http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-why-you-should-draft-infect/
原題:PV’s Playhouse – Why You Should Draft Infect
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
March 9, 2011
自分の住んでいるところは,現状幸運にも飯以外に不自由がないので,自分の日常を始めることにした.つまり翻訳もやる
というわけでPVの感染ドラフトに関する記事.この記事の面白さは②PVが示した感染カードの優先順位と,③コメント欄での他のCFB面子を含めた記事及びその優先順位に関する討論.でも長いので3つに分ける予定.今日はとりあえず①なぜ感染をドラフトするのか,について.誤字脱字指摘歓迎
以下本文
Hello!
僕が今のリミテッド・フォーマットにいくらか苦戦しているのはもう隠すことじゃないね. MSSの8-4やその他のイベントでドラフトに参加しているけど,僕の成績はそんなに悪いものではない.しかし僕はこの環境を“理解した”とは全然思えない.勝てる理由は,他の人もまたこの環境の不慣れだからだ.
最大の問題点は,いつ“決断(commit)”をするべきか本当に分からないということだ.通常,僕はかなり広くドラフトするのが好きで,いくらか受動的にドラフトする.しかしこのフォーマットはかなり特別で,特定のアーキタイプだと非常に強力だが他のアーキタイプだとかなり使えない(又はまったく使えない),というカードが存在する.もちろん,カードの価値は貴方が何をドラフトしたかで変わるものだけど,それがこれほどドラスティックな環境は無かった.そのため,こういった類のカードを使いたければ,普段よりちょっと速く“決断”しなければならない.これは僕にとってかなり恐ろしい事だ.その“決断”が機能するか知る前に”決断”しなければならないから.
こういった場合に打てる手として,僕が知っているものは3つある.1つ目は,フォーマットを極めること.わずかな変化に反応・適応し,どのアーキタイプに向かうのがベストなのか分かる様になるまでね.これが理想ではあるけど現時点では実践的とは言えない–これがすぐにできるようになることは無いだろう.2つ目は,感染に向かえるかどうか分かるまで感染をドラフトしない,というもの.例えば,もし緑のカードをずっとピックしなければ,ピックしたカードの1部が無用の長物になる事態はそうそう起きなくなるだろう.他の色だと様々なアーキタイプに迎えて,カードの互換性もずっと高いからね.3つ目は,常に感染を伺いつつドラフトする,というもの.そこに向えるかどうかが明らかかどうかは関係なしに.
僕は感染をドラフトすることを選びました.もちろん,《カルドーサの炎魔/Kuldotha Flamefiend(MBS)》が初手で取れて,《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》,《神への捧げ物/Divine Offering(MBS)》×2と流れてきたなら,僕は赤白に行くことになるでしょう.僕は完璧に感染を「決め打ち」するわけではありません.しかしながら,初手で《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》と《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》の2択,または《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》と《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》の2択ならば,僕は緑か黒のカードをピックします.《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》の方が優秀なカードにも関わらず,です.
なぜ僕はそんなことをするのでしょうか?それは,感染こそが最強のアーキタイプだと考えているからです.僕は常に感染に行きたいと考えており,そうできなかった場合は常に残念に思います.まだパックに7枚もカードが残っている状態で初手級の感染カードを流す羽目になったなら,僕は自分を殺したくなるでしょう(注1).そして,すぐさま感染プレイヤーに負けるという結末を迎えるのです.僕は感染プレイヤーでありたい.この記事のでは僕が何故そこまで感染が好きなのかについて説明し,それについての賛否は分かれるでしょうが,その後このアーキタイプにおけるピック優先順位について少し語ろうと思います.
感染ドラフトから受ける利益とは?
・感染には初手として嬉しいコモンが大量にあります.2パック目までに感染に行くことを決めた場合,SOMの初手で《闇の掌握/Grasp of Darkness(SOM)》,《嚢胞抱え/Cystbearer(SOM)》,《疫病のとげ刺し/Plague Stinger(SOM)》,《胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr(SOM)》,《シルヴォクの模造品/Sylvok Replica(SOM)》,《死体の野犬/Corpse Cur(SOM)》の様なカードに巡り合えれば幸せになれるでしょう.初手で幸せになれる確率は他のアーキタイプより多いです.
・ 感染絡みのカードは非感染デッキにとっては,大抵無用の長物です.感染デッキにおける強さに関わらずそうなのです.例えばSOMを開けて《嚢胞抱え/Cystbearer(SOM)》と《疫病のとげ刺し/Plague Stinger(SOM)》が出てきて,《嚢胞抱え/Cystbearer(SOM)》をピックした場合,《疫病のとげ刺し/Plague Stinger(SOM)》が8手目まで残っている場合もあります.他の誰もそのカードを使えない場合はそうなります.これは他のアーキタイプのトップ・コモンでは起こりえない現象です.もし《粉砕/Shatter(SOM)》と《感電破/Galvanic Blast(SOM)》が同じパックから出てきても,よっぽどパックが強くない限りは8手目まで《粉砕/Shatter(SOM)》は残らないでしょう.これと最初の理由をあわせると,あなたが感染をプレイしていて他の誰もやっていなかった場合は初手級のカードがドラフトのかなり遅くでピックできるということです.
・多くのカードを腐らせることができます.MBS参入以前はそうでもありませんでした.しかし,今回参入した《ファングレンの匪賊/Fangren Marauder(MBS)》が無双して負けた,ということにはならないでしょう.また,アーティファクト除去も感染デッキには効きづらいです.再生もそうですね.
・感染と対戦するのは,特にコンバットにおいては非常に大変です.《荒々しき力/Untamed Might(SOM)》,《不自然な捕食/Unnatural Predation(MBS)》,《ミラディンの血気/Mirran Mettle(MBS)》,《感染の賦活/Instill Infection(SOM)》,《悪性の傷/Virulent Wound(MBS)》,《汚れた一撃/Tainted Strike(SOM)》といったカードはどれも対戦相手の最善手を歪めます.また,このうちの何かをケアしても他の呪文にしてやられるだけでしょう.これはフェアリーを相手にプレイするのとさほど違いはありません.相手が《霧縛りの徒党》や《謎めいた命令》をケアして動いているときでも、実際にまさにケアされてるそのカードをこちらが持ってることは滅多にありませんし、更にはその2枚のどちらかをケアするのか,両方ケアするのか,はたまたどちらもケアしないのかによって動きは全く変わってきます.しかし、だからといって相手にはどうすることもできません.ただ祈るぐらいしかないのです. (注2)無謀なアタックを敢行できる場面すらあります.もしブラフに開き直られても,単純にそのアタック失敗するというわけではなく,相手のクリーチャーを小さくできるからです.また,感染のダメージを通すのはかなりきついため,対戦相手は相打ちを取らざるを得ません.これはトリック及び《死体の野犬/Corpse Cur(SOM)》や《病的な略取/Morbid Plunder(MBS)》のようなカード の価値を更に上げます.
・なにもしないで勝てることがままあります.このフォーマットの常として,《思考の三角護符/Trigon of Thought(SOM)》や《六角板のゴーレム/Hexplate Golem(MBS)》の様な遅いゲーム向けのカードがデッキに採用されます.大抵のゲームは長期戦になり,そういったカードは長期戦を決める力があるからです.また,以前ほどマナマイアは採用されなくなりました.ゲーム後半で容認できないデッドドローとなる事に皆気がついたからです.また,適当な「熊」も以前ほど採用されなくなっています.そして,そういったプレイヤーは後手を選ぶのです.感染はそういったプレイヤーの展開の遅い手札を懲らしめるのに十分なアグレッシブさがあります.このアーキタイプの常として,2ターン目《胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr(SOM)》,3ターン目《伝染病の屍賊/Contagious Nim(SOM)》,4ターン目《黒割れのゴブリン/Blackcleave Goblin(SOM)》,5ターン目《荒々しき力/Untamed Might(SOM)》で簡単に勝ち,ということが時に起こります.勝ててしまうゲームあるでしょう.そしてたとえこういったことが起こらなくても,あなたはまだまだ有利です.「増殖」によって他のアグロデッキが取れないゲームも取れてしまうからです.
・強力な感染デッキは強力な××デッキよりも強いです(××には好きなデッキ名を入れてください).同時に,失敗した感染デッキにも勝つチャンスはかなりあります.これは,私がこのフォーマットに抱いていた最初のイメージと真逆でした.感染はギャンブルで,3-0か0-3するものだと捉えていたのです.現在は,ただの失敗デッキよりは感染の失敗デッキを使いたいと考えています.相手のマナが詰った,とか相手がトリックのケアの仕方を間違えた,とかで勝手に勝ちが転がり込んでくることがありますからね.した,を実態以上に悪いものだと考えていたのです.
もちろん,感染を避けるべき理由もいくつか存在します.
なぜあなたは感染をドラフトしたがらないのか?
・皆が感染をドラフトするかもしれないから
・単純に感染に向かうに足るカードがパックから出なかったから
幸いなことに,これら2つの問題は “自動解決(fix themselves)”されるものです.何人かのプレイヤー(貴方も含めて)が感染を目指した場合,そう多くの感染カードは長く回らないでしょう.なので,それ以上のプレイヤーは感染に参入しないはずです.パック内の感染カードが少なくても,同じことがおきます.多くのプレイヤーは感染に向かわず,貴方はその少ないカードを,本来よりも遅い順目で手にするでしょう.
現実的な問題は次のような場合に生じます:
a)皆が貴方と同じくらいに頑固である:いずれにせよ,卓は2,3人のプレイヤーを許容できます.通常,それ以上のプレイヤーは感染から締め出されるからです.しかし,もし4人のプレイヤー(もしくはパックから感染の出が悪い卓で3人が)が感染をドラフトしたなら,それぞれのデッキは出来の悪いものになるでしょう.これに関して貴方にできることは,パックから十分に感染絡みのカードが供給されて,皆それなりのデッキに落ち着くことを祈る以外にありません.それか,卓でなにが起こっているのか十分に速く気がつくか,ですね.貴方が1p目で《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》を流して《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》ピック,2手目に《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》を流して《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》をピックしたとしても,3p目以降に感染カードがない,そしてより優秀なカードを2枚流したことを悔やむことになる,というのは常に起こりえます.そしてドラフト後に,上家もまた感染を「決め打ち」していて,《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》,《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》に優先して《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》をピックしていたことを知るでしょう.
b) 最初のパックには感染カードが大量に含まれていて,感染を目指すプレイヤーを大量に生んだものの,2,3パック目は感染カードが少なく、だれもアーキタイプを変えたがらない,という場合.実際はそうでないのに感染が空いている,という錯覚を起こさせるので,これはより恐ろしい事態です。そして,貴方がそれに気がつくのはやり直すにはもう遅すぎる,という場合があるのです.
そうなったらどうするべきなの!?
もしこの様な事態が生じたら,最初の数ピック以降に感染を断念することになるでしょう.この場合,それらを全て諦めて色を変えるか(situation aの場合),また,例えば「恐竜」の様なclunky(注3)なデッキを作るか,または緑に必ずしも拘らずに、例えば黒赤デッキにいくとか (situation b,時にはsituation aでも)になるでしょう.この場合はMBSの最序盤手は互換性が高い,ということが有利に働くでしょう.緑のクリーチャーは「恐竜」における優秀なブロッカーになりますし,黒の除去はどのデッキにとってもいいものです.
もし1パック目で感染にとっかかったものの,すぐさま枯れてしまったなら,3人のプレイヤーは自分と同じ問題で頭を抱えている,ということを最低限の慰みとしましょう.彼らのデッキも同じく質の低いものとなっています.そして他の4人相手に「なにもせずに勝つ」ことを期待しましょう!
で,結局やる価値はあるの?
リターンはリスクを上回るのか(注4)?感染カードがピックできずに酷いデッキが出来上がる危険を冒す価値があるのか(注5)?僕はそうだと信じている.
感染は1人以上のプレイヤーを賄えますが,隣人が感染に行かないよう常に気を使うべきです.通常,僕は「シグナル」の熱心な信奉者ではありません.それが無意味とは考えていませんが,パックに何が入っていようと一番強いカードを取るでしょう.僕はカードを供給する側で,僕に選択権があるからです.しかし感染の様なアーキタイプに向かう場合は,これはとても重要なことになります.
その理由は,感染に用いるカードは非常に”特化している(precise)”からです.もし貴方が《カルドーサの炎魔/Kuldotha Flamefiend(MBS)》,《赤の太陽の頂点/Red Sun’s Zenith(MBS)》,《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》と入ったパックをあけて,そのうちの一枚を取って,下家と下下家が他の赤いカードを取ったとして,他の人がそのカードでどんなデッキを組むのか誰が分かりますか?皆赤白アグロ,赤黒コン,赤単カルドーサといったデッキを組むことができ,感染デッキに散らして使うことも,青赤の金属術に向かうこともできます.そういったプレイヤーの内一人が,時には2人は赤をメインカラーとしないでしょう.流れてこないからです.
感染においては,話が違ってきます.もし貴方が《肉食いインプ/Flesh-Eater Imp(MBS)》を流したら,下のプレイヤーはそれを何に使うと思いますか?彼らは貴方とただ一色が被るだけでなく,アーキタイプと,カラーコンビネーションが被る可能性が非常に高くなるのです.その結果,貴方と全く同じカードを必要とすることになるでしょう―それが全てです. 隣人が何かするのをケアするのは難しいですが,卓内で多くのプレイヤーが感染にむかうというのはかなり避けたいことです.なので,いずれかのプレイヤーに気まぐれを起こさせる《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》が遅くまで流れないことが貴方にとっては非常に好ましいのです.
この問題を解決するために,1パック目においてベストなカードを取るのではなくシグナルを送る必要がある,と始めにGabeが,そしてWebが教えてくれました.彼らの意見には全くもって同意です.これはつまり,「感染」と書かれているクリーチャーはどれも1パック目において少し優先順位が上がるということです.感染デッキにおいても除去はもっとも重要なカードですが,1パック目においては優先させる必要はありません.
例えば,《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》と《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》を比較してみましょう.多くのプレイヤーが《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》の方が《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》より強いと考えている様ですが,僕は違います―感染デッキにおいては,病気の拡散の方が僕は好きです.もし貴方が《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》の熱心なファンだとしても,《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》の方が強いと考えているとしてください.蜘蛛の方が弱いというのが僕個人の意見ですが,それでも僕は《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》を初手で取ります.《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》には様々な用途がありますが,《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》の方が感染をずっと声高に主張できるからです.他の人は絶対に感染に参入させたくないですから.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注1) I pass infect first picks when there are 7 cards left in the pack, and I want to kill myself.
Infect first picksを1つの名詞と考えると上手く構文がとれた
注2) either they play against Mistbind Clique or Cryptic Command, and very rarely you have exactly the one they play against (as opposed to the other, none or both), but they still can’t do anything about it, they just have to hope.
なんとなくしか分からない
注3)clunky
Nelsonが「毒コントロール」とかいわゆる「恐竜」系デッキの説明で多用していた言葉.
中・長期戦向けであまりシナジーに頼らない,という意味で捉えてるけど日本語にするのが難しい.「クランキー」で定着させたい.
注4)Do the pros outweigh the cons?
Do the pro(fit)s outweigh the con(cern)s? ですよね?
注5) Is it worth the possibility of a train wreck because infect was just not there?
Train wreckは辞書引くと「容易ならぬ事態」と出るけど,これは肯定か否定か分からない
infect was just not thereが感染プレイヤーがいないのか,感染カードがない,なのか分からない
原題:PV’s Playhouse – Why You Should Draft Infect
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
March 9, 2011
自分の住んでいるところは,現状幸運にも飯以外に不自由がないので,自分の日常を始めることにした.つまり翻訳もやる
というわけでPVの感染ドラフトに関する記事.この記事の面白さは②PVが示した感染カードの優先順位と,③コメント欄での他のCFB面子を含めた記事及びその優先順位に関する討論.でも長いので3つに分ける予定.今日はとりあえず①なぜ感染をドラフトするのか,について.誤字脱字指摘歓迎
以下本文
Hello!
僕が今のリミテッド・フォーマットにいくらか苦戦しているのはもう隠すことじゃないね. MSSの8-4やその他のイベントでドラフトに参加しているけど,僕の成績はそんなに悪いものではない.しかし僕はこの環境を“理解した”とは全然思えない.勝てる理由は,他の人もまたこの環境の不慣れだからだ.
最大の問題点は,いつ“決断(commit)”をするべきか本当に分からないということだ.通常,僕はかなり広くドラフトするのが好きで,いくらか受動的にドラフトする.しかしこのフォーマットはかなり特別で,特定のアーキタイプだと非常に強力だが他のアーキタイプだとかなり使えない(又はまったく使えない),というカードが存在する.もちろん,カードの価値は貴方が何をドラフトしたかで変わるものだけど,それがこれほどドラスティックな環境は無かった.そのため,こういった類のカードを使いたければ,普段よりちょっと速く“決断”しなければならない.これは僕にとってかなり恐ろしい事だ.その“決断”が機能するか知る前に”決断”しなければならないから.
こういった場合に打てる手として,僕が知っているものは3つある.1つ目は,フォーマットを極めること.わずかな変化に反応・適応し,どのアーキタイプに向かうのがベストなのか分かる様になるまでね.これが理想ではあるけど現時点では実践的とは言えない–これがすぐにできるようになることは無いだろう.2つ目は,感染に向かえるかどうか分かるまで感染をドラフトしない,というもの.例えば,もし緑のカードをずっとピックしなければ,ピックしたカードの1部が無用の長物になる事態はそうそう起きなくなるだろう.他の色だと様々なアーキタイプに迎えて,カードの互換性もずっと高いからね.3つ目は,常に感染を伺いつつドラフトする,というもの.そこに向えるかどうかが明らかかどうかは関係なしに.
僕は感染をドラフトすることを選びました.もちろん,《カルドーサの炎魔/Kuldotha Flamefiend(MBS)》が初手で取れて,《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》,《神への捧げ物/Divine Offering(MBS)》×2と流れてきたなら,僕は赤白に行くことになるでしょう.僕は完璧に感染を「決め打ち」するわけではありません.しかしながら,初手で《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》と《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》の2択,または《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》と《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》の2択ならば,僕は緑か黒のカードをピックします.《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》の方が優秀なカードにも関わらず,です.
なぜ僕はそんなことをするのでしょうか?それは,感染こそが最強のアーキタイプだと考えているからです.僕は常に感染に行きたいと考えており,そうできなかった場合は常に残念に思います.まだパックに7枚もカードが残っている状態で初手級の感染カードを流す羽目になったなら,僕は自分を殺したくなるでしょう(注1).そして,すぐさま感染プレイヤーに負けるという結末を迎えるのです.僕は感染プレイヤーでありたい.この記事のでは僕が何故そこまで感染が好きなのかについて説明し,それについての賛否は分かれるでしょうが,その後このアーキタイプにおけるピック優先順位について少し語ろうと思います.
感染ドラフトから受ける利益とは?
・感染には初手として嬉しいコモンが大量にあります.2パック目までに感染に行くことを決めた場合,SOMの初手で《闇の掌握/Grasp of Darkness(SOM)》,《嚢胞抱え/Cystbearer(SOM)》,《疫病のとげ刺し/Plague Stinger(SOM)》,《胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr(SOM)》,《シルヴォクの模造品/Sylvok Replica(SOM)》,《死体の野犬/Corpse Cur(SOM)》の様なカードに巡り合えれば幸せになれるでしょう.初手で幸せになれる確率は他のアーキタイプより多いです.
・ 感染絡みのカードは非感染デッキにとっては,大抵無用の長物です.感染デッキにおける強さに関わらずそうなのです.例えばSOMを開けて《嚢胞抱え/Cystbearer(SOM)》と《疫病のとげ刺し/Plague Stinger(SOM)》が出てきて,《嚢胞抱え/Cystbearer(SOM)》をピックした場合,《疫病のとげ刺し/Plague Stinger(SOM)》が8手目まで残っている場合もあります.他の誰もそのカードを使えない場合はそうなります.これは他のアーキタイプのトップ・コモンでは起こりえない現象です.もし《粉砕/Shatter(SOM)》と《感電破/Galvanic Blast(SOM)》が同じパックから出てきても,よっぽどパックが強くない限りは8手目まで《粉砕/Shatter(SOM)》は残らないでしょう.これと最初の理由をあわせると,あなたが感染をプレイしていて他の誰もやっていなかった場合は初手級のカードがドラフトのかなり遅くでピックできるということです.
・多くのカードを腐らせることができます.MBS参入以前はそうでもありませんでした.しかし,今回参入した《ファングレンの匪賊/Fangren Marauder(MBS)》が無双して負けた,ということにはならないでしょう.また,アーティファクト除去も感染デッキには効きづらいです.再生もそうですね.
・感染と対戦するのは,特にコンバットにおいては非常に大変です.《荒々しき力/Untamed Might(SOM)》,《不自然な捕食/Unnatural Predation(MBS)》,《ミラディンの血気/Mirran Mettle(MBS)》,《感染の賦活/Instill Infection(SOM)》,《悪性の傷/Virulent Wound(MBS)》,《汚れた一撃/Tainted Strike(SOM)》といったカードはどれも対戦相手の最善手を歪めます.また,このうちの何かをケアしても他の呪文にしてやられるだけでしょう.これはフェアリーを相手にプレイするのとさほど違いはありません.相手が《霧縛りの徒党》や《謎めいた命令》をケアして動いているときでも、実際にまさにケアされてるそのカードをこちらが持ってることは滅多にありませんし、更にはその2枚のどちらかをケアするのか,両方ケアするのか,はたまたどちらもケアしないのかによって動きは全く変わってきます.しかし、だからといって相手にはどうすることもできません.ただ祈るぐらいしかないのです. (注2)無謀なアタックを敢行できる場面すらあります.もしブラフに開き直られても,単純にそのアタック失敗するというわけではなく,相手のクリーチャーを小さくできるからです.また,感染のダメージを通すのはかなりきついため,対戦相手は相打ちを取らざるを得ません.これはトリック及び《死体の野犬/Corpse Cur(SOM)》や《病的な略取/Morbid Plunder(MBS)》のようなカード の価値を更に上げます.
・なにもしないで勝てることがままあります.このフォーマットの常として,《思考の三角護符/Trigon of Thought(SOM)》や《六角板のゴーレム/Hexplate Golem(MBS)》の様な遅いゲーム向けのカードがデッキに採用されます.大抵のゲームは長期戦になり,そういったカードは長期戦を決める力があるからです.また,以前ほどマナマイアは採用されなくなりました.ゲーム後半で容認できないデッドドローとなる事に皆気がついたからです.また,適当な「熊」も以前ほど採用されなくなっています.そして,そういったプレイヤーは後手を選ぶのです.感染はそういったプレイヤーの展開の遅い手札を懲らしめるのに十分なアグレッシブさがあります.このアーキタイプの常として,2ターン目《胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr(SOM)》,3ターン目《伝染病の屍賊/Contagious Nim(SOM)》,4ターン目《黒割れのゴブリン/Blackcleave Goblin(SOM)》,5ターン目《荒々しき力/Untamed Might(SOM)》で簡単に勝ち,ということが時に起こります.勝ててしまうゲームあるでしょう.そしてたとえこういったことが起こらなくても,あなたはまだまだ有利です.「増殖」によって他のアグロデッキが取れないゲームも取れてしまうからです.
・強力な感染デッキは強力な××デッキよりも強いです(××には好きなデッキ名を入れてください).同時に,失敗した感染デッキにも勝つチャンスはかなりあります.これは,私がこのフォーマットに抱いていた最初のイメージと真逆でした.感染はギャンブルで,3-0か0-3するものだと捉えていたのです.現在は,ただの失敗デッキよりは感染の失敗デッキを使いたいと考えています.相手のマナが詰った,とか相手がトリックのケアの仕方を間違えた,とかで勝手に勝ちが転がり込んでくることがありますからね.した,を実態以上に悪いものだと考えていたのです.
もちろん,感染を避けるべき理由もいくつか存在します.
なぜあなたは感染をドラフトしたがらないのか?
・皆が感染をドラフトするかもしれないから
・単純に感染に向かうに足るカードがパックから出なかったから
幸いなことに,これら2つの問題は “自動解決(fix themselves)”されるものです.何人かのプレイヤー(貴方も含めて)が感染を目指した場合,そう多くの感染カードは長く回らないでしょう.なので,それ以上のプレイヤーは感染に参入しないはずです.パック内の感染カードが少なくても,同じことがおきます.多くのプレイヤーは感染に向かわず,貴方はその少ないカードを,本来よりも遅い順目で手にするでしょう.
現実的な問題は次のような場合に生じます:
a)皆が貴方と同じくらいに頑固である:いずれにせよ,卓は2,3人のプレイヤーを許容できます.通常,それ以上のプレイヤーは感染から締め出されるからです.しかし,もし4人のプレイヤー(もしくはパックから感染の出が悪い卓で3人が)が感染をドラフトしたなら,それぞれのデッキは出来の悪いものになるでしょう.これに関して貴方にできることは,パックから十分に感染絡みのカードが供給されて,皆それなりのデッキに落ち着くことを祈る以外にありません.それか,卓でなにが起こっているのか十分に速く気がつくか,ですね.貴方が1p目で《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》を流して《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》ピック,2手目に《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》を流して《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》をピックしたとしても,3p目以降に感染カードがない,そしてより優秀なカードを2枚流したことを悔やむことになる,というのは常に起こりえます.そしてドラフト後に,上家もまた感染を「決め打ち」していて,《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》,《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》に優先して《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》をピックしていたことを知るでしょう.
b) 最初のパックには感染カードが大量に含まれていて,感染を目指すプレイヤーを大量に生んだものの,2,3パック目は感染カードが少なく、だれもアーキタイプを変えたがらない,という場合.実際はそうでないのに感染が空いている,という錯覚を起こさせるので,これはより恐ろしい事態です。そして,貴方がそれに気がつくのはやり直すにはもう遅すぎる,という場合があるのです.
そうなったらどうするべきなの!?
もしこの様な事態が生じたら,最初の数ピック以降に感染を断念することになるでしょう.この場合,それらを全て諦めて色を変えるか(situation aの場合),また,例えば「恐竜」の様なclunky(注3)なデッキを作るか,または緑に必ずしも拘らずに、例えば黒赤デッキにいくとか (situation b,時にはsituation aでも)になるでしょう.この場合はMBSの最序盤手は互換性が高い,ということが有利に働くでしょう.緑のクリーチャーは「恐竜」における優秀なブロッカーになりますし,黒の除去はどのデッキにとってもいいものです.
もし1パック目で感染にとっかかったものの,すぐさま枯れてしまったなら,3人のプレイヤーは自分と同じ問題で頭を抱えている,ということを最低限の慰みとしましょう.彼らのデッキも同じく質の低いものとなっています.そして他の4人相手に「なにもせずに勝つ」ことを期待しましょう!
で,結局やる価値はあるの?
リターンはリスクを上回るのか(注4)?感染カードがピックできずに酷いデッキが出来上がる危険を冒す価値があるのか(注5)?僕はそうだと信じている.
感染は1人以上のプレイヤーを賄えますが,隣人が感染に行かないよう常に気を使うべきです.通常,僕は「シグナル」の熱心な信奉者ではありません.それが無意味とは考えていませんが,パックに何が入っていようと一番強いカードを取るでしょう.僕はカードを供給する側で,僕に選択権があるからです.しかし感染の様なアーキタイプに向かう場合は,これはとても重要なことになります.
その理由は,感染に用いるカードは非常に”特化している(precise)”からです.もし貴方が《カルドーサの炎魔/Kuldotha Flamefiend(MBS)》,《赤の太陽の頂点/Red Sun’s Zenith(MBS)》,《不純の焼き払い/Burn the Impure(MBS)》と入ったパックをあけて,そのうちの一枚を取って,下家と下下家が他の赤いカードを取ったとして,他の人がそのカードでどんなデッキを組むのか誰が分かりますか?皆赤白アグロ,赤黒コン,赤単カルドーサといったデッキを組むことができ,感染デッキに散らして使うことも,青赤の金属術に向かうこともできます.そういったプレイヤーの内一人が,時には2人は赤をメインカラーとしないでしょう.流れてこないからです.
感染においては,話が違ってきます.もし貴方が《肉食いインプ/Flesh-Eater Imp(MBS)》を流したら,下のプレイヤーはそれを何に使うと思いますか?彼らは貴方とただ一色が被るだけでなく,アーキタイプと,カラーコンビネーションが被る可能性が非常に高くなるのです.その結果,貴方と全く同じカードを必要とすることになるでしょう―それが全てです. 隣人が何かするのをケアするのは難しいですが,卓内で多くのプレイヤーが感染にむかうというのはかなり避けたいことです.なので,いずれかのプレイヤーに気まぐれを起こさせる《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》が遅くまで流れないことが貴方にとっては非常に好ましいのです.
この問題を解決するために,1パック目においてベストなカードを取るのではなくシグナルを送る必要がある,と始めにGabeが,そしてWebが教えてくれました.彼らの意見には全くもって同意です.これはつまり,「感染」と書かれているクリーチャーはどれも1パック目において少し優先順位が上がるということです.感染デッキにおいても除去はもっとも重要なカードですが,1パック目においては優先させる必要はありません.
例えば,《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》と《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》を比較してみましょう.多くのプレイヤーが《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》の方が《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》より強いと考えている様ですが,僕は違います―感染デッキにおいては,病気の拡散の方が僕は好きです.もし貴方が《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》の熱心なファンだとしても,《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》の方が強いと考えているとしてください.蜘蛛の方が弱いというのが僕個人の意見ですが,それでも僕は《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》を初手で取ります.《病気の拡散/Spread the Sickness(MBS)》には様々な用途がありますが,《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》の方が感染をずっと声高に主張できるからです.他の人は絶対に感染に参入させたくないですから.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注1) I pass infect first picks when there are 7 cards left in the pack, and I want to kill myself.
Infect first picksを1つの名詞と考えると上手く構文がとれた
注2) either they play against Mistbind Clique or Cryptic Command, and very rarely you have exactly the one they play against (as opposed to the other, none or both), but they still can’t do anything about it, they just have to hope.
なんとなくしか分からない
注3)clunky
Nelsonが「毒コントロール」とかいわゆる「恐竜」系デッキの説明で多用していた言葉.
中・長期戦向けであまりシナジーに頼らない,という意味で捉えてるけど日本語にするのが難しい.「クランキー」で定着させたい.
注4)Do the pros outweigh the cons?
Do the pro(fit)s outweigh the con(cern)s? ですよね?
注5) Is it worth the possibility of a train wreck because infect was just not there?
Train wreckは辞書引くと「容易ならぬ事態」と出るけど,これは肯定か否定か分からない
infect was just not thereが感染プレイヤーがいないのか,感染カードがない,なのか分からない
コメント
>Do the pro(fit)s outweigh the con(cern)s? ですよね?
prosとconsはそれぞれ
pro
www.oxforddictionaries.com/view/entry/m_en_gb0663450?rskey=MziCq8&result=1#m_en_gb0663450
con
www.oxforddictionaries.com/view/entry/m_en_gb0169370?rskey=MziCq8&result=2#m_en_gb0169370
で、
賛否両論という意味であるthe pros and the consでggったところ、もともとpro et contraというラテン語が語源らしいです。
ちなみに英辞郎on the webで検索すると、
eow.alc.co.jp/The+cons+outweigh+the+pros/UTF-8/
らしいです(データの転載は禁止らしいのでリンクだけになります)。
>Train wreck
英辞郎ったら、どちらかといえばマイナスイメージのようですね。
eow.alc.co.jp/Train+wreck/UTF-8/
いつも参考にさせてもらってます。
原文読んでたら後半の内容がすごい気になります。
地震の件でいろいろ大変かと思いますが、後半部分も楽しみにしてます。
ありがとうございます.
>the pros and the cons
これですね,まずこの言葉を知りませんでした.
//frbourbon.cocolog-nifty.com/english/2004/11/pros_and_consna.html
上手いこと思いついたと思ったけど,違いましたね.ざんねん…
Coreyさん
ありがとうございます.仙台在住ですが,他の方と比べると被害にあったなど言えないレベルなので,普通に日々をすごすことにしました.
英辞郎のはまさにそれですね.
>Train wreck
エイジロー詳しいですね.これからはまず彼に聞いてみることにします.
注2)
:either they play against Mistbind Clique or Cryptic Command, and very rarely you have exactly the one they play against (as opposed to the other, none or both), but they still can’t do anything about it, they just have to hope.
:相手が《霧縛りの徒党》や《謎めいた命令》をケアして動いているときでも、実際にまさにケアされてるそのカードをこちらが持ってることは滅多にありませんし、おまけにその2枚のどっちをケアするかで動きは真逆になることもしばしばあります。しかし、だからといって相手にはどうすることもできません。ただ祈るぐらいしかないのです。
none or both が正直よくわかりませんで、こんなようなことではないかというところですが……。
注2)はちょっとこんがらがってしまっていましたが、高潮のさんの訳と照らし合わせてすっきり理解できました。play againstが「ケアする」とニュアンスが同じこともちゃんと分かっていませんでした。
(as opposed to the other, none or both)
ここは難しいですね。コンマ前は訳例のように「動きが逆になる」ということだとおもいますが…
「逆になる」のが
・どちらか片方をケアする動き(the orter)
・どっとも持ってない場合と、どっちも持ってる場合の動き(none or both)
と2つあるのかも、と今思いましたがどうでしょう
:as opposed to the other, none or both
opposed to のあとの3つが並列になっているのですね。oppose は「対立する」なのでふたつに限定する必要はなさそうです。
:(...) おまけにその2枚のどちらを持っていると予測するか、あるいは両方あると考えるか、どちらも持っていないと考えるか、それぞれによって動きは全く違ってきます。しかし、(...)
という感じでどうでしょうか。
参考になります.
こうやって難しいところが分かる様になるのはかなり気持ちいいですね.