http://www.channelfireball.com/articles/fffreaky-friday-caw-go-at-worlds/
原題:FFfreaky Friday – Caw-Go! at Worlds

Posted by Brad Nelson

December 9, 2010

この後マッチアップとサイドボーディングについての説明があるのですが、疲れたのでとりあえずここまで。

以下本文

ワールドのたった2日前にこの記事を、日本のホテルにて書いています。日本に滞在するのは初めてですが、一言で言うならば「奇妙(weird)なところ」です。飯を食いに行っても自分が何を注文しているのか殆ど分からず、それが運ばれてきても一体それが何なのか全く分かりませんでした。この旅で最も良かったことは時差が私にとって上手く働き、睡眠スケジュールが帰宅時のそれと正確に合わせられそうなことです。

貴方はこの記事をスタンダードラウンドが終わった次の日に目にすることになるでしょう。でも、その結果を知らない振りして読んでください。今日はスタンダードのデッキ選択について語ります。もちろん皆さんは私の選択が正解だったかどうか知っている分けですが、そこはつっこまないで読んでくれ、ということです。皆さんがエクステンデッドの情報を欲しがっているのはよくご存知ですが、このフォーマットは私もまだ調整が必要で、どうすればいいのか殆ど分からないという状態なのです。なので、スタンダードの話をしましょう。

2週間前から、私はアメリカのレベル7以上の多くのプレイヤーと調整と議論を繰り返しました。これは環境を知る大きな助けとなりました。先週まではRUGを使おうと考えていました。私が一番良く知るデッキですし、このデッキで数々のトーナメントで好成績を挙げていたからです。例えば、Superstars 1kトーナメントやMOの8人構築などで。問題は、このデッキではChannelfireballの面々に全く勝てないということでした。

RUGにとって、吸血鬼もまた非常に相性の悪いマッチアップでした。非常に軽いスペルで構成されており、and can gain too much tempo for the deck to come back fromだからです。(Channelfireball の)チームデッキを手に入れたのはそんなときでした。それは青黒のコントロールデッキで、以下の様なものでした;
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb(M11)》
4《闇滑りの岸/Darkslick Shores(SOM)》
2《見栄え損ない/Disfigure(ZEN)》
5《島/Island》
1《霧深い雨林/Misty Rainforest(ZEN)》
2《強迫/Duress(M11)》
4《定業/Preordain(M11)》
3《破滅の刃/Doom Blade(M11)》
2《広がりゆく海/Spreading Seas(ZEN)》
4《マナ漏出/Mana Leak(M11)》
1《剥奪/Deprive(ROE)》
3《墓所のタイタン/Grave Titan(M11)》
1《弱者の消耗/Consume the Meek(ROE)》
4《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit(WWK)》
4《沼/Swamp》
3《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek(ROE)》
3《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》
1《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs(ZEN)》
3《地盤の際/Tectonic Edge(WWK)》
2《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(M11)》
4《海門の神官/Sea Gate Oracle(ROE)》
Sideboard
2《見栄え損ない/Disfigure(ZEN)》
1《ジェイスの創意/Jace’s Ingenuity(M11)》
1《強迫/Duress(M11)》
3《記憶殺し/Memoricide(SOM)》
1《弱者の消耗/Consume the Meek(ROE)》
2《漸増爆弾/Ratchet Bomb(SOM)》
3《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(ZEN)》
2《冷静な反論/Stoic Rebuttal(SOM)》

私はこのデッキの調整を、我々が日本に向かう1日前に始めました。つまり、これ以前の調整のうち殆どはMOにて行っていたということです。私にとって良かったのは、2人の強力なMOプレイヤー、Michael JacobとBen Starkと調整できたことです。 違うアカウントを使って何度も対戦し、Josh Utter-Leytonの家にてこのフォーマットの感触を掴みました。

弟とBenがMOの8人構築に出ている間、私は騙されて8-4ドラフトに参加していました。彼らがドラフトに参加しているというので私もキューを入れて風呂場に向かったのですが、彼らはスタンダードの8人構築に参加していたのです。私が戻ってくるとピック時間は30秒しか残っていませんでしたが、とりあえず《蔵製錬のドラゴン/Hoard-Smelter Dragon(SOM)》をピックしました。いつもの様に、しょっぱい白赤金属術を私がドラフトしていると、素晴らしい事が起りました。Ben Starkが.Archer.―あまり有名ではありませんがアサハラアキラのアカウントです。彼は日本の強豪というだけでなく、MOチャンピオンシップの権利獲得者でもあるのです―と対戦していたのです。アキラは《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》入りの青白コントロールでBenを破りました。それは私にとって非常に興味深い事でした。

私はBenに、彼にデッキリストを教えて貰ってくれと頼みましたが、Benは世界選手権の数日前に教えてくれる訳無いじゃないと茶化すだけでした。しかし、私がアキラに頼むと彼はデッキリストを公開してくれました。“流石ネルソンさんですねー(Must be nice to be Brad Nelson)” Benがすぐまた茶化しました。

私はこのデッキをアメリカナイズするために、まず私にとって無用な1枚刺しのカード達を取り除きました。数百回のテストゲームの後、このデッキは世界選手権で戦えるものになりました。以下に示すのが私の改訂版リストです。どんなカードを抜いてデッキを洗練させたかについて、語る必要はないと思います。ここに紹介するのは…

CAW GO!!!!!

ここ数年のデッキ名の中でも、ベストな名ではないでしょうか。これについてはBrian Kiblerに感謝しなくてはいけません。名に恥じない強いデッキだと良いのですが。

2《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress(M11)》
4《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》
2《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(M11)》
2《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》
4《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》
4《島/Island》
4《平地/Plains》
4《定業/Preordain(M11)》
3《地盤の際/Tectonic Edge(WWK)》
1《広がりゆく海/Spreading Seas(ZEN)》
3《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》
4《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》
3《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura(ROE)》
4《天界の列柱/Celestial Colonnade(WWK)》
4《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》
1《乾燥台地/Arid Mesa(ZEN)》
2《マナ漏出/Mana Leak(M11)》
2《冷静な反論/Stoic Rebuttal(SOM)》
1《剥奪/Deprive(ROE)》
2《糾弾/Condemn(M11)》
Sideboard
2《瞬間凍結/Flashfreeze(M11)》
1《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》
3《広がりゆく海/Spreading Seas(ZEN)》
1《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》
3《天界の粛清/Celestial Purge(CON)》
2《否認/Negate(MOR)》
1《地盤の際/Tectonic Edge(WWK)》
2《糾弾/Condemn(M11)》

ではまずいくつかのカードの採用理由とその枚数について説明しましょう。

4*《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》

このカードの採用が、このデッキを他の青白コントロールとの違いとなっています。一見《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》は貧弱に見えます。他のデッキではこのスロットが《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice(WWK)》や《前兆の壁/Wall of Omens(ROE)》となっています。なにがこのカードを優秀たらしめているのでしょうか?

最大の理由は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》との相性の良さです。この組合せがどれだけ強いのか、最初は分かりませんでした。まず、こいつはジェイスの為の序盤の盾となります。これが相性がよいとする最大の理由です。ジェイスが生きてターンが帰ってくれば、もうゲームセットです。相性がよいとするもう1つの理由は、一度ジェイスが着地すれば、追加の鷹がもたらす簡便なシャッフル効果を「渦巻く知識」とセットで使うことができるからです。これによりかなり簡単にライブラリを掘り進むことができます。

このカードが偉いもう1つの理由は、対戦相手の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を打ち落とすことができるからです。ゲーム序盤において、数枚の鷹はプレイヤーにとっては大した脅威ではありませんが、PWの序盤の生存にとっては、かなりの脅威となります。対戦相手の場に数枚の鷹がいる状態で、ジェイスを維持するのはかなり難しいでしょう。これはカウンターのバックアップが得られる中盤戦においても同様です。

《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》は青+αとのマッチアップをかなり有利にしてくれます。なので、青系は最も簡単なマッチアップです。世界選手権に出場する様な優秀なプレイヤーが青系をプレイすることを考慮に入れても、この相性差がこのデッキを選択する理由となります。

《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》はクリーチャーデッキとのマッチでも助けになります。連綿と続く序盤の肉壁は一部の吸血鬼や白いクリーチャーデッキにとっては大きな脅威となります。鷹たちが対戦相手のクリーチャーを除去できるというわけではありませんが、彼らはこのデッキが後半戦まで生き延びるためによい仕事をします。1枚のカードが4枚ものカードアドバンテージを生み出し、貴方のライフを嵩上げするのです。

《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》はヴァラクートに対しては最適なカードというわけではありません。しかし私は、序盤にこれらを展開して、彼らのランプ系スペルを打ち消すことでヴァラクートを打ち倒したことがあります。この鳥で対戦相手を倒すのには、それ程多くのターンはかかりません。

4枚の《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》となぜ《マナ漏出/Mana Leak(M11)》を2枚まで減らしたか

このカードの採用と枚数については終日チームメイトに説明していたことです。皆さんもそうだと思いますが、私もこの奇妙な枚数については分かりません。このカードの採用にはたくさんの理由があります。まず最初の理由は、《マナ漏出/Mana Leak(M11)》は今やアグロデッキに対してそれほど有効なカードではないということです。吸血鬼デッキにはカウンターできないカード(《恐血鬼/Bloodghast(ZEN)》)が入っていますし、(2マナ以上の打ち消し呪文の)使用は対戦相手に隙を見せてしまいます。コントロールデッキのプレイヤーが常にカウンターを構えていられる訳ではありません。(《マナ漏出/Mana Leak(M11)》では?:補訳)タップアウトせざるを得ない場合もあるでしょう。つまり、《マナ漏出/Mana Leak(M11)》は基本的にはより遅いデッキ、コントロールやヴァラクートに効くカードだということです。しかし、こういったマッチアップでは《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》の方が優秀です。このカードはより軽く、対戦相手の予測外のものだからです。

別な理由は、このデッキが結構マナをタップアウトするデッキだからです。《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》はコントロールデッキに非常に強く、2体目の鷹を3ターン目にプレイするという機会がかなりあります。つまり、3ターン目には1つだけ土地を起こしていることが多いのです。こういったプレイがこのデッキの名前の由来でもあります。このデッキはドロー・ゴーデッキではなくCaw(訳注:鳥の鳴き声の擬音語らしいです、知らなかった)・ゴーデッキなのです。こういったプレイは壊滅的な3ターン目を生むことがあります。対戦相手は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》や《砕土/Harrow(ZEN)》をプレイしてくるでしょう。こちらがカウンターできるとも知らずに。こうなると、次ターンに簡単にジェイスを出すことができます。

このカードはヴァラクートの《召喚の罠/Summoning Trap(ZEN)》や序盤のマナ加速を挫くこともできます。ヴァラクートを序盤に倒せるということは非常に重要です。2ターン目のスペルを打ち消し、《広がりゆく海/Spreading Seas(ZEN)》を《森/Forest》に張ることでそれが可能になります。これらのうち多くのカードは、このデッキにおいて最初は使用されていませんでした。

2《冷静な反論/Stoic Rebuttal(SOM)》1《剥奪/Deprive(ROE)》

《冷静な反論/Stoic Rebuttal(SOM)》もまた難しい打消し呪文です。驚異的なカードというわけではありませんが、一応仕事はします。上手くやるという訳ではないですが、仕事はします(It isn’t that amazing, but it does do its job. It doesn’t do it that well, but it does do it.)《剥奪/Deprive(ROE)》の方がより強いカードなのですが、1ゲーム中にこれを2枚も引いてしまうと勝つのが難しくなります。これらのカード枚数にはそういった理由があるのです。

《剥奪/Deprive(ROE)》の偉いところは大物殺しができるところです。対戦相手は《マナ漏出/Mana Leak(M11)》をケアしてプレイするでしょう。《マナ漏出/Mana Leak(M11)》を4枚以下に抑えている青いデッキは多くはないからです。つまり、2マナだけ立てていると対戦相手は《マナ漏出/Mana Leak(M11)》を構えていると判断するので、ビッグスペルを打ち消すことができるのです。また、このカードは《広がりゆく海/Spreading Seas(ZEN)》された《天界の列柱/Celestial Colonnade(WWK)》を救うことができます。

これらのカードはヴァラクートとのマッチアップで役に立ちます。このデッキには並大抵の戦術では勝てません。You either have to go over or under them. このデッキではヴァラクートがスペルを唱える前に倒す、ということはできないので、対戦相手のビッグスペルを打ち消して脅威をやりすごさなくてはいけません。確定カウンターが3枚というのは多くはないですが、《定業/Preordain(M11)》と《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》で掘り進むことを考えれば十分な枚数です。

《太陽のタイタン/Sun Titan(M11)》《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M11)》《霜のタイタン/Frost Titan(M11)》《変異種/Morphling》《ちらつくスピリット/Flickering Spirit》が0枚な理由

最近の青白デッキには大抵、大きな仕事をするクリーチャー(妄想訳:creatures that get business done)が数枚投入されています。しかし、私はこういったクリーチャーが必要だとは思いません。《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura(ROE)》と《天界の列柱/Celestial Colonnade(WWK)》はフィニッシャーとして優秀です。その上、彼らは《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》で死なないのです。そのため、このデッキは突如として攻撃側に回ることができるのです。対戦相手が壊滅した場から立ち直る前に。巨大クリーチャーがフィニッシャーである場合はこういったフレキシブルな動きができず、それで勝利を危うくすることもあります。There are just too many big guys out there that can come over the top of these guys.

コメント

りゅー
りゅー
2010年12月15日2:01

>一言で言うならば「奇妙(weird)なところ」です
むしろここをいっぱい読みたいw

ペンティーノ
2010年12月15日2:14

確かにそこ聞いてみたいですw
中身が分からない飯ってなんだろう…

祭谷一斗
祭谷一斗
2010年12月15日3:04

翻訳乙です。

>飯を食いに行っても自分が何を注文しているのか殆ど分からず、
>それが運ばれてきても一体それが何なのか全く分かりませんでした。

>弟とBenがMOの8人構築に出ている間、私は騙されて8-4ドラフトに参加していました。

何というか、文章の端々から面白い人感が漂ってますね。
デッキリスト聞くネルソンも教えるAAさんも流石すぎる……。
個人的にはAAさんの元レシピもちょっと知りたいところです。

mrgreed
2010年12月15日10:10

りゅーさん同様に日本に対する印象が気になるw
勿論本稿自体も大変助かります。デッキ名の由来は楽しいものですね。
マナ漏出の件は今後も気になる枚数です。
それにしても先読みなしで鷹を採用するのは恐れ入る。

ペンティーノ
2010年12月15日17:09

祭谷一斗さん
nelsonは「カーチャンが来るから部屋片付けなきゃ!週末MTGできねぇ!」とか記事内のネタがほっこりするものが多くて親近感沸いてしまいます。

僕も元レシピ知りたいです。1枚刺しが多いってのが凄く気になります。

margreedさん
「ドローしてエンド」じゃなくて「鷹だしてエンド」だからCAW GOだったとわ!確かにシンプルかつ分かりやすい素敵なネーミングです。

そういえばnelsonは来週のLMCに出るとか。ということはそれまで滞在してるわけで、その間の印象とか記事で触れてもらえると嬉しいんですけどねー

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