決するために用いた計算は、私のオリジナルですが、これについては語らないことにします。退屈な読み物になってしまいますし、結果こそがより重要ですからね。
The very short version is that everything here starts with hypergeometric distributions, and then moves on from there(訳注:分かりません、助けて。でも読み飛ばしていいところだと思います)
ChannelFireball様の記事です
http://www.channelfireball.com/articles/in-development-which-lands-can-i-run/
現スタンにおける土地構成を確率計算に基づいて議論してみました、という内容です。今回は訳に困った部分が多いです。そういう所はアドバイス貰えないかと期待して原文載せています。
携帯からだと章立てが分かりにくかったり、表が見れなかったりして見づらいかも知れません。
2つに分けています。こちらは前半部分です。
以下本文
Rotation!
ブロックのローテーションが行われる時期が今年もやってきました。つまりは話のネタには困らないということです。アラーラにサヨナラしてミラディンにこんにちは。実は私はミラディンのフレーバはあまり好きではないのですが、それはこの記事には関係ないですね。今日の話題はタイトルに書いた通りです。
Which lands Can I run?
野蛮な地をはじめとする3色タップインランドが環境を去り、私たちはもう一度デッキ構築における基本となる部分-土地構成-に目を向ける必要があります。
今日は新スタンにおける土地選択についてのレビューを行います。その後、新ランドはデッキに何枚程度入れられるのか、ほしい色にたどり着くにはどれだけの土地が必要なのか、を調べるため、少しばかりの定量分析を行います。Zen-scars環境のスタンダードにおけるマナベースの真髄に迫ります。今日特に理解してほしいのは新2色ランドの素晴らしさです。
The big Questions
ローテーションによってアラーラブロックからは15種類、M10からは1種類の土地を失いました。といってもスタンダードで見られるカードの中ではアラーラの7種類です。M11で残った7種類の、zendikarの36種類の土地は依然使用でき、後者は土地がテーマのブロックにふさわしく、スタンダードでの使用に耐えるものが多数含まれています。もちろんこの数の中に5種類の基本地形は含んでいません。この43種類の特殊地形について考えていきます。
傷跡からは6種類の基本地形が加わりました。5枚の友好色土地と新しい「神座」です。とりあえず神座は脇においといて―この可愛らしいカジュアル向けのカードで、廃墟の幽霊とのコンボデッキが現れるかもしれませんが(GhostPost?)―とりあえず放っておいても大丈夫でしょう。
土地は他のリソースにアクセスするために必要な最も根本的なリソースであるので、私たちの疑問は以下に集約されます。
”これらの土地つかってどんなデッキがプレイできるの?”
The manabase trend line continues to move
Reflecting pool→Savage land→Copperline Gorge:というように、
最近発売されるセットの土地において、多色の供給が徐々に難しくなっている傾向があります。
TimeSpiral-Lorwnスタンダードの後期から、それに続くLorwyn-AlaraスタンダードにおいてはReflecting Poolとvivid landの汚い合わせ技によって、テンポを多少犠牲にするだけですべての色へのアクセスを可能にしていました。これらの取り扱いには多少の複雑さがあり、どのカウンターを消費するかでその後のゲーム展開が変わり、そこでプレイヤーの優秀さの差が生じたものです。しかしながら、「テンポと多色へのアクセス」のトレードにおいて、そこには繊細さがありませんでした。
今は無きShards-Zendikarスタンダードにおいては、この問題はいくらかデリケートになりました。3色タップインランド、ミシュラ2色、そしてM10の2色ランドはそれぞれが「『テンポ』と『多色へのアクセス』」のトレードを行いますが、前環境と比べると色マナへのアクセスには制限があり、また、M10の二色ランドはテンポを損なうことなく2色目を扱うことができたりします。
アラーラの3色ランドが去ってしまった今、マナベースの構築はさらにデリケートな問題となりました。とりわけ傷跡で導入された粋な2色ランドを考えることによって。
Let’s review those options
新スタンにおいて使える多色土地のオプションについて、まずおさらいしてみましょう。
①フェッチランド
Arid Mesa
Marsh Flats
Misty Rainforest
Scalding Tarns
Verdant Catacombs
フェッチランドは依然強力なマナベースです。これらのもたらす基本地形は、後続のM10ランドのテンポに関する制限をとっぱらいます。上陸の誘発効果もパワフルです。出る色マナが固定される欠点がありますが、テンポを全く損なわない長所があります。
②ミシュラ2色ランド
Celestial Colonnade
Creeping Tar Pit
Lavaclaw Reaches
Raging Ravine
Stirring Wildwood
相変わらず馬鹿馬鹿しいほどにパワフルな土地です。神話レアの存在に感謝しなければならないでしょう。旧来のレアリティ構成だと彼らはとんでもない値段になっていたでしょうからね。タップ状態で場にでるのでテンポは損ないますが、脅威を内在しつつ2色マナを出せるのは驚くべきことで、この土地群特有の価値があります。
③M10ランド
Glacial Fortress
Drowned Catacomb
Dragonskull Summit
Rootbound Crag
Sunpetal Grove
今週、こういった記録をつけてて私は、これらにはその特徴を表す愛称がないことが大変不便なことに気づきました。アイスエイジの「ペインランド」、ラヴニカブロックの「ショックランド」などはその能力に依った愛称を持っています。そこでM10ランドに対しは「友達ランド(Buddylands)」と呼ぶことにしました。彼らをテンポを損なわずに使うためには相方となる基本地形が必要になるからです。
アラーラの三色ランドが無くなった今、友達ランドが基本地形を伴って、よく見る存在になるかもしれません…が、そうでないかもしれません。次に記す新たな土地群が居場所を与えないかもしれないからです。
④ファストランド
Seachrome Coast
Darkslick Shores
Blackcleave Cliffs
Copperline Gorge
Razorverge Thicket
これらファストランド(思いつきの愛称ですが、特徴をよく表していると思います)は人目見ただけで強力だと分かります。初動3ターンの間デメリットなしで2色のマナが供給できるですと? sign me up (訳注:この表現分からないです)。
もちろん、「4枚目以降の土地の設置」が問題にならないなら、です。
Breaking things down into specific questions
我々が抱える大きな問題は「どんなデッキがどんな土地構成でプレイするか」ということで、この問題点をもう少し詳しくすると
どのカラーコンビネーションをこれら土地群はサポートする事ができるのか?
となります。これら特殊地形は何枚までならデッキのテンポを阻害せずに投入できるのでしょうか。
Running the numbers
マジックにおける主要な問題は個人的な好みと経験則によって回答されます。ゲームは本質的には確率の複雑な複合体です-私のカード×私のカード×対戦相手のカード×我々の選択×…といった積み重ねの。
しかし、定量的な数値計算で答えを出せるものもあるのです-数学の力を借りて。マナベースにおける問題はまさにこの類の問題で、今日は数学を用いてどんな問題が解決できるのか紹介します。
A Word about numbers
計算において、私は時に、適当な数字を事象に当てます。概念上のツールとして把握するために。こういう事をした場合、その数字はその事象を扱える様にしてくれますが、定量と見なすことはできません。言い換えると、「弾道ミサイル潜水艦の大きさはアメフトコートぐらいだ」とあなたに伝えても、その情報から、(弾道ミサイル潜水艦を)0から造ることはできない、という事です(訳注:この段落はよく分からないまま直訳)。
それと違って、今回用いる数字は、事象の起こりうる確率を表現しようと試みる、裏付けがきちんとある数字です。つまり、「ある数の緑マナ発生源をデッキに入れた場合の初手で緑マナを確保できる確率は70%だ」と述べた場合、それは実際に70%を意味しています。
しかし、こういった数字は、実戦で拠り所とするにしては実はかなりラフな値であることをまず断っておきます。「N%の確率で特定のあるカードが初手にくる可能性がある」という表現には、初手のあらゆる可能性を含んでいるが故に、とても低く見積もられた値になります。
その値は初手に他の土地が一枚もない場合を含んでいます。
その値は初手が全て土地だった場合も含んでいます。
その値は初手が2枚の土地と、デッキ内の最高マナコストの呪文5枚である場合を含んでいます。
初手を「十分によい手札」とする決定には、とても、とてもたくさんの要素が含まれています。とても、とてもたくさんのオプションがこの問題にはつきまといます。
じゃあ、そうやって出てくる数字には価値があるの?
まぁ、相対評価として扱えば、役に立つでしょう。計算結果がある土地構成Aでは20%、ある土地構成Bでは10%とした場合、その「差」を論じれば良いのです。これは生物学では常に用いられる手法です-酵素の活性の相対差等を、予測することができます…そしてなにを造るべきかを決定するための指針はそれで十分なのです。そういった決定というのはとどのつまり「どっちがいいのか」程度のものですからね。
Setting up the questions
Moving from the questions above into things that can be addressed mathematically puts us back into seventh grade, converting word problems into algebra(訳注:精訳できません、数学使えば問題が解決できる!ぐらいの意味しか俺はとれません).幾つかの問題をこの方法を用いて解決しようと思います。それらは:
1)ファストランドが展開に支障をきたさない上限枚数は?
2)ミシュラ2色土地とファストランドを同じデッキに入れるとどうなる?
3)友達ランドの為には基本地形はどれくらいいれればいいのか?
4)特定の色を特定のターンまでに確保する為に必要な土地の枚数
以上の問題を解決するために用いた計算は、私のオリジナルですが、これについては語らないことにします。退屈な読み物になってしまいますし、結果こそがより重要ですからね。
The very short version is that everything here starts with hypergeometric distributions, and then moves on from there(訳注:分かりません、助けて。でも読み飛ばしていいところだと思います)
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
Channelfireball様の記事です
http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-tips-and-tricks/
PVことPaulo Vitor Damo da Rosa氏がプレイングについて語っています。またしても長いです。長文書きなんですね。
前置き(略訳)
プレリレポ書こうと思ったけど特に面白いネタが無かったので、別なこと書きます。基本的で、あまり語られないけど、MTGにおいてとても大事なことです。以下のテキストは、最初は無関係な事柄の羅列に見えるかもしれませんが、後で繋がります。
一気に考えて、一気に行動しよう―まぜこぜにしちゃだめ。
常に考えるべき事をしっかり考えて、その後行動に移るべきです。思考と行動をかわるがわるにしてはいけません。思考の一連なりを見失う危険があるだけでなく、相手に重要な情報を与える可能性があるからです。考えて、行動して、もう一度考えて-そこで先の思考が間違っていることに気づいても、行動してしまっていては巻き戻せません。例えば、
あなたか対戦相手が複数のカードの選択を迫るような呪文をプレイした際、まずすべてを選んでから、それを対戦相手に告げましょう。
例えば、Blightningをプレイされた場合。まず捨てるカードを2枚選んで、それから墓地に落とすべきです。明らかにまず捨てるべきカードに気づいていても、2枚目を選び終わるまでそれを捨ててはいけません。そして捨てる際には、2枚いっぺんに捨てましょう。対戦相手が一枚目にあなたが何を捨てるのか、注意を払っているならなおさらです。あなたがまず、すぐさま1枚目のカードを捨てるなら、相手はそれがあなたに必要の無いカードだと気づいてしまうでしょう。それが過剰な土地なのか、だぶついたレジェンドなのか、予備の除去呪文なのか、などなど。もし二枚目のカードを捨てるのに苦しむそぶりを見せてしまうと、それが重要だと悟られてしまうでしょう。あなたが土地を4枚コントロールしていて、4枚の手札を持っている際に、私にBlightningを打たれる場合を考えてみてください。あなたが一枚目に土地をすばやく捨て、その後、少し考えてから別な土地を捨てたとします。この挙動から、私はあなたが少なくとも5マナ以上かかるスペルを抱えていると知ることが出来ます。
Brainstormを打つ際も同様です。戻す2枚をまず選んで、同時に山札の上に起きましょう。慌てて一枚目を戻して、小考の後に二枚目を戻したならば、1枚目は必要ないカードで、2枚目は大事だと分かるでしょう。
マリガンチェックの際には、同時に第1ターンにどう動くか考えましょう。対戦相手は、あなたがマリガンについて考えているのか、初動について考えているのか分かるはずもないですからね。また、もちろん初動についてしっかり考えた後にも、マリガンを選択することができます。
エクステンデットであなたはドランをプレイしていて、初手をキープしたとします。次にあなたは、ちょっと考えて、フェッチをプレイして、土地を探すのにちょっと考えて、Murmuring Boskを持ってきます。その後に、またちょっと考えて、Treefolk Harbringerを召喚します。そしてデッキを掴んで、またちょっと考えて、Doran, the Siege Towerを持ってきます。この一連の動作がどれだけの示唆を対戦相手に与えるでしょうか。まず、2枚目の土地を持っていて、それが高確率で2枚目のMurmuring Boskであるということ(または色マナについて深く考えていないか)。2つ目に、もう一度turn oneを繰り返す可能性が高いということ(訳注:you likely have another turn one play(原文)→土地出してharbringer、に悩んだことからタップインとの2択で悩んだことを読み取られる、ということですかね。でタップインだして1マナしか捻出できない2ターン目=turn one)。3つ目に、ドランを持ってくることが確定的な正解では無かったという事―ドランが既に手札に居るか、三つ目の土地が無いのか―ということが読み取れます。正しい一連の動きは、”小考、キープ、小考、土地をプレイ、小考、Harbringerをプレイ、小考、ドランをサーチ”ではなく、“小考、小考、小考、小考、キープ、土地をプレイ、Harbringerをプレイ、ドランをサーチ”です。
インスタントは対戦相手のターンにプレイできます。しかし、必ずそうしなければならないというわけではありません。あなたが自ターンにインスタントをプレイすべき場面は沢山あります。ドロースペルを打つ場合などは特にそうです。よく7枚の土地をプレイしてパスして、Jace’s Ingenuityを相手ターンに構える人を良く見ます。これでは引いてきたカードのうち2マナ呪文しか打てません。土地とCancelをせっかく引いてきても使えないのです。逆に対戦相手がタップアウトしているかといって、無条件でメインフェイズにインスタントを唱えるのも考え物です。相手がそれを打ち消したがるかどうかしっかり考えましょう。赤単とコントロールのマッチアップにおいては、バーンスペルを相手の不意が突ける際に打つべきです。コントロール側は打ち消し呪文とバーンスペルの一対一交換を切望しているでしょうから。しかしフェアリーのミラーでメインにScion of Oona やさらにはMistbind Cliqueをメインフェイズに打つべき局面は珍しいでしょう。
リミテッドで緑や白のパンプ系スペルを打たれる可能性がある場合も、特定の除去スペルはメインに打つのが適切です。JuggernautにLlightning Boltを打つのは相手がタップアウトしているときがよいでしょう。対応してGiant Growthを打たれる可能性がありますからね。相手がタップアウトしてなくて、どちらにせよジャガノートにボルトを打たざるをえない場合でも、メインフェイズに打ちましょう―Giant Growthでかわされても、3点分を軽減したことにはなります。
迷ったら、土地はプレイするべきです。あなたがデッキに引き増し呪文を入れている場合には特にそうです。よく、ブラフのために土地を出さずにいて、せっかく引き増し呪文を引いてきたものの、その呪文と引いてきた呪文の詠唱を両立できずにいる人を良く見ます。また、シェイドやRaging Ravineなどの起動型能力を支払うとそのターン引いた呪文がプレイできない、という状況に陥る人もいます。実際のところ、手札に土地を隠して、それが理由で勝てた人よりも負けた人の方が多いのではと私は考えています(もちろん、デッキ内の呪文を唱えるのに十分な土地を既にプレイしている場合や、Mind Rotに備える場合は、土地をプレイしないことに躊躇いを感じる必要はありません)。
リミテッドにおいて、除去はどうしても打たざるをえない局面で打ちましょう。大抵のリミテッドにおいて勝敗はリソースの不足で勝負がつきます。プレリリースにおいて、私は、一匹のマイアトークンでの攻勢を維持するために、対戦相手のBlackcleave GoblinにArrestを打つ人を見ました。マイアは対戦相手のライフを15まで減らしましたが、彼はその後対戦相手の出してきたGeth, Lord of the Vaultに対処できずに死にました。
決断を下す前に、情報は最大限に吟味しましょう。既に述べましたが、もう一度言います。重要なトーナメントでそれが出来ずに負けていく人をまだまだ見るからです。Ponderを打つとかJace, the Mind Sculptorの能力を使うとか、等なにかしらの手段でカードを引くなどする場合、そのターンになにをするか―土地をプレイするかも含めてですー決定する前に打ちましょう。そうしない理由はありませんし、たいていの場合それが正しいです。引いてきた別な土地をプレイしたくなるかもしれませんからね。
教示者系のカードを使う場合から、フェッチランドで土地を探す場合まで、ライブラリを漁る際にはまずなにを持ってくるか事前に決定をしておきましょう。時に2枚のカードが欲しい場合、どちらかを引くまで教示者系のカードを使うのは待つべきです。Vampiric Tutor を引いてきて、Vampire HexmageとDark Depths双方が無い場合、どちらかを引くまで待ちましょう。同様に、赤マナ緑マナ双方ない場合にTerramorphic Expanseを使うのは考えものです。どっちか引いてから起動すると無駄が無いでしょうね。
対戦相手には、情報を可能な限り与えないようにしましょう。2つの行動をとろうとしている際には、相手に選択を与えるアクションは先に行うべきです。例えばLiliana’s Specter と Doom Bladeが手札にあり、どちらもこのターンプレイする場合、Liliana’s Specterを先にプレイしましょう。あなたが彼のクリーチャーを殺せるという情報なしで彼は捨て札を選ばなければならなくなります。これは彼がどうプレイする かに変化を与える可能性があります。対戦相手がスペルを打ってあなたが打ち消し呪文とFact or Fictionをもっている場合、Fact or Fictionを先にプレイするべきです。あなたが既に打ち消し呪文を握っているか彼が知るかどうかで、彼の分け方は変わってきます。
一般に、ゲーム序盤ではアタックする前に土地を置いたほうが良いです。これは一見対戦相手に情報を与える行為に見えますが(そのカードが呪文ではないという情報を)、大抵はそうはなりません―2枚の森しか土地がない場面でGarruk’s Companion,をアタックさせることは、あなたがこのターンDiminish, Mighty Leap もしくは Thunder Strike等のスペルを唱えるつもりがない、という情報を与えることになるからです。基本的に、ブロックして欲しいときは土地をプレイせずにアタックすると良いでしょう。そうすれば対戦相手の懸念はGiant Growthだけになり、ブロックしてくれる可能性が上がるでしょう。ブロックして欲しくない場合は、平地を先にプレイして、Safe Passage や Mighty Leap等のトリックがあるぞと脅しをかけるのです。
マジックにおけるパズルは、大抵対戦相手の立場になって考えることで謎を解くことが出来ます。あなたが彼だったら何をするか、そのためにはどんなカードが必要か、という点についてです。たとえば:
あなたは2ターン目にクリーチャーを召喚したとしましょう―とりあえずMana Leakの代わりに4順目でピックしたRuneclaw Bearとしておきます。URを使う相手はこれを通しました。そして熊でアタックしようとするとコンバット前にLightning Boltを打たれました。彼はMana Leakを持っているでしょうか?多分ないでしょう。あなたがMana Leakを握っていたとしたら、3ターン目のアクションを打ち消すためにマナを温存すると思いませんか?私ならばそうします。2点のダメージを軽減するより3ターン目のスペルを打ち消す方が価値のある場面が多いからです(もちろんboltの対象として更に良い生物が出てくる可能性もあります)。対戦相手もそう考えるに違いありません。このシナリオは私の2回目のドラフトビデオで起きたケースとほとんど同じです(訳注:最近、channel Fireballのページ上でプロプレイヤーがMOでのドラフトピック及びそのドラフトでの対戦をUPしています)。
同じシナリオをさらに吟味することで、他にどんなことが分かるでしょうか?彼が十分に優秀なプレイヤーであると仮定して。なぜ熊を殺したのか彼の身になって考えて見ましょう。もしあなたが熊をブロックできる3マナ生物を確保していたとして、稲妻を熊に打つでしょうか?打ちませんよね。つまり3マナで熊のブロックに使える生物が彼の手札にいないと考える事ができます。4マナの生物が手札にいるときも、くまを殺さないでしょう。ダメージレースを望む場合も、稲妻はブロッカーやさらにパワフルな生物のためにとっておくでしょう。さあ、どんな状況であなたは熊に稲妻を打ち込みますか?
答えは、あなたの手札がとても重くて、稲妻を打たない場合の彼の初動が4ターン目のForeseeであったり、5ターン目のMind Controlであるなどの場合です。または、彼の手札は除去でパンパンになっているか。実際には、手札にさらなる除去があると考えるのが合理的です。もしそれが唯一の除去であるのなら、どちらにせよ温存するでしょうから。この様に、ボルトを熊に戦闘前に打ったという挙動だけで、相手の手札にどんな類のカードがあって、そして無いのか推測することが出来るのです(対戦相手があまりよくないプレイヤーというケースもありますが、今回は考えないことにします)。
また、なぜこんな手札をキープしたのか、という点からも推測できることがあります。相手の手札にはDay of Judgmentの様なボムがあったのかもしれません(繰り返しますが、相手は良プレイヤーと仮定しています)。GPポートランドのトップ8におけるMartin Juzaとのマッチで、私は5枚の土地とAzure Drake、そしてMind Controlというハンドをキープしました。3ターン連続で土地を引き、私の初動はAzure Drakeとなりました。MartinはConundrum Sphinxをプレイして、私はそれを強奪しました。マッチが終わった後に彼は、私がMind Controlを抱えていることは気づいてしかるべきだった、そしてConundrum Sphinxは温存するべきだったと語りました。気づけた理由として、Mind Controlの様な強力かつ失ったテンポを埋め合わせできるカードを抱えていなければそんな手札をキープするはずが無い、とのことでした。そしてマリガンの基準が我々は似ていることも、彼は考慮に入れていました。
ブロックするかしないかの傾向からも、相手のデッキや手札が分かります。相手は積極的に合い打ちを取ろうとしているでしょうか?そうした場合、彼は遅いゲーム向けのパワフルなカードを持っている可能性が高いです。ボムや大量ドローが出来るカードの様な。相打ちを避けているでしょう?その場合、クリーチャーをより強化する手段を持っているか、ダメージレースを最後に振り切れるなにかを持っているのでしょう。Sleep、Overwhelming StampedeはたまたLava Axeの様な。アーティファクトクリーチャーで相打ちを取った?きっと金属術に頼るカードはあまりないのでしょう。一向にアーティファクトクリーチャーでブロックしようとしない?ならばそれは彼の戦略にとって重要なものなのでしょう。
カードがうまく働くか、そうでないかはとても相対的です。特定のシチュエーションが取るに足らないカードを対処せざるをえないカードに変えることは多々あります。また、良カードをいやいや使わなければいけない場面も出てくるでしょう、先の熊と稲妻の例のように。
チームドラフトのマッチを観戦していたときのことを思い出します。ある人がURの超アグロデッキを使っていました、対戦相手は白デッキで、こっちもアグロです。URデッキはいくつものArc RunnersとLava Axesを唱えて、可能な限り相手を速く倒そうとしていました。UR側はGoblin Pikerの様な質の悪い軍勢でした。一方で白デッキの使い手(私のチームメイトでした)はWild Griffinでのブロックを拒否しました。二つのカードを比べた際に、Griffinのほうが良質だからです。UR側はさらに粗悪な生物を追加しました。白側はAssault Griffinでアタックし、ブロックされませんでした。”口出し禁止”のルールがあったので私は不安に思いながら見守るだけでした(このルールはアメリカ人がチームドラフト戦をする際によく適用するルールです。チームの意味ないじゃないかと私は思いますが)。数ターン後、赤使いはいくつかのトリックとバーンスペルで白使いを下しました。私が懸念していたとおりに。白側は最後まで自分の間違いに気づきませんでした。彼は質に差のあるクリーチャー同士を交換することが嫌だったのです。
彼が嫌がった交換は決して都合の悪いものではありません(悪いこと二つあったらましなほうを選べ、ともいえる)。Goblin PikerをGriffinで相打ちをとっていれが、後にプレイされた前のめりなカード―特にArc RunnersやLava Axesを―を役に立たないものにできたのです。5しかライフがなければLava Axesは即死カードとなるのです。しかし、ライフが6あれば、Lava Axesはある意味でなにもしないとも言えます。ゲームの序盤で相打ちを取っていれば、後のカードはもはや脅威とはならなかったのです。また、UR側がUnsummonやAct of Treasonから恩恵を受けるチャンスも無かったでしょう。ダメージレースで勝るURのデッキ相手に、その勝負を受けて立ってしまったおかげで、それらのカードが決定打となりました。このマッチにおいては、いずれにせよ相手は合い打ちを取らないので、アタックしてもスルーされ、「飛行」の意味が薄いので、Griffinたちはもはや良クリーチャーとは言えないのですが。
結言
前置きで無関係な事柄の羅列と述べたのを覚えていますか?これらにはしっかり相関があります。無関係な戦略TIPSですが、じつは二つの基本的な事柄に結びつきます。―まず、マジックは情報のゲームだということ、そしてあなたの挙動が相手に情報を送るということ、相手があなたに対してもそうであるように。次に、プレイングには常に理由をつけねばならないということ―あなたはよりよくプレイをするべきであり、あなたの挙動が描く大きな図について知っていなければなりません。
Well, that’s pretty much what I’ve gotten for today. I hope you’ve enjoyed it, and see you next week with another article and another draft video!
PV
Channelfireball様の記事です
http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-tips-and-tricks/
PVことPaulo Vitor Damo da Rosa氏がプレイングについて語っています。またしても長いです。長文書きなんですね。
前置き(略訳)
プレリレポ書こうと思ったけど特に面白いネタが無かったので、別なこと書きます。基本的で、あまり語られないけど、MTGにおいてとても大事なことです。以下のテキストは、最初は無関係な事柄の羅列に見えるかもしれませんが、後で繋がります。
一気に考えて、一気に行動しよう―まぜこぜにしちゃだめ。
常に考えるべき事をしっかり考えて、その後行動に移るべきです。思考と行動をかわるがわるにしてはいけません。思考の一連なりを見失う危険があるだけでなく、相手に重要な情報を与える可能性があるからです。考えて、行動して、もう一度考えて-そこで先の思考が間違っていることに気づいても、行動してしまっていては巻き戻せません。例えば、
あなたか対戦相手が複数のカードの選択を迫るような呪文をプレイした際、まずすべてを選んでから、それを対戦相手に告げましょう。
例えば、Blightningをプレイされた場合。まず捨てるカードを2枚選んで、それから墓地に落とすべきです。明らかにまず捨てるべきカードに気づいていても、2枚目を選び終わるまでそれを捨ててはいけません。そして捨てる際には、2枚いっぺんに捨てましょう。対戦相手が一枚目にあなたが何を捨てるのか、注意を払っているならなおさらです。あなたがまず、すぐさま1枚目のカードを捨てるなら、相手はそれがあなたに必要の無いカードだと気づいてしまうでしょう。それが過剰な土地なのか、だぶついたレジェンドなのか、予備の除去呪文なのか、などなど。もし二枚目のカードを捨てるのに苦しむそぶりを見せてしまうと、それが重要だと悟られてしまうでしょう。あなたが土地を4枚コントロールしていて、4枚の手札を持っている際に、私にBlightningを打たれる場合を考えてみてください。あなたが一枚目に土地をすばやく捨て、その後、少し考えてから別な土地を捨てたとします。この挙動から、私はあなたが少なくとも5マナ以上かかるスペルを抱えていると知ることが出来ます。
Brainstormを打つ際も同様です。戻す2枚をまず選んで、同時に山札の上に起きましょう。慌てて一枚目を戻して、小考の後に二枚目を戻したならば、1枚目は必要ないカードで、2枚目は大事だと分かるでしょう。
マリガンチェックの際には、同時に第1ターンにどう動くか考えましょう。対戦相手は、あなたがマリガンについて考えているのか、初動について考えているのか分かるはずもないですからね。また、もちろん初動についてしっかり考えた後にも、マリガンを選択することができます。
エクステンデットであなたはドランをプレイしていて、初手をキープしたとします。次にあなたは、ちょっと考えて、フェッチをプレイして、土地を探すのにちょっと考えて、Murmuring Boskを持ってきます。その後に、またちょっと考えて、Treefolk Harbringerを召喚します。そしてデッキを掴んで、またちょっと考えて、Doran, the Siege Towerを持ってきます。この一連の動作がどれだけの示唆を対戦相手に与えるでしょうか。まず、2枚目の土地を持っていて、それが高確率で2枚目のMurmuring Boskであるということ(または色マナについて深く考えていないか)。2つ目に、もう一度turn oneを繰り返す可能性が高いということ(訳注:you likely have another turn one play(原文)→土地出してharbringer、に悩んだことからタップインとの2択で悩んだことを読み取られる、ということですかね。でタップインだして1マナしか捻出できない2ターン目=turn one)。3つ目に、ドランを持ってくることが確定的な正解では無かったという事―ドランが既に手札に居るか、三つ目の土地が無いのか―ということが読み取れます。正しい一連の動きは、”小考、キープ、小考、土地をプレイ、小考、Harbringerをプレイ、小考、ドランをサーチ”ではなく、“小考、小考、小考、小考、キープ、土地をプレイ、Harbringerをプレイ、ドランをサーチ”です。
インスタントは対戦相手のターンにプレイできます。しかし、必ずそうしなければならないというわけではありません。あなたが自ターンにインスタントをプレイすべき場面は沢山あります。ドロースペルを打つ場合などは特にそうです。よく7枚の土地をプレイしてパスして、Jace’s Ingenuityを相手ターンに構える人を良く見ます。これでは引いてきたカードのうち2マナ呪文しか打てません。土地とCancelをせっかく引いてきても使えないのです。逆に対戦相手がタップアウトしているかといって、無条件でメインフェイズにインスタントを唱えるのも考え物です。相手がそれを打ち消したがるかどうかしっかり考えましょう。赤単とコントロールのマッチアップにおいては、バーンスペルを相手の不意が突ける際に打つべきです。コントロール側は打ち消し呪文とバーンスペルの一対一交換を切望しているでしょうから。しかしフェアリーのミラーでメインにScion of Oona やさらにはMistbind Cliqueをメインフェイズに打つべき局面は珍しいでしょう。
リミテッドで緑や白のパンプ系スペルを打たれる可能性がある場合も、特定の除去スペルはメインに打つのが適切です。JuggernautにLlightning Boltを打つのは相手がタップアウトしているときがよいでしょう。対応してGiant Growthを打たれる可能性がありますからね。相手がタップアウトしてなくて、どちらにせよジャガノートにボルトを打たざるをえない場合でも、メインフェイズに打ちましょう―Giant Growthでかわされても、3点分を軽減したことにはなります。
迷ったら、土地はプレイするべきです。あなたがデッキに引き増し呪文を入れている場合には特にそうです。よく、ブラフのために土地を出さずにいて、せっかく引き増し呪文を引いてきたものの、その呪文と引いてきた呪文の詠唱を両立できずにいる人を良く見ます。また、シェイドやRaging Ravineなどの起動型能力を支払うとそのターン引いた呪文がプレイできない、という状況に陥る人もいます。実際のところ、手札に土地を隠して、それが理由で勝てた人よりも負けた人の方が多いのではと私は考えています(もちろん、デッキ内の呪文を唱えるのに十分な土地を既にプレイしている場合や、Mind Rotに備える場合は、土地をプレイしないことに躊躇いを感じる必要はありません)。
リミテッドにおいて、除去はどうしても打たざるをえない局面で打ちましょう。大抵のリミテッドにおいて勝敗はリソースの不足で勝負がつきます。プレリリースにおいて、私は、一匹のマイアトークンでの攻勢を維持するために、対戦相手のBlackcleave GoblinにArrestを打つ人を見ました。マイアは対戦相手のライフを15まで減らしましたが、彼はその後対戦相手の出してきたGeth, Lord of the Vaultに対処できずに死にました。
決断を下す前に、情報は最大限に吟味しましょう。既に述べましたが、もう一度言います。重要なトーナメントでそれが出来ずに負けていく人をまだまだ見るからです。Ponderを打つとかJace, the Mind Sculptorの能力を使うとか、等なにかしらの手段でカードを引くなどする場合、そのターンになにをするか―土地をプレイするかも含めてですー決定する前に打ちましょう。そうしない理由はありませんし、たいていの場合それが正しいです。引いてきた別な土地をプレイしたくなるかもしれませんからね。
教示者系のカードを使う場合から、フェッチランドで土地を探す場合まで、ライブラリを漁る際にはまずなにを持ってくるか事前に決定をしておきましょう。時に2枚のカードが欲しい場合、どちらかを引くまで教示者系のカードを使うのは待つべきです。Vampiric Tutor を引いてきて、Vampire HexmageとDark Depths双方が無い場合、どちらかを引くまで待ちましょう。同様に、赤マナ緑マナ双方ない場合にTerramorphic Expanseを使うのは考えものです。どっちか引いてから起動すると無駄が無いでしょうね。
対戦相手には、情報を可能な限り与えないようにしましょう。2つの行動をとろうとしている際には、相手に選択を与えるアクションは先に行うべきです。例えばLiliana’s Specter と Doom Bladeが手札にあり、どちらもこのターンプレイする場合、Liliana’s Specterを先にプレイしましょう。あなたが彼のクリーチャーを殺せるという情報なしで彼は捨て札を選ばなければならなくなります。これは彼がどうプレイする かに変化を与える可能性があります。対戦相手がスペルを打ってあなたが打ち消し呪文とFact or Fictionをもっている場合、Fact or Fictionを先にプレイするべきです。あなたが既に打ち消し呪文を握っているか彼が知るかどうかで、彼の分け方は変わってきます。
一般に、ゲーム序盤ではアタックする前に土地を置いたほうが良いです。これは一見対戦相手に情報を与える行為に見えますが(そのカードが呪文ではないという情報を)、大抵はそうはなりません―2枚の森しか土地がない場面でGarruk’s Companion,をアタックさせることは、あなたがこのターンDiminish, Mighty Leap もしくは Thunder Strike等のスペルを唱えるつもりがない、という情報を与えることになるからです。基本的に、ブロックして欲しいときは土地をプレイせずにアタックすると良いでしょう。そうすれば対戦相手の懸念はGiant Growthだけになり、ブロックしてくれる可能性が上がるでしょう。ブロックして欲しくない場合は、平地を先にプレイして、Safe Passage や Mighty Leap等のトリックがあるぞと脅しをかけるのです。
マジックにおけるパズルは、大抵対戦相手の立場になって考えることで謎を解くことが出来ます。あなたが彼だったら何をするか、そのためにはどんなカードが必要か、という点についてです。たとえば:
あなたは2ターン目にクリーチャーを召喚したとしましょう―とりあえずMana Leakの代わりに4順目でピックしたRuneclaw Bearとしておきます。URを使う相手はこれを通しました。そして熊でアタックしようとするとコンバット前にLightning Boltを打たれました。彼はMana Leakを持っているでしょうか?多分ないでしょう。あなたがMana Leakを握っていたとしたら、3ターン目のアクションを打ち消すためにマナを温存すると思いませんか?私ならばそうします。2点のダメージを軽減するより3ターン目のスペルを打ち消す方が価値のある場面が多いからです(もちろんboltの対象として更に良い生物が出てくる可能性もあります)。対戦相手もそう考えるに違いありません。このシナリオは私の2回目のドラフトビデオで起きたケースとほとんど同じです(訳注:最近、channel Fireballのページ上でプロプレイヤーがMOでのドラフトピック及びそのドラフトでの対戦をUPしています)。
同じシナリオをさらに吟味することで、他にどんなことが分かるでしょうか?彼が十分に優秀なプレイヤーであると仮定して。なぜ熊を殺したのか彼の身になって考えて見ましょう。もしあなたが熊をブロックできる3マナ生物を確保していたとして、稲妻を熊に打つでしょうか?打ちませんよね。つまり3マナで熊のブロックに使える生物が彼の手札にいないと考える事ができます。4マナの生物が手札にいるときも、くまを殺さないでしょう。ダメージレースを望む場合も、稲妻はブロッカーやさらにパワフルな生物のためにとっておくでしょう。さあ、どんな状況であなたは熊に稲妻を打ち込みますか?
答えは、あなたの手札がとても重くて、稲妻を打たない場合の彼の初動が4ターン目のForeseeであったり、5ターン目のMind Controlであるなどの場合です。または、彼の手札は除去でパンパンになっているか。実際には、手札にさらなる除去があると考えるのが合理的です。もしそれが唯一の除去であるのなら、どちらにせよ温存するでしょうから。この様に、ボルトを熊に戦闘前に打ったという挙動だけで、相手の手札にどんな類のカードがあって、そして無いのか推測することが出来るのです(対戦相手があまりよくないプレイヤーというケースもありますが、今回は考えないことにします)。
また、なぜこんな手札をキープしたのか、という点からも推測できることがあります。相手の手札にはDay of Judgmentの様なボムがあったのかもしれません(繰り返しますが、相手は良プレイヤーと仮定しています)。GPポートランドのトップ8におけるMartin Juzaとのマッチで、私は5枚の土地とAzure Drake、そしてMind Controlというハンドをキープしました。3ターン連続で土地を引き、私の初動はAzure Drakeとなりました。MartinはConundrum Sphinxをプレイして、私はそれを強奪しました。マッチが終わった後に彼は、私がMind Controlを抱えていることは気づいてしかるべきだった、そしてConundrum Sphinxは温存するべきだったと語りました。気づけた理由として、Mind Controlの様な強力かつ失ったテンポを埋め合わせできるカードを抱えていなければそんな手札をキープするはずが無い、とのことでした。そしてマリガンの基準が我々は似ていることも、彼は考慮に入れていました。
ブロックするかしないかの傾向からも、相手のデッキや手札が分かります。相手は積極的に合い打ちを取ろうとしているでしょうか?そうした場合、彼は遅いゲーム向けのパワフルなカードを持っている可能性が高いです。ボムや大量ドローが出来るカードの様な。相打ちを避けているでしょう?その場合、クリーチャーをより強化する手段を持っているか、ダメージレースを最後に振り切れるなにかを持っているのでしょう。Sleep、Overwhelming StampedeはたまたLava Axeの様な。アーティファクトクリーチャーで相打ちを取った?きっと金属術に頼るカードはあまりないのでしょう。一向にアーティファクトクリーチャーでブロックしようとしない?ならばそれは彼の戦略にとって重要なものなのでしょう。
カードがうまく働くか、そうでないかはとても相対的です。特定のシチュエーションが取るに足らないカードを対処せざるをえないカードに変えることは多々あります。また、良カードをいやいや使わなければいけない場面も出てくるでしょう、先の熊と稲妻の例のように。
チームドラフトのマッチを観戦していたときのことを思い出します。ある人がURの超アグロデッキを使っていました、対戦相手は白デッキで、こっちもアグロです。URデッキはいくつものArc RunnersとLava Axesを唱えて、可能な限り相手を速く倒そうとしていました。UR側はGoblin Pikerの様な質の悪い軍勢でした。一方で白デッキの使い手(私のチームメイトでした)はWild Griffinでのブロックを拒否しました。二つのカードを比べた際に、Griffinのほうが良質だからです。UR側はさらに粗悪な生物を追加しました。白側はAssault Griffinでアタックし、ブロックされませんでした。”口出し禁止”のルールがあったので私は不安に思いながら見守るだけでした(このルールはアメリカ人がチームドラフト戦をする際によく適用するルールです。チームの意味ないじゃないかと私は思いますが)。数ターン後、赤使いはいくつかのトリックとバーンスペルで白使いを下しました。私が懸念していたとおりに。白側は最後まで自分の間違いに気づきませんでした。彼は質に差のあるクリーチャー同士を交換することが嫌だったのです。
彼が嫌がった交換は決して都合の悪いものではありません(悪いこと二つあったらましなほうを選べ、ともいえる)。Goblin PikerをGriffinで相打ちをとっていれが、後にプレイされた前のめりなカード―特にArc RunnersやLava Axesを―を役に立たないものにできたのです。5しかライフがなければLava Axesは即死カードとなるのです。しかし、ライフが6あれば、Lava Axesはある意味でなにもしないとも言えます。ゲームの序盤で相打ちを取っていれば、後のカードはもはや脅威とはならなかったのです。また、UR側がUnsummonやAct of Treasonから恩恵を受けるチャンスも無かったでしょう。ダメージレースで勝るURのデッキ相手に、その勝負を受けて立ってしまったおかげで、それらのカードが決定打となりました。このマッチにおいては、いずれにせよ相手は合い打ちを取らないので、アタックしてもスルーされ、「飛行」の意味が薄いので、Griffinたちはもはや良クリーチャーとは言えないのですが。
結言
前置きで無関係な事柄の羅列と述べたのを覚えていますか?これらにはしっかり相関があります。無関係な戦略TIPSですが、じつは二つの基本的な事柄に結びつきます。―まず、マジックは情報のゲームだということ、そしてあなたの挙動が相手に情報を送るということ、相手があなたに対してもそうであるように。次に、プレイングには常に理由をつけねばならないということ―あなたはよりよくプレイをするべきであり、あなたの挙動が描く大きな図について知っていなければなりません。
Well, that’s pretty much what I’ve gotten for today. I hope you’ve enjoyed it, and see you next week with another article and another draft video!
PV