http://www.channelfireball.com/articles/czech-mate-a-limited-number-of-situations-decks/
元記事:Czech Mate – A Limited Number of Situations & Decksの前半部
Posted by Martin Juza
February 6, 2011
個人的にとても楽しみにしていたjuzaのリミテッドに関する記事.内容はGPフローレンスでのミスについてで,こないだのconley記事との関連も多いと思う.コメ欄の反応を見るに,そもそも綺麗な英文ではないらしいので(juzzaはネイティブでない(たしか)),意訳多いです.
以下本文
Hi everyone!
僕のChannel Fireballでの初めての記事にようこそ.ここ数年,僕はリミテッドで結果をだしているよーです.なので,毎週ドラフト記録をつけるかドラフトビデオを公開して,月に2回記事を書こうと思う.記事にできるほどやりこめる,よっぽど面白い構築デッキ(滅多にないよね)がない限り僕は40枚デッキで遊ぶフォーマットにかかりきりだろうね.今は本当にリミテッドについて話したくてたまらないんだけど,包囲戦は出たばっかりでまだリリースイベントで2回やっただけなんだ.包囲戦のリミテッドについてはもう1,2週待ってくれ.
じゃあ2010シーズン終盤から話を始めよう.僕は翌年もレベル8の恩恵を獲得するチャンスが十分にあったけど,プロポイントが49点で終る可能性もかなりあったんだ.自身のミスによってね.
Making Mistakes in Florence
GPフローレスの前の2ヶ月間で,僕はGPで2回優勝して,それとは別にTop8にも一回なった(注1).なので,当時のプロポイントは46点だった.どんなカードを初手でとろうと,どんなデッキが組みあがろうと,対戦相手がだれであろうとてんで負ける気がしなかったよ.明らかに状態が良かったね.GPナッシュビルにおいてGerry Thompson のブロック構築の様なデッキ(注2)に止められてしまったけど.この流れはフローレンスで風向きが変わって,多分僕はそのおかげでかなりの賞金を失った.
Situation 1
Round 4 of sealed deck, RW mirror.
そのゲームにおいて,僕はかなり長いこと土地が詰まっていて,有用な呪文が使えるようになる頃には僕のライフは12になっていた.相手の場には《剃刀のヒポグリフ/Razor Hippogriff(SOM)》,《ケンバの空護衛/Kemba’s Skyguard(SOM)》と数体の1/1.僕の場にはどうでもいいクリーチャーが数体,手札には《ダークスティールの歩哨/Darksteel Sentinel(SOM)》,《拘引/Arrest(SOM)》,《金屑化/Turn to Slag(SOM)》,そして《真実の確信/True Conviction(SOM)》があったけど…白マナは足りていなかった.このときのプランはかなり明確で,2枚目及び3枚目の平地を引くまで生き延びて,歩哨の攻撃で毎ターン最低6点ゲインできる場を構築することだった.その場が作れれば対戦相手が何をもっていても大丈夫だろう.僕は相手のフライヤー2体を「殺す」ことにした.そうすることで十分な時間が稼げると考えたからね.しかしここでは,3/3を《金屑化/Turn to Slag(SOM)》して空護衛は数ターン放置して,除去を打つかの判断は保留しておくべきだった.僕の策だと相手にドラゴンかなにかを引かれたら対処手段がなにもなくなってしまう.2ターン後に,彼は《ゴーレムの職工/Golem Artisan(SOM)》を引いて,僕はミスプレイの報いを受けることになった.そしてこのマッチを1-2で落とすことになったんだ.自分のライフがあまり多くない状態で,ブロックできないクリーチャーがいても,そいつはすぐさま除去しなきゃならないという訳ではない.ゲームの展開を変えられるプランがあったとしても,最後の除去は温存しておいたほうがいい場合もある.対戦相手がトップデッキするかもしれないなにかに備えてね.6,8点の追加のダメージを受けても,相手がなにも有効牌を引かないようならその後に除去すればいい(《感電破/Galvanic Blast(SOM)》とかの圏内に入る前にね).
このマッチではかなり奇妙な(僕の意見では)ジャッジコールがあった.彼は明らかにアタックをミスしていたのに,ヘッドジャッジは彼に巻き戻す事を認め,どうするのか正しいかを説明したんだ.だから僕らはもう一回その場面をやり直して,彼はまた失敗することになった.僕はルールをガチガチに適用するプレイヤーが嫌いだけど,自分が失敗した場面では巻き戻しを求めたりはしないね.僕もヘマをした場面であったけど,僕はただ耐えてミスから学ぶことにしたよ.なにかしらの理由があって,彼らはまたも巻き戻しを認めたわけだけど,それでもまだ彼はよく分かっていなくて,ジャッジは3回目の巻き戻しを行った.はは,いいね.ヘッドジャッジはこの裁定がマッチの結果に影響を及ぼすのは本意ではないと述べた.ちょうど3枚目の平地を引いたターンだったからね.まぁ,とにかく,僕は自分がより上手くプレイしていたらこの場を乗り切れていたのだから,なんにせよこの場は僕がヘマしたということさ.
そしてこの1ラウンド後に全く同じ状況が起きたんだ.僕のライフは1で,対戦相手の場には大量のクリーチャーと《金のマイア/Gold Myr(SOM)》,《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol(SOM)》がいた.彼はアタックを宣言し,僕は許可した(僕は自陣の《錆ダニ/Rust Tick(SOM)》を起動しなかった).そして彼は《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol(SOM)》をクリーチャー化してアタックしようとしたんだ.僕はもうその起動ができない事を説明した.マッチ後のヘッドジャッジにそのラウンドについて話すと,自分は偶像の起動とアタックを認めると彼は述べた(僕はダニの能力で偶像をタップさえできない状況だった.ぴったり負けることになるから) .GPの1日目には不慣れなプレイヤーが多くて,彼らにはサポートが必要だから,ということだった.マジかよ.
Situation 2
2日目の1stドラフトでのことだ.僕のデッキはかなり強力な赤白金属術で,《マイア鍛冶/Myrsmith(SOM)》が2枚,《燃えさし鍛冶/Embersmith(SOM)》も2枚,《先駆のゴーレム/Precursor Golem(SOM)》,《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》,他にも強力なカードがいっぱいだった.《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》は1パック目2手目でとったもので,そのパックのレアは既にピックされていた.だから僕は上家は強力なレアをピックしたのだと考えた.ドラフト後に彼に話しかけてみると,初手のカードは《屍賊の死のマント/Nim Deathmantle(SOM)》だったと教えてくれた.なんでこんな話を今僕がしているのかというと,PVがこのカードを1パック目の初手でとらなかったばかりに,このカードにボコボコにされたのが面白くてしょうがなかったからさ.真面目な話,このカードは殆どプレイに値しない.こいつがなにか仕事を始めるのは既に君が死に体になった後か,既に十分以上に有利になった後だ.もし《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》がなくても別なカードをとるね.例えば《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》とか.まあいいや,話をゲームに戻そう.
僕は大量の除去と数体のファッティが入った緑黒デッキを相手にしていた.3ゲーム目で,1マリガンしたんだ.いつもと違うことなど何もしてないのに(むしろ何時も通りすぎるくらいだ),このドラフト中はどのラウンドのどのゲームも基本マリガンすることになった.これは非常にフラストレーションが溜まることだった.マナカーブが低くて優秀なシナジーを多数含むデッキなので,問題など生じるはずがないというのに.
《平地/Plains》《山/Mountain》《金のマイア/Gold Myr(SOM)》《マイア鍛冶/Myrsmith(SOM)》《マイア鍛冶/Myrsmith(SOM)》《選別の高座/Culling Dais(SOM)》
なんていい初手(justice!).さてこれをキープしてさっさとゲームを終らせるとするか.2ターン目マイア鍛冶→煙霧吐き.3ターン目土地引けず,マイア鍛冶→《感染の賦活/Instill Infection(SOM)》.アレレ.ゲームはかなり接戦になって多分15ターン目が過ぎたくらいでついに僕は負けたけど,それは当然のことだった.僕は2ターン目に高座を出して,毎ターン死にゆくクリーチャーを追加のカードに変えるだけでよかったんだ.マイア鍛冶を最初にプレイして1体トークンを多く出すことに,2点多くダメージを与える必要など全くなかった.なぜこんなことになったのか.まずマリガンによるフラストレーションがマックスになっていたこと.そして「次は大丈夫なはず(could have it again)」と信じて2,3ターン目にマイア鍛冶を展開してどちらも除去呪文によって失ったことだ.彼はそれができて,僕は負けた.ここには教訓があるように思う.何かおかしなことが起きていると感じても,昂ぶってプレイを乱してはいけないということだ.
Situation 3
次は2ndドラフトの最終戦でのことだ.今度もまた僕は強力なデッキが組めた.それは青黒のコントロールデッキで,大量のマナマイアと優秀なカードによって《水銀のガルガンチュアン/Quicksilver Gargantuan(SOM)》(《ダークスティールの歩哨/Darksteel Sentinel(SOM)》をコピーするのが理想だ)か《災難の塔/Tower of Calamities(SOM)》の待つ高マナ域まで土地を伸ばせるデッキだった.このマッチの勝者はTOP32に入ることができ,プロポイント2点が手に入る.ワールドを残しているのでレベル8達成のためには十分すぎるポイントだ.どちらもTOP16の目はないのでたった1点の追加のプロポイントを争うことになった.僕にとってはでかい博打だった.彼にとって1点のプロポイントが意味がないかもしれないので,僕は 投了してくれるかどうか聞いてみた.彼は少し考えて,自分のレーティングが高いからプレイしたいと述べた. 分かった,仕方ない,ならばゲームを始めようか.僕は土地五枚と《分散/Disperse(MOR)》,《闇滑りのドレイク/Darkslick Drake(SOM)》のハンドを引いた.僕がどんなプレイをするか少しでも知っている人なら,この手札をマリガンすることも勿論ご存知だろう. でも僕はその初手をじっと見つめて,今日はすでに何度もマリガンをしているが,こんなことがあってたまるかと考えていた.全てのゲームでマリガンし続けるなんてできるわけないだろ,なあ?このデッキには強いカードがかなり沢山あるから,きっと引いてこれるはず!同時に,僕は2つのGPで優勝していてレーティングが2200もあるのだから,彼は僕に負けても少ししかレーティングが減らないのに,とずっと考えていた.といっても誤解して欲しくないのは,それは彼の立派な決断で,僕はそれを尊重しなければならないということだ.僕がそんな提案をしたのは,誰も傷つかない方法になるかもしれないからで,僕がその立場ならすぐさま 投了しただろうからさ(注4)まぁ,とにかくゲームの話に戻ろう.土地5枚と分散,ドレイクの初手だったという話だ.で,これをキープしたんだ.多分《分散/Disperse(MOR)》でなにかしらのアドバンテージはとれるし,《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake(ARB)》は実質2枚分のカードだ,なあ,そうだろ?そうだよな?そしてどうなったかというと…マイアのようなものを2枚と土地を5枚引いて5分後には負けたんだ.2ゲーム目も全く同じようなことがおきた.似たような手札を引いて, 同じ枚数の土地,5分で負けることが二度も起きるはずが無いと考えてキープ.そのゲームで,僕はきっかり3枚のスペルしか唱えられず,あっというまに結果報告用紙にサインして,うんざりした気分で席を立つことになった.自分自身にうんざりしたんだ.上でもう既に述べたけど,重要な教訓なのでもう一度―「2度は起きないだろう」などと考えるな,「次は自分が上手くいく番だ(注5)」などと考えるな.世界は君になにも補償してくれやしないんだ.It was here first!
この結果,僕のプロポイントは47のままとなった.レベル8を確定して,世界選手権でよい結果を出すために集中し,そしてPOYレースでのBradへの挑戦権を手にする代わりに, “まあとにかく,僕は追加のプロポイントを得るためにはワールドで9-9が必要だ,200位以内に入るために9回以上勝てればいいのさ!”と考える様になってしまった(注6).こういう考え方は明らかに間違っていて,こんな考えではとてもいい結果には繋がらない.幸運なことに僕は何とかドラフトラウンドで5-1できて,構築ラウンドでも必要以上の勝ち星を上げ,最終ラウンドでMat Marrにプロレベルupのためのトスをすることさえできた.でも僕は世界選手権で201位になってもプロポイント49点に達することはできたはずで,それができなかったのは自分自身が悪かったに他ならないんだ.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注1:あまりにも凄い成績で,まさか読み間違えてる?とおもったらマジだった
http://mtgwiki.com/wiki/Martin_Juza
グランプリナッシュビル10 ベスト8
グランプリボーフム10 優勝
グランプリポートランド10 優勝
注2:GPナッシュビルを優勝したGerry Thompsonのデッキは
13 Island
4 Mountain
17 lands
1 Copper Myr
1 Grand Architect
1 Iron Myr
1 Kuldotha Forgemaster
1 Memnite
1 Neurok Replica
1 Oxidda Scrapmelter
1 Riddlesmith
1 Soliton
2 Trinket Mage
2 Vedalken Certarch
1 Wall of Tanglecord
14 creatures
1 Chimeric Mass
1 Flight Spellbomb
1 Golden Urn
1 Heavy Arbalest
1 Mindslaver
1 Rusted Relic
1 Sword of Body and Mind
1 Sylvok Lifestaff
1 Volition Reins
9 other spells
ちなみにジュザのデッキは
10 Island
6 Plains
1 Seachrome Coast
17 lands
1 Auriok Replica
2 Chrome Steed
1 Copper Myr
1 Darkslick Drake
1 Gold Myr
2 Iron Myr
1 Perilous Myr
1 Riddlesmith
1 Scrapdiver Serpent
1 Silver Myr
1 Sky-Eel School
1 Wall of Tanglecord
1 Wurmcoil Engine
15 creatures
1 Dispense Justice
1 Disperse
1 Revoke Existence
1 Strider Harness
1 Trigon of Infestation
1 True Conviction
2 Volition Reins
8 other spells
注3)All the while thinking that I haven’t just won 2 GPs and my rating probably isn’t 2200, which means he would only lose very few points
Notがついてるのはなぜ?
注4)The only reason I asked was that it absolutely wouldn’t hurt anyone and if I was in this position I would scoop in a heartbeat.
Scoop=意思を組むと解釈
注5)Don’t think it can’t happen again, don’t think that this time you are due.
「this time you are due」を「次は自分が上手くいく番だ」と意訳
注6) The result of this was that I was left with 47 points and instead of being a lock for level 8 and focusing on doing well at Worlds and possibly getting ahead or tying with Brad in the POY race (but what are the chances of that, right?) I was constantly thinking “alright, so I need 9-9 to get the extra point, so only 8 more wins to get to top200!”.
47点で世界選手権を迎えたことで,考え方が「世界選手権でうまくやってやる!」から「9-9以上が必要だ」に変わってしまったことを述べている.しかし長々とした文章になってしまい,これでは一見では伝わりにくそう.
元記事:Czech Mate – A Limited Number of Situations & Decksの前半部
Posted by Martin Juza
February 6, 2011
個人的にとても楽しみにしていたjuzaのリミテッドに関する記事.内容はGPフローレンスでのミスについてで,こないだのconley記事との関連も多いと思う.コメ欄の反応を見るに,そもそも綺麗な英文ではないらしいので(juzzaはネイティブでない(たしか)),意訳多いです.
以下本文
Hi everyone!
僕のChannel Fireballでの初めての記事にようこそ.ここ数年,僕はリミテッドで結果をだしているよーです.なので,毎週ドラフト記録をつけるかドラフトビデオを公開して,月に2回記事を書こうと思う.記事にできるほどやりこめる,よっぽど面白い構築デッキ(滅多にないよね)がない限り僕は40枚デッキで遊ぶフォーマットにかかりきりだろうね.今は本当にリミテッドについて話したくてたまらないんだけど,包囲戦は出たばっかりでまだリリースイベントで2回やっただけなんだ.包囲戦のリミテッドについてはもう1,2週待ってくれ.
じゃあ2010シーズン終盤から話を始めよう.僕は翌年もレベル8の恩恵を獲得するチャンスが十分にあったけど,プロポイントが49点で終る可能性もかなりあったんだ.自身のミスによってね.
Making Mistakes in Florence
GPフローレスの前の2ヶ月間で,僕はGPで2回優勝して,それとは別にTop8にも一回なった(注1).なので,当時のプロポイントは46点だった.どんなカードを初手でとろうと,どんなデッキが組みあがろうと,対戦相手がだれであろうとてんで負ける気がしなかったよ.明らかに状態が良かったね.GPナッシュビルにおいてGerry Thompson のブロック構築の様なデッキ(注2)に止められてしまったけど.この流れはフローレンスで風向きが変わって,多分僕はそのおかげでかなりの賞金を失った.
Situation 1
Round 4 of sealed deck, RW mirror.
そのゲームにおいて,僕はかなり長いこと土地が詰まっていて,有用な呪文が使えるようになる頃には僕のライフは12になっていた.相手の場には《剃刀のヒポグリフ/Razor Hippogriff(SOM)》,《ケンバの空護衛/Kemba’s Skyguard(SOM)》と数体の1/1.僕の場にはどうでもいいクリーチャーが数体,手札には《ダークスティールの歩哨/Darksteel Sentinel(SOM)》,《拘引/Arrest(SOM)》,《金屑化/Turn to Slag(SOM)》,そして《真実の確信/True Conviction(SOM)》があったけど…白マナは足りていなかった.このときのプランはかなり明確で,2枚目及び3枚目の平地を引くまで生き延びて,歩哨の攻撃で毎ターン最低6点ゲインできる場を構築することだった.その場が作れれば対戦相手が何をもっていても大丈夫だろう.僕は相手のフライヤー2体を「殺す」ことにした.そうすることで十分な時間が稼げると考えたからね.しかしここでは,3/3を《金屑化/Turn to Slag(SOM)》して空護衛は数ターン放置して,除去を打つかの判断は保留しておくべきだった.僕の策だと相手にドラゴンかなにかを引かれたら対処手段がなにもなくなってしまう.2ターン後に,彼は《ゴーレムの職工/Golem Artisan(SOM)》を引いて,僕はミスプレイの報いを受けることになった.そしてこのマッチを1-2で落とすことになったんだ.自分のライフがあまり多くない状態で,ブロックできないクリーチャーがいても,そいつはすぐさま除去しなきゃならないという訳ではない.ゲームの展開を変えられるプランがあったとしても,最後の除去は温存しておいたほうがいい場合もある.対戦相手がトップデッキするかもしれないなにかに備えてね.6,8点の追加のダメージを受けても,相手がなにも有効牌を引かないようならその後に除去すればいい(《感電破/Galvanic Blast(SOM)》とかの圏内に入る前にね).
このマッチではかなり奇妙な(僕の意見では)ジャッジコールがあった.彼は明らかにアタックをミスしていたのに,ヘッドジャッジは彼に巻き戻す事を認め,どうするのか正しいかを説明したんだ.だから僕らはもう一回その場面をやり直して,彼はまた失敗することになった.僕はルールをガチガチに適用するプレイヤーが嫌いだけど,自分が失敗した場面では巻き戻しを求めたりはしないね.僕もヘマをした場面であったけど,僕はただ耐えてミスから学ぶことにしたよ.なにかしらの理由があって,彼らはまたも巻き戻しを認めたわけだけど,それでもまだ彼はよく分かっていなくて,ジャッジは3回目の巻き戻しを行った.はは,いいね.ヘッドジャッジはこの裁定がマッチの結果に影響を及ぼすのは本意ではないと述べた.ちょうど3枚目の平地を引いたターンだったからね.まぁ,とにかく,僕は自分がより上手くプレイしていたらこの場を乗り切れていたのだから,なんにせよこの場は僕がヘマしたということさ.
そしてこの1ラウンド後に全く同じ状況が起きたんだ.僕のライフは1で,対戦相手の場には大量のクリーチャーと《金のマイア/Gold Myr(SOM)》,《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol(SOM)》がいた.彼はアタックを宣言し,僕は許可した(僕は自陣の《錆ダニ/Rust Tick(SOM)》を起動しなかった).そして彼は《きらめく鷹の偶像/Glint Hawk Idol(SOM)》をクリーチャー化してアタックしようとしたんだ.僕はもうその起動ができない事を説明した.マッチ後のヘッドジャッジにそのラウンドについて話すと,自分は偶像の起動とアタックを認めると彼は述べた(僕はダニの能力で偶像をタップさえできない状況だった.ぴったり負けることになるから) .GPの1日目には不慣れなプレイヤーが多くて,彼らにはサポートが必要だから,ということだった.マジかよ.
Situation 2
2日目の1stドラフトでのことだ.僕のデッキはかなり強力な赤白金属術で,《マイア鍛冶/Myrsmith(SOM)》が2枚,《燃えさし鍛冶/Embersmith(SOM)》も2枚,《先駆のゴーレム/Precursor Golem(SOM)》,《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》,他にも強力なカードがいっぱいだった.《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》は1パック目2手目でとったもので,そのパックのレアは既にピックされていた.だから僕は上家は強力なレアをピックしたのだと考えた.ドラフト後に彼に話しかけてみると,初手のカードは《屍賊の死のマント/Nim Deathmantle(SOM)》だったと教えてくれた.なんでこんな話を今僕がしているのかというと,PVがこのカードを1パック目の初手でとらなかったばかりに,このカードにボコボコにされたのが面白くてしょうがなかったからさ.真面目な話,このカードは殆どプレイに値しない.こいつがなにか仕事を始めるのは既に君が死に体になった後か,既に十分以上に有利になった後だ.もし《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》がなくても別なカードをとるね.例えば《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》とか.まあいいや,話をゲームに戻そう.
僕は大量の除去と数体のファッティが入った緑黒デッキを相手にしていた.3ゲーム目で,1マリガンしたんだ.いつもと違うことなど何もしてないのに(むしろ何時も通りすぎるくらいだ),このドラフト中はどのラウンドのどのゲームも基本マリガンすることになった.これは非常にフラストレーションが溜まることだった.マナカーブが低くて優秀なシナジーを多数含むデッキなので,問題など生じるはずがないというのに.
《平地/Plains》《山/Mountain》《金のマイア/Gold Myr(SOM)》《マイア鍛冶/Myrsmith(SOM)》《マイア鍛冶/Myrsmith(SOM)》《選別の高座/Culling Dais(SOM)》
なんていい初手(justice!).さてこれをキープしてさっさとゲームを終らせるとするか.2ターン目マイア鍛冶→煙霧吐き.3ターン目土地引けず,マイア鍛冶→《感染の賦活/Instill Infection(SOM)》.アレレ.ゲームはかなり接戦になって多分15ターン目が過ぎたくらいでついに僕は負けたけど,それは当然のことだった.僕は2ターン目に高座を出して,毎ターン死にゆくクリーチャーを追加のカードに変えるだけでよかったんだ.マイア鍛冶を最初にプレイして1体トークンを多く出すことに,2点多くダメージを与える必要など全くなかった.なぜこんなことになったのか.まずマリガンによるフラストレーションがマックスになっていたこと.そして「次は大丈夫なはず(could have it again)」と信じて2,3ターン目にマイア鍛冶を展開してどちらも除去呪文によって失ったことだ.彼はそれができて,僕は負けた.ここには教訓があるように思う.何かおかしなことが起きていると感じても,昂ぶってプレイを乱してはいけないということだ.
Situation 3
次は2ndドラフトの最終戦でのことだ.今度もまた僕は強力なデッキが組めた.それは青黒のコントロールデッキで,大量のマナマイアと優秀なカードによって《水銀のガルガンチュアン/Quicksilver Gargantuan(SOM)》(《ダークスティールの歩哨/Darksteel Sentinel(SOM)》をコピーするのが理想だ)か《災難の塔/Tower of Calamities(SOM)》の待つ高マナ域まで土地を伸ばせるデッキだった.このマッチの勝者はTOP32に入ることができ,プロポイント2点が手に入る.ワールドを残しているのでレベル8達成のためには十分すぎるポイントだ.どちらもTOP16の目はないのでたった1点の追加のプロポイントを争うことになった.僕にとってはでかい博打だった.彼にとって1点のプロポイントが意味がないかもしれないので,僕は 投了してくれるかどうか聞いてみた.彼は少し考えて,自分のレーティングが高いからプレイしたいと述べた. 分かった,仕方ない,ならばゲームを始めようか.僕は土地五枚と《分散/Disperse(MOR)》,《闇滑りのドレイク/Darkslick Drake(SOM)》のハンドを引いた.僕がどんなプレイをするか少しでも知っている人なら,この手札をマリガンすることも勿論ご存知だろう. でも僕はその初手をじっと見つめて,今日はすでに何度もマリガンをしているが,こんなことがあってたまるかと考えていた.全てのゲームでマリガンし続けるなんてできるわけないだろ,なあ?このデッキには強いカードがかなり沢山あるから,きっと引いてこれるはず!同時に,僕は2つのGPで優勝していてレーティングが2200もあるのだから,彼は僕に負けても少ししかレーティングが減らないのに,とずっと考えていた.といっても誤解して欲しくないのは,それは彼の立派な決断で,僕はそれを尊重しなければならないということだ.僕がそんな提案をしたのは,誰も傷つかない方法になるかもしれないからで,僕がその立場ならすぐさま 投了しただろうからさ(注4)まぁ,とにかくゲームの話に戻ろう.土地5枚と分散,ドレイクの初手だったという話だ.で,これをキープしたんだ.多分《分散/Disperse(MOR)》でなにかしらのアドバンテージはとれるし,《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake(ARB)》は実質2枚分のカードだ,なあ,そうだろ?そうだよな?そしてどうなったかというと…マイアのようなものを2枚と土地を5枚引いて5分後には負けたんだ.2ゲーム目も全く同じようなことがおきた.似たような手札を引いて, 同じ枚数の土地,5分で負けることが二度も起きるはずが無いと考えてキープ.そのゲームで,僕はきっかり3枚のスペルしか唱えられず,あっというまに結果報告用紙にサインして,うんざりした気分で席を立つことになった.自分自身にうんざりしたんだ.上でもう既に述べたけど,重要な教訓なのでもう一度―「2度は起きないだろう」などと考えるな,「次は自分が上手くいく番だ(注5)」などと考えるな.世界は君になにも補償してくれやしないんだ.It was here first!
この結果,僕のプロポイントは47のままとなった.レベル8を確定して,世界選手権でよい結果を出すために集中し,そしてPOYレースでのBradへの挑戦権を手にする代わりに, “まあとにかく,僕は追加のプロポイントを得るためにはワールドで9-9が必要だ,200位以内に入るために9回以上勝てればいいのさ!”と考える様になってしまった(注6).こういう考え方は明らかに間違っていて,こんな考えではとてもいい結果には繋がらない.幸運なことに僕は何とかドラフトラウンドで5-1できて,構築ラウンドでも必要以上の勝ち星を上げ,最終ラウンドでMat Marrにプロレベルupのためのトスをすることさえできた.でも僕は世界選手権で201位になってもプロポイント49点に達することはできたはずで,それができなかったのは自分自身が悪かったに他ならないんだ.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注1:あまりにも凄い成績で,まさか読み間違えてる?とおもったらマジだった
http://mtgwiki.com/wiki/Martin_Juza
グランプリナッシュビル10 ベスト8
グランプリボーフム10 優勝
グランプリポートランド10 優勝
注2:GPナッシュビルを優勝したGerry Thompsonのデッキは
13 Island
4 Mountain
17 lands
1 Copper Myr
1 Grand Architect
1 Iron Myr
1 Kuldotha Forgemaster
1 Memnite
1 Neurok Replica
1 Oxidda Scrapmelter
1 Riddlesmith
1 Soliton
2 Trinket Mage
2 Vedalken Certarch
1 Wall of Tanglecord
14 creatures
1 Chimeric Mass
1 Flight Spellbomb
1 Golden Urn
1 Heavy Arbalest
1 Mindslaver
1 Rusted Relic
1 Sword of Body and Mind
1 Sylvok Lifestaff
1 Volition Reins
9 other spells
ちなみにジュザのデッキは
10 Island
6 Plains
1 Seachrome Coast
17 lands
1 Auriok Replica
2 Chrome Steed
1 Copper Myr
1 Darkslick Drake
1 Gold Myr
2 Iron Myr
1 Perilous Myr
1 Riddlesmith
1 Scrapdiver Serpent
1 Silver Myr
1 Sky-Eel School
1 Wall of Tanglecord
1 Wurmcoil Engine
15 creatures
1 Dispense Justice
1 Disperse
1 Revoke Existence
1 Strider Harness
1 Trigon of Infestation
1 True Conviction
2 Volition Reins
8 other spells
注3)All the while thinking that I haven’t just won 2 GPs and my rating probably isn’t 2200, which means he would only lose very few points
Notがついてるのはなぜ?
注4)The only reason I asked was that it absolutely wouldn’t hurt anyone and if I was in this position I would scoop in a heartbeat.
Scoop=意思を組むと解釈
注5)Don’t think it can’t happen again, don’t think that this time you are due.
「this time you are due」を「次は自分が上手くいく番だ」と意訳
注6) The result of this was that I was left with 47 points and instead of being a lock for level 8 and focusing on doing well at Worlds and possibly getting ahead or tying with Brad in the POY race (but what are the chances of that, right?) I was constantly thinking “alright, so I need 9-9 to get the extra point, so only 8 more wins to get to top200!”.
47点で世界選手権を迎えたことで,考え方が「世界選手権でうまくやってやる!」から「9-9以上が必要だ」に変わってしまったことを述べている.しかし長々とした文章になってしまい,これでは一見では伝わりにくそう.
コメント
「2つのGPを優勝してなければレーティングも2200なんて無かったはずだし、それならトスしてくれても大してレーティング減らなかったよなー」ぐらいの。
「scoop」は海外のレポートにはよく出てきて、「投了(concede)」と同じ意味で使われているようです。
確かに「Scoop = すくって持ち上げる」で、プレイヤーは負けると場にあるカードを
「手ですくって持ち上げる(かき集めて持ち上げる)」から、だったような気がします。
多分、日本語で言う「(カードを)片付ける = 負けを認める」みたいな感じなのかな、と。
蛇足かも知れませんが、自分も昔同じ箇所で悩んだのを思い出したので、参考までに。
>rain
>レーティングも2200なんて無かったはずだし、それならトスしてくれても大してレーティング減らなかったよなー
レーティングは高ければ高いほど、勝ったときに相手が失うレーティングは少なくなります。
つまり、御説は理屈に合いません。
ともあれ、この文章は英語として謎が多いので、「読みたいように読む」しかないのではないかと思います。
>レーティング
仮定法という発想が出てきませんでした.しかし,文意と構造どっちかを立てようとするともう片方が立ちませんね.
それは違うかとさんのおっしゃるとおり,ある程度解釈で補う必要があるみたいですね.
>scoop
こういうMTG英語はコレクションしたいので,教えてもらえてとても嬉しいです.実はscoopという単語自体が初見で,調べると「すくう」という意味が出てきたので,トスを要求している場面を考えると「(相手の意思を)すくう(汲む)」とか考えてしまいました.
何で気付かなかったんだろう・・・
長い文章だと、意味はつかめても訳すのに苦労する文章って出てきますよね。
LSVの文章とか、良く翻訳するなーと感嘆しながら読ませてもらってます。
勝手ながらお気に入りに入れさせていただきました、これからも楽しみにしております。
自分も英文で読むのが割と好きなのですが、It was here first!っていうのは、
「ソースは俺!」みたいな感じでしょうかね?w