Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa

October 6, 2010

http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-draft-fundamentals/

channel Fireball様の記事です
PVがドラフトにおける基本的なセオリーを解説しています。PVの記事は比較的文章量が多いですが、英語は読みやすいし内容も興味深いものが多いです。

以下本文

緒言
最近、channelfireballのHPにおいて、私たちはドラフトビデオをUpしています。なるべくドラフト中に何を考えているのか伝えようと努力していますが、その全てをお伝えすることは難しいです。とりわけ、活発に頭を働かせねばならない様な場面ではなく、ドラフトにおける基本的な原則をただ適用している場合などを説明すると、おなじ事を何度も繰り返すことになってしまいます。(中略)ドラフトビデオが注目を浴びている今は、ドラフト理論について語るちょうどいいタイミングだと思います。

これから話すことは、他の記事でもう読んだ事がある内容を含んでいるかもしれません。でも、こういう記事をまだ読んだことがない人にとっては、とても読む価値のある記事だと思います。

Analyzing the packs:
パックを開けた後に貴方がするべきことを、順を追って説明します。まず、パック内のカードをすべて見て、どれが最も強力なカードか判断します。次に、下家が次にピックするであろうカードを推測します。もちろん、それは下家の初手に左右されることなので、完全に断定することはできません(例えば、Azure DrakeはCloud Crusaderより良いカードですが、初手で白いカードを取ったプレイヤーは誰でもCrusaderを取るでしょう)。しかし、いくつかの選択肢まで絞ることはできるでしょう。さらにその後にやるべきことは、下下家に対しても同様の推測をすることです―基本的には、2番目と3番目にパワフルなカードを同定し、それらを取ったプレイヤーの行動がその後どうなり、あなたにどう影響を及ぼすか考えるのです。

これらが終わった後に、ピックに値するカードが何枚あるか数えます。それらが7枚以上あれば、あなたはそれらの内から一巡してきた一枚を手にすることができるでしょう。さらに、8番手、9番手のカードも把握しておきます。1巡してくるであろうカードによって、あなたの初手やその後のピックが影響を受ける場合もあります。例えばInspired Chargeが1巡することが分かっていれば、白を含んだアグロデッキを組む理由になるでしょう。Maritime Guardが1巡してくることが分かっていれば、低マナ域を満たすカードをやっきになって確保する必要はなくなるでしょう。1つの色に沢山のカードがある場合は注意を払ってください―この場合、あなたは一巡後におなじ色のカードを手に入れられるかもしれません。それらが全て取られるだけの人数がその色に興味を示さないかもしれないからです。

さらに、どんな重要なカードを流したかを留意しておいてください。ここでいう重要なカードとは、私が考えるところでは、インスタント除去、ジャイグロ系カード、「反逆」系カードなどです。ドラフトが進むにつれて、この作業は簡単になります。「2ピック目でGiant Growthsを流した!」という情報はたいして重要ではありません。誰が持ってるかの手がかりがないからです。しかし、あなたの前を4枚のGiant Growthが流れていったならば、それは対戦相手が緑を使っていた場合にそれを打たれる可能性が大変高いことを意味しています。また、FireballやPyroclasmの様なカードを流して、隣のプレイヤーが赤を使っていた場合、彼はそれらを持っている可能性が非常に高いでしょう。そして、そのことを把握していることは大変重要なことです。それゆえ、あなたは、あなたが肥え肥らせた人物の名前や顔を把握しておくよう努めるべきです。

あなたが流した重要なアーティファクトとエンチャントの枚数にも注意を払いましょう。NaturalizeやSolemn Offeringを確保しておく必要があるかどうかの判断材料になります。
同様に、Ice Cageを大量に流したなら、自軍を対象に取れるスペルを確保しておくべきでしょうし、CorruptやPyroclasm等を流したなら、Safe Passageが必要になるでしょう。
卓内でMind Controlがあなたのパック以外から10枚出ても、それを把握することはできないでしょう。1-2ピック目で取られてしまうでしょうからね。しかし、10枚のIce Cageが出た場合はどうでしょう。これらのうち大部分はあなたの前を流れていくと考えられます(積極的にそれらをとるマニアックなプレイヤーがいた場合は別ですが)。Ice Cageが大量に流れていることを気に留めておけば、いつもよりUnholy Strengthが重要だということにも気付けます。

これらの作業を終えてから、パックを回し、また隣から受け取ります。ここでまず行うことはどのレアリティのカードがピックされたかの把握です。これにより彼が何をピックしたかの情報を得ることができます―例えば、それがアンコモンでDoom Bladeがパックに残っていたなら、Air Servant, Serra Angel, FireballまたはMind Control等がピックされたと分かります(少なくとも、私はこれらのアンコモンをDoom Bladeより優先してピックします)。黒においては、Doom Bladeより優先するアンコモンはありません。ピックされたのがコモンなら、それはForsee、またはBlinding Mage,Lightning Boltなどの可能性がありますが、個人の好みによる部分も大きいです。Fire Ballが残っていてアンコモンがなくなっていたなら、ピックされたのは青いカードである可能性が非常に高いです。こういった推測の後に、ファーストピックでのプロセスを繰り返してください。そして、上気の様な状況に出合ったら、上家の推測に役立つと思うので、是非記憶しておいてください。

Signaling :
シグナルはドラフトにおいて重要な部分です。が、一皮向けたいまずまずのプレイヤーがよく過大評価しているものでもあります。ある種の映画や歌、思想が理解できることがファッションとなり、それによって自分をスマートに見せたい人がいるように、シグナルに気をつかうことで自分を良く見せたいプレイヤーをちらほら見ます。「こんなシグナルもわからない連中とドラフトなんてやるもんじゃないぜ」と愚痴をこぼす人を何度も見ました。私の意見では、シグナルは“tiebreakers“です―あなたはそれをベースにドラフトしてはいけないし、それを送ることにやっきになってはいけません(原文:you do not base your draft around signals, and you do not care much about sending them.訳が難しいわけではないけど、原文のニュアンスをちゃんと取りたい人もいると思うので載せときます)。

ドラフトにおいては、2つのパックを下家に流し、もう1つを上家に流します―これは、下家に何を流すかはコントロールできることを意味しています。ファーストピックがFrost Titanで、Mind Controlを流したとします。下家たちは青から撤退せざるをえないでしょう。撤退しなければ、1パック目からの彼らの青いカードの取り分はMind Controlだけになり、これはいい取引とはいえません。パックに2,3枚の強力なカードがあって、それらの色が被っているという理由でそれらに劣るカードをピックするプレイヤーはたくさんいますが、私からすればこれは間違いです。例えば、Doom BladeとフォイルのDoom Bladeと、Lightning Boltがあったとしても、私はDoom Bladeを取ります。下家が黒に行くとしても、です(ここで私はフォイルでないDoom Bladeをピックします。フォイル版を渡すことで、下家がノーマルのそれを私がピックしたことに気付く余地を与えるためです;(ノーマルの)Doom Bladeがあってコモンがなくなっているパックを見たら、私が黒に行ったと考える理由がなくなりますからね。シグナルを過大評価してるじゃないか?はい、でも、少なくとも1パック目においては下家に貴方がなにをしているかの情報を与えたほうが有利になります)。

シグナルを送る以上にやるべきことは、シグナルを読み取ることです。もちろん、繰り返しになりますが、それがドラフトの全てではありません―どんな環境でも人々の好みというものは非常に多様です(例えば、あなたは6手目のInfantry Veteranをサインだと考えるかもしれませんが、あなたの上家が白をやっていてWild Griffinの方が優秀だと考えていることもあります)。また、わけの分からないパックが出現することもままあります(5枚の優秀カードが一色に含まれているとか)。だから、ドラフトではシグナルに頼り切ることはできないのです。もちろん、シグナルには注意を払うべきです(それは私がピック前に抜けているレアリティを確認しろといった理由でもあります)。が、シグナルから読める色にあなたが行けないわけではありません。あなたが流した色のカードが、あなたがその色に行かなかった事を示している訳ではない様に。

実は、私はいくつかのドラフトにおいては、最良の選択は貴方の上家の色に1色を被せることだと考えています。これを行うためには、1パック目終了まではほぼ単一カラーをピックする必要があります。そして、この色が豊潤である必要があります。貴方がその色の良カードをピックしても下に溢れ出てしまうくらいに。例えば、貴方が1パック目の青いカードのうちほとんどをピックしたとして、それでも優秀な青のカードが多すぎて、それらをいくつも流してしまっていたとします。この場合、2色目の候補は1パック目で一枚もカードを取らなかった色になるのです。

この理由は、貴方は3パック目(きっと1パック目と似たような流れになるでしょう)においては沢山の良質な青のカードを手に入れられるでしょうが、2パック目においてそれは激減する(いいカードを沢山流してしまいましたから)と考えられるからです。この場合、2色目は2パック目において豊潤でなくてはなりません―3パック目においては青が溢れかえる流れになるでしょうから、3パック目でカードが取れないことは心配する必要がないのです(実際こういうことは良く起きます。あなたの右側には青いカードを掠め取る人間はおらず、3パック目に2色目のカードを取る必要はなくなるでしょう)。そのため、2色目としてベストとなる色は1パック目で貴方以降への流れが完全に枯れていた色となります。貴方がその色の良カードを見ていないということは貴方の下家(また、下下家も)もまた当然そうですから。そしてその色のカードは貴方に向けて流れてくるでしょう。貴方の下ではその色を切望して、1パック目で貪り食っていた人がいるでしょうけど。彼には貴方を妨害する手段はないのです。

Hate Drafting
ヘイトドラフトはシグナル以上に過大評価されています。沢山の人がヘイトドラフトに重きを置きすぎています。彼らはそれを正当化するために「Inferno Titanを見過ごすなんてできないじゃないか!」という様なことをいいます。私の意見では、貴方は単純に使うカードをピックするほうがいいです。その理由としては、そのカードは3回のマッチ全てで使いますが、一方で貴方がヘイトせずに流したカードと対戦する可能性は50%以下しかないからです。そうなったとしても、それはたったの1マッチでしかありません。私はしばしば強力なサイドボード用のカードを別なカラーの良カードより優先してとります。

実戦的なヘイトドラフトはファーストピックでボムを見たときでなく、それより後に、それをするための犠牲(自分の使うカードを流す)が全くないか非常に少ない場合に行います。もちろん、8番目のピックでは大抵ボムなどはのこっておらず、しかしそこにはあまり良質でないがある特定のアーキタイプを狙い撃ちにするカードがあったりします。これはヘイトドラフトの対象となります。例えば、貴方が10枚のIce Cageを取っていたとして、その後にそれのアンチカードとなるUnholy Strengthをヘイトドラフトすることは、Barony Vampireをヘイトドラフトするよりも重要です。M11で気に留めておくカードはPlummet, Stabbing Pain, Solemn Offering, Naturalize, Celestial Purge,などです。

1つ付け加えると、いくつかのシチュエーションにおいてはなんでもかんでもヘイトするべきではないという事です。いいカードでも貴方に刺さらない場合等です。例えば、貴方がフライヤーを1枚も取れておらずかつ緑を使っていないなら、Plummetと基本地形の2択においては後者をとるべきです。こうすることで、緑のデッキにフライヤーに対処する手段を与え、また、彼がPlummetをメインに積んでいる様なことになれば、貴方に有利に働きます。Bog Raiders等のカードにも同じことが言えます―貴方が黒でないなら、ヘイトする必要はないでしょう。あわよくばメインに入れてくれる可能性があります(そして貴方相手にはうまく働かないのです)。そして、もっと強力な黒デッキを沈めてくれる可能性もあります(貴方がマッチで勝たないと、裏目に出るかもしれませんがね)

Pick orders
新しい環境になると、皆ある種の点数表にたどり着きます。カリブの海賊の海賊暗号(訳注:へたっぴな直訳)の様に、です。でもあなたはそれに付き合う必要はありません―それは単なる指針に過ぎないのです。一般的に色毎の点数表(または単純に全てのカードを並べた)は初手においては役に立ちますが、ドラフトが経るにつれて頼りにならなくなります。なぜなら、ピックはあなたがどんなデッキに向かっているのか、そしてそれまでにあなたが何をピックしているかにこそ依存するものだからです。点数表を作るとしたら、作るべきはアーキタイプごとの点数表です―こっちのほうが役に立ちます。なぜなら、あなたは色をドラフトするのではなくアーキタイプをドラフトするのですから。そして違い色のカードの選択に悩まされます。

例として、サンファンでのことについてお話します。私は本当にこのフォーマットでのドラフトのいろはを、私たちの“beach house.”に行くまで知りませんでした。Gabe Walls, Ben Stark, そしてLuisなどに、特定のアーキタイプの点数表を教えてもらいました。これらについて知ることは、色事の点数表につて知るより、このフォーマットを理解するためにずっと役に立つものでした。

例として、Heat RayはEldrazi deckでの点数表ではBR deckでの点数表においてよりも高く評価されていました。また、Guard Dutyはそのデッキにおいてレベルアップデッキにおけるよりも高評価でした(and Guard Duty was much better there than in the levelers deck:得エルドラージ覚醒のドラフト未経験なのでthereがなんなのか自信がない。)。などなど。このことは私に実戦的なピックを教えるというだけでなく、フォーマットに存在するデッキを理解する助けになりました。覚えておいてほしいのは、アーキタイプごとの点数表ですらピックの要石にはならないということです。やはりそれは何を今まで確保していて、何を流したか、などに完全に依存しています。しかし、どうしても点数表が欲しいというのなら、それはアーキタイプ毎のものにするべきです。特にミラディンの傷跡のようなアーティファクトとそのシナジーが重要なフォーマットでは。

纏めると、最も簡潔で重要なことは、カードをドラフトするのではなく、デッキをドラフトしよう、ということです。いくつかのフォーマットではこれは本当に重要です(エルドラージ覚醒とか、ミラディンの傷跡とか)。そうではないフォーマットもありますが(でもM10やM11では正しいです)、このことは常に頭に入れておくべきです。単純に”better”なカードは存在しません、それはあなたのデッキ次第です。I have found out that certain stories are particularly powerful in my mind, and help me remember certain concepts – for example, whenever I start a tournament badly, I always remember how Julien Nuijten started his Nationals 2-3, then won all his remaining matches to finish 3rd, make it to Worlds, and then won Worlds, so I know that even if your start wasn’t good, you can still win (though I guess now I can think of myself in San Juan too, with all the starting 0-2 and whatnot).(訳注:ドラフトとあまり関係ないのでそのまま)

リミテッドのシナジーにおいては、私はいつも、あるドラフトで行われたプロツアー(記憶が確かなら名古屋)でのRichard Hoaenを思い出します。彼はリミテッドの世界的な名手で、そのときのtop8トーナメントでは14枚の土地とChrome Moxのデッキをプレイしており、Platinum Angelはメインボードに入れていませんでした。この事例はまさに「カードではなく、デッキをドラフトしろ」の思想を体現しています―Platinum Angelは一般的にはとても強力なカードで、Chrome Moxはドラフトでは通常プレイする価値のないカードです。さらには14枚の土地のデッキなど考えられません。しかし、そのときの彼にはそれが限りなく正解に近いものだったのです。もし、あなたがドラフトでPlatinum Angelに遭遇する機会があったら、是非考えてみてください―もしかしたら、あなたがその時ドラフトしているデッキにおいてはChrome Moxの方が役に立つかも知れないということを。

I hope you’ve enjoyed this (and that I haven’t repeated myself too much), see you next week with a GP Sydney report!

PV

おしまい

コメント

listener
2010年10月8日1:19

翻訳お疲れ様でした。
この内容もすばらしいですね。
当分の間、毎日読もうと思います。

ペンティーノ
2010年10月8日1:27

ありがとうございます。
PVはとても真摯なおとこなのだと最近訳してて良く思う

bun
2010年10月8日7:13

おはようございます。

シグナリングのくだりを読んでいると、ドラフトの深遠を垣間見る気になりますね・・・。
自分が絞ってきた色を意図的に下家が選択するのに合理性が存在するなら、下家をコントロールするのは、自分が考えるよりも遥かに難しい事だと思いました。
下家には1色だけじゃなく、2色とも上家が選んだ色を使わせないとダメで、ドラフトの流れ上そうなるのかは分かりませんもんね・・・。
ただ安穏と下家がデッキを作りやすい環境を与えたらダメって事でしょうか。

それからヘイトドラフトの《垂直落下/Plummet(M11)》の下りを読んでいると、僕なんかよりも、やっぱり深い事考えてるんだなと思いました。

お陰様で色々考えさせて頂く事ができそうです。
訳乙&感謝です^^

ペンティーノ
2010年10月8日22:21

こんばんは。記事読んだこと生かそうとPV先生の託宣を取り入れてドラフトしてると頭がフットーしそうなペンティーノです。

理論としては知ってても、だれもができないからプロはプロなんだなぁと思いました。
分かったつもりになってもこれ全部実践するのは大変ですよね。

「シグナルは送るより読み取るべき」とも言ってるので、上の意思を考えるのは大切だけど下をコントロールすることはある程度諦めるべきなのかも。

うで
2010年10月9日22:28

はじめまして!
今回の記事、特にシグナルに関してはいろいろと考え直させられるものでした
上下のメンバーが協調や棲み分けといった部分にどれだけ意識を割いているか、などもありますし本当に難しいです
1分間程度の短い時間の中でより多くの情報を得るには、やっぱり練習しまくって環境を熟知するしかないんですよね・・・
MTGがうまい方ほど、そこらへんの飲み込みが早くで非常に羨ましいです

非常に参考になる翻訳記事でした。訳も素晴らしかったです
リンクさせて頂きました。よろしくお願い致します

ペンティーノ
2010年10月9日23:10

なにが難しいって、やっぱ時間制限あるなかで実践できなきゃ意味がないことですよね。

理論は知っている(キリ

にならないよう、実戦で試して、自分の技術にしていかねばと思います。

相互返しました、宜しくお願いします。

nophoto
Indo
2013年2月3日20:56

That’s a shrwed answer to a tricky question

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