原題:Breaking Through – Trial By Fire
http://www.channelfireball.com/articles/breaking-through-trial-by-fire/
Posted by Conley Woods
November 11, 2010
去年11月に掲載された記事です.当時訳したものの後半の大事な所で訳せない部分が多かったのと,果たして需要あるのか…とか考えて放置していたものです.記事中にCFで上げてるプレイ動画におけるプレイミスについての言及があり,最近日本でもニコニコとかで動画上げる人も見る人も増えてる様なのでそういった動画を見る際の心構え(?)として学べるところが多いかなと思って上げてみました.記事の本題はプレイミス自体の取り扱いについてです.
以下本文
一般的なプロプレイヤーと平均的なFNMプレイヤーの最も大きな違いは1ゲーム内で犯すミスの数の差だと言われる事があります.両者が犯すミスの数に厳密な定義はありませんが,一般に,上手いプレイヤー程ミスが少なくなるものです.ですが,この考えがプロプレイヤーに対する間違った認識を多数生んでいると思います.ライブビデオのおかげで平均的プレイヤーは様々なことを知れるようになりました.伝え聞くだけよりもゲーム内容を理解できるようになりましたが,こういった中で前述の様な認識はアンフェアです.
例えば,プレイヤーのスキルを記録ビデオからのみ判断するのはアンフェアです.ビデオを撮られることで,ただMTGをプレイする以外の技術が必要になるのは忘れないでほしいところです.エンターテイメントに供されることが外乱となり,恐ろしいミスを引き起こすのです.ビデオが公開されるという事実は思った以上にミスを誘発します.記録を取られることでたくさんのミスが生じますが,もちろん,元々犯してしまうミスもあります.
ビデオの公開により,優秀なプレイヤーは実際にミスが少ないことを明らかになりました.しかし,優秀なプレイヤーもそうでないプレイヤーも皆,ミスの数自体はあなたが考えていたより多かったのではないかと思います.この事実から,皆があまり気付いていなかったであろう興味深い事実に至れます. ミスを犯す回数の差はもちろん重要だが,ミスを犯した際にどう対応するかも同じくらい重要だ ということです.それら両方が優秀なプレイヤーと凡百のプレイヤーを隔てているのです.
上の一文は見過されやすい重要な情報を含んでいるので,私が述べたいことをはっきりさせておきましょう.犯したミスへの正しい対応の最初の一歩は,犯したミスに気付くことです.これは第一歩であると同時に最も重要なことでもあります.ミスはしょっちゅう起こることは既に述べましたが,優秀なプレイヤーはそうしたミスを完全に,そして一般プレイヤーよりも素早く気付く傾向があります.つまり優秀なプレイヤーと下手なプレイヤーが同じ数のミスをしたとしても,優秀なプレイヤーはゲーム中にプラン(詳しくは後述します)を立て直せるのに対し,下手なプレイヤーはミスをしたことに気付きすらしないということです.また,優秀なプレイヤーはミスに良く気づくが故にミスから学ぶ機会も多いのです。
ゲームについて学ぶ時、明らかなミスについては簡単に気付き,学習できるでしょう.しかしより微妙なミスは指摘されないと気付けません.こうした指摘が学習の一歩目となります.プロのレベルになれば,こうした微かなミスには簡単に気付くようになります.ビデオをもう一度例にとりましょう.貴方はビデオを通して,私やLuis,Bradがミスを犯すところを何度となく見るでしょう.私たちは2ターン以内にはそれに気付き,指摘します.これには言い訳としての意味は全くないのです。この気付きによって,どんな場面においても、そのミスから挽回する余地ができるのです.指摘は私達がその場面から引き出せた情報なのです.
ミスにより敏感になるための簡単な方法論はありません.しかし,気付きを増やすためのステップはいくつか存在します.基本的には,向上心とそれ故の真摯さが鍵になります.自分を実力以上に優秀だと考えているプレイヤーは,ミスを見失うことがあります.自分がミスを犯したと自覚したくないからです.一時的なエゴは満たせるかもしれませんが,ゲームにおいては悪いことでしかないなのでこの罠に陥らないでください.もう一つの鍵は,場やカードの相互関係を逐一確認することです.一度検討したことも,何度も確かめるのです。《刻まれた勇者/Etched Champion》のプロテクションを10回確認していたとしても、失念する場合もあります.しかし11回確認したら気がつくかもしれません.場の状態や相互関係を疑わなくなれば,新しい情報を得られなくなります.
もう一度太字部に戻りましょう:ミスを犯す回数の差はもちろん重要だが,ミスを犯した際にどう対応するかも同じくらい重要で,それら両方が優秀なプレイヤーと凡百のプレイヤーを隔てている ,という部分です.これまでの説明で,ミスは起きるものだと理解できたと思います.次のステップは単純です:「平静を保て」
.
MTGのコミュニティにおいて,数学や数字や適切なプレイ等がゲームに重要な事として度々強調されます.もちろんこれは間違っていません.しかしここに重点を置くことは,「人的要素(human element)」もまた同じくらい重要であることを霞ませてしまいます.有能な部局長がする様なブラフについての記事をここで読むことができます(訳注:ルーエルが同時期にブラフについての記事を上げていたのでそのことだと思います)が,我々の振る舞いはブラフ以上に多くのことを語ってしまっているのです.
ミスを犯し、それに気付くとプレイヤーは動揺します.これは自然な反応ですが,内的にも外的にも様々な問題をもたらします.まず,ミスによる動揺は貴方の振る舞いに影響を与えます。それはマッチの勝敗を危うくするものです.ミスを犯してしまったからといって,ティルトしたり(訳注:tiltはポーカー用語?「自分の感情がプレイする能力をさえぎってしまう状態」らしいです),感情的になってはいけません.外から見て平静を保てていたとしても,内面では愚かなミスを犯した自分を責めてしまうこともあります.自分を責めつつ素晴らしいプレイができる人も中にはいるでしょうが,大抵の人間はそんなことできないので,悔やむのはマッチが終わってからにしましょう.1つのミスでゲームを落とすことになるかどうかは分かりません.しかし,ティルトしてしまうと大抵そうなります.
優秀なプレイヤーは内面的な反応だけでなく,外面的な反応にも備えており,熟達しています.ミスは小さなため息一つから憤慨まで,見聞きできるあらゆる挙動から見つけられてしまいます.大きなトーナメントでは少なくとも一回はそういうことがあるでしょう.ミスの中には、あなたしか知らない情報を含んでいるものもあるので,ミスを犯しても,必ず相手がそれに気付くとは限りません.平静を保っていれば対戦相手がミスリードされることすらあるのです.それも,貴方に有利な方向に.相手のクリーチャーの先制攻撃を忘れてアタックしてしまうことは誰にでもあります.これは明らかにミスですが,対戦相手はトリックの類を警戒してブロックしないこともあります.アタック後に動揺を示してしまえば,そのクリーチャーが生きて帰れないでしょう.たとえ貴方が自身を責めたり、対戦相手に狼狽を見せずにやり過ごせたとしても、ゲームをネガティブな方向に向けてしまうことはあります。
もう一度定義文に戻り,優秀なプレイヤーと弱いプレイヤーを比べてみましょう.弱いプレイヤーは彼らのゲームプランを動かさない傾向があるのに対し,優秀なプレイヤーはプランを変えることを躊躇しません.これは直感と反するかもしれません.通常,プレイを変える場合はなにか間違っていますからね.しかし,まずいプレイをしてしまった場合や結果として裏目に出た場合に,それ以前のプランにしがみつくことは,かなりまずい事です。そうした場合,そのシチュエーションに合わせてプランを修正するべきなのです.もちろんミスが長期的な展望に影響を及ぼさないシチュエーションもありますが,ミスが起きた際は常にプランの修正を考慮しなくてはいけません.
大切なのは,優秀なプレイヤーは自分が犯したミスに気がつき,それに合わせてゲームプランを変更できるということです.ここで簡単な例を見てみましょう: あなたはMOで感染デッキをプレイしていて,対戦相手を毒殺しようとしています。対戦相手のライフは13で、毒カウンターは2つ与えているとします.貴方は《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》と《モリオックの模造品/Moriok Replica》でアタックし,《汚れた一撃/Tainted Strike》をプレイしました.ところが,ミスクリックして《モリオックの模造品/Moriok Replica》に打ってしまい,プランが崩壊してしまいました.対戦相手のライフは7に,毒カウンターは5になりました(もう一度確認しますが、これは驚くほど簡単な例です). 弱いプレイヤーはこの後も毒殺にこだわり,その後の戦闘でも不適切なプレイを続けるでしょう.一方で,優秀なプレイヤーはプランを切り替えます.ミスクリックが新たなゲームの状態を作り,通常ダメージで倒せる可能性の方が高くなったことを理解しているのです.プレイヤーがこの様な思考プロセスをちゃんと行えたとしても,毒殺の可能性がより高く,プランを変えない場合もあります.しかしそうした場合でも,ミスクリックによりゲームが新たな局面を迎えたことを考慮はします.こうしたプレイヤーはたとえミスクリックが原因で生じたものでも,ゲームの新しい局面を受け入れるのです.
ここでの主題は単純です: どんなにミスを避けようとしても,間違いは何度も起きます.なので,ミスそのものをしない様にするのと同じくらいミスをリカバリーする技術が重要なのです.強調したいのは,完璧にMTGをプレイできていると考えていると,ミスに対処する能力を無くしてしまうということです.貴方が人生で失敗などしたことがない,と考えているとします;その場合,初めて避けられない失敗が生じた時にどう対処するのでしょう? きっとパニックになり,混乱し,失敗による後退を苦行と感じるでしょう.そのミスをその後のゲーム中に引き摺ってしまえば,ミスによる影響は本来のものよりずっと大きくなってしまうでしょう.
ミスを避けるための方法を教えるというのも悪くはないのですが,それはかなり込み入った話ですし,様々な戦略における方法を包括的に話すことは非現実的です.MTGのコミュニティとして,我々の勝利のためのセオリーと戦略を継続的に前進させるためには,全てではないにしても殆ど解明されている領域,MTGのプレイについてを探求しなければならないのです. ミスをしない人などいないので,理想論には意味がありません.
そのためにまずできる重要なことは,ミスに気付ける様になるための練習をすることです.友人が全てを見られる状態でプレイテストする,そしてミスを指摘してもらう(トーナメントではマッチが終わった後に),ゲーム中に起きたミスを可能な限りメモしておく,もしくはプレイ毎に数秒間を置いてそのプレイの結果を評価する,などなど.いつミスが生じたのかをはっきりさせることが,進歩するために大切なことです.これによってそのミスを避けるための技術と,そのミスが再び生じてしまった際の対処法を学ぶことができるでしょう.こういった練習を積まなければ,22歳かそこらまで失敗せずに過ごしてきた人が初めて失敗した時と同じような事態に陥るでしょう(直訳).
ここChannelfireballで公開しているビデオはこうした練習の大きな動機付けとなるでしょう.ビデオを第三者視点で,そして時に後知恵を用いて眺めて,プレイヤーを判定するのは簡単です.しかし,自分ならそのミスを全て避けられるとは思わないでください.あなたはどこかでそれと同じか,または別のミスを犯しているでしょう.上手いプレイが行われた際に,観戦者はそれを当然と考え ,自分も同じ結論に至れると決めてかかりますが,実際にはそうできない人もいるはずです.そうした場合,ミスも含めてその後の行動を決定し,リカバリーに努めるしか道はないのです.スマートにプレイしましょう.しかしそれ以上に重要なのは謙虚にプレイすることで,そして後悔しないことです.読んでくれてありがとうございました.
Conley Woods
@Conley81 on Twitter
DeckDoctor@channelfireball.com for Deck Doctor submissions
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注釈部
注1)If you allow a mistake to pave a labor intensive path for the remainder of the game, that mistake has manifested exponentially from what its actual impact should have been.
That前はミスによって生じる苦難(?)を「a labor intensive path」と表現してて,それをallowすれば,という意味だと考えました.That以下はmanifestedがどういうニュアンスかよく分かりませんでした.what its actual impact should have been.が「本来あるべきインパクト」でそれより「指数関数的=exponentially」にmanifestするとはどういう意味なのでしょう?
注2) To do anything less is an elitist take on a matter in which there are no elite.
ここは全く分からなかった
注3) We take it for granted when a good play is made and assume we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
構文はこうですよね
We take it for granted (when a good play is made and assume) we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
CFの仲間が同じ結論に当然達すると思っているが,実際には(ミスをするから)そうでない場合もある
次の文とつなげるためには↑の様な意味としたいのですが,some people wouldn’t have=「ミスする場合もある」とするのは不自然.
注4) There is no substitution for putting all of this into action and working on your mistake recovery first hand.
Putting all of this into action=「これ」を行動に入れる=「犯したミス」を考慮に入れてプレイする
http://www.channelfireball.com/articles/breaking-through-trial-by-fire/
Posted by Conley Woods
November 11, 2010
去年11月に掲載された記事です.当時訳したものの後半の大事な所で訳せない部分が多かったのと,果たして需要あるのか…とか考えて放置していたものです.記事中にCFで上げてるプレイ動画におけるプレイミスについての言及があり,最近日本でもニコニコとかで動画上げる人も見る人も増えてる様なのでそういった動画を見る際の心構え(?)として学べるところが多いかなと思って上げてみました.記事の本題はプレイミス自体の取り扱いについてです.
以下本文
一般的なプロプレイヤーと平均的なFNMプレイヤーの最も大きな違いは1ゲーム内で犯すミスの数の差だと言われる事があります.両者が犯すミスの数に厳密な定義はありませんが,一般に,上手いプレイヤー程ミスが少なくなるものです.ですが,この考えがプロプレイヤーに対する間違った認識を多数生んでいると思います.ライブビデオのおかげで平均的プレイヤーは様々なことを知れるようになりました.伝え聞くだけよりもゲーム内容を理解できるようになりましたが,こういった中で前述の様な認識はアンフェアです.
例えば,プレイヤーのスキルを記録ビデオからのみ判断するのはアンフェアです.ビデオを撮られることで,ただMTGをプレイする以外の技術が必要になるのは忘れないでほしいところです.エンターテイメントに供されることが外乱となり,恐ろしいミスを引き起こすのです.ビデオが公開されるという事実は思った以上にミスを誘発します.記録を取られることでたくさんのミスが生じますが,もちろん,元々犯してしまうミスもあります.
ビデオの公開により,優秀なプレイヤーは実際にミスが少ないことを明らかになりました.しかし,優秀なプレイヤーもそうでないプレイヤーも皆,ミスの数自体はあなたが考えていたより多かったのではないかと思います.この事実から,皆があまり気付いていなかったであろう興味深い事実に至れます. ミスを犯す回数の差はもちろん重要だが,ミスを犯した際にどう対応するかも同じくらい重要だ ということです.それら両方が優秀なプレイヤーと凡百のプレイヤーを隔てているのです.
上の一文は見過されやすい重要な情報を含んでいるので,私が述べたいことをはっきりさせておきましょう.犯したミスへの正しい対応の最初の一歩は,犯したミスに気付くことです.これは第一歩であると同時に最も重要なことでもあります.ミスはしょっちゅう起こることは既に述べましたが,優秀なプレイヤーはそうしたミスを完全に,そして一般プレイヤーよりも素早く気付く傾向があります.つまり優秀なプレイヤーと下手なプレイヤーが同じ数のミスをしたとしても,優秀なプレイヤーはゲーム中にプラン(詳しくは後述します)を立て直せるのに対し,下手なプレイヤーはミスをしたことに気付きすらしないということです.また,優秀なプレイヤーはミスに良く気づくが故にミスから学ぶ機会も多いのです。
ゲームについて学ぶ時、明らかなミスについては簡単に気付き,学習できるでしょう.しかしより微妙なミスは指摘されないと気付けません.こうした指摘が学習の一歩目となります.プロのレベルになれば,こうした微かなミスには簡単に気付くようになります.ビデオをもう一度例にとりましょう.貴方はビデオを通して,私やLuis,Bradがミスを犯すところを何度となく見るでしょう.私たちは2ターン以内にはそれに気付き,指摘します.これには言い訳としての意味は全くないのです。この気付きによって,どんな場面においても、そのミスから挽回する余地ができるのです.指摘は私達がその場面から引き出せた情報なのです.
ミスにより敏感になるための簡単な方法論はありません.しかし,気付きを増やすためのステップはいくつか存在します.基本的には,向上心とそれ故の真摯さが鍵になります.自分を実力以上に優秀だと考えているプレイヤーは,ミスを見失うことがあります.自分がミスを犯したと自覚したくないからです.一時的なエゴは満たせるかもしれませんが,ゲームにおいては悪いことでしかないなのでこの罠に陥らないでください.もう一つの鍵は,場やカードの相互関係を逐一確認することです.一度検討したことも,何度も確かめるのです。《刻まれた勇者/Etched Champion》のプロテクションを10回確認していたとしても、失念する場合もあります.しかし11回確認したら気がつくかもしれません.場の状態や相互関係を疑わなくなれば,新しい情報を得られなくなります.
もう一度太字部に戻りましょう:ミスを犯す回数の差はもちろん重要だが,ミスを犯した際にどう対応するかも同じくらい重要で,それら両方が優秀なプレイヤーと凡百のプレイヤーを隔てている ,という部分です.これまでの説明で,ミスは起きるものだと理解できたと思います.次のステップは単純です:「平静を保て」
.
MTGのコミュニティにおいて,数学や数字や適切なプレイ等がゲームに重要な事として度々強調されます.もちろんこれは間違っていません.しかしここに重点を置くことは,「人的要素(human element)」もまた同じくらい重要であることを霞ませてしまいます.有能な部局長がする様なブラフについての記事をここで読むことができます(訳注:ルーエルが同時期にブラフについての記事を上げていたのでそのことだと思います)が,我々の振る舞いはブラフ以上に多くのことを語ってしまっているのです.
ミスを犯し、それに気付くとプレイヤーは動揺します.これは自然な反応ですが,内的にも外的にも様々な問題をもたらします.まず,ミスによる動揺は貴方の振る舞いに影響を与えます。それはマッチの勝敗を危うくするものです.ミスを犯してしまったからといって,ティルトしたり(訳注:tiltはポーカー用語?「自分の感情がプレイする能力をさえぎってしまう状態」らしいです),感情的になってはいけません.外から見て平静を保てていたとしても,内面では愚かなミスを犯した自分を責めてしまうこともあります.自分を責めつつ素晴らしいプレイができる人も中にはいるでしょうが,大抵の人間はそんなことできないので,悔やむのはマッチが終わってからにしましょう.1つのミスでゲームを落とすことになるかどうかは分かりません.しかし,ティルトしてしまうと大抵そうなります.
優秀なプレイヤーは内面的な反応だけでなく,外面的な反応にも備えており,熟達しています.ミスは小さなため息一つから憤慨まで,見聞きできるあらゆる挙動から見つけられてしまいます.大きなトーナメントでは少なくとも一回はそういうことがあるでしょう.ミスの中には、あなたしか知らない情報を含んでいるものもあるので,ミスを犯しても,必ず相手がそれに気付くとは限りません.平静を保っていれば対戦相手がミスリードされることすらあるのです.それも,貴方に有利な方向に.相手のクリーチャーの先制攻撃を忘れてアタックしてしまうことは誰にでもあります.これは明らかにミスですが,対戦相手はトリックの類を警戒してブロックしないこともあります.アタック後に動揺を示してしまえば,そのクリーチャーが生きて帰れないでしょう.たとえ貴方が自身を責めたり、対戦相手に狼狽を見せずにやり過ごせたとしても、ゲームをネガティブな方向に向けてしまうことはあります。
もう一度定義文に戻り,優秀なプレイヤーと弱いプレイヤーを比べてみましょう.弱いプレイヤーは彼らのゲームプランを動かさない傾向があるのに対し,優秀なプレイヤーはプランを変えることを躊躇しません.これは直感と反するかもしれません.通常,プレイを変える場合はなにか間違っていますからね.しかし,まずいプレイをしてしまった場合や結果として裏目に出た場合に,それ以前のプランにしがみつくことは,かなりまずい事です。そうした場合,そのシチュエーションに合わせてプランを修正するべきなのです.もちろんミスが長期的な展望に影響を及ぼさないシチュエーションもありますが,ミスが起きた際は常にプランの修正を考慮しなくてはいけません.
大切なのは,優秀なプレイヤーは自分が犯したミスに気がつき,それに合わせてゲームプランを変更できるということです.ここで簡単な例を見てみましょう: あなたはMOで感染デッキをプレイしていて,対戦相手を毒殺しようとしています。対戦相手のライフは13で、毒カウンターは2つ与えているとします.貴方は《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》と《モリオックの模造品/Moriok Replica》でアタックし,《汚れた一撃/Tainted Strike》をプレイしました.ところが,ミスクリックして《モリオックの模造品/Moriok Replica》に打ってしまい,プランが崩壊してしまいました.対戦相手のライフは7に,毒カウンターは5になりました(もう一度確認しますが、これは驚くほど簡単な例です). 弱いプレイヤーはこの後も毒殺にこだわり,その後の戦闘でも不適切なプレイを続けるでしょう.一方で,優秀なプレイヤーはプランを切り替えます.ミスクリックが新たなゲームの状態を作り,通常ダメージで倒せる可能性の方が高くなったことを理解しているのです.プレイヤーがこの様な思考プロセスをちゃんと行えたとしても,毒殺の可能性がより高く,プランを変えない場合もあります.しかしそうした場合でも,ミスクリックによりゲームが新たな局面を迎えたことを考慮はします.こうしたプレイヤーはたとえミスクリックが原因で生じたものでも,ゲームの新しい局面を受け入れるのです.
ここでの主題は単純です: どんなにミスを避けようとしても,間違いは何度も起きます.なので,ミスそのものをしない様にするのと同じくらいミスをリカバリーする技術が重要なのです.強調したいのは,完璧にMTGをプレイできていると考えていると,ミスに対処する能力を無くしてしまうということです.貴方が人生で失敗などしたことがない,と考えているとします;その場合,初めて避けられない失敗が生じた時にどう対処するのでしょう? きっとパニックになり,混乱し,失敗による後退を苦行と感じるでしょう.そのミスをその後のゲーム中に引き摺ってしまえば,ミスによる影響は本来のものよりずっと大きくなってしまうでしょう.
ミスを避けるための方法を教えるというのも悪くはないのですが,それはかなり込み入った話ですし,様々な戦略における方法を包括的に話すことは非現実的です.MTGのコミュニティとして,我々の勝利のためのセオリーと戦略を継続的に前進させるためには,全てではないにしても殆ど解明されている領域,MTGのプレイについてを探求しなければならないのです. ミスをしない人などいないので,理想論には意味がありません.
そのためにまずできる重要なことは,ミスに気付ける様になるための練習をすることです.友人が全てを見られる状態でプレイテストする,そしてミスを指摘してもらう(トーナメントではマッチが終わった後に),ゲーム中に起きたミスを可能な限りメモしておく,もしくはプレイ毎に数秒間を置いてそのプレイの結果を評価する,などなど.いつミスが生じたのかをはっきりさせることが,進歩するために大切なことです.これによってそのミスを避けるための技術と,そのミスが再び生じてしまった際の対処法を学ぶことができるでしょう.こういった練習を積まなければ,22歳かそこらまで失敗せずに過ごしてきた人が初めて失敗した時と同じような事態に陥るでしょう(直訳).
ここChannelfireballで公開しているビデオはこうした練習の大きな動機付けとなるでしょう.ビデオを第三者視点で,そして時に後知恵を用いて眺めて,プレイヤーを判定するのは簡単です.しかし,自分ならそのミスを全て避けられるとは思わないでください.あなたはどこかでそれと同じか,または別のミスを犯しているでしょう.上手いプレイが行われた際に,観戦者はそれを当然と考え ,自分も同じ結論に至れると決めてかかりますが,実際にはそうできない人もいるはずです.そうした場合,ミスも含めてその後の行動を決定し,リカバリーに努めるしか道はないのです.スマートにプレイしましょう.しかしそれ以上に重要なのは謙虚にプレイすることで,そして後悔しないことです.読んでくれてありがとうございました.
Conley Woods
@Conley81 on Twitter
DeckDoctor@channelfireball.com for Deck Doctor submissions
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注釈部
注1)If you allow a mistake to pave a labor intensive path for the remainder of the game, that mistake has manifested exponentially from what its actual impact should have been.
That前はミスによって生じる苦難(?)を「a labor intensive path」と表現してて,それをallowすれば,という意味だと考えました.That以下はmanifestedがどういうニュアンスかよく分かりませんでした.what its actual impact should have been.が「本来あるべきインパクト」でそれより「指数関数的=exponentially」にmanifestするとはどういう意味なのでしょう?
注2) To do anything less is an elitist take on a matter in which there are no elite.
ここは全く分からなかった
注3) We take it for granted when a good play is made and assume we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
構文はこうですよね
We take it for granted (when a good play is made and assume) we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
CFの仲間が同じ結論に当然達すると思っているが,実際には(ミスをするから)そうでない場合もある
次の文とつなげるためには↑の様な意味としたいのですが,some people wouldn’t have=「ミスする場合もある」とするのは不自然.
注4) There is no substitution for putting all of this into action and working on your mistake recovery first hand.
Putting all of this into action=「これ」を行動に入れる=「犯したミス」を考慮に入れてプレイする
コメント
ミスぷ検証って正直やりたいことではありませんが、やっぱり大事ですよねー
面白い記事でした。
文中の例は明らかな錯誤が出てきていますが、一見してミスに見えないけれど実はミスである・・・と言うシチュエーションは沢山あると思います。
自分は、ピックを見返す時とか、Replayを見返す時についつい負けた理由を探してしまうのですが、それが正当なものかどうか判断に迷う事が良くあります。
こう言った判断を正確に出来る人が、上手いプレイヤーなんでしょうね。
> 構文はこうですよね
> We take it for granted (when a good play is made and assume) we would have come to the same conclusion, but in reality, some people wouldn’t have.
個人的には括弧をつけるとすれば以下のような感じかな、と思いました。
> {We take it for granted (when a good play is made)} and{assume (we would have come to the same conclusion)}, but in reality, some people wouldn’t have.
訳というか、意味としては以下のような感じでしょうか。
> 良いプレイを見たとき、人は「まあ当然そうするよね」としか思わず、
> 自分たちも全く同じ結論にたどり着けたであろうことを疑いませんが、
> 実際は正解にたどり着けない人もいるはずです。
これからはミスしたときにはメモするようにしようかな。
やはりミスで負けるのは悔しいですからね。
>If you allow a mistake to pave a labor intensive path for the remainder of the game, that mistake has manifested exponentially from what its actual impact should have been.
「allow a mistake to pave a labor intensive path」は、些かpoeticな表現ですね。
直訳的には「mistakeがa labor intensive pathを敷き詰めるのを許す」で、つまり、「間違いをいつまでも引きずる」という意味です。
他動詞のmanifestは、辞書を引けば「~を明らかにする」というようなことが書かれていますが、これは、元々そこにあったけれども目立ってないかったものがはっきりと目立って認識されるようになる、というニュアンスの語です。
つまり、間違いによる影響はもともとあるわけですけど、それが指数関数的に目立ってくる、というような意味です。
注2
>To do anything less is an elitist take on a matter in which there are no elite.
これは、「To do anything lessは、eliteのいないmatterについてのelitistなtakeである」です。
この「less」は、「~より少ない」ではなく、「~を欠いた」です。
何を欠いているかというと、その前の文章で重要だと説いている「exploring under appreciated areas ~」です。
現実のプレイヤーはミスをするものであり、そこには無謬のeliteは存在しません。
つまりこれは、現実のプレイに立脚しない高説は画餅に過ぎない、という意味のことを言っています。
注3
re-giantさんの仰る通りです。
英語が苦手な私としてはtiltという用語にびっくりしました。
傾くとかそういう印象を持っていたのですっきりしますね。
古いプランに拘泥するというのは自分を見ても正にそうだと思いました。拘泥しないように意識していこうと思えます。
負けた理由を探す際に,それが結果論かどうかは慎重に判断する必要がありますね.僕は前回のプレリで言えば,あのデッキを防御的に扱わなかったのはミスで,後手を選んで感染鬼回りに対処できなかったのはミスではなかったと考えています.後者は後手とってれば手札の内容からして勝っていたので,先手を取らなかった事を結果論的に悔やみたくなりましたが,盲目的に「アレが悪かった」と反省するのではなく,事後にしっかり検証することが大事なのだと思います.
larmeさん
囲碁は全く分からないのですが,結構ミスが頻発する競技なのですか?あんなに打つ場所が多い盤を使っているので素人目にはとても大変そうです.囲碁や将棋は終わった後両者でゲームを討論するそうですね.僕もMTGでたまにやったりします
お世話になります.
grantedの後にはthat的なものがくると考えてしまい,whenを挟んでwe shuldがそれに相当するのかなと判断してしまいました.gramtedまででも1文成立しますし,僕のは文意的にもとても不自然でしたね.ありがとうございました.
ゴルガリさん
メモをとると自分のミスの傾向が分かるかもしれませんね.僕は欲張りにカードアドバンテージを取りに行き過ぎて失敗することがよくあります.しかも同じようなミスを何度もしてしまう…
ありがとうございます.今回の注釈部はどれも本当に分からないものだらけだったので,非常に助かります.注2は逆の意味書いちゃってるし,注3も頓珍漢な訳ですしね.
conleyは僕から見るととても難解な表現が多くて,分からないところは全く分からないのです.口語的すぎて難しい人もライターに何人かいるのですが,それらとは違った難しさがあります.読み切るのを挫折した記事も多くて,これもそのひとつだったんですよね.
manifestは辞書しらべて羅列されている訳語や,その後ろに「指数関数的に」とあることから想像して,おっしゃる様なニュアンスには受け取れていたのですが,前半部が難しすぎて正解に至れませんでした.
注2はto do anything lessが難しいですね.正直まだちょっと分かってない…青字の訳語で意味はあってます?
mrgreedさn
tiltのこの意味は僕も知りませんでした.google先生は偉大ですね.
記事中の例はあからさまですが,プランを変更するべきか気付くのは難しいことも多いですよね.例では毒殺かダメージ殺かの判断でしたが,僕は押す場面か引く場面かの判断を間違えることが多々あります.PVのレポとか読むとリミテでもフェアリーの記事でもどっちが攻める側なのかすごく意識しているのが伺えます.状況の変化によるプランの変更をすごく重要視しているように思えるのです.プレイングでは大切な要素なのでしょうね.
では、「To do anything else」だったら如何ですか?
意味はほぼ同じです。
>青字の訳語で意味はあってます?
はい、意味的には正しいです。
>an elitist take on a matter in which there are no elite.
がすなわち
>理想論
に対応します。
(もしかしたら「理想論」より良い訳語があるかもしれませんが、少なくとも文意を外してはいません。)
>ミスをしない人などいないので,理想論には意味がありません.
は、文脈から文意を補った訳ですが、分かりやすくて良いと思います。
うーん、プラン変更、難しいですねぇ(^^;
頭が固くなって別プランの存在に気付きすらしないこともあるので,しっかり考えたいですよね.