翻訳:LSVによる青ドラフトのススメ(Initial Technology – Going to the Sky-Eel School )修正・追訳あり1.01
2010年12月3日 翻訳:リミテッド コメント (7)http://www.channelfireball.com/articles/initial-technology-going-to-the-sky-eel-school/
原題:Initial Technology – Going to the Sky-Eel School
Posted by Luis Scott-Vargas
November 28, 2010
Nelsonは「毒でも金属術でもない長期戦向けの緑デッキ」の話をしてくれましたがLSVは
それを青でやるようです。共通してるのはアーキタイプに拘らずに、安い有色カードを活用することみたいです。
以下本文
いまちょっと行き詰っています。というのも、傷跡ドラフトにおいて、私は9割方青+何かに行き着いてしまうのです。日課の様に3ピック目で《冷静な反論/Stoic Rebuttal》、《分散/Disperse》、さらには《板金鎧の海うろつき/Plated Seastrider》をとってしまうのです。そんな馬鹿なと思うかもしれませんが、それにはちゃんと理由があります。青をドラフトし続ける大きな理由は、常に開いているからです。私がなによりもドラフトしたいデッキは、他のプレイヤーと使うカードが被らないデッキであり、そうなるのはいつも青なのです。3ピック目に《冷静な反論/Stoic Rebuttal》はいささか奇妙に聞こえると思うので、まずデッキについての説明から始めたいと思います。
私がコントロールデッキをドラフトするのが好き、ということには驚かれないと思いますが、ゼンディカーブロックでもそうでした。また、私はこの環境におけるセオリーを逆用する、ある恐ろしいドラフト法を見つけたのです。その土台となるアイディアは真新しいものではありません;除去、ドロー、そして長期戦こそが本領であること―これらはアルファの頃から変わらぬコントロールデッキの特徴です。除去は誰もが欲しがるもので、通常不足しがちなリソースです。しかしドローとフィニッシャーは遅くまで回っており、これで十分に「恐ろしい」デッキを作る事ができます。《空長魚の群れ/Sky-Eel School(SOM)》がその最たる例です;遅くとも、大抵5-7順目にはピックしますが、信じられないくらいクオリティの高いカードです。「通常」のフォーマットでは5マナの3/3フライヤー、しかもほぼ1ドローがついてくるカードは容易に初手級になりえるでしょう。そして、それはこの環境でも同じだと私は考えています。他にかなり遅くまで回っているお宝として、《思考の三角護符/Trigon of Thought》、《冷静な反論/Stoic Rebuttal》、《大石弓/Heavy Arbalest》(最近は皆ピックし始めましたが)、そして様々な壁役クリーチャーがあります。必要なカードをバランスよく集めるのは難しくありません。そして、それができれば大抵のデッキに対応できるのです
このデッキが効果的かつ常に狙える理由がいくつか存在します。
第一の理由は、このデッキがアーティファクトシナジーに全く依存していないことです。もちろん金属術デッキとして組みあがることもあります。しかし、私が作ると大抵はアーティファクトの枚数が6-10枚となり、金属術を達成するためのカード及び金属術カードそのものを求めて争う必要がなくなります。他のプレイヤーが《金属の駿馬/Chrome Steed》や《錆びた秘宝/Rusted Relic》をピックする間に除去呪文や、《空長魚の群れ/Sky-Eel School》や、他の強力なカードを掠め取ることができるのです。このデッキは優秀な有色のカードに優先して質の低いアーティファクトをピックする必要がないのです。金属術を機能させる必要がないのですから;他のプレイヤーは当然のように金属術を中心にピックします。この事は、ゲーム中でも利となります。貴方のデッキには状況に依存するカードはほとんど無く、それが脅威の層の厚さに繋がります。狙いすました《冷静な反論/Stoic Rebuttal》や《粉砕/Shatter》、《金屑化/Turn to Slag》は対戦相手の《ヴィダルケンのセルターチ/Vedalken Certarch》や《金属の駿馬/Chrome Steed》を1/1や2/2のバニラとすることができます。一方で、あなたの《ソリトン/Soliton》や《空長魚の群れ/Sky-Eel School(SOM)》や《闇滑りのドレイク/Darkslick Drake》はいつでも強いのです。他のプレイヤーが呪文爆弾をサイクリングして更なる土地を引く一方で貴方のデッキには実際に強い呪文しか入っていません(デッキには普通の金属術デッキ以上に土地を入れることになりますが)。対戦相手の《粉砕/Shatter》はそのベストを発揮できないのに対し、あなたが使う《粉砕/Shatter》は大抵複数のターゲットがあります。
もう一つの理由は、このデッキが強力な防御用クリーチャーを大量に用いることです。このデッキは純粋に防御にしか使わないクリーチャーが4,5枚欲しく、私などはもっと沢山プレイします。防御用のクリーチャーは以下の者達です。優先順位で並べると:
1《危険なマイア/Perilous Myr》
2《屍百足/Necropede》
3《ニューロックの模造品/Neurok Replica》
4《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》
5《板金鎧の海うろつき/Plated Seastrider》
上位3つのクリーチャーを除去しようと試みたことはありますか?これらを倒すのは、基本的には不可能です。私は《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》が2-3枚取れたときは森を数枚入れることにしています。また、《銅のマイア/Copper Myr》の優先順位も上がりますね。白を散らす場合は《ロクソドンの旅人/Loxodon Wayfarer》が追加の堅固な壁役となるでしょう。といっても赤や黒を散らす場合のほうが多いですが。防御的なクリーチャーの順意表に《屍百足/Necropede》を入れない人は、ピックについて質の高い話をしたことがない人でしょう。最近は皆「壁」の強さに気付き始めていますが、《板金鎧の海うろつき/Plated Seastrider》はただの様なもので、《ニューロックの模造品/Neurok Replica》でさえもかなり遅くまで流れてきます。《金属の駿馬/Chrome Steed》も《嚢胞抱え/Cystbearer》もそして《疫病のとげ刺し/Plague Stinger》でさえも止める到達持ちの偉い奴がいますが、こいつは大抵止めるクリーチャーよりも低い順番でピックされます。5-10ピック目に取れるカードで1-5ピック目のカードを止められるのなら、それは大きなアドバンテージとなるでしょう。
最後の理由は、このデッキがこの環境の多くのデッキとは違う戦略を取ることです。 これは上の2つの理由を考えると当たり前なのですが、言及する価値があるので説明しておきましょう。防御的なカードと状況に左右されない強さを持つカードを用いるということは、ゲームをこちらの得意な長期戦に持ち込めるということです。大抵のデッキには《思考の三角護符/Trigon of Thought》、《空長魚の群れ/Sky-Eel School》、《大石弓/Heavy Arbalest》の様なカードが入っていません。チープな防御用カードと除去呪文でゲームを長引かせることで、デッキに入っている長期戦向けのカードから莫大なアドバンテージを得ることができます。「優秀な」感染デッキや金属術デッキには△符や長魚、《屑鉄潜りの海蛇/Scrapdiver Serpent》の様なClunkyなカードがほとんど入っていません。これらのデッキはビートダウンに焦点を当てる必要があるからです。しかし、このデッキにはそういった制限がないのです。こういった背景もまた《冷静な反論/Stoic Rebuttal》を重要なカードとしている理由です。私は常にこのカードを2枚デッキに入れたいと考えています。相手のボムに対処する手段が必要であり、《冷静な反論/Stoic Rebuttal》はその役割を完璧に果たしてくれるからです。場を落ち着かせるまでにライフや毒カウンターが危険水域に達することもしばしばあります。こういった場合にはカウンターを構える以上の上策はないのです。バーンスペルにも対処できますからね。
さて、では上手く組めた長魚デッキとはどんな感じになるのか見てみましょう。
ボム
ボムが取れる幸運にありつけたなら、素直に喜びましょう。このデッキのアドアンテージの1つはその柔軟性です。大抵は青偏重のデッキとなるので、例えば3パック目で《太陽破の天使/Sunblast Angel》や《執行の悪魔/Carnifex Demon》を見つけたら2色目を放棄してボムに走ることもできます。ボム+2枚の《感電破/Galvanic Blast》ということも可能でしょう。重くてパワフルなカードを初手取りできた場合は、それがこのデッキに向かう理由になります。天使や、ワームとぐろや、デーモンや《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》の様なカードを上手く使うことができるからです。もちろん、これらのカードはどんなデッキで使っても強いです。しかし、序盤戦むけの金属術デッキや感染デッキよりも、このデッキのほうがきっと有効に使えるでしょう。序盤戦むけの金属術デッキや感染デッキにとって、ボムではあるが遅いカードは大抵魅力的ではありません。
除去
除去はできるだけ欲しいです。序盤のピックは除去とボムに費やすことになるでしょう。除去呪文の優先順位は他のデッキとさしてかわらないので、一般的な優先順位を以下に示します。
《皮裂き/Skinrender》
《オキシダの屑鉄溶かし/Oxidda Scrapmelter》
《電弧の痕跡/Arc Trail》
《堕落の三角護符/Trigon of Corruption》
《決断の手綱/Volition Reins》
《伝染病の留め金/Contagion Clasp》
《感電破/Galvanic Blast》
《闇の掌握/Grasp of Darkness》
《金屑化/Turn to Slag》
《粉砕/Shatter》
《拘引/Arrest》
《危険なマイア/Perilous Myr》
《屍百足/Necropede》
《存在の破棄/Revoke Existence》
《冷静な反論/Stoic Rebuttal》
《感染の三角護符/Trigon of Infestation》
《感染の賦活/Instill Infection》
《煙霧吐き/Fume Spitter》
《水銀の縛め/Bonds of Quicksilver》
ピックの優先順位について最近あまり語ってなかったのですが、いい機会なので少し話します。 私は最近「ピック優先順位」にこだわらなくなりました。なので・・・(I haven’t ranted about pick orders much recently, so this seems like good a time as any訳注:good a time as anyのニュアンスを教えてください)「ピック順位」はガイドラインでしかなく、ドラフトにおいて重要なのは動的であることです。ピックしたカードによって必要なカードは変わるので、静的な「ピック順位」は失敗に繋がります。よく言われることですが、上に示した様なリストは1パック目の1ピック目に関するもので、既にピックしたカードで順位の変動が起こります。このデッキの最も一般的なカラーコンビネーションは青赤か青黒なので、上の順位もそうなっています。黒と赤は除去を最も供給してくれる色です。白の除去は異常なほどすぐにピックされてしまいますからね。白は何時でもオーバードラフトされている様に感じますし、このデッキでは除去で無い白のカードは魅力的ではありません。《ケンバの空護衛/Kemba’s Skyguard》と《太陽の槍のシカール/Sunspear Shikari》は使いたいクリーチャーではありません。私がこのデッキをドラフトすると60%は青赤となり、30%は青黒となり、,青白となるのは10%です (青緑にはなりません)。緑はたまに《シルヴォクの模造品/Sylvok Replica》と《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》のために散らしますが、青緑ベースで組んだことはありません。
防御
防御用カードの優先順位はもう説明しましたね。しかしこれらの優先順位は除去よりも低いです。これらの役割はただ対戦相手の攻撃を止めるだけですので、除去ほど個々のカードの違いはないのです。デッキを全て除去にすることはできないので、どれであれこの役割を果たすカードが必要になります。しかし、これらは除去が枯渇した後にピックするものなのです。
マイア
マイアは有用ですが、すごく優先順位が高いというわけではありません。私の一般的な構築は17枚の土地と2枚のマナマイアという構成ですが、18枚の土地と0,1枚のマイアでもオッケーです。16枚の土地と3-4枚のマイアという構成は理想的ではありません。その理由はこのデッキがかなり高いマナカーブを持っているからで、対戦相手がマイアを除去した場合にマナスクリューしたくないからです。また、私は基本的に《空長魚の群れ/Sky-Eel School》の様なカードをマイアに優先してピックします。なので、他のドラフターは大抵マイアをたくさん取ることになります。
フィニッシャー
もしボムの恩恵に預かれなかったら、他の勝ち手段を探すことになるでしょう。 といってもこのリストのカードのうち大半は、場を支配して、より強力なカードが来るまでの間を持たせてくれるカードです。
大まかな優先順位は以下の様になります(1-1でもなければこの順位は容易に変動しますが、デッキを埋めていく際に役に立つでしょう):
《ゴーレムの職工/Golem Artisan》
《闇滑りのドレイク/Darkslick Drake》
《空長魚の群れ/Sky-Eel School》
《大石弓/Heavy Arbalest)》
《ソリトン/Soliton》
《剣爪のゴーレム/Saberclaw Golem》
《炎生まれのヘリオン/Flameborn Hellion》
《屑鉄潜りの海蛇/Scrapdiver Serpent》
もちろん《ソリトン/Soliton》/《大石弓/Heavy Arbalest》は互いに相手の価値を上げますが、《大石弓/Heavy Arbalest》はそれとは関係なしにかなり強力です。《ゴーレムの職工/Golem Artisan》はほぼボムなのであまり遅くまでは残らないでしょう。しかしそれ以外のカードは、5-13手目で容易にピックできたりします。私は海蛇やヘリオンが一巡しないのを見たことがなく、ソリトンもそんな感じです。
応用(Using this School of Thought)
私が《空長魚の群れ/Sky-Eel School》と《冷静な反論/Stoic Rebuttal》を愛している故のこのデッキですが、この戦略は青が無くても成立します。このプランを実行し、過小評価されているカードを活用するのに青はベストですが、他の色でできないという理由はありません。緑でさえもそうで、同じ哲学を適用できます。「金属術やその他のアーキタイプにこだわらずにカード単体の強さに焦点をあてる」という考え方をもてば、後半のピックにおいて他のドラフター以上のアドバンテージを得ることができます。《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》と《腐食獣/Molder Beast》は尊敬できるやつらで、これらと除去を組み合わせるとさらに効果的です。私は最初、この環境は2種類のテーマ(感染と金属術)がある環境だと考えていました。しかし私は、傷跡ドラフトで成功する方法はいくつもあるという事に気がつきました。もちろんこれら2つのデッキ(感染と金属術)は優秀で、皆もそれに気がついています。しかしその次のステップは「過小評価されているカードの活用法を探求し、ピックに最大限生かす」ということになります。「空長魚の群れデッキ」はそれに該当するものだと考えています。そして、私が今回紹介した方法以外にも、様々な方法があると私は確信しています(もちろんこの方法はとてもイイ!と考えていますが)。
ビートダウン以外のアーキタイプを試すことを、躊躇わないでください。それから本校(《空長魚の群れ/Sky-Eel School》のスクールね)に入学する人に幸あれ!
LSV
原題:Initial Technology – Going to the Sky-Eel School
Posted by Luis Scott-Vargas
November 28, 2010
Nelsonは「毒でも金属術でもない長期戦向けの緑デッキ」の話をしてくれましたがLSVは
それを青でやるようです。共通してるのはアーキタイプに拘らずに、安い有色カードを活用することみたいです。
以下本文
いまちょっと行き詰っています。というのも、傷跡ドラフトにおいて、私は9割方青+何かに行き着いてしまうのです。日課の様に3ピック目で《冷静な反論/Stoic Rebuttal》、《分散/Disperse》、さらには《板金鎧の海うろつき/Plated Seastrider》をとってしまうのです。そんな馬鹿なと思うかもしれませんが、それにはちゃんと理由があります。青をドラフトし続ける大きな理由は、常に開いているからです。私がなによりもドラフトしたいデッキは、他のプレイヤーと使うカードが被らないデッキであり、そうなるのはいつも青なのです。3ピック目に《冷静な反論/Stoic Rebuttal》はいささか奇妙に聞こえると思うので、まずデッキについての説明から始めたいと思います。
私がコントロールデッキをドラフトするのが好き、ということには驚かれないと思いますが、ゼンディカーブロックでもそうでした。また、私はこの環境におけるセオリーを逆用する、ある恐ろしいドラフト法を見つけたのです。その土台となるアイディアは真新しいものではありません;除去、ドロー、そして長期戦こそが本領であること―これらはアルファの頃から変わらぬコントロールデッキの特徴です。除去は誰もが欲しがるもので、通常不足しがちなリソースです。しかしドローとフィニッシャーは遅くまで回っており、これで十分に「恐ろしい」デッキを作る事ができます。《空長魚の群れ/Sky-Eel School(SOM)》がその最たる例です;遅くとも、大抵5-7順目にはピックしますが、信じられないくらいクオリティの高いカードです。「通常」のフォーマットでは5マナの3/3フライヤー、しかもほぼ1ドローがついてくるカードは容易に初手級になりえるでしょう。そして、それはこの環境でも同じだと私は考えています。他にかなり遅くまで回っているお宝として、《思考の三角護符/Trigon of Thought》、《冷静な反論/Stoic Rebuttal》、《大石弓/Heavy Arbalest》(最近は皆ピックし始めましたが)、そして様々な壁役クリーチャーがあります。必要なカードをバランスよく集めるのは難しくありません。そして、それができれば大抵のデッキに対応できるのです
このデッキが効果的かつ常に狙える理由がいくつか存在します。
第一の理由は、このデッキがアーティファクトシナジーに全く依存していないことです。もちろん金属術デッキとして組みあがることもあります。しかし、私が作ると大抵はアーティファクトの枚数が6-10枚となり、金属術を達成するためのカード及び金属術カードそのものを求めて争う必要がなくなります。他のプレイヤーが《金属の駿馬/Chrome Steed》や《錆びた秘宝/Rusted Relic》をピックする間に除去呪文や、《空長魚の群れ/Sky-Eel School》や、他の強力なカードを掠め取ることができるのです。このデッキは優秀な有色のカードに優先して質の低いアーティファクトをピックする必要がないのです。金属術を機能させる必要がないのですから;他のプレイヤーは当然のように金属術を中心にピックします。この事は、ゲーム中でも利となります。貴方のデッキには状況に依存するカードはほとんど無く、それが脅威の層の厚さに繋がります。狙いすました《冷静な反論/Stoic Rebuttal》や《粉砕/Shatter》、《金屑化/Turn to Slag》は対戦相手の《ヴィダルケンのセルターチ/Vedalken Certarch》や《金属の駿馬/Chrome Steed》を1/1や2/2のバニラとすることができます。一方で、あなたの《ソリトン/Soliton》や《空長魚の群れ/Sky-Eel School(SOM)》や《闇滑りのドレイク/Darkslick Drake》はいつでも強いのです。他のプレイヤーが呪文爆弾をサイクリングして更なる土地を引く一方で貴方のデッキには実際に強い呪文しか入っていません(デッキには普通の金属術デッキ以上に土地を入れることになりますが)。対戦相手の《粉砕/Shatter》はそのベストを発揮できないのに対し、あなたが使う《粉砕/Shatter》は大抵複数のターゲットがあります。
もう一つの理由は、このデッキが強力な防御用クリーチャーを大量に用いることです。このデッキは純粋に防御にしか使わないクリーチャーが4,5枚欲しく、私などはもっと沢山プレイします。防御用のクリーチャーは以下の者達です。優先順位で並べると:
1《危険なマイア/Perilous Myr》
2《屍百足/Necropede》
3《ニューロックの模造品/Neurok Replica》
4《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》
5《板金鎧の海うろつき/Plated Seastrider》
上位3つのクリーチャーを除去しようと試みたことはありますか?これらを倒すのは、基本的には不可能です。私は《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》が2-3枚取れたときは森を数枚入れることにしています。また、《銅のマイア/Copper Myr》の優先順位も上がりますね。白を散らす場合は《ロクソドンの旅人/Loxodon Wayfarer》が追加の堅固な壁役となるでしょう。といっても赤や黒を散らす場合のほうが多いですが。防御的なクリーチャーの順意表に《屍百足/Necropede》を入れない人は、ピックについて質の高い話をしたことがない人でしょう。最近は皆「壁」の強さに気付き始めていますが、《板金鎧の海うろつき/Plated Seastrider》はただの様なもので、《ニューロックの模造品/Neurok Replica》でさえもかなり遅くまで流れてきます。《金属の駿馬/Chrome Steed》も《嚢胞抱え/Cystbearer》もそして《疫病のとげ刺し/Plague Stinger》でさえも止める到達持ちの偉い奴がいますが、こいつは大抵止めるクリーチャーよりも低い順番でピックされます。5-10ピック目に取れるカードで1-5ピック目のカードを止められるのなら、それは大きなアドバンテージとなるでしょう。
最後の理由は、このデッキがこの環境の多くのデッキとは違う戦略を取ることです。 これは上の2つの理由を考えると当たり前なのですが、言及する価値があるので説明しておきましょう。防御的なカードと状況に左右されない強さを持つカードを用いるということは、ゲームをこちらの得意な長期戦に持ち込めるということです。大抵のデッキには《思考の三角護符/Trigon of Thought》、《空長魚の群れ/Sky-Eel School》、《大石弓/Heavy Arbalest》の様なカードが入っていません。チープな防御用カードと除去呪文でゲームを長引かせることで、デッキに入っている長期戦向けのカードから莫大なアドバンテージを得ることができます。「優秀な」感染デッキや金属術デッキには△符や長魚、《屑鉄潜りの海蛇/Scrapdiver Serpent》の様なClunkyなカードがほとんど入っていません。これらのデッキはビートダウンに焦点を当てる必要があるからです。しかし、このデッキにはそういった制限がないのです。こういった背景もまた《冷静な反論/Stoic Rebuttal》を重要なカードとしている理由です。私は常にこのカードを2枚デッキに入れたいと考えています。相手のボムに対処する手段が必要であり、《冷静な反論/Stoic Rebuttal》はその役割を完璧に果たしてくれるからです。場を落ち着かせるまでにライフや毒カウンターが危険水域に達することもしばしばあります。こういった場合にはカウンターを構える以上の上策はないのです。バーンスペルにも対処できますからね。
さて、では上手く組めた長魚デッキとはどんな感じになるのか見てみましょう。
ボム
ボムが取れる幸運にありつけたなら、素直に喜びましょう。このデッキのアドアンテージの1つはその柔軟性です。大抵は青偏重のデッキとなるので、例えば3パック目で《太陽破の天使/Sunblast Angel》や《執行の悪魔/Carnifex Demon》を見つけたら2色目を放棄してボムに走ることもできます。ボム+2枚の《感電破/Galvanic Blast》ということも可能でしょう。重くてパワフルなカードを初手取りできた場合は、それがこのデッキに向かう理由になります。天使や、ワームとぐろや、デーモンや《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》の様なカードを上手く使うことができるからです。もちろん、これらのカードはどんなデッキで使っても強いです。しかし、序盤戦むけの金属術デッキや感染デッキよりも、このデッキのほうがきっと有効に使えるでしょう。序盤戦むけの金属術デッキや感染デッキにとって、ボムではあるが遅いカードは大抵魅力的ではありません。
除去
除去はできるだけ欲しいです。序盤のピックは除去とボムに費やすことになるでしょう。除去呪文の優先順位は他のデッキとさしてかわらないので、一般的な優先順位を以下に示します。
《皮裂き/Skinrender》
《オキシダの屑鉄溶かし/Oxidda Scrapmelter》
《電弧の痕跡/Arc Trail》
《堕落の三角護符/Trigon of Corruption》
《決断の手綱/Volition Reins》
《伝染病の留め金/Contagion Clasp》
《感電破/Galvanic Blast》
《闇の掌握/Grasp of Darkness》
《金屑化/Turn to Slag》
《粉砕/Shatter》
《拘引/Arrest》
《危険なマイア/Perilous Myr》
《屍百足/Necropede》
《存在の破棄/Revoke Existence》
《冷静な反論/Stoic Rebuttal》
《感染の三角護符/Trigon of Infestation》
《感染の賦活/Instill Infection》
《煙霧吐き/Fume Spitter》
《水銀の縛め/Bonds of Quicksilver》
ピックの優先順位について最近あまり語ってなかったのですが、いい機会なので少し話します。 私は最近「ピック優先順位」にこだわらなくなりました。なので・・・(I haven’t ranted about pick orders much recently, so this seems like good a time as any訳注:good a time as anyのニュアンスを教えてください)「ピック順位」はガイドラインでしかなく、ドラフトにおいて重要なのは動的であることです。ピックしたカードによって必要なカードは変わるので、静的な「ピック順位」は失敗に繋がります。よく言われることですが、上に示した様なリストは1パック目の1ピック目に関するもので、既にピックしたカードで順位の変動が起こります。このデッキの最も一般的なカラーコンビネーションは青赤か青黒なので、上の順位もそうなっています。黒と赤は除去を最も供給してくれる色です。白の除去は異常なほどすぐにピックされてしまいますからね。白は何時でもオーバードラフトされている様に感じますし、このデッキでは除去で無い白のカードは魅力的ではありません。《ケンバの空護衛/Kemba’s Skyguard》と《太陽の槍のシカール/Sunspear Shikari》は使いたいクリーチャーではありません。私がこのデッキをドラフトすると60%は青赤となり、30%は青黒となり、,青白となるのは10%です (青緑にはなりません)。緑はたまに《シルヴォクの模造品/Sylvok Replica》と《絡み線の壁/Wall of Tanglecord》のために散らしますが、青緑ベースで組んだことはありません。
防御
防御用カードの優先順位はもう説明しましたね。しかしこれらの優先順位は除去よりも低いです。これらの役割はただ対戦相手の攻撃を止めるだけですので、除去ほど個々のカードの違いはないのです。デッキを全て除去にすることはできないので、どれであれこの役割を果たすカードが必要になります。しかし、これらは除去が枯渇した後にピックするものなのです。
マイア
マイアは有用ですが、すごく優先順位が高いというわけではありません。私の一般的な構築は17枚の土地と2枚のマナマイアという構成ですが、18枚の土地と0,1枚のマイアでもオッケーです。16枚の土地と3-4枚のマイアという構成は理想的ではありません。その理由はこのデッキがかなり高いマナカーブを持っているからで、対戦相手がマイアを除去した場合にマナスクリューしたくないからです。また、私は基本的に《空長魚の群れ/Sky-Eel School》の様なカードをマイアに優先してピックします。なので、他のドラフターは大抵マイアをたくさん取ることになります。
フィニッシャー
もしボムの恩恵に預かれなかったら、他の勝ち手段を探すことになるでしょう。 といってもこのリストのカードのうち大半は、場を支配して、より強力なカードが来るまでの間を持たせてくれるカードです。
大まかな優先順位は以下の様になります(1-1でもなければこの順位は容易に変動しますが、デッキを埋めていく際に役に立つでしょう):
《ゴーレムの職工/Golem Artisan》
《闇滑りのドレイク/Darkslick Drake》
《空長魚の群れ/Sky-Eel School》
《大石弓/Heavy Arbalest)》
《ソリトン/Soliton》
《剣爪のゴーレム/Saberclaw Golem》
《炎生まれのヘリオン/Flameborn Hellion》
《屑鉄潜りの海蛇/Scrapdiver Serpent》
もちろん《ソリトン/Soliton》/《大石弓/Heavy Arbalest》は互いに相手の価値を上げますが、《大石弓/Heavy Arbalest》はそれとは関係なしにかなり強力です。《ゴーレムの職工/Golem Artisan》はほぼボムなのであまり遅くまでは残らないでしょう。しかしそれ以外のカードは、5-13手目で容易にピックできたりします。私は海蛇やヘリオンが一巡しないのを見たことがなく、ソリトンもそんな感じです。
応用(Using this School of Thought)
私が《空長魚の群れ/Sky-Eel School》と《冷静な反論/Stoic Rebuttal》を愛している故のこのデッキですが、この戦略は青が無くても成立します。このプランを実行し、過小評価されているカードを活用するのに青はベストですが、他の色でできないという理由はありません。緑でさえもそうで、同じ哲学を適用できます。「金属術やその他のアーキタイプにこだわらずにカード単体の強さに焦点をあてる」という考え方をもてば、後半のピックにおいて他のドラフター以上のアドバンテージを得ることができます。《最上位のティラナックス/Alpha Tyrranax》と《腐食獣/Molder Beast》は尊敬できるやつらで、これらと除去を組み合わせるとさらに効果的です。私は最初、この環境は2種類のテーマ(感染と金属術)がある環境だと考えていました。しかし私は、傷跡ドラフトで成功する方法はいくつもあるという事に気がつきました。もちろんこれら2つのデッキ(感染と金属術)は優秀で、皆もそれに気がついています。しかしその次のステップは「過小評価されているカードの活用法を探求し、ピックに最大限生かす」ということになります。「空長魚の群れデッキ」はそれに該当するものだと考えています。そして、私が今回紹介した方法以外にも、様々な方法があると私は確信しています(もちろんこの方法はとてもイイ!と考えていますが)。
ビートダウン以外のアーキタイプを試すことを、躊躇わないでください。それから本校(《空長魚の群れ/Sky-Eel School》のスクールね)に入学する人に幸あれ!
LSV
コメント
【Channel LSV: SOM Draft #4 - Drafting】
ようつべにあがってるLSVのこのドラフトが実戦編といった感じで面白かったです。
おそらくですけど、下記のような感じかと。
> I haven’t ranted about pick orders much recently, so this seems like good a time as any.
(ピックの優先順位について最近あまり語ってなかったけど、いい機会だからちょいと話してみようかな)
This seems like good a time as any を語順そのままにベタ訳すると「これは 思われる よい ときだと 他にないほど」。それを意味が通るように並び替えて「特に今がよい機会だと思われる」になるのかな、と解釈しました。あとフィニッシャーの段落にあった以下の箇所について。
> These are the cards that actually seal the deal, though mostly by stabilizing the game and letting your better cards take over.
(これらのカードは勝ちを約束してくれるカードたちだ。いや、正しく言うと、大抵の場合はゲームをグダらせて君の他の優良カードたちがゲームの主導権を握るまでの時間稼ぎをしてくれる、という意味でだけど)
列挙されたカードたちを見ると、グダらせる(stabilizing the game = ゲームを硬直化させる)よりトドメを刺しに行くカードたち(特に《屑鉄潜りの海蛇/Scrapdiver Serpent》とか)に見えるんですが、自分が訳すとこうなるんですよ……何か根本的に間違えてるのかもしれませんが、参考までに。
> I haven’t ranted about pick orders much recently, so this seems like good a time as any.
(ピックの優先順位について最近あまり語ってなかったけど、いい機会だからちょいと話してみようかな)
なるほど。コンマ以下が分からなかったので、ranted=語ってない=とやかく言わない=拘らないと解釈してしまいました。後ろの文章ともすっきり繋がりますね。
> These are the cards that actually seal the deal, though mostly by stabilizing the game and letting your better cards take over.
(これらのカードは勝ちを約束してくれるカードたちだ。いや、正しく言うと、大抵の場合はゲームをグダらせて君の他の優良カードたちがゲームの主導権を握るまでの時間稼ぎをしてくれる、という意味でだけど)
僕もフィニッシャーの説明として考えると矛盾するなぁ、と全く同じところで引っかかりました.
今re-giantさんの訳文見て急に思いついたのですが、mostlyを「大抵」ではなく「大半」とすると意味が通じる様に思えます。《闇滑りのドレイク/Darkslick Drake(SOM)》や《ソリトン/Soliton(SOM)》、《剣爪のゴーレム/Saberclaw Golem(SOM)》などは場を膠着させるカードと捉えているのかもしれません(あと《大石弓/Heavy Arbalest(SOM)》と《空長魚の群れ/Sky-Eel School(SOM)》なんかもそうでしょうか)。リストの中に真の意味でのフィニッシャーと場を安定させるという役割の強いカードが同居していて、後者の方が多いということでしょうか。僕の感覚でもフライヤーや《大石弓/Heavy Arbalest(SOM)》はゲームを決めにいくカードなんですけどねー。ソリトンやドレイクについては場を安定させるためのカードと言われると納得できますが。
といってもこのリストのカードのうち大半は、場を支配して、より強力なカードが来るまでの間を持たせてくれるカードです。
とするとよいのかも?どうでしょう
> mostlyを「大抵」ではなく「大半」とすると意味が通じる様に思えます
おお、なるほど。確かにそれだと自分の訳より(前後関係を含めて)意味が通じる気がします。いいんでないでしょうか。ただ数量的に数えられるものに「Mostly」使うかなあ、という居心地の悪さがどうしてもあるのですが、この辺りは感覚の問題なので、著者の気分次第なのかも。
>ただ数量的に数えられるものに「Mostly」使うかなあ、という居心地の悪さがどうしてもあるのです
こういう微妙なニュアンスの感覚を僕ぜんぜん持ってないんですよね。どうやれば身につくのかな…
参考になります。