http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-danger-in-innistrad/
PV’s Playhouse – Danger in Innistrad
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
September 27, 2011
Hello everyone!
イニストラードを最初に目を通したとき、僕は三つのファーストインプレッションを受けた。一つ目は、フレーバーに富んだ、そそられる僕好みのセットだということ。2つ目は、反転カードが憎らしくてたまらないということ。そして3つ目はかなり「危険な」セットだということだ。恐らく最近では最も危険なセットだろう。この三点目について今日は話そう。僕が危険と考えているカード、注意を払わねばならないと感じているカード、そしてただ強だと思うカードについて話すことになるだろう。
注意して欲しいのは、僕がいう「危険」が「強すぎる」という意味ではなく、そもそも強カードを意味してすらいないという点だ–多くの「強カード」は「危険なカード」ではないし、大抵の「危険なカード」は「強いカード」ではない。僕が言う「危険なカード」はデッキの中心になって、または新しい戦略の一部として機能して、一世を風靡する可能性のあるカードだ。《桜族の長老》は明らかに強いカードだが、危険なカードでは全くない。ブロックして土地を持ってくるだけだ。一方で、《出産の殻》はかなり危険なカードだ。「強すぎるカード」に見えない場面が時にあるとしても、だ。《ナルコメーバ》は強くはないがかなり危険なカードだ― ナルコメーバを使いつつ正々堂々とした戦い方を出来るプレイヤーはいない。このカードが使われる対戦では、誰かしらが「ずるい!」と言いたくなってしまうはずだ。このセットには《桜族の長老》の様なカードも含まれているけど、《出産の殻》や《ナルコメーバ》の様なカードも沢山含まれている。
「危険なカード」が多いのは悪いことではない―いやむしろ、「危険なカード」の意味を正しく理解していれば、とても喜ばしいことだ。デッキ構築をとてもエキサイティングなものにしてくれる。あからさまに危険なカードが多いことのいいところは、そのまんま―あからさまに危険だというところだ。そのあからさまさに、僕はR&Dがちゃんと調整したのかと疑いたくなるけど(注)―《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》が刷られたということは、つまりこのカードはセーフで、君が思う様なぶっ壊れカードではないということだ。こういう明らかにやばいポテンシャルを持つカードは慎重に調整されているだろう。しかしながら、こういった「危険なカード」の可能性の探究をやめるべき、と言っているのではない―R&Dは時々ヘマをする。このセットに関してはいつも以上に注意深くなっているとは思うけど。それに、そういったカードがたとえ超ぶっ壊れたカードではなかったとしても、 強力な戦略の一部を担うカードであることは確かなはずだ。例えば殻の様にね。では、最も危険なカードは何だろう?
注)原文は
The best thing about having a lot of cards that are obviously dangerous is that they are just that – obviously dangerous. So obvious in fact that I highly doubt R&D would have looked at them and dismissed them
直訳以上の意味がとれなくて、一文目がうまく訳せない。
《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》
このセットで恐らく最も危険なカードだ。このカードを見ると誰もが、MtGの歴史の中でも最強の一角を占めるあのカード、《ヨーグモスの意志》を思い出すだろう。といってもこいつは《ヨーグモスの意志》とは少し違う―《意志》はパーマネントも戻すことができた。この手の効果が最も壊れた結果を生む、つまりより古いカードが使えるフォーマットにおいて、《Black Lotus》が戻せないというのは非常に痛い。しかしそれでも、インスタントとソーサリーの再利用は、このカードを制限カードとするに足る十分な強さがあるかもしれない。少しので、このカは、もしかしたらこのカードを制限カードに追い込む程かもしれない。といっても、より範囲の狭いフォーマットにおいてはこの欠点がより目立つ―Napster(注)は恐らく最も象徴的な《意志》デッキだったけど、このデッキでは「クリーチャーも戻せる教示者又はシルバーバレット」として使われていた。ネクロデッキにおいては《意志》から《ミシュラのガラクタ》とかへの連鎖が使われたりした。《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》ではそういった動きができない。これはより「制限された」《意志》で、その上《意志》は既にいくらかの制限を受けている(《意志》は基本的には《暗黒の儀式》が必要だ)―単純に、どんなデッキにも入るカードではない。
(注)ぐぐれば出てくるけど、Napsterってのは
http://wiki.mtgsalvation.com/article/Napster
このデッキね。知らなかった。
といっても《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》には《意志》に勝る点がちゃんとある―まずフラッシュバックがついていること。このカードが通れば勝てるという場面では、相手は2度打ち消さねばならなくなる。その上、ハンデスには完璧な耐性があるということだ!ぶどう弾/巣穴ストームを調整していると、常に相手の妨害への対処手段がほしくなる―1枚のカードで1枚以上カードが引けないデッキで、勝つために限界ギリギリのリソースが必要となると、相手に何度かハンデスされると非常に厳しくなる。これへの対策として、今までで最もよかったのは《強迫的な研究》だった。《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》が使えるというのなら、絶対にこれを採用する。このカードは確実にその問題を解決できるからだ―これはディスカードされても大丈夫なんだ!また、このカードはコンボを決めにいって失敗した際も、大きな助けとなってくれる―以前のヴァージョンでコンボが失敗すると、できるのは相手のクリーチャーを《ぶどう弾》で薙ぎ払うことぐらいで、また仕掛けにいけるだけのリソースが回復する5ターン後くらいまでは指をくわえて待つしかなかった。このカードは単体で、相手を倒せるだけのリソースとなる。
もう一つの利点は、《意志》と違って1回目のスペルは取り除かれないという点だ。《儀式》を二回打って、ドロースペルを唱えて、《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》を打って《マナ変換》をフラッシュバックして、また《儀式》を引いてくる―こんな場面を想像してみてくれ。ここでもう一度《儀式》を打ってもそれはちゃんと墓地に落ちるんだ。《過去》を打つ「未来」に備えて―しかもその「未来」はこのターン中ってことさえある。
もちろん、僕らの知っている青赤デッキは死んだ。《熟慮》と《定業》はかなり優秀なカードだったが、代役がないわけではない(《手練》とか《血清の幻視》とかがある)。しかし《炎の儀式》の不在は《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》にとって大きな痛手だ。それでも、《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《煮えたぎる歌》を使ったデッキは作ることができるし、そういうデッキにとって《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》は使いたいカードになるだろう。サイドに投入される方が多いとは思うけど。
また、このカードと《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》の相互作用は面白い―もし《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》デッキが作られるとしたら、おそらく《調査》はフル投入されるだろう。
《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》は、レガシーのストームデッキにおいて、最低でも1枚は入れたくなるカードだと思う。
十分に低コストのカードが入っているならば、このカードを使いこなすのは難しくはあるが不可能ではない–《魔力変》、《調査》、《彼方の映像/Visions of Beyond(M12)》、《稲妻》、《流刑への道》、《四肢切断/Dismember(NPH)》、《脅迫》、《審問》といったカードは普通のデッキで使っても強く、《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》とは相性がいい。
《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》
このカードは《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》と違って“フェア”“アンフェア”なデッキどちらで使っても強いというものではない(注)。“フェア”な《召喚》デッキとしては、例えば《殻》デッキがそうかもしれない―単純に《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》、《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》、《タイタン》、《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine(SOM)》を加速できる。こういう使い方は要するに《Sol Ring》の様なものだ。いや、1ターンに複数のクリーチャーを展開できる場合もあるので、《Sol Ring》以上のメリットがあるかもしれない。また、どれだけの価値があるかは分からないが、《マイアの超越種/Myr Superion(NPH)》とも相性がいい(僕の謙虚な意見だと大したことないけどね)。
(注):続き読んでもらうと分かりますが、
フェアなデッキ:特別なコンボを狙うのではなく、普通に入れて普通に使う様なデッキ
アンフェアなデッキ:そのカードを中心にしてコンボを狙うようなデッキ
みたいな分類だと思う。「悪用」するかしないかでフェア・アンフェア言っているのかと。
このアプローチの問題点は、-1/-1修正は無視できないデメリットだという点だ。僕は《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》デッキをちょっといじってみていて、最初そのデッキには《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager(MBS)》が入っていたのだけど、黒1マナで1/1と1ドローと1ルーズライフは全然強い動きではなかった。2/2にはほぼカード1枚分の価値があって、なので《憤怒鬼》は投資する価値のあるカードなのだけど、1/1はなにか利用できる手段(《殻》の様な)がなければ、しばしば無価値になる。《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx(MBS)》はクリーチャーとしてのサイズより能力のために採用されているカードなので、加速できれば非常にうれしいカードだけど、Consecrated 《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》を張っているとすぐに《四肢切断/Dismember(NPH)》されることに気づいてしまった。タイタンや《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine(SOM)》(しかも2/2トークンは3/3に比べるとかなり劣る)も同じ運命をたどるだろう。《呪文滑り/Spellskite(NPH)》はフリースペルになるけど、すぐに《火葬/Incinerate(M12)》されるはずだ―などにも。重ね張りするとこの欠点はより大きくなるし、“フェア”な使い方をするデッキで2枚目を張りたい場面が全く想像できない。それに、《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold(ISD)》を張られてもかなりまずいことになる。《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold(ISD)》は《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker(ISD)》と《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》に対処できるので、これからよく見るカードだと思う。
このデッキを“フェア”デックで使う際の別な問題点は、低マナ域のクリーチャーにかなりの制限がかけられてしまう点だ。《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》の様な、《召喚》を張ったらすぐ死んでしまうカードは使いたくなくなる。また、このカードを最大限活用するなら最低でも3マナ以上のクリーチャーを使うのが理想だけど、それだと《召喚》が引けなかったり対処されたりした場合にとても重いデッキになってしまう。
このデッキを“アンフェア”デックで使うとしたら…うーん、どうすればいいかまだ分からないな。今思いつく使い方は二つある。1つ目は《弱者の師/Mentor of the Meek(ISD)》との組み合わせで、これだと余った2マナを有効活用できるし、《師》とシナジーするカードは《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》とも相性がいい(《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》、《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager(MBS)》などなど)。もう一つは《目覚ましヒバリ》との組み合わせだ。《熟考漂い》、《影武者》、そして《ヒバリ》自身、これら全て《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》があればずっと強くなる。コンボを決めに行く時も、単純にこいつらを使いたい時も、どっちでも役に立つ。僕はこのカードが完璧にフィットする居場所を見つけられなかったけど、それがもしあったとしても全く驚かない。そんなデッキが見つけられたら、こいつは壊れたカードになるだろうね。なので、僕はこれは注意を払うに値するカードだと思うし、また何か試してみる価値があると思う。
《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》
このカードは《戦慄の復活》(そして《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》)と同じ理由で危険だ―墓地を利用するカードであるとともに、自身も墓地からアクセスできるからだ。つまり、リアニメイトの対象を探すカードを使ってこのカードも探せるということだ。ドレッジの様なデッキは自分のライブラリーを大量に削るけど、そうすることでこのカードは他に何かする必要がなくなる―このカードを採用したら、君が悩むのはどうライブラリーを掘るかというだけで、その手段さえあれば何でもできてしまう。
このカードは単体でも優秀なカードだが、新ソーラーフレアでは旧ヴァージョンに入っていた《ゾンビ化》とは桁違いの強さになる。 3ターン目に《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》を打って、このカードとデカブツ1体を引いてきた場面を想像してみてくれ―4ターン目には、選んだファッティが場に出せる(黒タイタンでも白タイタンでもノーン様でもジンさんでもなんでもござれだ)。一枚もカードを使わずに、だ!《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》の代わりに4枚から選んだカードが手札に入るのだから、実際にはそれ以上に強い。その上さらに、ゲーム後半の消耗戦ではタダツヨのカードになる―終盤まで生き延びられれば、特になにかとコンボを組まなくても、フラッシュバックというオプションが非常に強くなる。相手はこちらのフィニッシャーを2回ではなく3回倒さなければならないのだから。
《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker(ISD)》/《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》
これらのカードはその一貫性のなさ故に「危険」なカードだ。彼らはなんも仕事をしないこともあれば、単体で対戦相手を打ち負かすこともあるだろう。例えば、《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker(ISD)》は無気力に毎ターン1点のダメージを与えるか、剣を担いで全力で相手を殺りにいくかのどちらかだろう。そして、どちらのシチュエーションになるかについて、彼ら自身はほとんど関与しない―あなたがそれを引くか引かないかというだけだ。恐らく、僕はこれらのカードにこれから何度も負けるだろう。だけど、僕が彼らをプレイしても、彼らは何も仕事をしないということも何度もあるだろうね。
これらに対する回答として、最もよいのは《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》だと思う。彼女は単体でも非常に優秀なカードだ。《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold(ISD)》もまた《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker(ISD)》への回答になるし、《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith(MBS)》はどちらも除去できる。《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》はレジェンドなので、《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》か《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph(NPH)》で対処できる。
《スカーブの殲滅者/Skaab Ruinator(ISD)》
このカードはマナコストが異常に軽いので、危険なカードに見える。そして、これもまた《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》と同じ特徴を持っている―例え手札に《スカーブの殲滅者/Skaab Ruinator(ISD)》が無くとも、こいつのコストを確保するためのカードが、こいつを探すためのカードにもなるのだ。といっても、僕はこのカードを過剰に恐れる必要はないと考えている―強いカードなのは確かで、《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》のターゲットだけには留まらないカードだけど、“壊れてる”と叫ぶほどのカードではない。なぜなら、今はもっと安価な手段で好きなカードを墓地から釣れるからだ。墓地全部を使い切っちゃうよりも安価な手段で。このカードからかなりの戦果を得ることはできるかもしれないが、バウンスされたり、除去されたりすると(これらが簡単にできるとは言わないけど)もう一度唱えるのはかなり困難になるだろう。
《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》
このカードはかなり×5強い。このカードがセットのtop5であることは疑いようもなく、もしかしたらスタンダード最強のカードかもしれない―このカードが《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》以上に使われるようになる可能性はかなり高い。このカードが強いのは他のカードを墓地に落とすという点で、これはボトムに置くよりずっといい。ゲーム後半に再利用できる《衝動》、これだけでもライブラリーを掘り進むカードとしては優秀だけど、これで落としたフラッシュバック・カードが、カード半枚か1枚分の価値を持つというのだからかなり強い。望むならば、リアニメイトや《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》の対象(または、《スカーブの殲滅者/Skaab Ruinator(ISD)》のも)も確保してくれる。《彼方の映像/Visions of Beyond(M12)》の餌にもなる。このカードは既存のカードの中で最も恩恵を受けたカードかもしれない―墓地を増やすのが簡単になっただけでなく、より墓地を活用できるようになったのに加え、今後は相手も墓地を肥やすのに協力してくれるかもしれないからだ。
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》
もしリリアナが墓地利用をテーマにしたセットで刷られていなかったとしても、彼女は十分に強い。双方が墓地利用に手を出せるとしても、イニストラードではより強くなるだろう―対戦相手もディスカードの利益を受ける可能性は高くなったけど、こちらが墓地を使うチャンスはずっと増えている (こちらはリリアナと相互左右するカードを入れるだろうけど、相手がそうしてくるかは確定してないからね).
リリアナが強い理由は主に2つ。非常にコストが軽いこと、そして場に直接干渉できることだ1BBで《布告》の効果は決して強いわけではないが、そこに付加価値があるとなると採用の余地がある。そしてリリアナには莫大な付加価値がある―相手が3ターン目に《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》をプレイして、返しにリリアナで除去する場面を考えてみてくれ。ジェイスでのバウンスと同様に、ずっと有利に立てる―次のターンにするべきことはアンタップして、追加された相手のクロックに対処して、彼女を育てる(その過程で潜在的な利益を得ているだろう)だけだ。こうなると、次のターンに最悪なことが起こったとしても、もう一度《布告》を打つことができる。彼女は上二つの能力によって、クリーチャーデッキとコントロールデッキどちらにも強い。これは非常に重要なことで―リリアナにとってつらいデッキは多くないということだ。
また、リリアナは複数枚引いても問題ないという点では歴代PWの中でもトップだ(はいはい、ジェイスTMSの次かもね)。なぜなら、彼女はその軽さで「リリアナ・フラッド」を決して起こさないだろうし、死んだとしても、投資に見合う大きな仕事をしてからだ (例えば、-2能力を使って次ターンに除去されるリリアナと、+1能力を使って次ターンに除去されるジェイスとでは、前者の方がずっといい) 。それに、余った彼女を捨てるという手もある。
コントロールデッキが彼女にどう対処するかを考えてみよう。率直に言ってしまうと、コントロールに専心したデッキというのはあまり多くはないと僕は考えている。コントロールデッキは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》を積んだデッキか、新環境のソーラーフレアの様なデッキ、またはその双方の特徴をもったデッキになるだろう。前者のデッキは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》である程度彼女に対処できるだろう。後者のデッキは一般的なコントロール程ディスカードを苦にしない。といってもこの手のデッキはリアニメイトの対象には注意を払わなければならない―《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite(NPH)》は彼女の前ではただ死んでいくだけだろう。リリアナを相手にする際は、《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》か《太陽のタイタン/Sun Titan(M12)》がリアニメイト先として最良だと思われる。
結論としては、リリアナは危険とも壊れているとも言えないけど、確実に構築級の良カードだ。
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
このカードは《ヴェンディリオン三人衆》を思い出させる―とても強くて、様々な可能性を示してくれて、多様な役割を担い、タップアウトすることなく展開できるクロックで、上手いプレイングに応えてくれるカードだ。実にクール。といっても、少なくともスタンダードでは過大な評価と値をつけられていると思うけどね。こういうこと言うと誤解されそうだけど、彼はかなり強いし、これからよく見られるカードだろう。だけど僕は今評価を受けてるほどだとは思わない―もう一度言うけど、《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》の方が環境により大きな影響を与えるだろう。明らかに、フォーマットの範囲が広いほど強くなるカードだ。はいはい剣つけるのね、、はいはいブレスト打つのね、はいはい対抗呪文対抗呪文。スタンダードでは《マナ漏出/Mana Leak(M12)》や《四肢切断/Dismember(NPH)》、《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》、《彼方の映像/Visions of Beyond(M12)》、あと《四肢切断/Dismember(NPH)》に《喉首狙い/Go for the Throat(MBS)》あたりが対象になるだろう。どれも強い。《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》を相打ちにとれてリリアナに攻撃できる点は素晴らしい。
《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard(ISD)》
僕はこのカードが大好きだ!子供のころは青白の、《石臼》が勝ち手段のデッキをよく使っていた (このカードを使っても「石臼」デッキにはならないけどね)。で、このカードはステロイドに入る《石臼》の様なものだ。なぜならスロットを圧迫しないし、打ち消されない、そして《地盤の際》が消えた今は事実上対処手段がない。まず一つ目の問題点はもちろん、墓地からも使えるカードが大半を占める様なデッキを相手にライブラリーアウトを狙うのはかなり大変だという点だ。もう一つの問題点は、《嘘か真か》の様なカードはもうないという点。つまり、ここ数年はずっとそうだけど、相手がリカバリーする前に勝ちを決めなくてはいけない。三つ目の問題点は、これではPWを倒せないということだ。こういった理由があるので、このカードはあまり多くは見られないかもしれないが、頭の片隅に入れといていい良カードだ。現状、このカードは自分のライブラリーを削るデッキを象徴する様なカードだけど、その手段としては悪くはないけど凄くはない。
《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》
恐らく、このサイクルの中で最強の土地だろう―ゲーム終盤でどのクリーチャーも《火の玉》にしてしまう効果は絶大だ。しかも、トランプルを与えるので、ゲーム終盤でなくても有用なカードだ。–5ターン目にこちらには1、2体のクリーチャー、相手側に1体のブロッカーがいて、《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》で3,4点のトランプルダメージを通す―よく見られる状況になるだろうが、土地の仕事としては非常に大きい。このカードを想定しなくてはならないとなると、ゲームプランは全く違ったものとなるだろう。 もちろん、一枚差したこのカードを《聖衣の騎士》で持ってくることもできる。
《ステンシアの血の間/Stensia Bloodhall(ISD)》
このカードは《ケルドの巨石》を思い出させる。より丸くなっているけどね。これが場に出されると、コントロールデッキにとっては残り時間が大幅に減るということだ―ダメージレースを挑むしかなくなる。《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard(ISD)》を勝ち手段にしようというところでこいつが出されることを想像してみてくれ。それは全くもって難儀な話で、少なくとも今現在は《墓所のタイタン》をフィニッシャーとしたい(といっても対抗馬として《ワームとぐろエンジン》もいるし、《太陽のタイタン》も同じくらい素早く勝てる)理由の一つだ。これがライフルーズではなくダメージなのも面白いところで、つまりPWも狙うことができる―僕自身は半信半疑だけど、コントロールデッキで使っても悪くないかもしれない。いずれにしても、アグロデッキでつかうには面白いカードで、起動できるならば1,2枚入れるべきだろう。
と、まあこんな感じです―これらのカードが僕の考える「強いカード(又は弱いカード)」の全てではないけど、これらは議論する価値があるカードだと考えている。メタゲームを予測するにはまだ早過ぎるけど、赤単と鋼が恐らくビートダウンデッキの候補となり、それらと殻デッキ、ソーラーフレア、青(白/黒)の《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》デッキがtier1を争うだろう。PWは以前より強くなったと思う。マンランドが退場したのが原因だ。また、《審判の日/Day of Judgment(M12)》もより強いカードになった。 大抵のデッキはクリーチャーベースになるからだ。
全体的に見て、僕は本当にイニストラードが気に入った―魅力的でパワフル、そして危険なカードがいいスパイスになっている―セット全体が “break me”と叫んでいる様に見えるので、僕もそれを楽しむことにしよう。
I hope you’ve enjoyed this, see you next week!
PV’s Playhouse – Danger in Innistrad
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
September 27, 2011
Hello everyone!
イニストラードを最初に目を通したとき、僕は三つのファーストインプレッションを受けた。一つ目は、フレーバーに富んだ、そそられる僕好みのセットだということ。2つ目は、反転カードが憎らしくてたまらないということ。そして3つ目はかなり「危険な」セットだということだ。恐らく最近では最も危険なセットだろう。この三点目について今日は話そう。僕が危険と考えているカード、注意を払わねばならないと感じているカード、そしてただ強だと思うカードについて話すことになるだろう。
注意して欲しいのは、僕がいう「危険」が「強すぎる」という意味ではなく、そもそも強カードを意味してすらいないという点だ–多くの「強カード」は「危険なカード」ではないし、大抵の「危険なカード」は「強いカード」ではない。僕が言う「危険なカード」はデッキの中心になって、または新しい戦略の一部として機能して、一世を風靡する可能性のあるカードだ。《桜族の長老》は明らかに強いカードだが、危険なカードでは全くない。ブロックして土地を持ってくるだけだ。一方で、《出産の殻》はかなり危険なカードだ。「強すぎるカード」に見えない場面が時にあるとしても、だ。《ナルコメーバ》は強くはないがかなり危険なカードだ― ナルコメーバを使いつつ正々堂々とした戦い方を出来るプレイヤーはいない。このカードが使われる対戦では、誰かしらが「ずるい!」と言いたくなってしまうはずだ。このセットには《桜族の長老》の様なカードも含まれているけど、《出産の殻》や《ナルコメーバ》の様なカードも沢山含まれている。
「危険なカード」が多いのは悪いことではない―いやむしろ、「危険なカード」の意味を正しく理解していれば、とても喜ばしいことだ。デッキ構築をとてもエキサイティングなものにしてくれる。あからさまに危険なカードが多いことのいいところは、そのまんま―あからさまに危険だというところだ。そのあからさまさに、僕はR&Dがちゃんと調整したのかと疑いたくなるけど(注)―《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》が刷られたということは、つまりこのカードはセーフで、君が思う様なぶっ壊れカードではないということだ。こういう明らかにやばいポテンシャルを持つカードは慎重に調整されているだろう。しかしながら、こういった「危険なカード」の可能性の探究をやめるべき、と言っているのではない―R&Dは時々ヘマをする。このセットに関してはいつも以上に注意深くなっているとは思うけど。それに、そういったカードがたとえ超ぶっ壊れたカードではなかったとしても、 強力な戦略の一部を担うカードであることは確かなはずだ。例えば殻の様にね。では、最も危険なカードは何だろう?
注)原文は
The best thing about having a lot of cards that are obviously dangerous is that they are just that – obviously dangerous. So obvious in fact that I highly doubt R&D would have looked at them and dismissed them
直訳以上の意味がとれなくて、一文目がうまく訳せない。
《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》
このセットで恐らく最も危険なカードだ。このカードを見ると誰もが、MtGの歴史の中でも最強の一角を占めるあのカード、《ヨーグモスの意志》を思い出すだろう。といってもこいつは《ヨーグモスの意志》とは少し違う―《意志》はパーマネントも戻すことができた。この手の効果が最も壊れた結果を生む、つまりより古いカードが使えるフォーマットにおいて、《Black Lotus》が戻せないというのは非常に痛い。しかしそれでも、インスタントとソーサリーの再利用は、このカードを制限カードとするに足る十分な強さがあるかもしれない。少しので、このカは、もしかしたらこのカードを制限カードに追い込む程かもしれない。といっても、より範囲の狭いフォーマットにおいてはこの欠点がより目立つ―Napster(注)は恐らく最も象徴的な《意志》デッキだったけど、このデッキでは「クリーチャーも戻せる教示者又はシルバーバレット」として使われていた。ネクロデッキにおいては《意志》から《ミシュラのガラクタ》とかへの連鎖が使われたりした。《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》ではそういった動きができない。これはより「制限された」《意志》で、その上《意志》は既にいくらかの制限を受けている(《意志》は基本的には《暗黒の儀式》が必要だ)―単純に、どんなデッキにも入るカードではない。
(注)ぐぐれば出てくるけど、Napsterってのは
http://wiki.mtgsalvation.com/article/Napster
このデッキね。知らなかった。
といっても《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》には《意志》に勝る点がちゃんとある―まずフラッシュバックがついていること。このカードが通れば勝てるという場面では、相手は2度打ち消さねばならなくなる。その上、ハンデスには完璧な耐性があるということだ!ぶどう弾/巣穴ストームを調整していると、常に相手の妨害への対処手段がほしくなる―1枚のカードで1枚以上カードが引けないデッキで、勝つために限界ギリギリのリソースが必要となると、相手に何度かハンデスされると非常に厳しくなる。これへの対策として、今までで最もよかったのは《強迫的な研究》だった。《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》が使えるというのなら、絶対にこれを採用する。このカードは確実にその問題を解決できるからだ―これはディスカードされても大丈夫なんだ!また、このカードはコンボを決めにいって失敗した際も、大きな助けとなってくれる―以前のヴァージョンでコンボが失敗すると、できるのは相手のクリーチャーを《ぶどう弾》で薙ぎ払うことぐらいで、また仕掛けにいけるだけのリソースが回復する5ターン後くらいまでは指をくわえて待つしかなかった。このカードは単体で、相手を倒せるだけのリソースとなる。
もう一つの利点は、《意志》と違って1回目のスペルは取り除かれないという点だ。《儀式》を二回打って、ドロースペルを唱えて、《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》を打って《マナ変換》をフラッシュバックして、また《儀式》を引いてくる―こんな場面を想像してみてくれ。ここでもう一度《儀式》を打ってもそれはちゃんと墓地に落ちるんだ。《過去》を打つ「未来」に備えて―しかもその「未来」はこのターン中ってことさえある。
もちろん、僕らの知っている青赤デッキは死んだ。《熟慮》と《定業》はかなり優秀なカードだったが、代役がないわけではない(《手練》とか《血清の幻視》とかがある)。しかし《炎の儀式》の不在は《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》にとって大きな痛手だ。それでも、《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《煮えたぎる歌》を使ったデッキは作ることができるし、そういうデッキにとって《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》は使いたいカードになるだろう。サイドに投入される方が多いとは思うけど。
また、このカードと《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》の相互作用は面白い―もし《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》デッキが作られるとしたら、おそらく《調査》はフル投入されるだろう。
《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》は、レガシーのストームデッキにおいて、最低でも1枚は入れたくなるカードだと思う。
十分に低コストのカードが入っているならば、このカードを使いこなすのは難しくはあるが不可能ではない–《魔力変》、《調査》、《彼方の映像/Visions of Beyond(M12)》、《稲妻》、《流刑への道》、《四肢切断/Dismember(NPH)》、《脅迫》、《審問》といったカードは普通のデッキで使っても強く、《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》とは相性がいい。
《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》
このカードは《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》と違って“フェア”“アンフェア”なデッキどちらで使っても強いというものではない(注)。“フェア”な《召喚》デッキとしては、例えば《殻》デッキがそうかもしれない―単純に《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》、《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》、《タイタン》、《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine(SOM)》を加速できる。こういう使い方は要するに《Sol Ring》の様なものだ。いや、1ターンに複数のクリーチャーを展開できる場合もあるので、《Sol Ring》以上のメリットがあるかもしれない。また、どれだけの価値があるかは分からないが、《マイアの超越種/Myr Superion(NPH)》とも相性がいい(僕の謙虚な意見だと大したことないけどね)。
(注):続き読んでもらうと分かりますが、
フェアなデッキ:特別なコンボを狙うのではなく、普通に入れて普通に使う様なデッキ
アンフェアなデッキ:そのカードを中心にしてコンボを狙うようなデッキ
みたいな分類だと思う。「悪用」するかしないかでフェア・アンフェア言っているのかと。
このアプローチの問題点は、-1/-1修正は無視できないデメリットだという点だ。僕は《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》デッキをちょっといじってみていて、最初そのデッキには《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager(MBS)》が入っていたのだけど、黒1マナで1/1と1ドローと1ルーズライフは全然強い動きではなかった。2/2にはほぼカード1枚分の価値があって、なので《憤怒鬼》は投資する価値のあるカードなのだけど、1/1はなにか利用できる手段(《殻》の様な)がなければ、しばしば無価値になる。《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx(MBS)》はクリーチャーとしてのサイズより能力のために採用されているカードなので、加速できれば非常にうれしいカードだけど、Consecrated 《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》を張っているとすぐに《四肢切断/Dismember(NPH)》されることに気づいてしまった。タイタンや《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine(SOM)》(しかも2/2トークンは3/3に比べるとかなり劣る)も同じ運命をたどるだろう。《呪文滑り/Spellskite(NPH)》はフリースペルになるけど、すぐに《火葬/Incinerate(M12)》されるはずだ―などにも。重ね張りするとこの欠点はより大きくなるし、“フェア”な使い方をするデッキで2枚目を張りたい場面が全く想像できない。それに、《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold(ISD)》を張られてもかなりまずいことになる。《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold(ISD)》は《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker(ISD)》と《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》に対処できるので、これからよく見るカードだと思う。
このデッキを“フェア”デックで使う際の別な問題点は、低マナ域のクリーチャーにかなりの制限がかけられてしまう点だ。《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》の様な、《召喚》を張ったらすぐ死んでしまうカードは使いたくなくなる。また、このカードを最大限活用するなら最低でも3マナ以上のクリーチャーを使うのが理想だけど、それだと《召喚》が引けなかったり対処されたりした場合にとても重いデッキになってしまう。
このデッキを“アンフェア”デックで使うとしたら…うーん、どうすればいいかまだ分からないな。今思いつく使い方は二つある。1つ目は《弱者の師/Mentor of the Meek(ISD)》との組み合わせで、これだと余った2マナを有効活用できるし、《師》とシナジーするカードは《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》とも相性がいい(《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》、《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager(MBS)》などなど)。もう一つは《目覚ましヒバリ》との組み合わせだ。《熟考漂い》、《影武者》、そして《ヒバリ》自身、これら全て《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》があればずっと強くなる。コンボを決めに行く時も、単純にこいつらを使いたい時も、どっちでも役に立つ。僕はこのカードが完璧にフィットする居場所を見つけられなかったけど、それがもしあったとしても全く驚かない。そんなデッキが見つけられたら、こいつは壊れたカードになるだろうね。なので、僕はこれは注意を払うに値するカードだと思うし、また何か試してみる価値があると思う。
《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》
このカードは《戦慄の復活》(そして《炎の中の過去/Past in Flames(ISD)》)と同じ理由で危険だ―墓地を利用するカードであるとともに、自身も墓地からアクセスできるからだ。つまり、リアニメイトの対象を探すカードを使ってこのカードも探せるということだ。ドレッジの様なデッキは自分のライブラリーを大量に削るけど、そうすることでこのカードは他に何かする必要がなくなる―このカードを採用したら、君が悩むのはどうライブラリーを掘るかというだけで、その手段さえあれば何でもできてしまう。
このカードは単体でも優秀なカードだが、新ソーラーフレアでは旧ヴァージョンに入っていた《ゾンビ化》とは桁違いの強さになる。 3ターン目に《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》を打って、このカードとデカブツ1体を引いてきた場面を想像してみてくれ―4ターン目には、選んだファッティが場に出せる(黒タイタンでも白タイタンでもノーン様でもジンさんでもなんでもござれだ)。一枚もカードを使わずに、だ!《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》の代わりに4枚から選んだカードが手札に入るのだから、実際にはそれ以上に強い。その上さらに、ゲーム後半の消耗戦ではタダツヨのカードになる―終盤まで生き延びられれば、特になにかとコンボを組まなくても、フラッシュバックというオプションが非常に強くなる。相手はこちらのフィニッシャーを2回ではなく3回倒さなければならないのだから。
《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker(ISD)》/《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》
これらのカードはその一貫性のなさ故に「危険」なカードだ。彼らはなんも仕事をしないこともあれば、単体で対戦相手を打ち負かすこともあるだろう。例えば、《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker(ISD)》は無気力に毎ターン1点のダメージを与えるか、剣を担いで全力で相手を殺りにいくかのどちらかだろう。そして、どちらのシチュエーションになるかについて、彼ら自身はほとんど関与しない―あなたがそれを引くか引かないかというだけだ。恐らく、僕はこれらのカードにこれから何度も負けるだろう。だけど、僕が彼らをプレイしても、彼らは何も仕事をしないということも何度もあるだろうね。
これらに対する回答として、最もよいのは《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》だと思う。彼女は単体でも非常に優秀なカードだ。《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold(ISD)》もまた《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker(ISD)》への回答になるし、《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith(MBS)》はどちらも除去できる。《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》はレジェンドなので、《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》か《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph(NPH)》で対処できる。
《スカーブの殲滅者/Skaab Ruinator(ISD)》
このカードはマナコストが異常に軽いので、危険なカードに見える。そして、これもまた《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》と同じ特徴を持っている―例え手札に《スカーブの殲滅者/Skaab Ruinator(ISD)》が無くとも、こいつのコストを確保するためのカードが、こいつを探すためのカードにもなるのだ。といっても、僕はこのカードを過剰に恐れる必要はないと考えている―強いカードなのは確かで、《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》のターゲットだけには留まらないカードだけど、“壊れてる”と叫ぶほどのカードではない。なぜなら、今はもっと安価な手段で好きなカードを墓地から釣れるからだ。墓地全部を使い切っちゃうよりも安価な手段で。このカードからかなりの戦果を得ることはできるかもしれないが、バウンスされたり、除去されたりすると(これらが簡単にできるとは言わないけど)もう一度唱えるのはかなり困難になるだろう。
《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》
このカードはかなり×5強い。このカードがセットのtop5であることは疑いようもなく、もしかしたらスタンダード最強のカードかもしれない―このカードが《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》以上に使われるようになる可能性はかなり高い。このカードが強いのは他のカードを墓地に落とすという点で、これはボトムに置くよりずっといい。ゲーム後半に再利用できる《衝動》、これだけでもライブラリーを掘り進むカードとしては優秀だけど、これで落としたフラッシュバック・カードが、カード半枚か1枚分の価値を持つというのだからかなり強い。望むならば、リアニメイトや《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》の対象(または、《スカーブの殲滅者/Skaab Ruinator(ISD)》のも)も確保してくれる。《彼方の映像/Visions of Beyond(M12)》の餌にもなる。このカードは既存のカードの中で最も恩恵を受けたカードかもしれない―墓地を増やすのが簡単になっただけでなく、より墓地を活用できるようになったのに加え、今後は相手も墓地を肥やすのに協力してくれるかもしれないからだ。
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》
もしリリアナが墓地利用をテーマにしたセットで刷られていなかったとしても、彼女は十分に強い。双方が墓地利用に手を出せるとしても、イニストラードではより強くなるだろう―対戦相手もディスカードの利益を受ける可能性は高くなったけど、こちらが墓地を使うチャンスはずっと増えている (こちらはリリアナと相互左右するカードを入れるだろうけど、相手がそうしてくるかは確定してないからね).
リリアナが強い理由は主に2つ。非常にコストが軽いこと、そして場に直接干渉できることだ1BBで《布告》の効果は決して強いわけではないが、そこに付加価値があるとなると採用の余地がある。そしてリリアナには莫大な付加価値がある―相手が3ターン目に《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》をプレイして、返しにリリアナで除去する場面を考えてみてくれ。ジェイスでのバウンスと同様に、ずっと有利に立てる―次のターンにするべきことはアンタップして、追加された相手のクロックに対処して、彼女を育てる(その過程で潜在的な利益を得ているだろう)だけだ。こうなると、次のターンに最悪なことが起こったとしても、もう一度《布告》を打つことができる。彼女は上二つの能力によって、クリーチャーデッキとコントロールデッキどちらにも強い。これは非常に重要なことで―リリアナにとってつらいデッキは多くないということだ。
また、リリアナは複数枚引いても問題ないという点では歴代PWの中でもトップだ(はいはい、ジェイスTMSの次かもね)。なぜなら、彼女はその軽さで「リリアナ・フラッド」を決して起こさないだろうし、死んだとしても、投資に見合う大きな仕事をしてからだ (例えば、-2能力を使って次ターンに除去されるリリアナと、+1能力を使って次ターンに除去されるジェイスとでは、前者の方がずっといい) 。それに、余った彼女を捨てるという手もある。
コントロールデッキが彼女にどう対処するかを考えてみよう。率直に言ってしまうと、コントロールに専心したデッキというのはあまり多くはないと僕は考えている。コントロールデッキは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》を積んだデッキか、新環境のソーラーフレアの様なデッキ、またはその双方の特徴をもったデッキになるだろう。前者のデッキは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》である程度彼女に対処できるだろう。後者のデッキは一般的なコントロール程ディスカードを苦にしない。といってもこの手のデッキはリアニメイトの対象には注意を払わなければならない―《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite(NPH)》は彼女の前ではただ死んでいくだけだろう。リリアナを相手にする際は、《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》か《太陽のタイタン/Sun Titan(M12)》がリアニメイト先として最良だと思われる。
結論としては、リリアナは危険とも壊れているとも言えないけど、確実に構築級の良カードだ。
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
このカードは《ヴェンディリオン三人衆》を思い出させる―とても強くて、様々な可能性を示してくれて、多様な役割を担い、タップアウトすることなく展開できるクロックで、上手いプレイングに応えてくれるカードだ。実にクール。といっても、少なくともスタンダードでは過大な評価と値をつけられていると思うけどね。こういうこと言うと誤解されそうだけど、彼はかなり強いし、これからよく見られるカードだろう。だけど僕は今評価を受けてるほどだとは思わない―もう一度言うけど、《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》の方が環境により大きな影響を与えるだろう。明らかに、フォーマットの範囲が広いほど強くなるカードだ。はいはい剣つけるのね、、はいはいブレスト打つのね、はいはい対抗呪文対抗呪文。スタンダードでは《マナ漏出/Mana Leak(M12)》や《四肢切断/Dismember(NPH)》、《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》、《彼方の映像/Visions of Beyond(M12)》、あと《四肢切断/Dismember(NPH)》に《喉首狙い/Go for the Throat(MBS)》あたりが対象になるだろう。どれも強い。《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》を相打ちにとれてリリアナに攻撃できる点は素晴らしい。
《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard(ISD)》
僕はこのカードが大好きだ!子供のころは青白の、《石臼》が勝ち手段のデッキをよく使っていた (このカードを使っても「石臼」デッキにはならないけどね)。で、このカードはステロイドに入る《石臼》の様なものだ。なぜならスロットを圧迫しないし、打ち消されない、そして《地盤の際》が消えた今は事実上対処手段がない。まず一つ目の問題点はもちろん、墓地からも使えるカードが大半を占める様なデッキを相手にライブラリーアウトを狙うのはかなり大変だという点だ。もう一つの問題点は、《嘘か真か》の様なカードはもうないという点。つまり、ここ数年はずっとそうだけど、相手がリカバリーする前に勝ちを決めなくてはいけない。三つ目の問題点は、これではPWを倒せないということだ。こういった理由があるので、このカードはあまり多くは見られないかもしれないが、頭の片隅に入れといていい良カードだ。現状、このカードは自分のライブラリーを削るデッキを象徴する様なカードだけど、その手段としては悪くはないけど凄くはない。
《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》
恐らく、このサイクルの中で最強の土地だろう―ゲーム終盤でどのクリーチャーも《火の玉》にしてしまう効果は絶大だ。しかも、トランプルを与えるので、ゲーム終盤でなくても有用なカードだ。–5ターン目にこちらには1、2体のクリーチャー、相手側に1体のブロッカーがいて、《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》で3,4点のトランプルダメージを通す―よく見られる状況になるだろうが、土地の仕事としては非常に大きい。このカードを想定しなくてはならないとなると、ゲームプランは全く違ったものとなるだろう。 もちろん、一枚差したこのカードを《聖衣の騎士》で持ってくることもできる。
《ステンシアの血の間/Stensia Bloodhall(ISD)》
このカードは《ケルドの巨石》を思い出させる。より丸くなっているけどね。これが場に出されると、コントロールデッキにとっては残り時間が大幅に減るということだ―ダメージレースを挑むしかなくなる。《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard(ISD)》を勝ち手段にしようというところでこいつが出されることを想像してみてくれ。それは全くもって難儀な話で、少なくとも今現在は《墓所のタイタン》をフィニッシャーとしたい(といっても対抗馬として《ワームとぐろエンジン》もいるし、《太陽のタイタン》も同じくらい素早く勝てる)理由の一つだ。これがライフルーズではなくダメージなのも面白いところで、つまりPWも狙うことができる―僕自身は半信半疑だけど、コントロールデッキで使っても悪くないかもしれない。いずれにしても、アグロデッキでつかうには面白いカードで、起動できるならば1,2枚入れるべきだろう。
と、まあこんな感じです―これらのカードが僕の考える「強いカード(又は弱いカード)」の全てではないけど、これらは議論する価値があるカードだと考えている。メタゲームを予測するにはまだ早過ぎるけど、赤単と鋼が恐らくビートダウンデッキの候補となり、それらと殻デッキ、ソーラーフレア、青(白/黒)の《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》デッキがtier1を争うだろう。PWは以前より強くなったと思う。マンランドが退場したのが原因だ。また、《審判の日/Day of Judgment(M12)》もより強いカードになった。 大抵のデッキはクリーチャーベースになるからだ。
全体的に見て、僕は本当にイニストラードが気に入った―魅力的でパワフル、そして危険なカードがいいスパイスになっている―セット全体が “break me”と叫んでいる様に見えるので、僕もそれを楽しむことにしよう。
I hope you’ve enjoyed this, see you next week!
コメント
参考にします
PVの文章はいつも興味深いですね.
ガラクについて言及がないのがあれですが,やはり構築ではイマイチなんですかね??
錬金術と屈葬とリリアナの項見るに太陽拳押しの様ですね。
ゼノさんの組んだコントロールが見たい
katu0さん
たぶん「ただ強」のカードだからだと思います。PWCの結果見るに新ガラク
はかなりやばそうです
能力はやばいですけど,火力や飛行のワンパンで死にそうで脆い印象だったのですが,PWC見る限りそれを差し引いても強い,ってことですかね.
> Narcomoeba is a card that is not good but very dangerous - no one is going to play Narcomoeba and be fair, someone is certainly going to feel robbed if that card is involved.
ハイフン以降の文章については「ナルコメーバを使いつつ正々堂々とした戦い方を出来るプレイヤーはいない。このカードが使われる対戦では、誰かしらが「ずるい!」と言いたくなってしまうはずだ」という意味かと思いました。この「no one is going to play Narcomoeba and be fair」という文を分解するとおそらく以下のような感じになるのかなと。
No one is 【A】 and 【B】 = 【A】しつつ【B】もできる人はいない。
【A】:ナルコメーバをプレイすること (going to play Narcomoeba)
【B】:公明正大であること (be fair)
とても有用な翻訳記事が多く、大変勉強になっております。
ショップMTGスタンダードの「MTGライブラリー」というコンテンツでこちらの記事をリンクさせていただきましたので、ご連絡致しました。
今後とも更新を楽しみにしています。
それでは失礼します。
SCGでも赤単タッチガラク&ケッシグなんてデッキが上位にいたりしたので、やっぱ強いみたいですね。僕も表に+がないので、脆いかな、とか思ってました。PWの評価はほんと難しいです。
re-giantさん
ありがとうございます。助かります。
すげぇすっきりしました。be fairの主語はno oneと考えなきゃおかしいですね。
解釈という名の妄想がすぎました。
MTGstandard
ありがとうございます!人様のサイトで取り上げてもらえるのはほんとうれしいです。
>《地盤の際》が消えた今は事実上対処手段がない。
幽霊街あるじゃん